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最新インタビュー

映画で海外に憧れた少年の海外就職!車上生活を経て、データエンジニアとして掴んだ海外キャリア
インタビュー

映画で海外に憧れた少年の海外就職!車上生活を経て、データエンジニアとして掴んだ海外キャリア

今回は、中学時代にアメリカ映画に憧れて海外を志し、高校留学、アメリカの大学でマーケティングを専攻した後、データエンジニアとしてキャリアを切り拓いたMizukiさんにお話を伺いました。日本でのスタートアップ勤務やアクセンチュアでの勤務を経て、「やっぱり海外に行きたい」という想いからカナダへ渡航。現在はバンクーバーを拠点に、アメリカのスタートアップでフリーランスのデータエンジニアとして活躍されています。 Frogのメンバーの中でも珍しいデータエンジニアという職種での海外就職、そしてバンクーバーでの5ヶ月間の車上生活という強烈なエピソード——マーケティングからエンジニアへの転身の決断、データエンジニアの転職市場のリアル、英語学習のコツ、そして「思い立ったら行動」という生き方まで、たっぷりと語っていただきました。 マーケティングからデータエンジニアへ Mizuki: 高校の時に海外留学に行きたいなと思って、海外留学制度のある高校に入り、1年間アメリカに留学しました。日本の高校に帰ってきて卒業した後、大学どうしようかなとなった時に「やっぱりアメリカの大学がいいな」と。アメリカの大学で4年間、CSとかじゃなくて普通にマーケティングを専攻してました。 Ryo: なるほど。 Mizuki: 4年間終わったらOPTっていう1年間アメリカで働ける制度があるんですけど、そこでインターンとかやってたら「マーケティングだけっていうのは違うな」と思って。OPTが終わって日本に帰った時にプログラミングのブートキャンプに行って、データサイエンスのコースを取り、そのままスタートアップにデータエンジニアとして就職しました。日本で2、3年働いた後に、やっぱり海外に行きたいなと思って、一番学生ビザが早いなと思ったCo-opでカナダに来ました。 Ryo: マーケティングで「ちょっと違うかな」って思ったのは、海外に出ることを考えてエンジニアだと出やすいなと思ったのか、マーケティング自体が自分の領域じゃないと感じたのか、どちらですか? Mizuki: どっちもですね。マーケティングのコンセプト自体は好きだったんですけど、実際にインターンで働いてみて、デイ・トゥ・デイでやることがちょっと面白くないなと。その時に「スキルってすごい大事だな」と思って、マーケティングと相性がいいスキルを考えた時に、データサイエンスがいいのかなと思って、日本に帰ってからブートキャンプに行きました。 Senna: じゃあ職歴としてはほぼ全部データエンジニアっていうことですね。 Mizuki: そうですね。ブートキャンプのネットワーク会で来ていたスタートアップに最初は入って、1年ぐらいした時に財政難でレイオフがあって。スタートアップの環境自体は好きだけど、このネガティブな面はそこまで考えてなかったなと。次いつ自分の番が来るかを考えるストレスがすごくて、もうちょっと安定したところに行こうかなと。プラス「名前」ってすごい重要だなと思ってたんです。元々2、3年後には海外に行きたいという気持ちがあったので、履歴書に知られた名前があった方が有利かなと。そこでLinkedInでリクルーターからメッセージをもらって、アクセンチュアに入りました。 データエンジニアの仕事、3つのタイプ Ryo: データエンジニアって結構広いんじゃないかなと思ってるんですけど、具体的にどういう仕事をされてるんですか? Mizuki: 僕的には3種類あるのかなと思ってて。1つ目がBI系——ビジネスのデータを取って、ビジネスのインサイトになるようなデータを作るタイプ。2つ目がアプリケーションに使われるデータを作るタイプ。3つ目がマシンラーニング用のデータを作るタイプ。アクセンチュアの時はBI系で、最初のスタートアップと今の会社ではアプリケーション系のデータを扱っています。 Ryo: うちの会社(Asana)だと、Mizukiくんみたいな仕事はデータサイエンティストって呼ぶこともある。どういうふうにログを取るかをエンジニアに協力してもらったり、ABテストの設計をしたり、結果のデータをもとに意思決定するような働き方。会社の規模によって呼び方も業務範囲も変わるよね。 Mizuki: データサイエンティスト界隈ですごく有名なピラミッドがあって、一番下がデータエンジニア(土台を作る)、真ん中がデータアナリスト(データを分析して今の状況を把握する)、一番上がデータサイエンティスト(これからどうなるかを予測する)。バジェットがある会社ならこう分けられるけど、小さい会社ならデータサイエンティストが全部やる、みたいな感じになります。 データエンジニアの転職市場 Senna: Frogにもデータエンジニアで就活したいという方が結構来るんですけど、なかなか前例がなくて。転職市場としてはどんな感覚ですか? Mizuki: データエンジニア自体の数は普通のソフトウェアエンジニアに比べると少ないけど、仕事の数も少ない。ただ元々のデータエンジニアの母数も少ないから、わりと需要は高いというイメージです。ただ、LinkedInとかで仕事を探すと、圧倒的にソフトウェアエンジニアの募集が多い。バックエンドとかフロントエンドできたらいいなと思うことも正直あります。 Ryo: データエンジニアの難しさって、英語力と技術力のバランスにもあると思うんですよ。小さい会社だとデータエンジニアがPMとも経営層とも話す必要があるから英語力が求められる。逆に技術寄りのポジションは英語力はそこまで必要ないかもしれないけど、技術力をつけるのがそもそも大変。ソフトウェアエンジニアみたいに「JavaScriptが書ければまあまあいける」というわけにはいかない。 Mizuki: コミュニケーション面で言えば、僕の場合はコード書くのが8〜9割で、残りの1割が何か問題があった時に相談する程度。エンジニア寄りの働き方ですね。 バンクーバーという土地でのデータエンジニア事情 Ryo: バンクーバーって場所柄、シアトルやサンフランシスコのハブみたいな感じで、支社を出す時にウェブのポジションは多いけど、データ系やインフラ系のポジションは少ないんですよね。 Mizuki: そうですね。マシンラーニングやBIをやってるところは基本的に大きい企業。だからある程度の規模にならないとデータエンジニアを必要としない。一方で、僕が入った2社はどちらもデータを土台とするサービスを作ってるスタートアップだったので、なくはないけど多くはないですね。 Senna: メインストリームじゃないっていうイメージですかね。 Mizuki: 多くはないですね。 英語、シャドーイング3日間の効果 Senna: 英語の苦労はありましたか? Mizuki: 今でもスピーキングには苦労してます。ボキャブラリーがすごく小さくて、小さい言葉を巧みに使いながらっていう感じ。こないだPTE(英語テスト)を受けたんですけど、やっぱりスピーキングが一番ダメでした。 Senna: 逆にスピーキングが得意なタイプかと思ってたから、ちょっとびっくりしました。仕事での英語はどうですか? Mizuki: 仕事に関しては正直特にないですね。データに関する問題を説明する時は文面でやることが多くて、一回バーッと書いてChatGPTに投げて綺麗にしてもらって、Slackで送る。AIが来てからすごく楽になりました。 Mizuki: 一つだけ言っておきたいのが、シャドーイングはマジでやったほうがいい。3日間やっただけで、4日目から「あれ?ちょっとペラペラになってるかな?」って思うぐらい。 Ryo: どういう教材を使ったんですか? Mizuki: YouTubeですね。大好きなユーチューバーを見つけて、キャプションをオンにして、その人が喋ってることをひたすら真似する。感情も込めると、ナチュラルになる。実際にシャドーイングした人の喋り方に自分もなると思います。 バンクーバー車上生活 Senna: 車上生活の話がインパクト強すぎて。カナダに来た時はまずどんな生活だったんですか? Mizuki: 最初の1ヶ月は普通にシェアハウスで一室を借りてました。住所が色々必要になるから。本当は最初から車で行く予定だったんですけど、お母さんに「最初の2ヶ月は家にして」と言われて。 Senna: お母さんからしたら車での生活なんて許可すらしてなさそうだけど。 Mizuki: すごく怒ってましたね。 Ryo: 車はどこで手に入れたんですか? Mizuki: Facebookマーケットプレイスで、60万円ぐらいで。アメリカにいた時も同じぐらいの金額で車を買って、半年使って同じぐらいで売れた経験があったので、資産として考えてました。……と思って買った車が、エンジンぶっ壊れてて。 Senna: え? Mizuki: 買って3日後ぐらいに後ろからすごい煙が出て、メカニック持っていったら「もうダメだわ」って。ほぼ運転せず、ずっと「家」ですね。 車上生活の実態 Ryo: どこに停めてたんですか? Mizuki: アパートの地下駐車場をマンスリーで月300ドルぐらいで借りてました。バンクーバーは車上荒らしがひどいので、ガレージじゃないとパソコンとか取られたら意味ない。学校とバイト先がダウンタウンだったので、近くに停めたかったんです。 Ryo: お風呂、洗濯、食事はどうしてたんですか? Mizuki: お風呂はジムのシャワー、洗濯はコインランドリー、ご飯はバイト先のまかないとチポトレですね。チポトレは全部2倍にしても同じ値段なんですよ、プロテイン以外は。だから全部2倍にして、半分を昼ごはん、半分を夜ごはん。 Senna: トータルで車上生活は何ヶ月ぐらい? Mizuki: 5ヶ月ぐらいですね。頭の中では2年ぐらいやるつもりだったんですけど、途中で「あれ?これ全然節約できてなくない?」と気づいて。駐車場代300ドル、ガソリン代、ジム代……Frogのマーケットプレイスで400ドルの部屋が流れてきたりするのを見ると、「あれ?」ってなりますよね。 車上生活から一転、エンジニア職をゲット Mizuki: 元々は「時間がいっぱいあった方がいい」というマインドセットで、お金がなくても時間がある方を選んでたんです。でもやってるうちに、お金があれば誰かにお金を払ってやってもらえばいいじゃん、っていう方向にマインドシフトがあって、エンジニアの仕事を探し始めました。結果的に1ヶ月〜1ヶ月半ぐらいで見つかりました。 Ryo: いや、最初からそれやればよかったんじゃない? Mizuki: いや、僕も正直そんなに早く見つかると思ってなかったんですよ。3ヶ月から半年ぐらいかかるかなと思ってたんですけど、わりと早かった。 Senna: Frogでもよく言ってることだけど、渡航してすぐにチャンスが巡ってくるか、それが2年後なのかは誰にも予測つかない。行動力に裏打ちされた運だとは思いつつ、どれだけ頑張っても1年間就活してる人もいる。でもその車上生活をしちゃうようなマインドセット、軽いフットワーク。そういう人生経験が面接で話せたり、人として面白いと思ってもらえることもあると思うんですよね。 これからの目標、ビーチとキャリアブレイク Ryo: 今後のキャリアや目標はありますか? Mizuki: オーストラリア行きたいですね。やっぱりビーチが好きで。エンジニアをやっていて、それなりにいい給料をもらってるけど、1日終わって「すごい疲れた、誰とも話したくない」みたいな気持ちで終わることがあって。これをずっと続けていいのかなと思って、自分が担っていることに手を出してみてもいいのかな。ビーチの近くのカフェで働くとか。お金なくなったら、また戻ってくる可能性もありますけど。 Senna: その取捨選択ができるのも、エンジニアみたいな仕事のいいところですよね。北米ではギャップイヤーもそこまで気にされないし。 これから海外を目指す人へ Mizuki: やっぱり**「思い立ったら行動」**ですね。何かやりたいなって思ったまま、どんどん考えて一歩が出ない時ってあると思うんですけど、自分の頭の中に「これがちょっとやりたいかな」って思った時点で、多分やりたいんです。やってみて嫌いだったら、次のことをすればいい。 僕も「カナダ行きたいな」って思った時に、YouTubeでパッと調べてFrogのことを知って、多分その週には毎週土曜の質問コーナーに行ってました。誰かにコンタクトしてみるっていう、何か一歩を踏み出してみるのはすごくいいんじゃないかなと思います。 技術面で言えば、今はAI系の知識があるとすごく有利。求人を見てもAI関連のものが増えてきているので、そこのスキルを高めていくのはいいんじゃないかと思います。 マーケティング専攻からデータエンジニアへの転身、車上生活という型破りな選択、そしてバンクーバーからアメリカ企業でのリモートワーク。Mizukiさんのキャリアは、一見すると突拍子もないように見えて、その根底には「思い立ったら行動する」という一貫した姿勢がありました。データエンジニアという、ソフトウェアエンジニアに比べてポジション数が限られる職種でも、英語力と技術力、そして行動力があれば海外で道を切り拓けるということを、身をもって示してくれたインタビューだったのではないでしょうか。 Mizukiさん、貴重なお話をありがとうございました。

