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日本で自身の会社を経営する中、家族4人でカナダへの移住を成功させたMoritaさんへインタビュー

今回はPEO(Professional Employer Organization)を利用してカナダへの家族移住を達成されたMoritaさんにインタビューをさせていただきました!
PEOとは2020年からFrogで始まった取り組みで、元々はアメリカ企業で働くFrogメンバーをサポートするために始まった取り組みです。

Moritaさんご自身、日本でサービス開発やウェブサイト制作などを請け負う会社を経営されている背景から、カナダ渡航後に一般的な現地での就職活動を行う予定はありませんでした。こうしたカナダ国外の企業に勤めながら、カナダでの活動を行う制度がPEOです。

現在Frogでは既に多くのエンジニア、デザイナーの海外進出もサポートさせて頂いていますが、今回は奥様とお子様お二人の4人家族でカナダへ渡航したMoritaさんに、お話をお伺いしてみようと思います!


Senna: 今日は久しぶりに私がインタビューを担当させてもらいます。通常はFrogの他のメンバーと話すことが多いのですが、今日のテーマはPEOということで、少し難しいテーマかなと思い僕がやらせてもらうことになりました。では、よろしくお願いします。

Senna: まずはご自身のことを少し教えていただけますか?特に、どういう経緯でカナダに行くことになったのかに興味があります。

Morita: はい、改めまして森田将和といいます。日本でウェブサイトやウェブサービスの制作を行う会社を立ち上げ、ずっと日本で活動してきました。しかし、いつか海外に住んでみたいという思いがあり、子育ての都合からカナダへ渡ることを決意しました。カナダのブリティッシュコロンビア州では、子供が5歳になる年の9月から義務教育のキンダーガーテンが始まるので、それに合わせて2021年の5月にカナダに移住しました。移住後もウェブサービスの開発を支援するために、カナダで法人を設立し活動しています。

Senna: なるほど、ありがとうございます。事業内容の中で、ウェブサイト制作や自社サービスの開発なども行っているとのことですが、それらの中で何がメインとなっていますか?

Morita: 売上の面ではお客様のウェブ開発の仕事が多いですが、エネルギーを注いでいるのは自社サービスといった感じですね

Senna: なるほど、すでにご自身のメディアもいくつか運営されているとのことですが、以前ハワイに関するメディアサイトも作られてましたよね?

Morita: はい、そうです。ハワイの情報サイトは現地のライターに協力してもらおうと思ったのですが、なかなかハワイ在住の方が見つからず、現在は一時停止しています。実は、そのサイトのスタートはハワイのビザを取得したいという思いからでした。そのため、ハワイで事業を立ち上げ、ハワイ関連の情報を提供しようと考えました。

Senna: それは興味深いですね。

子供の教育のため、カナダへの渡航を決意

Senna: それでは、子供の教育を考えてカナダへの移住を決意したというお話がありましたが、カナダ以外にも移住先として考えられた国はあったのでしょうか?

Morita: カナダは最初から第一候補だったわけではなく、実際は英語圏の国を中心に探していました。ビザの取得が可能で、治安が良く、日本人コミュニティが存在する国を総合的に判断した結果、カナダのバンクーバーに決めたという流れです。

Senna: なるほど、日系のコミュニティの存在は大きかったということですね。海外移住は初めての経験だったと思うのでなおさらということでしょうか。

Morita: そうですね。特に、私も妻も英語が得意というわけではないため、日本語で情報を探す際に、バンクーバーの情報の量と質は他の都市や国と比較して高いと感じました。

Senna: それは素晴らしいですね。また、PEOについても少しお話を聞いても良いですか?

※PEO:Professional Employment Organizationと呼ばれる日本やアメリカ、その他の国で自営業やフリーランスとしてすでに活躍されている方など様々な理由から「カナダ企業への就労を望んではいないが、活動拠点をカナダに移したい方」へ提案している新たなサポート制度

Senna: この試みは新しいものだと思いますが、どのようにして利用を決意したのでしょうか?