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元営業職、毎日3時間の英語学習を3年間継続!カレッジ卒業前にバンクーバーのAI企業に就職を決めたTomoharuさん
インタビュー

元営業職、毎日3時間の英語学習を3年間継続!カレッジ卒業前にバンクーバーのAI企業に就職を決めたTomoharuさん

今回お話を伺ったのは、青山学院大学を卒業後、新卒で営業職として3年間勤務したのち、独学でプログラミングを学び、フィンテックスタートアップでソフトウェアエンジニアとして4年間のキャリアを積んだTomoharuさんです。 営業マン時代から「海外で働きたい」という夢を持ち、エンジニアとしてのスキルと英語力を武器にカナダ渡航を決意。IELTS対策として毎日3時間の英語学習を3年間継続し、ランガラカレッジのコンピュータサイエンスコースに入学しました。在学中からFrogの成功事例を徹底分析して就職戦略を練り上げ、80社に応募して卒業前にバンクーバーのAI受託開発企業に内定を獲得。現在は年収約1000万円でソフトウェアエンジニアとして活躍しています。 「問題を悩みに変えてはならない」という考え方を軸に、着実な準備と行動力で海外就職を実現したTomoharuさんの経験は、これから渡航を考えるエンジニアにとって多くの学びがあるインタビューです。 キャリアの歩み:営業職からエンジニアへの転身 Ryo: 今回はバンクーバーにソフトウェアエンジニアとして就職したTomoharuさんに来ていただきました。簡単に経歴から教えていただいてもいいですか? Tomoharu: 皆さんこんにちは、Tomoharuです。よろしくお願いします。経歴は、新卒社会人になって、まず3年間営業として働いていました。その後フィンテックのスタートアップでエンジニアを4年間。で、そのあと日本を出て、カナダに来ました。カナダのランガラカレッジでコンピュータサイエンスを2年間履修していたんですけど、そのうちの後半1年間をフリーランスとして日本の会社で働いて。ランガラを卒業すると同時にその会社も辞めて、今の会社が見つかったので、そこに転職したっていう感じです。 Ryo: 日本でのエンジニア4年間は、どんな技術を使われていたんですか? Tomoharu: 本当にバリバリのSaaSアプリを作っていて。プロダクトの言語って意味だと、表がJavaScriptで、裏がRubyです。フレームワーク的な話をするとReactとRuby on Railsっていう感じです。 Ryo: 結構モダンなテックスタックだったんですね、日本にいた時も。 Tomoharu: そうですね。転職する時に結構こだわっていたところで。なるべくモダンなところがいいのと、自分が勉強していた言語がたまたまRubyだったので、営業マン時代に.それがフィットするかなっていうところで、マッチしたのでそこに行ったっていう感じです。 Ryo: LinkedInを見させてもらったら、大学はCSではない感じなんですよね? Tomoharu: 全然全然。 メンターとの出会いと独学プログラミング Ryo: じゃあ、新卒で入ってそこで学びながら仕事をして、みたいな感じなんですか? Tomoharu: そうですね。エンジニアとして受託会社をやっていたり、CTOをやっているようなエンジニアの方がたまたま知り合いになって、その人のところで弟子入りして、3年間どっぷり浸かりながら、裏でプログラミングの勉強をずっとしていました。 Ryo: フィンテックの会社の前のことですか? Tomoharu: 前です。 Ryo: どんな感じで勉強したんですか? Tomoharu: その時作りたいサービスが友達と決めたものがあったんですよ。「これ作りたいね」みたいな。それをRubyで作っていたんですけど、分からないんですよ。当時はAIとかも全くなかったから。Qiitaとか見て。でもやっぱり分からないので、その人のところに行って、「ここちょっと分からないです」って聞きまくって作っていました。 Ryo: じゃあもう本当に、メンターとの関係は自分からドライブしていた感じなんですね。 Tomoharu: そうです。自分から見つけたというか、その人に自分からもう「教えてください」って毎回行く、みたいな感じで。 フィンテックスタートアップでのエンジニア経験 Ryo: どのぐらいのレベルになってからフィンテックの会社に就職したんですか? Tomoharu: 就職できた時は、まずReactは全くできなかったんですよ。フロントエンドのフレームワークは一切できなくて、JavaScriptは多少できたんですけど。Rubyは、ユーザーがログインして、何か投稿して、それを他の人が見れる、ぐらい。本当によくあるToDoアプリのちょっと延長線上ぐらいのレベル感で。今だったらAI使えばもう10分ぐらいで作れちゃうぐらいの。デプロイするとかも分からなかったです。 Ryo: じゃあその会社的には半分ポテンシャル採用的な感じで入れてもらった? Tomoharu: そうですね。当時はまだ日本のエンジニア市場がそんなに競争激しくなかったんですよ。まだちょっと人気になりたてぐらいの時代だったので、なんとか滑り込めたかなっていう感じでした。 海外で働きたいという夢とFrogとの出会い Ryo: どんな流れで海外に来ようと思ったんですか? Tomoharu: 元々営業マン時代から「海外で働きたい」というのがあったんですよ。だけど、そこの営業マンの会社だと海外行くのがちょっと遠くなりそうで。本当に40歳ぐらいの年齢でっていう話になるので。遠いな……もっと早く行きたいな、と思って。自分の人生に影響を与える変数が少ないうちに色々やりたいよねっていう気持ちがあって。あとは元々英語も好きだったし、漠然とその時は海外に行ってみたいなって思っていました。 Tomoharu: で、ある時、まだ当時はTwitterでしたけど、りょうすけさんという元AWSの方が「DM解放してるんで、海外興味ある方ぜひ連絡ください」みたいなことを言っていたんですよ。そこにDMして「どうすればいいですか?」って聞いたらFrogを紹介されて、そこから連絡しました。 Ryo: 時系列的にはエンジニアになってからですか? Tomoharu: なる前から漠然と「海外に行きたい」というのはありました。たまたま自分がエンジニアとしてやってみて、フィンテックの前にアプリ作っていた時に「エンジニア面白いじゃん」という風にも思って。たまたまちょうど重なったんですよ。「英語、海外で働きたい」というのと、たまたま見つけた「エンジニア」という職業も「これでも海外で働けるじゃん」みたいな。英語とエンジニアがマッチして「海外行ける」という感じになった流れですね。 Ryo: じゃあ別に「海外行きたいからエンジニアになる」ってことを選んだわけではなくて。 Tomoharu: たまたまです。場所を自由に選べて、もっと自分の可能性を広げることができたので。あとは海外で経験積んだら結構価値高くなるんじゃないかなと、人材として。その時は本当にふわっと思ってただけだったんですけど。 Ryo: カナダを選んだのは基本的にFrogを紹介されて、そこからですか? 他の国とかも考えたりしていました? Tomoharu: ニュージーランドとかも考えましたね。 毎日3時間の英語学習を3年間 Ryo: 英語は元々やりたくて海外で働きたかったということで、そんなに苦手ではなかったと思うんですけど、ランガラに行かれてるじゃないですか。当時からIELTS何点はないといけないみたいなのがあったと思うんですけど、それに対する勉強は特別したりしたんですか? Tomoharu: めちゃめちゃやっていましたよ。日本でのエンジニア時代4年間。ランガラはIELTS オーバーオール6.5が必要なんですよ。それをまず取らなければいけないことになって。元々リーディングとリスニングは大学受験で結構やっていたから、一回プライオリティを落としていい。IELTSはもう2つ、ライティングとスピーキングがあるので、それをやらなきゃダメだということになり。 Tomoharu: ちゃんと「テストに受かる」というゴールなので、フィードバックをもらえるようなサービスを日本で探して。単に英会話ができるだけじゃなくて、IELTSに向けての「こうやって勉強したほうがいいよ」というのをちゃんと教えてくれるような英会話のサービスを選んで勉強していました。月1万〜1万5千円ぐらいのサービスでした。 Tomoharu: 特にスピーキングが一番できなくて。多分日本人が苦手だと思うんですけど。で、先生に聞いて、教科書とかテストをやっていると新しい英単語が出てくるじゃないですか。それが出てきたらCambridge Dictionaryの英英辞典で調べると例文が出るんですよ。それをノートに書くんです。一単語につき一例文みたいな感じでバーっと書いていって。 Tomoharu: そうすると例文がバーっと書かれているので、それを4個か5個ぐらいに分けて、線を引いて。その分けられた文章群を一チャンクとして毎日読む。一文につき3回音読して、最後の1回は見ないで読む。これを一チャンクごとに5回繰り返す。一チャンク全部読み終わったら上にチェックマークをつけていって、5回チェックマークがついたら終わり、というのをやっていたんです。これが結構効果があって、だんだん話せるようになってきました。 Ryo: どのぐらいの期間やられていたんですか? モチベーションが続かないっていうのが結構あるあるだと思うんですけど。 Tomoharu: エンジニアをやっていた時代は、一日3時間を3年やりましたね。毎日です。 Ryo: すごい。スピーキングの英単語調べてっていうのを中心に、他の技能もやっていた感じですか? Tomoharu: 他の技能もやっています。先生との英会話の授業もあるし、ライティング、リーディングやリスニングとかも全部やらなきゃいけない。全部やって。 Ryo: ちなみに最初のIELTSの得点は何点だったんですか? Tomoharu: 最初はオーバーオール6でしたね。勉強し始めて2年半後に一回テストを受けてみよう、と思って受けたら6だった。 Ryo: IELTSの勉強って日本でするとリソースがあまり種類なくて大変じゃないですか。ウェでもその先生を見つけられたっていうのが結構大きいですよね。ちなみにランガラに必要なのはIELTSのアカデミックとジェネラルのどちらですか? Tomoharu: アカデミックです。論文とか読まないといけなくて。ライティングがちょっと違うんですよね、ジェネラルと。グラフの内容を述べよ、みたいな問題がある。 Ryo: ランガラに行きたい人たちがIELTS 6.5の壁を超えるのってだいぶ準備するか、英語漬けの毎日をある程度日本で作らないとしんどいですよね。 Tomoharu: そうですね。しかも僕は元々文法はやっていたから、IELTSの勉強を始めた時に読み直しても「はいはい」って感じだったんです。もし全くゼロからのスタートだったら、もっと大変だと思います。 Ryo: 今はDuolingoのテストがあって5000円〜7000円ぐらいでオンラインで受けられるし、AIとかもあるし、リソースは無限にあるのかなって感じがします。今の時代いいところもあれば、学校の英語のバーは全体的に上がってきているから、ちょっと大変なこともありますよね。 婚約してから一人でカナダへ渡航 Ryo: 実はTomoharuさんのパートナーとバレーを一緒にやっていて、来る前に婚約していたと聞いたんですけど、一人で来たんですよね。結構家族で来る人とかパートナーと来る人って増えていると思うんですけど、その中で婚約したのに一人で来た理由みたいなのがあるんですか? Tomoharu: 単純にこっちの生活がどんな感じになるのか分からなかったっていうのが一番。僕一人でもまずサバイブできるのか、というところもあったし。最初ホームステイだったから、その時どうするの、みたいな話だったり。あとは、単純に仕事を見つけていない状態で収入がない中、二人で住むっていうのはちょっときつい。 Ryo: パートナーの方はびっくりされましたよね? Tomoharu: そうですね。でも婚約をするって言わなかったら多分別れていたと思います。 Ryo: でもそのあとやっと生活も落ち着いて、呼べることができたんですよね。 Tomoharu: そうですね。呼べることができました。今はもうこっちにいます。 Ryo: こっちだと日本と比べてワークライフバランスを大切にするから、一緒にいる時間が増えて夫婦の仲がよくなったっていう人も結構いますよね。家族やパートナーと来るっていうのは増えてきているし、いいオプションかもしれないですね。子供のこともカナダだと育てやすかったり、補助金がいっぱい出たりもしますし。 ランガラカレッジのコンピュータサイエンスを選んだ理由 Ryo: ランガラで2年じゃないですか。Tomoharuさんの場合だともう4年間の技術経験があり、英語も割とよかったわけですよね。その中で、ビザを1年くれるっていう学校を選ずに、ランガラっていうところでちゃんと学びに行ったのはどういう理由があるんですか? お金も結構かかるじゃないですか。 Tomoharu: 一つはPGWP(ワークビザの一つ)ですね。ビザが3年間取れるというのがあるのと、もう一つが単純にコンピュータサイエンスを学びたかったというモチベーションがあったんです。日本のフィンテックの会社にいた時に、結構周りの方が工学部とか情報学部の人たちだったので。みんな学んできて。たまに会話についていけない時とかがあったんですよね。それがちょっと悔しかったのと、仕事をしていると「これどうなってるんだろう」みたいな裏側の仕組みが気になったんですよね。 Ryo: 体系的に学びたかったんですね。 Tomoharu: そうですね。当時は記事とかを読むと「強いエンジニアはみんなコンピュータサイエンスをやってる」みたいな記事が結構あって。メモリとは何か、CPUがどう動くかみたいな話。やったほうがいいのかなと思いました。ランガラのコンピュータサイエンスだとCSの勉強もできるし、PGWPもゲットできる。一石二鳥だなと思って入ることにしました。 CS教育の意義と面接での実用性 Ryo: 結果的には割と早く仕事は見つけられたじゃないですか。CSの勉強2年使ってやったということは、就職やPGWPの3年あるとか抜きにすると、行ってよかったですか? Tomoharu: CSで学んだことって割と面接で出るんですよね。例えばコンピュータサイエンスの授業で絶対アルゴリズムとデータストラクチャがあるんですけど、それもゴリゴリに面接でLeetCodeとか。あとはシステムデザインの話。例えばデータベースでインデックスがあるとなんで早くなるの、みたいな。インデックスの仕組みがどうなっているか理解していないと話せなかったりする。これってデータストラクチャの話で、B-Treeとか色々ありますね。CSの知識があると面接突破対策になるっていうのはありますね。 Ryo: このCSのコースって、今までポッドキャストに出てくださったランガラに行っていた方とは違うコースですよね。 Tomoharu: 違うコースだと思います。皆さんはどちらかというと「作る」ことが中心で、アプリ制作がメインという印象ですね。 Ryo: このコースは結構理論的なことが多かったんですか? Tomoharu: そうですね、理論が多かったです。 Ryo: 僕は割と「いらないでしょう」って思っている立場なんですけど。面接は勉強すればいけるかなと思いつつ。でもPGWPもらえるならいいですよね。ただ、もしかりに1年行ったら、その分働き始めたのが1年前になって、永住権取れていたとかもあるじゃないですか。だから必ずしも長いが正解ではないのかなっていうのもある。聞いた感じだとTomoharuさんは自分でやりたいことやる派だから、行かなくてもどっちみち勉強したんじゃないかなって思ったんですけど。 Tomoharu: おっしゃる通りで、やっていたんですよ、実は。やっていたんですけど、やっぱり強度がそんなに高くないんですよ。CSの本買って読むだけみたいな。「これ身についてるのかな」みたいな。 Ryo: 自分で体系的にやるって、やったとしてもなんか自信がないというか。 Tomoharu: そう、アウトプットしていない感じ。ランガラに行くとテストがたくさんあるじゃないですか。そういうのがあったほうが勉強するんだよなっていう。 Ryo: その強制力みたいな意味では学校はありですよね。 AI時代のCS教育の価値 Ryo: 今AIの時代になって、ChatGPTに聞けば結構効率的に情報集められる時代になったじゃないですか。今の時代背景であったとしても、ランガラのCSを勉強したと思いますか? Tomoharu: すごいいい質問ですよね。PGWPの比重がかなり大きいですね。今はランガラでPGWPを取るにはコンピュータサイエンス系に行くしかないようです。アプリ系のコースはサスペンドされたみたいで。でもAIが出たとしても、一回理論はやっておこうとは思いますね。まだあと何年かは完全にCSの知識が全く要らなくなるということは全然ないと思うので。AIがほぼ完璧に何も間違えないよねぐらいになってきたら、もうAIで学んでAIでテストして、みたいなことができるようになるから、そしたらカレッジに行かなくてもいいかもしれませんけど。 ランガラでの学校生活 Ryo: よくある話で、英語で学んでクラスメートと一緒に勉強してキラキラ生活を思い浮かべて行ったら、実は日本人以外はあまり勉強しないし、グループワークとかも全然やってこなくて、結局日本人のグループになっちゃうみたいなのが割とあるあるなんですけど、どうですか? Tomoharu: まず日本人がほぼいないんですよ、このコース。本当に最後のセメスターでしか日本人に出会ったことがないんです。6セメスターあったんですけど、ラストセメスターでしか日本人を見なくて、それ以外ずっと海外の人に囲まれていたっていうのが一点。そしてもう一点が、割とみんな真面目でした。 Ryo: やっぱりランガラはちゃんとテスト受けないと単位がダメとかありますよね。 Tomoharu: あとやっぱりUBCやSFUにトランスファーできるんで、ランガラって。UBCやSFUに行きますっていう子が結構いるから、ガチっている人が多い。グループワークも授業によりますけど、あります。 学費とカレッジ選びの現実 Ryo: ちなみに授業料はおいくらだったとか覚えていますか? Tomoharu: 日本円で360万〜400万ぐらいかな、2年間で。 Ryo: 高い。貯金していたんですね、日本で働いている時に。 Tomoharu: 営業マン時代にそこそこあったんです。入学金も一括360万ではなくて、毎セメスター数十万みたいな感じなので、一発で出せる必要はないですけど、卒業するとなるとそのぐらいになります。 Ryo: 30歳までに来てワーホリを2年使いたいみたいなのとかも考えると、再現性って意味だと日本時代で結構稼いでいて入学金を払える、プラス英語がちゃんと良いところないといけないみたいな感じだから、結構難しいですよね。 Tomoharu: そうですね。こっちでアルバイトできるかっていったらそんな軽いわけではないので、やっぱり先に準備して生活費も残して、という感じになると思うから、相当お金は貯めてこないとダメなのかなと思います。 Frog成功事例の徹底分析 Ryo: 就職活動についてちょっと聞いていきたいなと思うんですけど。2年ランガラは通ったんですよね。座学の期間が終わった瞬間から就職活動していった感じですか? Tomoharu: 就職のための準備期間はランガラに入って半年後ぐらいから始めていました。一つ目にやったのがとにかくFrogの成功事例の記事を全部読むこと。僕は2023年にこっちに来たんですけど、まず2020年までの全ての記事を読んだんですよ。 Ryo: すごい。 Tomoharu: 読んで、何が成功パターンで、何が失敗パターンで、成功パターンの中でどれなら自分が取り入れられそうか、逆に「この失敗パターン自分やらかしそうだから、これはやらないようにしよう」とかを全部紙に書いた。そこから色々抽出して計画を立てて、どんなポジションでどんな会社を狙おうかな、その会社に行くためには何をしなきゃいけないかみたいなのをバーっと計画を立てたのが一番最初です。 Ryo: 失敗体験ってあんまり出てこないのかなって思うんですけど、それはどういうところから情報を集めたんですか? Tomoharu: 記事に割と書いてありましたよ。「これやったほうがよかった」とか。成功した人の中でもよかったことと悪かったことがある。 Ryo: Tomoharuさん調べだと、どういうのがよかったんですか? Tomoharu: 当時はまずATS(Applicant Tracking System:採用管理システム)ですよね。割とそれが出てきていた頃だったので。あとはネットワーキングも人気なやり方の一つだったので、そういうやり方もあるんだと。あとはこっちの市場環境も結構書いてあった。とにかくたくさん出さないと受からない。数打ちゃ当たるって意味ではなくて、日本みたいに3社出せば返ってくるような環境では決してないよ、っていうところが学べました。 Tomoharu: もう一つの準備として、僕がこの就職を成功させるためにやらなきゃいけないなと思ったのが「英語」と「アルゴリズム」と「システムデザイン」。この3つは一朝一夕で身につかないだろうなと思ったので、カレッジ在学中からちょこちょこ時間を使って勉強していました。 ATS対策とレジュメ作成の工夫 Ryo: ATSのハックみたいなのはどういうことをやられたんですか? Tomoharu: まずJobscanというATSアナライザーを契約して。月3000円ぐらいするんですけど、登録して。毎回出したい会社のジョブディスクリプションを入れて、自分のレジュメを書いて、足りなかったら書き足す、っていうのをやっていたんですけど。途中でめんどくさくなったので、他のFrogメンバーの方が書いていた記事を参考にして、「こういう単語がJDに出てきたら、この文章」っていう対応表をスプレッドシートで作ったんですよ。 Tomoharu: これ一回作っちゃえばずっと使えるんで。