Morita: 実は自分の事業を続けつつ、その国に滞在し続ける方法がないか、Frog以外にも各国各都市のエージェントに既に相談していたんです。ビザ関連は基本的にその国で仕事をする人や学生には発行されやすいですが、経営者、特に私たちのような中小企業は自分達でビザを取得しようとすると、どの国でもとても難しいことでした。

Senna: その中で何か方法が無いか、各都市のエージェントに聞いて回っていたんですね。

Morita: そうです。でも、ほとんどのエージェントはそれはできないと回答されたり、または無視されてしまいました。そんなときに、Sennaさんが何か新しい取り組みを始めるとTwitterで発表されているのを目にしました。

Senna: なるほど、それは大下さんにも感謝ですね。元々彼のアメリカ企業での就労をサポートするために取り組んだのがPEOだったので(笑)

Morita: 本当ですね。

家族移住に向けての準備

Senna: 正直一般的な海外就職のための渡航準備に比べて、既に事業を日本で持たれていて、その上で家族全員での移住となると、準備段階でも相当な労力が予想されますが、いかがでしたか?

Morita: そもそも、元々は私が渡航した前年の2020年の夏に家族で移住先候補の都市を下見する予定だったんです。カナダのバンクーバーやトロント、オーストラリアやニュージーランドなどです。しかし、コロナの影響もありそれすらもできなくなってしまいました。

Senna: 確かに、下見は移住を考えている場合には大事なステップですよね。

Morita: そうなんです。妻も子供もカナダは初めてだったので、まさにぶっつけ本番。しかもその時期は郵便や物流環境が全部止まっていたので飛行機に大きなダンボール9箱を積んで渡航しました。当然、住む予定の家も内見できなかったので、バンクーバーにいる日本人のエージェントに頼んで、日本からリモートで内見や契約を進める羽目になってしまいました。

Senna: 非常に制限された中での準備だったということですね。その上、新型コロナウイルスの感染状況が見えない、一番怖い時期だったわけですから、本当に大変だったでしょう。

Morita: はい、それに加えて、最初にカナダに着いた時には2週間の隔離が必要で、私はPCR検査のトラブルにあい、さらに1週間伸びてしまいました。なので、家族は2週間後に外出できたのに、私はもう1週間待たなければならなかったんです。

Senna: それはいきなりのカナダの洗礼だったと言えますね。

Senna: たしか最初の一ヶ月間はAirbnbで生活し、次の月から契約した家に引っ越しまたというお話でしたっけ。

Morita: そうです。全てが新しく、右も左もわからない状況でした。コロナの制限はもちろん、外に出ることもできず、様々な施設も閉まっていたりする中で家にこもらなければならない時間が長かったので、家族も相当なストレスを感じていました。

Senna: それは大変でしたね。

Morita: 今ではなんとか生活できていますが、子育てをする中で、日本人のママ友や、子供の日本人の友達がいるのは心強かったですね。

Senna: 確かに、新しい境遇で話す人がいると心強いですよね。では、家族で移住を考えている人たちに対してアドバイスはありますか?

Morita: 一つあるとすれば、カナダへ渡航するんだからカナダの人たちやコミュニティに溶け込みたいという気持ち自体は大切です。しかし実際に子育てをしていると、やはり日本人同士のつながりも相当大切だと感じました。

コミュニティの重要性

Morita: 例えばカナダの子供たちはアイスクリームやチョコレートをたくさん食べますが、それは日本の感覚だとNGですよね。日本人は欧米人に比べて砂糖の分解能力が弱いので、そのような甘いものを子供に食べさせない方針をとる家庭が多いと思いますが、カナダではそれが普通です。

Senna: それは肥満体質になる可能性があるからですね。

Morita: 正確には欧米人(白人や黒人)は糖尿病になりにくく、肥満になりやすい、日本人は糖尿病になりやすく、肥満になりにくいとされています。大人は気にしないかもしれませんが、子供には気をつけないといけません。そのため、日本人同士で情報交換ができるコミュニティに参加するとそうした日本人という文脈から理解を深め会える関係が築けるので良いと思います。

Senna: そうですね、英語を話す社会に来たからといって、必ずしも白人コミュニティだけに参加しなければならないわけではないですしね。

Morita: はい、子供が英語を話すようになると、逆に日本語の環境を作るのが大変になるくらいです。

Senna: なるほど、ちなみに良く質問されることかもしれませんが、どのくらいの年齢の子だと、英語がスムーズに入ってくるのでしょうか?