よくある「クリエイティビティ」とか出てくるじゃないですか、ジョブディスクリプションに。だからクリエイティビティが出たらこの文章みたいな対応表を作って。最後の方はもうそれで検索して、ピピピって入れていた。レジュメの作成時間が半分ぐらいになりました。結構おすすめです。 Ryo: カバーレターとかも同じ戦法ですか? Tomoharu: カバーレターは書いたり書かなかったり。最後の方は全然書いていなかったですね。多分2、3社しか書いていないかも、トータル。本当に行きたい会社には書いていますけど、そんなに変わらないんじゃないかなっていう感じです。 Ryo: 日本の経歴をレジュメに移すのって結構大変だったりするじゃないですか。日本だったら「ReactとJavaScriptとRubyを使ってフィナンシャル系のアプリを作りました」って書くだけでも、英語だとそれじゃ全然こっちのレジュメでは良くないですよね。そこはどうしたんですか? Tomoharu: 元同僚に聞いていました。「これ数字的にどうだったっけ」みたいな話とか、どうにかして数字を捻出しましたね。どういう課題があって、こういう技術でどういう風に解決して、結果こういう数字が出ましたよみたいな、一番よくあるSTARメソッド(状況、課題、行動、結果)に落とし込めるように情報をかき集めて作成しました。 Ryo: こういう話を聞くたびに、普段仕事している中でちゃんとログを取っておかないといけないなって思いますよね。転職のことを考えるなら、日々どれだけ成果を出せたか、どういうチャレンジがあったか残しておくべきです。 Tomoharu: 僕もAI使って書いていました。自分の経験を「こういう経験があったので、面接で言えるようなフォーマットに直して」ってプロンプトに投げるだけみたいな。割と楽でした。 応募から内定へ:80社に応募し卒業前に内定獲得 Ryo: どのぐらい応募して、どのぐらいの期間就職活動をされたんですか? Tomoharu: 座学中にもう就職活動をやっていたんですよ。卒業4ヶ月前ぐらいから始めて、全部でレジュメを出したのは80社ぐらいです。 Ryo: どのぐらい返ってきました? Tomoharu: 10分の1。10回出したら1回返ってくる。 Ryo: 最初の就活だったらめちゃくちゃいい感じですね。面接まで実際に進んだのはどのぐらいだったんですか? Tomoharu: Dev(開発)面接だと2個か3個ぐらいかな。 Ryo: まあそんなもんですよね。返事が来たあとにゴーストされたり、最初の電話面接で緊張してあまり言えず先に進めなかったり。 Tomoharu: やっぱりリクルーター面接は電話だから聞き取りづらいんですよね。文字起こしとかしていましたね。文字起こしとかしていました。でも結局座学中だったから、卒業する時期がまだ先だったからっていう理由でダメだったりもしました。 Ryo: 今の会社に入った時の面接の流れについて教えてもらっていいですか? Tomoharu: 大枠の流れは、レジュメを出して、いきなりリードエンジニアとエンジニアマネージャーの2人と1対2で面接。同時にホームアサインメント、宿題が出されるのでそれを期限までに提出。最後にPMと1対1でオンライン面接。それでめでたく内定です。 Ryo: ホームアサインメントはどんな感じの内容でしたか? Tomoharu: 本当によくあるバックエンドのAPIを作るやつです。図書館のアプリケーションで、本を貸し出したり借りたり、誰が借りたかどれぐらい貸し出していたかみたいなのを全部裏でJSONデータで作って返すようなよくあるやつでした。 Ryo: 対面の面接ではコードを書いたんですか? Tomoharu: 対面はコード書くのではなくて、テックへの知識を問われる感じ。シニアのポジションだったので、アルゴリズムとかじゃなくて、システムデザイン的な話。パフォーマンスが悪い時どう改善するか、テストカバレッジ何%を目指すべきか、さっき話に出たB-Treeインデックスの話とか。これまさにカレッジでやった内容だなと思って。 Ryo: PMの人との面接はどんな感じでしたか? Tomoharu: そこは結構よくある人間関係のコンフリクトの話とか。どちらかというとビヘイビア面接はそっちでした。今一緒に働いているPMです。 Ryo: PMが面接に出てくるのは珍しいですね。PMの決定権が大きい会社なんですかね。 Tomoharu: PM面接が終わって2、3日後にメールが来て、「オファー出します」と。そこから契約書を急ぎ作ってもらった流れですね。 Ryo: 最初はパートタイムだったんですか? Tomoharu: 最初カレッジ在学中に決まったので、「ごめんパートタイムでやらせてくれ」って。3月末ぐらいから働いて、5月中旬ぐらいに卒業して、PGWP速攻で切り替えて正社員に。Pythonもやっていますね。 Ryo: 最後に、「公開しても大丈夫」ということだったので年収を教えてもらっていいですか。 Tomoharu: ざっくりですけど、日本円で大体1000万ぐらい。 Ryo: 一社目からそれは凄いですね!なんか準備したことがちゃんと実って、カレッジ卒業前にちゃんと仕事を決めて、パートタイムで働かせてもらって卒業して入社。すごく良い感じですね。 Tomoharu: 運です。本当に運がよかったです。 Ryo: いやでもそれを支える準備だったり真面目さとか、英語の勉強とかもすごいちゃんとしているなって感じだったので、聞いてる側としては納得ですね。 バンクーバーでの働き方:自由で柔軟な環境 Ryo: 今バンクーバーの会社で何ヶ月目ですか? Tomoharu: もう9ヶ月ぐらいかな。 Ryo: 働いてみてどうですか?幸せですか? Tomoharu: めちゃめちゃ楽しいですよ。とにかく「自由」って感じが好きです。 Ryo: 日本で働いてた時もSaaS企業ですし、日本の中では割とホワイトな感じじゃないですか。それに比べてどうですか? Tomoharu: その時に比べても柔軟性のある会社かなって感じがしますね。例えば「この日めっちゃ働くから、この日働かなくていいですか?」みたいなことも自由。日本ではなかななそんなことはできなかったです。 Tomoharu: あと本当に場所も決まっていなくて。今働いている会社って世界中に支社があるんですよ。だからバンクーバーにいる人が「今ちょっとあっちの国に行ってる」みたいに、時差がズレるても全然オッケーみたいな。それは自由だなと思っています。 Ryo: いいですね。会社ってそもそも何の会社ですか? Tomoharu: 業態としては受託なんですけど。世界中で案件を取ってきて、それに対してプロダクトを作っていく。「作って終わり」というよりはずっとメンテしていく感じの会社で。違いとしてはほぼ必ずAIが入っているんですよ。AIの導入中心としてガンガン前に出してやっている受託会社みたいな。 Ryo: 本社はどこなんですか? Tomoharu: 本社は上海で、あとニューヨークとパリとバンクーバーと、渋谷にもあるんですよね。エンジニアもいます。こないだ渋谷の日本人の方からSlackが来て、「帰ってくることがあったら遊びに来てください」みたいなのがありました。 Ryo: 日本で働くのとバンクーバーから働くのとだと、金額違ってたりするんですか? Tomoharu: ちょっと聞いたんですけど、多分違うらしいです。国とか街によって調整は入っているみたいですね。 Ryo: バンクーバーのほうがジョブセキュリティ(雇用の安定)は強いですよね。Asanaでも、レイオフはやっぱり給与の高い都市(アメリカ)からされるから、カナダ側で働いてるとちょっと安全だよねっていう良さはあります。 Tomoharu: なるほど。あとは週4でリモートもできて、会社に行くとその代わりに交通費とか食事代が出るので、そういう自由なところがすごくいいなっていうところだったり。あとやはり優秀な方が多い。AIの会社なので機械学習とかもやらなきゃいけないんですよね、メンバーの中に博士の人とかもいるんですよ。そういう人達の元で働けるのはすごいいいなと思います。 Tomoharu: あとはいいことがあるとお昼からお酒飲んだりするんです、みんなで。それがバンクーバーあるあるなのか分からないんですけど、僕は割とびっくりしましたね。日本と比べたら。 Ryo: 割とこっちだったら普通にお昼ご飯行って、一杯二杯飲んで帰ってきてまた仕事するとかはありますもんね。私はマネージャーとの1on1でずっとお酒飲んでいました。キッチンにケグ(樽)があって。割と北米あるあるかもしれないですね。 労働時間と柔軟なワークスタイル Ryo: 「時間」みたいなところはどうですか? 結構みんな長い間働いている感じですか? Tomoharu: 全然ですね。基本7時間。うちの会社はあまり長く働くことを良しとしていないんですよね。エンジニアマネージャーの人も、あまり長く働いて人生しんどい思いして欲しくないみたいなスタンスらしくて。なるべく短い時間で成果を出す、みたいな。 Ryo: 受託開発だと、クライアントとの兼ね合いでデッドラインが近くなったりバタバタするとかもありそうですけど。 Tomoharu: あるんですけど、その場合はもう別の時間で「この日休んでいい」とかそういうのが全部申請できる。振り替えですね。 Ryo: プロジェクトはどれぐらいのサイクルで変わるんですか? Tomoharu: 私はまだそんなに変わっていなくて。今のプロジェクトだと他のメンバーはもう数年やっているんじゃないかな。結構長期的なプロジェクトです。 一日のタイムラインと業務の流れ Ryo: 「よくある一日」みたいなタイムラインで言うとどんな感じですか? Tomoharu: まず会社に入って、最初にコーヒーを入れるんですよ、ウォーターサーバーで。コーヒー飲みながらまずメール何来てるかなと。あとはサーバー側で深夜に動くジョブとかあるので、バグっていないかなとか確認して。バグっていたらチケット落としてやったり。特になければメールを見て緊急でやらなきゃいけないタスクの依頼があるかを確認して。そういうのもなければ、自分が次にやらなきゃいけないタスクを進めていく感じですね。今プロジェクトを2つ掛け持ちしているので、午前中はAプロジェクト、お昼の後はBプロジェクトという感じです。 Ryo: スタンドアップだったりスプリントみたいなミーティングはあるんですか? Tomoharu: ありますね。バンクーバーチームでは週に1回月曜日にやるんですけど。あとはプロジェクトごとに週1とかでスプリントミーティングがあります。 Ryo: 毎日じゃないんだ。「ミーティング多いな」って感じたりします? Tomoharu: 全然ないですし、なんならPMがそこをすごく気を使っているんですよ。「なるべくみんなの仕事する時間を奪いたくない」みたいな。「なるべくこんな会議はしたくない」みたいなスタンスなので。 Ryo: 超良いPMじゃないですか。 AIを活用した仕事内容 Ryo: プロジェクト的にはAIが関わってくるということだったんですけど、どういう仕事になるんですか? Tomoharu: AIの文脈だと2つあって。一つは大きいベンダーが作ったAIをインストールして、それを学習させてなるべくいい結果を出すようにトレーニングするというよくあるやつ。もう一つはLLM(大規模言語モデル)とAPI繋いでそこに投げるみたいな連携機能とか。 Ryo: じゃあ受託しているお客様が抱えているペインに対してプロダクトを作って、その中にAIソリューションが組み込まれているみたいな感じですか。 Tomoharu: はい、そういう感じです。結構新しいものを取り入れていくタイプの会社ですね。AIの前はブロックチェーンもちょっとやっていたらしいんですよ。今はもうやっていないですけど。とにかく受託だけじゃなくて新しい技術をガンガンプロダクトに取り入れていこうという会社です。 