Morita: 実は、私の友人でバイリンガル研究をしている人がいて、7歳から8歳、つまり小学2年生から3年生くらいまでの海外渡航が良いという話をしていました。それまでは遊びで言語が重要でないのですが、8歳あたりを超えてくると、カードゲームやボードゲーム、ルールを考えながら遊ぶようになるんです。

Senna: なるほど、鬼ごっことかかくれんぼみたいな遊びは特に言語は重要じゃないですもんね。

Morita: そうですね。また、私の子供たちの経験からも面白いことがわかりました。私たちが渡航したときは上の子は5歳で、下の子は1歳になる前くらいだったんですが、上の子は日本の保育園に通っていたので、日本語を普通に話すことができていました。それにより、英語を学ぶときも日本語をベースに学ぶことが出来たんです。

Senna: というと?

Morita: 例えば「これって英語でなんていうの?」だったり「英語でこういう言葉を聞いたんだけどこれは日本語で何て言うの?」というやりとりが出来るんですね。そしてそれから2年後には英語がほぼ問題なく出来るようになると、頭の中で完全に英語と日本語の切り替えが出来ているので、日本語と英語を補いながら使い分けることができるんですね。それは5、6歳で日本語がある程度できる状態でカナダに来ると起こる現象だと思っているんです。
一方で1歳かそこらの何も話せない状態でカナダに来ると、言語の切り替えという概念が無いので、日本語と英語が混ざって覚えていくんですね。

なので最初は日本語の中に英語が入ってきたり、逆に英語の中に日本語が入ってきたりするルー大柴(混ざり言葉)みたいな状態で話しますが、徐々に誰に対してどの言語を使うべきかが分かってきます。そのため、親としての視点で見ている上での感想ですが、言語の学び方は一つの言語が頭に入っているかどうかで違うんだなと今は感じています。

Senna: なるほど、それは興味深いです。ちなみに、ご家庭の方針としては家庭では日本語だけ、外では英語という方針をとっているんですか?

Morita: はい、そうです。私の妻も日本人で、家では日本語を使っています。子供たちは英語が出てきてしまうので、日本語を使うように言っています。ただし、学校の宿題や勉強で英語を使うこともあります。また外では日本人同士だと日本語で話しますが、一人でも日本語がわからない人がいたら英語を使うように言っています。

Senna: なるほど、そういう対策をしているんですね。それでも、日本語が徐々に弱くなってきていると感じますか?

Morita: はい、実際にそう感じます。最初は家庭で日本語をたくさん話すので問題ないと思っていましたが、そうではないようです。そのため、我が家では補習授業校に通わせています。

Senna: 日本語の補習授業校に通われているのですね。日本語が徐々に弱くなり、特に議論が弱くなってしまうと困りますよね。

Morita: そうなんです。家で日本語を使っていても、生活の中で使う語彙や表現、話題に限られてきます。補習授業校では日本の教科書で学び、日本の文化や言葉を吸収します。友人や先生と話すことで、表現の幅が広がると感じます。

Senna: それは重要なポイントですね。

渡航後の生活について

Senna: さて、話は戻りますが、やはり日本で事業を既にされていたので当然クライアントは日本企業が多いでしょうし、クライアントとのやり取りなどはどうされていますか?というか一日の生活リズムはどうなっていたのでしょうか?

Morita: 基本的に生活は完全に子供中心ですね。今だと上の子が学校に行くかどうかで日々のスケジュールが変わります。朝起きて、上の子を学校に送り、下の子はデイケアがあるかどうかもありますが、基本的に午前中は妻がコミュニティセンターに連れて行ってくれるんですね。そこには親子が集まり、無料で遊べるスペースがあります。その間に私は仕事をしているという感じですね。

Senna: なるほど。やはりお子様中心の生活なんですね。

Morita: そうですね。その後私は下の子と昼寝をした後、2時半頃に上の子を迎えに行き、その後は上の子の習い事が夕方まで続きます。夜ご飯を食べて子供たちが寝た後、こちらの10時頃になると、日本では午後になるので、私の仕事は本格的にはそこから始まります。それで夜10時から翌日の午前3時とか4時頃まで仕事をし、少し寝てから朝を迎えるといった感じですね。

Senna: ん?となると一日どのくらい寝ているんですか?