仕事で使う英語には意外と困らない Ryo: 学校に入る前、2、3年前の時点でIELTS 6.5あったと思うんですけど、働いてみて英語で「簡単だな」とか「結構苦労している」とかありますか? Tomoharu: まずメールのやり取りとかSlackのやり取りはそんなに難しくない。エンジニアの仕事って大体使う動詞とかが「これしかない」みたいなのがあるので。あと昨今だとメールとかもGeminiとかで書けるじゃないですか。Gmailの中でもGeminiに指示を出せる場所とかあるので、そこに書いてメールを完成させたりすると、あんまりライティングで苦労することはないですね。 Tomoharu: スピーキングも表現がだんだん固まってくるのでそんなにコミュニケーションで困ることはないです。 Ryo: よく聞くのだと、仕事の中では表現が決まってくるから全然言えるけど、休み時間だったりスモールトークだったりで苦労するっていう話もあるんですけど。 Tomoharu: 意外とないかも。もちろん分からない時は分からないですけど、そしたら聞き返せばいいし。コミュニケーションでそこまで困ることはないかもしれない。ただ人によりますね。速い人はめっちゃ速いし、アクセント強い人とかもいたりする。 Ryo: 僕の昔話になるんですが、前の会社でGCPのサポートエンジニアと喋ったんですけど、その人のアクセントが強くて全く何も分からなかったんですよ。僕のマネージャーはバンクーバー出身のネイティブなんですけど「Ryo、ごめん、僕も彼が何を言ってるか全く分からなかった」ってSlackが来て。ネイティブでも分からないことがあるんだなーって思いました。 海外生活の苦労:遠距離恋愛とフリーランス探し Ryo: 海外生活で苦労していることはあるんですか? Tomoharu: やっぱりパートナーとの遠距離が一番きつかったかな。あと日本の仕事を探すのもちょっとしんどかったですね。 Ryo: フリーランスの仕事のことですか? お金が尽きた感じだったんですか? Tomoharu: 尽きてはいないんですけど、早く見つけないと尽きちゃうなっていうプレッシャーがあったのと、日本の案件なら割と簡単に見つかるだろうと思っていたんですが案外見つからない。カナダの会社が見つからないのは覚悟していたので、そんなにダメージは来なかったんですけど、日本が見つからないのは結構「マジか」ってなっていましたね。 Ryo: ちょうどリモートがなくなり始めた時期みたいなのもあったのかもしれないですよね。 Tomoharu: そうですね。完全リモートで時差もあってってなると本当になくて。実際来てくれるんだったら全然あったんですけど、本当にフルリモートだと本当になかったです。 Ryo: 前のフィンテックの会社とかはダメだったんですか? また今度はフリーランスでっていう。 Tomoharu: 検討したんですけど、何社か経験しているほうがレジュメ的にいいかなと思ったんですよ。なのでちょっとチャレンジした感じですね。 Ryo: そのフリーランスではどんな感じの仕事をしたんですか? Tomoharu: 普通にアプリ開発していました。PMが仕様を作ってくれて、それに対して作るっていうよくある感じのやつですね。 Ryo: 遠距離はなんでつらかったんですか? Tomoharu: 連絡を取る頻度とか、やっぱりこっちとしては就活に集中したい中でも遠距離だから話す時間は必要だし、そのバランスを取るのが結構難しかったんです。 メンタル管理のコツ、1000社KPIと「問題を悩みに変えない」 Ryo: なんか優等生であまり苦労話が出てこない……。カナダで就活しているときの苦労とかはなかったんですか? Tomoharu: 多分苦労していないと思うのは、単純に僕がその苦労に対してメンタルを元々強く持っていたというのが一個あるかもしれません。カナダの就活はめっちゃきついっていう想定があったので。最初のアプライするKPIを1000社に設定していたんですよ。 Ryo: 1000個! Tomoharu: 1000社にしていて。1000社だから、50個ぐらい落ちても特に何もしんどくなかった。みんなきついじゃないですか、ガンガン出しても落ちるから。それが50、60と積み重なってくるとマジでしんどいけど、1000社申し込むことをゴールにすると、受かろうが落ちようが別にどうでもいいから、とにかく1000件出すみたいな脳みそになるんですよ。 Ryo: 確かに、100件落ちたくらいじゃへこみはしないかもしれない。それはめちゃくちゃいいアドバイスかもしれない。 Tomoharu: そうそう。「まだ10分の1なんだけど」みたいな感じになるので。そこを持っていたのが、苦労ってほどしんどくなかったのかもしれないですね。 あと、昔からコツコツやるのが全然苦じゃないタイプなので。英語の勉強とかを日本にいる時から毎日3時間できるっていう……なんだろう、コツコツやるべきことをこなすことで壁を壁と感じずに超えているのかもしれないですね。 昔友達の社長さんから聞いた言葉で、「問題を悩みに変えてはならない」「問題は問題として解決しなければならない」って言われたことがあって。悩みってちゃんと分析しないでいると、フワフワしているじゃないですか。何が原因で何をしなければならないのかを決めないで放っておくと、悩みになる。だけど、ちゃんと「これは何でこんなことが起きてるんだろう」「自分は今この問題に対して何をしなければならないんだ」っていうのをちゃんと考えると、意外とアクションプランまで落とし込めるじゃないですか。そうなるともうあとはやるだけ、ってなるんで、あんまり悩まなくなる。そのメンタルは結構あってよかったなと思いますね。 Ryo: バンクーバーでメンタル管理が大変っていう人がよくいるんですけど、「ちゃんと問題をしっかり見て、問題を悩みにしちゃいけないよ」っていうのはめちゃくちゃいいアドバイスですね。それ奥さんが悩んでいても同じアドバイスします? Tomoharu: いやそこはほら……やらないです(笑) Ryo: やらないなら大丈夫です。「悩みじゃなくて問題だからちゃんと見て」「アクションプランさえできれば悩みなんてない」みたいに言ったら嫌われそうですもんね(笑) 今後のキャリア目標:世界を股にかけるエンジニア Ryo: 9ヶ月働いてみて慣れてきた頃だと思うんですけど、これから今の会社で取り組んでみたいこととか、キャリアの上でやっていきたいことがあれば教えてください。 Tomoharu: まず今の会社でやりたいこととしては、今やっているのが主に3つあって。アプリケーション開発と、DBがちょっと大きいのでパフォーマンスチューニング、最後がさっき言った機械学習やAI周り。今までどちらかというとアプリケーション開発をたくさんやってきたので、パフォーマンスチューニングと機械学習のスキルを上げていきたいですね。今後需要も増えそうだし、パフォーマンスチューニングってレジュメ書きやすいじゃないですか。 Ryo: 「やりたい」って言ったらやらせてくれそうな環境ですか? Tomoharu: 問題が発生している前提ではあるんですけど、発生していたら全然「これやってもいいですか?」って言ったらやらせてくれる感じですね。むしろそれを推奨されている感じだし。プロベーション(試用期間)が終わった時も「チャレンジングな姿勢がすごくいい」って言われました。パフォーマンスってユーザーに直結する部分だったりするので、受託だとユーザーに対して価値がダイレクトに行くんで、結構やらせてもらいやすいですね。 今の会社じゃなくても、という意味だと、僕の将来の目標が「世界を股にかけるエンジニア」になること。また別の国に行って、同じポジションじゃなくてガンガンポジションを上げていって、世界中をポジションを上げながら股にかける。いろんな国に行くっていうのがやりたいことですね。 Ryo: 日本とカナダだけだとまだ股をかけたことにはならない。次に狙う大陸は? Tomoharu: アジアかヨーロッパあたりになるかなと思っているんですけど、アジアは後からでも行けそうなので、年を取っても日本から近いし。じゃあヨーロッパかな、みたいなのを考えたりとか.まだ全然本当に行くのかどうかもまだ考えてないですけど、行きたいですね。 Ryo: ぜひ実行してほしいですね。僕も一社目ぐらいの時は「次はポルトガルだ」って思ってたんですけど、ビザから永住権を取ったりとか、次の会社に行きたくなったりとかでちょっと腰が重くなってしまって。年を取るにつれて持つものが増えてしまいますよね。僕の同じぐらいに来たカップル、どっちもエンジニアなんですけど、子供が去年生まれて、去年12月にスペインのバルセロナに引っ越して。すごい行動力だなと思いましたね。 VPoEへの興味とマネジメントキャリア Ryo: エンジニアとしてのキャリアではどういうことをやりたいですか? Tomoharu: やっぱりテックリードとかそういうところはまず行きたいですけど。VPoEとかちょっと興味があった時期がありますね。Vice President of Engineering。 Ryo: CTOとは何が違うんですか? Tomoharu: VPoEはもうちょっとマネジメント的なほうで、エンジニアのマネジメント。CTOはもうちょっと技術で経営に携わるみたいな感じ。なんか自分の性格的にはVPoEのほうが合っていそうだなと思っていますね。人と接するのが好きなので。エンジニアマネージャーになってもテックのことは全然やるはずなので、そこはちょっといいなと思って。 Ryo: 後々日本に帰ってきてそういうポジションに就こうという感じですか? それともずっと海外でマネジメントに携わっていきたい? Tomoharu: 全然海外でやってみたいですよね。多分海外のほうがいろんな国でやっていたほうが経験値としていいのかなと。いろんな国の文化が違うところで全部マネジメントしてきましたって、結構難しそうだけど面白そうだなと思ったりします。 Ryo: マネージャー職をやるなら絶対海外のほうがいいと思います。日本のマネージャーってもう一生働いてるし、給料も固定給になってあまり上がらなかったりとか聞いたことあるので。こっちのマネージャーは比較的バランスが良いですよね。 これから渡航する人へ5つのアドバイス Ryo: 最後に、これから留学や渡航を考える人にアドバイスを聞きたいなと思います。 Tomoharu: 結構考えたんですけど、5つあります。 Tomoharu: 1個目が、「カナダでどんなエンジニアが需要あるのかをあらかじめ調べよう」というのがまず一つ目。LinkedInとか見ればジョブディスクリプションから「こういう感じなんだ」っていうのが分かると思うので。カナダでの転職を意識した日本での働き方ができる。どういうエンジニアが需要があるのかをあらかじめ調べるのは大事なんじゃないかなと思っています。 Ryo: Tomoharuさんから見て、AIの時代ってコンテキストの中でどういうことをすればカナダで優位性を得られると思いますか? Tomoharu: 僕の会社もゴリゴリでAI使いながら開発しているんですけど。Cursorなどをガンガン使っている中で思うのは、まず要件から設計まで全部できるのが大事かなと。あとは「ベストプラクティスが分かっている人」が大事かなと思っていて。AIは動くものは作ってくれても、「この書き方あんまりよくないよね」みたいなのがちょこちょこあるんですよね。例えばIf文がネストしているとか。それが何で悪いのかまで分かっていればAIに指示できるし、「この言語のフィロソフィーとしてはこういうものを好む」みたいなことも伝えられる。そういう技術のベストプラクティスを分かっておくと面接でも話しやすいですね。 Tomoharu: 2つ目が、「積極的に前に出ること」。特に就職活動中とか。こっちにHiredXっていうミートアップがあるんですけど、そのイベントにエンジニアもリクルーターも来るんです。そこで直接リクルーターと繋がれる。