Morita: あまり長くは寝ていませんが、昼寝も合わせると1日におおよそ6時間7時間は寝ています。

Senna: なるほど、だいぶ夜型の生活に見えますが、身体は大丈夫なんですか?。

Morita: そうですね。でも、カナダに来る前から私は子供が寝た後に仕事をしていました。だから、カナダに来てからの生活スタイルはあまり変わっていません。むしろ、カナダにいると日本との時差があり、それが仕事の時間をしやすくしてくれているんです。

Senna: なるほど、それは面白いですね。そういう生活が送れるかというのは、自営業であるとライフワークバランスを保つのが難しくなるかもしれませんね。

Morita: そうですね。でも、それが自営業の一面でもありますよね。就業時間としても、午前中妻がコミュニティセンターに行ってくれてる時間に私は2時間ほど働き、夜の10時から3時頃までの間にも働くことができます。それで一般的な会社員と同じくらいの8時間程度働く時間は確保出来ています。

Senna: すごいですね。運が良かったのかもしれませんが、カナダと日本との時差があるからこそ可能なスタイルでもありますね。

Morita: 実はカナダを選んだ理由の一つにはこの時差も含まれていたんです。オーストラリアなどに行くと、日本との時差があまりないため夜に仕事がしにくくなってしまいます。クライアントとのコミュニケーションにも問題が生じていたかもしれません。

Senna: そうした生活スタイルは人によって好き嫌いがハッキリでそうですが、Moritaさんにとっては合っていたんでしょうね。

Morita: はい、私には合っていると思います。

Senna: 奥様やお子様はどうでしょう?やはり家族での移住となると自分だけの問題では無くなるので、ご家族のカナダでの生活における満足度も気になる所ですが。

Morita: 最初はやはりコミュニティがなかったので、妻には大変な思いをさせたと思います。ですが、それこそCOSの藤井さんやFrogの皆さん、大下さんにも声をかけてもらい、徐々にコミュニティができていき、それがとても助かりました。

Senna: コミュニティの存在というのはやはり色々な場面で助けになりますよね。

Morita: あとはローカルコミュニティという面だとやはり子供伝手で勝手に広がっていきますね。娘の学校の友達伝いだったり、日本語学校のお友達なんかかから現地のコミュニティにどんどんつながっていくことも多かったです。

渡航前と渡航後で思い描いていたことのギャップは?

Senna: 実際にこっちに来て、最初に思い描いていたこととの違いはありましたか?

Morita: やはり学校の勉強量についてですね。家の教育方針によると思いますが、カナダの学校は日本ほど日本で言う“勉強”をしないので、家庭学習で補っていく必要があると考えてはいましたが、想像以上だったというのが正直な所です。

Senna: よく耳にする所だとやはり数学とかですかね?

Morita: そうです。特に数学については日本と大きな差がありますね。正直カナダでは大人でもたまに足し算引き算が怪しい人っていると思うんですが、流石に生活に不自由しないレベルの勉強はして欲しいなと感じますね。ただ、逆に日本では絶対に出来なかったであろう経験で言えば、やはり様々な人種、宗教など多種多様なバックグランドの方が多くいるので、そういうダイバーシティを意識出来る環境に子供のうちから触れられるというのは何にも代えがたい経験だなと感じてもいます。

Senna: それにしても数学力は酷いと…

Morita: そうですね。教育方針によりますが、学校の進度が遅いと感じる場合は、その点を意識することが大切だと思います。私のお勧めは、日本から計算ドリルなどを買って用意することです。

Senna: それは良いアドバイスかもしれませんね。多くの人がその点を甘く見ているかもしれません。

Morita: そうですね、カナダの小学校では最初は宿題もほとんど出ないので、それが家での暇つぶしにもなりますし。

Senna: なるほど、それは素晴らしいですね。

West VancouverのAmbleside Beach

仕事上での良い面悪い面

Senna: では、カナダに渡った仕事上での良かった点や悪かった点について教えていただけますか?

Morita: 悪かった点というわけでは無いんですが、やはり日本からカナダに渡ると当然自然とリモートワークになるわけですが、コロナが明けてきた最近だと、私がカナダにいることを忘れて対面でのミーティングなどを希望されるお客さんが出てきてしまうんですね。

新規のお客さんの場合だと、我々のオフィスは東京にもあるので「じゃぁ対面で行けるかと」勘違いさせてしまうこともあるので、フルリモートで働くという準備をもっとしておくんだったなと今になって反省している所があります。

Senna: なるほど。

Morita: あとは元々バンクーバーを選んだ理由の一つは日本人のコミュニティが多いことでした。しかし、実際には日本人同士が足を引っ張っている場面もあり、強力なコミュニティがまだまだ形成されていないと感じています。これはバンクーバーだけの問題では無いようですが、やはりビジネス面におけるコミュニティの活性化というのは、もっと促進していくべきじゃないかと感じますね。

Senna: その通りですね。僕も15年間ここに住んでいますが、日本人コミュニティの問題は感じている部分もあります。例えば、他の国のコミュニティ、例えばインドや中国なんかは、いろんな意味で声が大きく、喧嘩腰に見えるかもしれませんが、コミュニティの結束力がとても強いです。

Morita: 別に仲良しこよしである必要は無いと思うのですが、必要な情報がまとまっているとか、頼れる人がいるとか、そしてお互いに邪魔をしない環境が作れると良いなと感じますね。

Senna: 結局その国におけるその人種の動きやすさというのはある程度その人種のコミュニティの強さで決まりますしね。先日Twitterで見かけたんですが『中国のコミュニティは仕事から何から全て助けてくれるが、日本のコミュニティは全くそういう物が無い』と嘆いている方がいて、それがコミュニティの差なんだよと強く感じてしまいました。

Morita: そうですね。その点、Frogのコミュニティはかなり成功していると思います。エンジニアやデザイナーといった人々がエージェントとしてではなく、コミュニティの一員として参加し、仕事の話から雑談まで色々なことを共有している。これが心の拠り所になっている人も多いと思いますよ。

Senna: そう言っていただけると、私たちの励みになります。ありがとうございます。Frogが良く見えている理由は、エンジニアやデザイナーといった新しいものに関与するTech界隈の人に限定しているからというのは理由の一つかもしれないですけどね

それでは、その他に最近の悩みや予想外だったことは何かありますか?

カナダドルで稼ぐ必要性

Morita: 最近の悩みは、やはりカナダの物価上昇ですね。さらにカナダドルに対して円が安くなっているため、日本で稼いでカナダドルに替える人にとっては困難な状況です。実際、同じ仕事をしていても手取りが2割ほど減ってるようなものですから。

Senna: それは大変ですね。そうなると、やはりカナダドルで稼ぐ必要を感じているということですか?

Morita: はい、そうですね。日本の仕事を増やすこともできますが、フリーランスや自分で会社を持つ人々から見ても、北米圏で仕事を得るということは必要に迫られることだと思います。

Senna: なるほど。それでは、北米での仕事を得るために現在進行中の事業などは何かありますか?

Morita: はい、最近立ち上げたサービスで、日本人ビジネス向けのウェブサイト制作や集客支援のサービス運営を行っていまして、ここを広げていくことに力を入れています。

Senna: それはカナダで事業を起こそうとする人たちのウェブサイト制作やその他の支援をするサービスということですよね?