一回出た時に、目隠しをしたリクルーターの前で70人のエンジニアの中から3人選ばれて面接の受け答えをする、みたいな催し物があったんですけど。70人の前で自分の面接を見られるのってちょっと嫌じゃないですか。だけど、そういうところでなるべく手を挙げるように。考える前に手を挙げて。 Ryo: 絶対できないですね、僕たちは……。でもすごく大事なことですよね。 Tomoharu: こっちってみんな主張が激しい人が多いじゃないですか。謙遜する人っていなくて、全員「自分が一番だ」っていうスタンスで来る。「いや自分なんて」とか「いや私はちょっと」みたいな感じだと埋もれちゃう。そういう人たちに負けないために、「俺が俺が」のスタンスで前に出て手を挙げていくのが大事なんじゃないかなと思います。登壇とかもまさにそうだと思っていて、ガシガシやっていいと思います。 Tomoharu: 3つ目が、「就活中は持てる時間の全てを就活に注ぎ込む」。遊ぶ暇があるなら就活しなさい、っていうのが僕のスタンス。遊ぶ時間だけじゃなくて、お風呂の時間、トイレの時間、食事の時間、通学の時間も全部就活関連のことをやる。 Ryo: トイレの時間にどうやって就活関連のことするんですか? Tomoharu: 英語の本とか読めるじゃないですか。面接で言えなかったところを復習するぐらいだったらできる。ChatGPTと話すとか。お風呂の時間は独り英会話とかしていましたね。自己紹介とかそういうのをやったり。食事の時間は奥さんも一緒に英語を勉強してくれるので、Netflixとかで英語のやつを見るとか。 Ryo: ストイックですね……。僕は結構「自分に優しく」をモットーに生きてきてるんで。 Tomoharu: いや、遊んじゃうと頭に残るんですよね、就活のことがずっと。モヤモヤするじゃないですか。その間にも良かったポジションが他人に取られているのかなみたいになっちゃうのがすごくモヤモヤしてしまうので。 4つ目が、Frogにこれから入る方からよく聞くのが「いつカナダに行ったらいいですか?」っていう質問。正直いつ行ったらいいかはマーケットの時流によるので分からない。なのでどちらかというと、カナダのタイミングではなくて「自分の人生のタイミングで来ましょう」っていうこと。 僕も最初の方に言ったんですけど、自分の人生に影響を与える変数が少ないうちに来たほうがいいのは間違いなくて。例えば日本でもう家を買っちゃっていたら難しいじゃないですか。カナダに行くのをずっと待っていたら家を買っちゃう年齢まで来ちゃいましたっていうと、もうきついので。それだったら、もう自分が今一番行けるタイミングだから、カナダがどうなっていようが知らないっていうので来るのが結果的にいいのかなと。それでダメだったとしても後悔はしないと思います。 Ryo: めちゃくちゃ刺さります。僕が就活を始めた時はコロナのタイミングで、みんな「じゃあ日本に帰ります」っていう人が結構いたんですが、実はその後リモートの働き方が一般化し、仕事もいっぱいあった。あまりカナダに合わせて行く行かないとか帰る帰らないとか決めてもしょうがないのかなっていうのは僕もめちゃくちゃ思います。 下手に日本にいるうちにカナダがどうなのかって詮索しても、第三者の意見しか入ってこなくて。「この人が言ってるから行かない」ってなるのは自分の中で行きたくない気持ちもあって、第三者の意見に後押しされて行かないっていう感じになる。実際来てみて本当に嫌だったら一ヶ月で帰ってもいいわけだから。行動を起こすことも大事ですよね。 Tomoharu: 本当にその通りですね。ラストが、かなりプライベートな話なんですけど。もし結婚を考えている方がいたら、パートナーの方が海外に行ってもいいかどうかっていうところは、ガッツリ話し合っておいたほうがいいかなと。 Ryo: Tomoharuさん的にはうまくいったわけですよね。 Tomoharu: 僕の場合は元々僕の奥さんも海外に住むのが夢だった人なので。もう海外に来て多分僕より楽しんでいるんじゃないかなっていう感じです。おかげさまでメンタルケアとか特に必要なく、「バンクーバーがしんどい」みたいなことは一切聞きませんし、こちらとしても自分のやりたいことに集中できます。 ただこれがもしパートナーが全然海外に興味ないみたいなケースだと結構きついかなと。あらかじめそこは入念に話し合っておいたほうがいいですね。 Ryo: あるあるですよね。よくあるパターンだとエンジニアの方はすごいホワイトで海外のキラキラエンジニア生活で給料もめっちゃ上がったみたいになりつつ、パートナーは別についてきているだけだから英語も得意じゃないし、「帰りたい」みたいな。コミュニティもないし、家族も離れているし、そこでのパートナーとのギャップは結構あるあるですもんね。 Tomoharu: そこが大事かなと思います。 Ryo: 前半から後半にかけてやってきたことは本当に王道で、ちゃんとやれば上手くいくんだろうなっていう感じがすごくありました。聞く人にとってもめちゃくちゃ良いインタビューだったんじゃないかなと思います。ありがとうございました。 Tomoharu: ありがとうございました。 いかがでしたでしょうか?今回のインタビューでは、営業職から独学でエンジニアへ転身し、毎日の積み重ねを武器にカナダでキャリアを切り開いたTomoharuさんのお話を伺いました。 海外就職というと特別な才能や華やかな経歴が必要だと思われがちですが、Tomoharuさんの歩みは「地道な準備」と「継続」の力がどれほど大きいかを教えてくれます。IELTSの勉強を3年間続けたこと、Frogの成功事例を徹底的に分析して戦略を立てたこと、そして“問題を悩みに変えない”という姿勢。どれも再現性が高く、多くの人が取り入れられる実践的なヒントばかりでした。 また、ランガラカレッジでのCS学習や、AI企業での働き方、就労環境の違いについてもリアルな視点を語っていただき、これからカナダで挑戦を考えている方にとって、多くの気づきになったと思います。 挑戦の方法は人それぞれですが、どんな環境でも前に進む力を身につけることは誰にでもできます。今回のインタビューが、あなた自身のキャリアを考えるきっかけや、新しい一歩を踏み出す勇気につながれば嬉しいです。

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厳しい状況で応募数は約200社!その後世界トップクラスのLLM企業『Cohere』での就労機会を掴んだShigeoさん
インタビュー

厳しい状況で応募数は約200社!その後世界トップクラスのLLM企業『Cohere』での就労機会を掴んだShigeoさん

今回お話を伺ったのは、関西大学大学院で情報学を学び、新卒でSupershipに入社後、Webエンジニアからデータエンジニアへとキャリアを広げ、子会社ではデータチームのリーダーとしてマネジメントにも挑戦。その後カナダに渡航し、データサイエンスを学び直したうえで、現在はLLM企業・Cohereで「Senior Data Quality Specialist」としてグローバルプロダクトに携わっているShigeoさんです。 大学院時代のUISTやSIGGRAPHでの国際学会発表・ボランティア経験を通じて「海外は思ったほど遠くない」と感じるようになり、その際に築いた人脈が、後のバンクーバー渡航を後押しすることになります。渡航後はCICCCのデータサイエンスコースで学び直し、Kaggleや英語でのプレゼンテーションに取り組む一方、2024年のリセッション下で約200件の応募を重ねながら、日本の業務委託案件で生活を支えつつ現地就職を目指すという現実的な選択もしてきました。 Web、データ、マネジメント、そしてグローバルプロダクト。「データを軸にキャリアをどう広げ、海外経験をどう位置づけるか」という問いに対して、多くの示唆を与えてくれるインタビューです。 インタビューの全体像とキャリアの歩み Senna: というわけで、改めましてになりますが、最近はキャリアの相談も含めてやり取りする機会が増えてきた一方で、ご本人からしっかり振り返ってお話しいただく機会は意外となかったなと思っていて。なのでまずは軽く、IT・テック系に従事してから現在までのキャリアについて教えていただいてもよろしいでしょうか? Shigeo: IT・テック系に従事してからのキャリアとしましては、関西大学の大学院で情報学の修士号を取得した後、新卒でKDDIグループのアドテク関連の領域を担当しているSupership株式会社に入社しました。最初はRuby on RailsとReactを用いた広告配信プラットフォーム、専門用語でDSP(ディマンドサイドプラットフォーム)と呼ばれる「ScaleOut DSP」というプロダクトのダッシュボード開発を担当していました。そこに大体3年半ほど従事していました。 データエンジニアへの転向と「T字型人材」の定義 Shigeo: その後、社内でデータエンジニア職に転向したのですが、その経緯としましては、まずSupershipを選んだ理由として、「自社で大量のデータを持っている会社」を軸に就職先を選んでいたという背景があります。せっかくデータを大量に持っている会社に入社したからには、そのデータを扱う仕事をしてみたいと思っていましたし、会社側としても新卒にいろいろな職種を経験させてT字型人材を育てたいという方針があったので、会社の意向と自分の希望が一致する形で、社内転職という形でデータエンジニアにキャリアチェンジした、という流れになります。 Senna: なるほど。素晴らしい。ちなみにすみません、僕の知識不足で恐縮なんですが、「T字型人材」って改めてどういう意味なんですか? Shigeo: T字型人材は、トランスファーではなく、アルファベットの「T」のイメージですね。特定の分野について深い専門知識を持ちつつ、他の分野についても横に広く知見を持っている人材のことを指します。 Senna: ああ、なるほど。一本深い軸があって、その上に横に広がる知識が乗っている、というイメージでT字って言うわけですね。 Shigeo: そのイメージです。 Senna: 素晴らしい。全然ちゃんと理解していなかったので助かりました。ありがとうございます。なるほどですね。で、データエンジニアとしての職歴についてですが、改めて会社名をもう一度いいですか? Shigeo: Supershipですね。 Senna: Supershipか。じゃあそのSupership社内にいらっしゃるときに、開発のポジションからデータエンジニアのポジションに「転向した」という理解で合っていますか? Shigeo: そうですね。社内転職という形で、Webエンジニアからデータエンジニアにキャリアチェンジした、という形になります。 Webエンジニアとしての技術スタックと転向のきっかけ Senna: なるほど。最初に入社したときは、情報系の大学院を出たあとで、ダッシュボードの開発を担当されていたということは、完全にWebエンジニアとしてのスタートだったわけですよね。 Shigeo: Webアプリケーションの開発を担当していました。具体的には、jQueryで実装されていた既存のUIをReactで作り直すプロジェクトを担当したり、Railsのバージョンアップ作業を行ったり、そういったことをしていました。 Senna: データエンジニアになりたいと考えたきっかけは、Shigeoさんからの発信だったのか、それとも会社の意向が強かったのか、どちらでした? Shigeo: 自分はそれまで「データエンジニア」という職種があること自体を恥ずかしながら知らなかったんです。データを扱う職種としては、データサイエンティストやデータアナリストという職種があるのは知っていたのですが、データエンジニアはSupershipに入って初めて知りました。ちょうど社内でデータエンジニアのポジションに空きが出たタイミングがあり、そこで機会をいただけた、という形です。 