Morita: はい、そうです。

Senna: だから先程のお話にあったように、コミュニティや助け合いの精神があると、自分の事業にも還元されると考えているわけですね。やはり日本から事業を行われていると、この円安、物価高は直撃してしまう現状があるんですね。

過去のオフショア先が現在は日本と同じ水準に

Morita: その辺りのお話になると、例えば最近若者が海外で働き、年収が2倍になるみたいな話あるじゃないですか。

Senna: ありますね。賛否ありそうな内容として取り沙汰されてる印象です。

Morita: はい、その一つの要因として挙げられるのは、物価が上がらず給与が上がらない日本の現状によるものです。私が日本でSEとして働いていた10年前とかだと、開発の案件がベトナムなどアジアに外注されていました。しかし、最近では日本のエンジニアとベトナムのエンジニアの単価がほとんど変わらないというケースも出てきています。

Morita: 世界的に見て、アメリカやカナダも含めて単価が上がっていますが、日本だけは上がっていません。その結果、ベトナムとの差が縮まっているんです。

Senna: なるほど、だから日本で稼ぐと結局は厳しいのですね。

Morita: そうです。物価が安いところはウェルカムですが、競争力という観点から見ると、他国と比べて見劣りすることになります。

Senna: なので、日本からこちらに来る事業者やフリーランスの方は、できるだけ早くこちらの仕事に切り替える準備をしておいた方がいいということですね。

Morita: 渡航してからも日本の仕事をそのままできますが、実際の生活レベルで見ると、金銭的に苦しくなる部分は絶対に来ると思います。ですから、こちらのカナダやアメリカでの売上の比率を増やすことが重要だと考えています。

バンクーバーである必要があったのか?

Senna: なるほど、理解しました。ところで、こちらに来てからは物価の高さなどに直面していると思いますが、日本から仕事を持ってきて、物価の高さに直面した時、他の地域に移住することを考えましたか?また、現在バンクーバーに留まっている理由や、将来的にバンクーバー以外の地域に移動する可能性はありますか?

Morita: カナダ国内で言えば、特に現在住んでいるウェストバンクーバーは家族全員が気に入っているので、ここから自ら移動することは考えていませんね。

日本の食材が手に入る、日本人の友達がいる、さらに寒さが厳しくない場所が好ましいですね。トロントなどの東だと正直冬の雪は厳しそうに感じます。

Senna: 日本への帰国などは考えてないのですか?

Morita: そうですね、他の国へ行く可能性を比べると、日本に帰る選択肢の方が濃厚だと思います。ですが、永住権が取れた今は、ハワイにも行きたいと思っているし、ヨーロッパにも興味があります。まだ全ての可能性を探っている段階です。

Senna: カナダの永住権を持つとビザの呪縛から開放されるので、選択肢が信じられないくらい広がりますよね。素晴らしいことだと思います。

家族移住の難題、ホームシック

Senna: さて、次によく聞かれることについてお伺いしたいのですが、PEOを利用してここに来た方の中には、元々英語が堪能では無く、英語圏での生活には不慣れな方が多いと思います。そんな方々がカナダに長期滞在し、ホームシックになって日本に帰りたくなるという話は毎日のように耳にしますが、Moritaさんのご家庭ではいかがでしたか?

Morita: はい、もちろんありました。特に妻と子供が日本に帰りたがっていたこともあり、本格的に帰国を視野にいれた時期もありました。

Senna: そうだったんですね。それは解決したのですか?

Morita: 運が良いのか悪いのか、その時ちょうどコロナの移動制限真っ只中の時期で、言ってしまうとカナダにいるしかないという状況だったんですね。なので、そのままカナダに滞在し続ける中で子供の学校が始まり、日本人コミュニティに少しずつ触れ合うようになり、結果として時が解決したという側面があります。

Senna: なるほど、それは良かったですね。ここに住んでいる方々に助けられたり、一緒にご飯を食べたりすることで、家族との絆が深まったんですね。

Morita: はい、実際にこちらで出会った方々にはとても助けられました。

永住権取得後の方向性、やりたいことなど

Senna: そうですね、それは勇気づけられることが多いですよね。次に移りますが、実際に永住権を取得するまでの期間も短かったですよね。他の方と比べても早かったですよね。

Morita: はい、永住権を取得するまでの期間は約2年でした。COPR(永住権確定の通知)の受け取り自体は去年の年末だったので、実質1年半ほどで手続きが完了していたことになります。

Senna: なるほど、それは恐ろしく早いですね!その後、PRが出たことでやりたいことが増えたとおっしゃっていましたが、他にも何か挑戦したい分野はありますか?