子会社への出向とマネジメントへの挑戦 Senna: なるほど。そこがデータ系、データエンジニアとしての最初の出会いであり、キャリアのスタートだったわけですね。Supershipの後って、どこかに転職されていましたっけ? Shigeo: 転職ではなく、子会社に出向する形でした。Supershipとテレビ朝日と電通が共同出資している会社がありまして、そこに出向しました。 Senna: なるほど。じゃあその共同出資の子会社的なところに、一旦は「出向」という形で行かれたということですね。 Shigeo: Supershipに籍を置いたまま、その子会社に出向する形でした。転籍ではなく出向ですね。 Senna: うんうん。日本だとそういう出向って、どのくらい一般的なんでしょうね。あまり他社だと聞かない気もしますけど。SIerやSESだと、親会社からの出向という形はよくありますよね。 Shigeo: メーカー系のSIerなどであれば、親会社から上司が出向してくる、というのはよくある形だと思います。それと似たような形かもしれません。 Senna: 体系としてはそれに近いイメージですね。ちなみに、その出向になったのはShigeoさんの希望もあったんですか? Shigeo: 自分の前任でSupershipからその子会社に出向していた方が退職されまして、そのタイミングで「代わりに来ないか」と会社から声をかけていただきました。ちょうど自分としても、マネジメントの経験を積んでみたいなと前から思っていたので、挑戦してみることにしました。その出向先である株式会社UltraImpressionは社員がほとんどおらず、親会社からの出向者と業務委託の方々でほぼ構成されているような小規模な環境で、そこでデータチームのリーダーを務めるというポジションでした。 技術者からマネジメント層へ:キャリアプランの意図 Senna: へえ、なるほど。いわゆる「エンジニアっぽい」技術一本勝負なキャリアではなく、結構しっかりマネジメントにも踏み込んでいった形ですよね。エンジニアの方だと「マネジメントなんてやりたくない」という人も少なくない印象があって、その中で「やってみたい」と思えたのは、業務内容への興味が大きかったのか、それとも今後のキャリアプラン上でマネジメント経験が必要だと感じていたのか、そのあたりのきっかけはどうだったんでしょう? Shigeo: きっかけとしては、今後のキャリアの方針として、技術だけでなくマネジメントにも力を入れていきたいと前から考えていたところが大きかったです。Supershipに在籍していた頃も、新卒向けのインターンシップの企画・運営など、小さなプロジェクトのマネジメントを担当する機会はありましたが、ウルトラインプレッションでのポジションは、より恒久的なプロジェクトのマネジメント、チームリーダーとしての役割を担える貴重な機会だと感じました。そういった背景から、そのお話をお受けした形です。 Senna: いやあ、素晴らしいですね。だいぶキャリアの流れがクリアになってきました。エンジニアの中には「自分はマネジメントする器じゃないので」と言って避ける人もいますけど、器の問題ではないですしね。むしろこういう経験を取りに行けるのはすごいなと思います。で、そのウルトラインプレッションでの経験も経て、その後がカナダですよね? Shigeo: Supershipでデータエンジニアとして1年、ウルトラインプレッションでデータチームのリーダーとして1年程度働いた後に、カナダに渡航した形になります。 海外への意識:国際学会とSIGGRAPHでのボランティア Senna: なるほどですね。カナダに行こうと思ったきっかけって、人によって本当にそれぞれだと思うんですが、Shigeoさんの場合、どんなところから「海外」を意識し始めたんでしょう? Shigeo: 海外に行こうと思ったきっかけは、大学院時代にまで遡ります。国際学会で発表した経験がありまして、最初は不安しかなかったのですが、実際に行ってみると「意外といけるな」と感じました。そこから、CG系の国際カンファレンスである「SIGGRAPH」という学会の存在を知って、海外のカンファレンスに興味を持つようになりました。 Senna: SIGGRAPHって、どこで開催されていましたっけ?シンガポールとかマレーシアとか、そんなイメージがありましたけど……。 Shigeo: シンガポールでは自分は行っていなくて、自分が初めて参加したSIGGRAPHは、2018年にバンクーバーで開催された回ですね。 Senna: そうか、今年もバンクーバーでありましたよね。誰かが「シンガポールでボランティアをずっとやっていた」という話をしていたのを覚えていて、勝手に結びつけていました。失礼しました。バンクーバーのSIGGRAPHってもう3〜4回くらいやってる印象がありますね。 Shigeo: 自分が初めて参加したのが2018年で、その時にスチューデントボランティアとして参加したのがバンクーバーでした。 Senna: 素晴らしいですね。その時に仲良くなった人たちもいて、人脈もできたからこそ、バンクーバーを選ぶ上での安心感にも繋がった、というイメージでしょうか。 Shigeo: UISTというユーザーインターフェース関連のカンファレンスでの発表経験も含めて、徐々に海外が身近に感じられるようになっていきました。UISTは「User Interface Software and Technology」の略で、カナダのケベック・シティで開催された2017年の回でポスター発表をしました。そこが初めて英語で発表した経験でした。 Senna: へえ、なるほど。UIST 2017ですね。いま検索して見ていますが、「ユーザーインターフェース・ソフトウェア・アンド・テクノロジー」って、そのままの名前でちょっと面白いですね(笑)。ここに北村茂生(Shigeo Kitamura)として載っているわけですね。 Shigeo: ACMのライブラリの方には論文が掲載されています。 Senna: うわ、これはちょっと誇らしいですね。リンク貼りたくなります(笑)。Frogの中でも「英語で学会発表したことがある」という人は本当に少ないと思っていて、まずそこがすごいです。しかもポスター発表だと、登壇のように原稿を読み上げるというより、その場で質問にリアルタイムで答えないといけないですよね? Shigeo: ポスター発表だったので、来場者の質問にその場で答える形式でした。 「ノリと勢い」で挑んだ英語での登竜門 Senna: 英語での質疑応答がいきなり求められるって、英語の「最初の登竜門」としてはかなりハードルが高い印象なんですが、その時点で英語はけっこう得意だったんですか? Shigeo: その時点では受験英語がメインだったなという感覚です。ちゃんと海外に出たのはその時が初めてでした。 Senna: ええ、それはさすがに心配になりませんでしたか? Shigeo: 不安はありました。ただ、もう「ノリと勢いで何とかしよう」という気持ちで行きました。もちろん答えられない部分もありましたが、教授も隣でサポートしてくれていましたし、「意外となんとかなるな」という感覚を持てたのが大きかったです。それまでは大学受験やTOEICの点数を取るための勉強しかしていませんでした。 Senna: 普通に考えたら、受験英語しかやったことがない人に「英語で学会発表してきてください」って言っても、ほとんどの人は断ると思うんですよね。でもそこで実際に行ってみて、「意外となんとかなる」という感覚を得られたのは大きいですね。チャレンジ精神がかなり旺盛なんだな、と改めて感じます。なるほど。そこから国際学会やSIGGRAPHでのボランティアなどを通じて国際交流の経験を積んで、「海外って意外と近いのかもしれない」と感じるようになった、という流れなんですね。 Shigeo: そういった経験を経て、海外に出てみたいという気持ちが強くなっていきました。 バンクーバーに導いた人脈と安心感 Senna: ケベックでの発表やSIGGRAPHのボランティア経験などを踏めて、最終的にバンクーバーに決めたのも、その流れの延長線上という感じですか?SIGGRAPHの影響が大きかった? Shigeo: SIGGRAPH Asia 2018がバンクーバーで開催された時に、初めて海外でボランティアをするという経験をしました。その時、右も左も分からない自分にとてもよくしてくれた、カナダ在住の中国人の方がいて、その人の存在が大きかったです。 Senna: おお、その方とはどんな関係性だったんですか? Shigeo: 自分はスチューデントボランティアとして参加していて、その方がスチューデントボランティアのチームリーダーでした。その方がいろいろサポートしてくれて、帰国後も連絡を取り合うようになりました。 Senna: なるほど、じゃあ2018年のSIGGRAPHのボランティアでできた人脈が、カナダに来る時にも活きた、ということですね。 Shigeo: その方がいたこともあり、「バンクーバーに行けば頼れる人がいる」という安心感がありました。ただ実際には、自分がカナダに来る年に、その方のビザが切れてしまい、レイオフされて中国に帰られてしまったのですが……。高校生の頃からずっとカナダに住んでいると聞いていたので、てっきり永住権を持っているものだと思っていましたが、そうではなかったようです。 Senna: 生々しいですね……。多分ビザをつなぎつなぎで頑張ってこられたんでしょうね。ただ、その方がさらに友達を紹介してくれたりもしたんですよね? Shigeo: その方が自分に友人を紹介してくれました。紹介してもらった友人と一緒に山登りに行ったり、そのまた知り合いの中にリクルートメントエージェントの方がいて、実際に就活をするときにそのエージェントを紹介してもらったりと、そうした築いてきた人脈からのサポートをかなり受けられたと思います。 Senna: なるほどですね。やっぱり長く住んでいるチャイニーズコミュニティの方々の人脈って、本当にすごいですよね。そういう意味でも、そのSIGGRAPHでのボランティアリーダーとのご縁は大きかった、と。 Shigeo: 知っている人がいるという安心感は、やはり全然違いました。 都市選びの比較:なぜバンクーバーだったのか Senna: とはいえ、ビザの関係でその方は帰国されてしまったけれど、そこから紹介された人たちとの繋がりは残った、と。バンクーバーに決めた理由としては、そういった人脈以外に、たとえば「テック系がそれなりに進んでいそう」という印象もありましたか? Shigeo: テック系の仕事もある程度ありそうだと感じていましたし、人脈の面でもバンクーバーが一番メリットが大きいと感じました。他の都市も検討はしていたのですが、それらの要素を総合的に見て、バンクーバーに決めた形です。 Senna: 他の都市はどのあたりを候補にされていたんですか? Shigeo: 最初はワーホリで調べていたので、オーストラリアなども候補に入っていました。日本ワーキングホリデー協会に相談に行ったりもしました。ただ、いろいろな国の選択肢はありつつも、「頼れる人がいる」というメリットを超える要素は他の都市にはないと感じたので、最終的にバンクーバーに決めました。 Senna: いやあ、よく分かります。知っている人がいるかいないかって、心理的ハードルが全然違いますもんね。ありがとうございます。ちなみにFrogに最初にお問い合わせいただいたのって、いつ頃でしたっけ? Shigeo: 去年の2月中旬くらいだったと思います。 Senna: 去年の2月ですよね。今、当時いただいた最初の相談メールを見ているんですけど、覚えてます?(笑) Shigeo: はい、もちろん残しています。 Senna: さすがですね。当時の内容を見ると、「TOEICの英語力証明はいつまでに必要か」といったかなり実務的な相談もあれば、「1年滞在された方が日本で就職活動をして成功された例があれば教えてほしい」といった、日本に帰国したときのことまで踏まえた質問もされているんですよね。