Morita: はい、やはりバンクーバーのコミュニティを長い目で見て育てていきたいという思いがあります。日本人コミュニティを作っていくことにも興味があります。しかし、同時に他の国や都市にも行ってみたいという気持ちも大きいです。特にハワイには興味があります。どう仕事と生活のバランスを取るのかなどはまだ見えていないのですが、やはり永住権が出てきたことで、縛りがなくなり選択肢が出てきたなと感じています。

Senna: それは素晴らしいです。その他永住権が出たからこそやりたいこと、出来ることなどはありますか?

Morita: そうですね、他のことですが、例えばCCBという子ども手当がありますよね。永住権を持っているか、就労ビザで18ヶ月以上働いているかのどちらかを満たせば、それを受け取ることができるんですよ。

なので、ある意味うちの子供たちがカナダドルを稼いでくれているので、生活スタイルが変わってきている所もあります。また、永住権があると住宅ローンや車のリース、クレジットカードなども自由に検討できるようになり、ステータスも変わってくると思います。

Senna: なるほど、それは素晴らしいですね。ちなみに、今一番やりたいことは何でしょうか?

Morita: そうですね、それは少し考える質問ですが、今はバンクーバーで日本人のビジネスを立ち上げる人たちが協力して頑張るコミュニティを作りたいと思っています。

Senna: 素晴らしい、バンクーバーでビジネスをする人はまだまだ少ないですから、それを促進するための活動は意味が大きいかもしれませんね。

Morita: 私自身はバンクーバーは外国人の起業に非常に向いている都市だと思っていて、例えばBC以外のとある州では起業に際し市民権を持つ人を役員に入れなければならないことを条件に課していたり、アメリカはご存知のとおり働くためのビザがそもそもほぼ出ないという状況なので、アメリカを視野にいれたビジネスがしやすいカナダという地域は、私は起業に非常に適した地域だと感じています。

Senna: なるほど、ありがとうございます。素晴らしいビジネスですね。その方向性だと僕らも協力できる部分が色々あるかもしれないので、またお話を聞かせて頂けると嬉しいです。今日はお時間いただきありがとうございました!

これからPEOを利用し渡航を検討する方にアドバイス

Senna: それでは最後にPEOを利用し渡航する方にアドバイスなどありますか?

Morita: そうですね。あくまで私のように娘と妻、つまり家族で渡航する方に向けるのであれば、まずは時間の確保についてでしょうか。やはり家族規模で渡航すると、最初はホームシックだったり、何かしらの不安をどうしても感じてしまうと思うんです。

そういう時にしっかりと時間を取って寄り添うこと。そしてあまり肩ひじをはらず、私やSennaさん、藤井さん(COS代表)など、周りでサポートしてくれる人は必ずいるので、そういう人に声を掛けてちゃんと話したり、家族で遊んだりすること。そしてそういう人が周りにいないのであれば、そういうコミュニティに入ることが重要だと感じます。もちろん合わなければ離れれば良いだけなので、そういう意味で肩ひじはらずということですね。

子供は一度環境に馴染んでしまえば勝手に英語やコミュニケーションを驚く程のスピードで吸収するので、やはり最初の期間をどう乗り越えるかは考えておいて良いことじゃないかと思います。

Senna: コミュニティの活用が実は肝だということですね。家族移住を検討する方々もすごく増えたので、響くご家族もいるのではないかと思います。今日はありがとうございました!


いかがでしたでしょうか?

ご家族で移住、そして経営者としての日本からカナダという北米圏への挑戦において、非常に参考になるお話を沢山お伺いすることができました。特に昨今は物価上昇や為替相場の変動など、多くの外的要因が待ち構える企業の海外進出ですが、円でもドルでも稼げる状態を作るというのはもしかしたら重要な意味を持つのかもしれないと、インタビューをしている私自身も痛感する思いでした。合わせて今後ご家族でカナダへの移住を計画されている方にも参考にしていただきたい情報が満載でしたね!

まだまだ始まって数年と間もないPEOサポートですが、日本で経営者や役員、フリーランスとして働いている方はもちろんのこと、アメリカや他国への挑戦という意味でもエンジニアやデザイナーの可能性を大きく広げることが出来る取り組みだと考えていますので、是非今後多くの方にその存在を認知頂ければと思っています!

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