渡航当時から、ある程度「日本に帰る」ことも視野に入れていたんだなと。 Shigeo: 一定期間海外で働く経験を積んで、その上で日本に戻りたいという気持ちは最初からありました。 Senna: なるほど。Frogの中だと「永住権を取りたい」という方も多いですが、Shigeoさんの場合は、ベースとなるキャリアは日本という前提がありつつ、「実際に住んでみてカナダの方が良ければ永住権も検討する」というスタンスだったわけですね。 Shigeo: 将来的に日本に帰ろうかなと思ってはいたものの、実際にカナダに住んでみて、もしカナダの方が自分に合っていると感じれば永住権も検討しよう、という考えでした。 カナダから見た日本の魅力と雇用の安定 Senna: 今の時点で、「やっぱり日本がいいな」と思う瞬間ってありますか? Shigeo: まずはご飯が美味しいというのが大きいですね。 Senna: 分かりやすい(笑)。他にはありますか? Shigeo: あとは、こちらではレイオフの話をよく耳にするので、雇用の安定という面で不安を感じることがあります。日本の方が今は売り手市場なところもありますし、需要がある環境に身を置きたいという気持ちはありますね。 Senna: なるほどですね。食の部分はどうあがいても抗えないですよね。僕も飯のために日本に帰りたいくらいなので(笑)。では、そういった経緯でSIGGRAPHや国際学会の経験、人脈、バンクーバーのテック環境などを踏まえてバンクーバー渡航を決めて、Frogにご相談いただいたのが2024年のタイミングだったという流れになりますね。この時点で、すでにカレッジ進学も視野に入れていましたよね? Shigeo: その時点で、カナダに行く場合は「ワーホリ」か「Co-op付きのカレッジ」の二択になるだろうと自分なりに調べていました。最初は別のエージェントさん――スタディ・イン留学さん――にも相談しに行きました。 Senna: ああ、スタディ・インさんですね。全然名前出していただいて大丈夫です(笑)。 Shigeo: そのエージェントさんと話してみた印象としては、まず自分のエンジニアとしての仕事をあまり理解されていないなと感じました。また、そのタイミングでは「うちは今ワーホリしか紹介していない」と言われまして。 Senna: なるほど。ちょうどビザ制度の切り替えなどもあって、カナダ中心という感じでもなかったですしね。いろんな国を扱っているエージェントさんなので、エンジニア視点の相談とは少しズレることもありますよね。 Shigeo: 色々な国のワーホリや留学を扱っている、というイメージでした。 Senna: そこから、エンジニア・IT寄りに理解のあるエージェントを探す中でFrogにたどり着いていただいた、という感じですかね。 Shigeo: エンジニアやIT関連に理解のあるエージェントにお世話になりたいと思って探していたところ、Frogさんを見つけて、ご連絡させていただきました。 データサイエンスコース:学び直しの目的と現実 Senna: ありがとうございます。いらっしゃいませ、という感じですね(笑)。正直、その辺をちゃんと理解している留学エージェントってあまり無いと思うので。そこから、Co-op付きのカレッジ進学を前提に話を進めていったわけですが、最終的に選ばれたのはデータサイエンスのコースでしたよね。これは、もともとやりたい仕事がデータエンジニア周りだったから、という理由が大きかったのでしょうか? Shigeo: ウルトラインプレッションで働いていた時はデータチームのリーダーという立場でしたが、チームメンバーが全員業務委託で、自分より経験がある人ばかりという状況でした。その中で、技術的なマネジメントを十分にできていない感覚があって、悔しさもありました。そこで、もう一度基礎から学び直したいと思い、カリキュラムを確認したところCICCCのデータサイエンスコースであればデータエンジニアリングの基礎からデータアナリシス、データサイエンスまで一通り学べることが分かったので、そのコースを選びました。 Senna: データサイエンスコースは、たしか在学9ヶ月+Co-op9ヶ月の18ヶ月プログラムでしたよね。 Shigeo: 学校での授業が9ヶ月、その後のCo-opが9ヶ月のコースです。 Senna: 学費も確か1万4千ドル前後で、18ヶ月いられてCo-opも含まれると考えると、かなりコスパの良いコースだと思います。実際に卒業してみて、率直にどうでしたか? Shigeo: まず良かった点としては、今まで「やってみたい」と思いつつ、なかなか機会を作れなかったKaggleのコンペティションに挑戦できたことがあります。英語環境でのグループプロジェクトや英語でのプレゼンテーションを何度も経験できたことも、とても良い経験になりました。 Senna: Kaggleの実績はプロフィールにも載せていましたよね。 Shigeo: そういった意味ではプラスの部分も多かったです。一方で、実際に入ってみると「データサイエンティストになりたくてこのコースに入った」という学生はほとんどいない、ということにも驚きました。 Senna: え、そうなんですか?じゃあ、みんな何を目的に入っていたんでしょう。 Shigeo: 特にメキシコ系の学生が多かったのですが、「とにかくカナダに住みたいから」という理由で、ビザ目的でいろいろなCo-opコースを渡り歩いているという人が多い印象でした。「データサイエンスって何?」というレベルの人も少なくありませんでしたね。 Senna: ああ、いわゆる「Co-op付きカレッジあるある」ですね。ビザのために通っている人が一定数いる、というやつ。コース自体も開設されたばかりで、運営面もかなり大変そうだと聞いていましたが、実際どうでした? Shigeo: 実際に、インストラクターの方が2日目から来なくなってしまうという事態もありました。 Senna: それはさすがに「え、やる気ある?」って思いますね(笑)。データサイエンス系の講師を見つけるのはどこも大変そうですしね。キャリアアドバイザーさんはどうでしたか? Shigeo: 学校にはキャリアアドバイザーの方がいて、レジュメの添削などはしてくれましたが、正直なところ、その方に自分のレジュメを見せたら「データエンジニア」という職種を知らなかったんです。最初は「データアナリストと間違えてませんか?」と言われまして。 Senna: カレッジのキャリアアドバイザーが「データエンジニア」を知らないのは、さすがに不安になりますね。 Shigeo: 正直なところ、そこに関しては少し不安を感じました。 2024年リセッション下の就活とサバイバル戦略 Senna: ありがとうございます。カレッジの話は、目的だった部分――Co-op期間や英語環境での勉強・プレゼンなど――は一応クリアできた、ということで次の「就職活動」の話に移れればと思います。就活自体はいつ頃から始めていましたか? Shigeo: 就職活動に関しては、こちらに渡航して2ヶ月目くらいからアプライを始めていました。 Senna: 早いですね、素晴らしい。マーケットとしては2024年ですよね? Shigeo: 2024年です。リセッションが続いている時期でした。 Senna: まだジョブマーケット的には完全にリセッションから抜けていないタイミングですね。 Shigeo: LinkedInやレジュメについて、先ほどのキャリアアドバイザーのアドバイスも受けながらブラッシュアップしてアプライしていたのですが、最初の頃はほとんど反応がありませんでした。 Senna: 渡航したのはいつでしたっけ? Shigeo: 8月末です。 Senna: ということは、10月くらいからアプライし始めたイメージですね。2024年8月渡航なので、まだ完全にリセッションど真ん中の時期ですね。 Shigeo: 試しに100件くらい応募してみたのですが、8〜9割の会社からは何の返事もなく、残り1割くらいの会社から「ポジションが埋まりました」「他の応募者を先に進めます」といったお断りのメールが来る程度でした。インタビューに進めたところはその段階ではありませんでした。 Senna: 2024年の9〜10月あたりは、たしかにFrogとして見てもCo-opやインターン枠が少しずつ開き始めたとはいえ、中途採用はかなり厳しい時期でしたね。そのタイミングで100件アプライしてインタビューゼロというのは、今のマーケットを象徴している感じがします。その後はどう動いたんですか? Shigeo: その後は、一旦収入源を確保したいと思うようになりました。ただ、こちらのカフェやレストランで働くか、日本の業務委託の仕事を探すかで迷いました。最初にカナダに来るときに、「飲食店では働かない」と決めていたので、日本の業務委託の仕事を探すことにしました。その結果、Wantedly経由で株式会社BitStarというインフルエンサーマーケティングを行っている会社のWebアプリ開発の仕事に就くことができました。 日本案件の獲得:現地からリモートで働くメリット Senna: 素晴らしい。こっちで就活しながら、日本の案件で一旦食いつなぐという人は本当に多いですよね。その中でもWantedly経由はかなり王道ルートだと思います。ずっと気になっていたんですが、日本の会社にコントラクトで応募する時、みんなどういう風に説明しているんだろうと。「今カナダにいて、カナダで就活中だけど、一定期間一緒に働かせてください」という感じなんですかね?Shigeoさんはどう伝えました? Shigeo: 自分の場合は正直に、「現在カナダでカレッジに通ってデータサイエンスを学んでいて、1日4時間程度は授業があるので、日本時間の午前中から午後2〜3時頃にかけて、副業のような形で働ける案件を探しています」とお伝えしました。 Senna: なるほど。かなりストレートに伝えたんですね。 Shigeo: 隠さず正直に伝えました。 Senna: それで採用してくれたのは、ビットスターさん側にも何かメリットがあったということですよね。 Shigeo: 今回ご縁をいただいたビットスターという会社は、たまたま募集要項に「データサイエンスの知識がある方歓迎」と書われていて、海外進出も視野に入れている会社でした。なので、海外に住んでいる人を採用してみることも、会社にとってプラスの経験になる、という側面もあったのかなと感じています。 2025年の求人動向:インタビュー3件の明暗 Senna: なるほど、海外進出を考えている会社にとって、現地にいる人材がいるのは心強いですもんね。ありがとうございます。その一方で、カナダでの就活は、その後少しは状況が良くなっていきましたか? Shigeo: 2025年に入ってからは何件かインタビューの機会を得られるようになりました。 Senna: 2025年の2〜4月あたりから少し爆発的に求人が動き出したという感覚があります。Shigeoさんの場合、インタビューまで進んだのは何件くらいありましたか? Shigeo: インタビューまで進んだのは3件くらいでした。 Senna: 素晴らしい。その時点でアプライした件数はどのくらいになっていました? Shigeo: その頃には合計で200件くらい応募していました。内訳としては、LinkedInの「Easy Apply」を使った応募が150件くらいで、企業のフォームからきちんと応募したのが50件くらいだったと思います。 Senna: Easy Applyが150件、ガチ応募が50件で、そのうち3件がインタビューまで進んだと。電話インタビューも含めるともう少しありますか? Shigeo: 電話インタビューも含めると、さらに2件くらいありました。ただ、その2件はビザステータスを聞かれて、「Co-opのワークパーミットです」と答えると、「PR(永住権)を持っている人を優先します」と言われて、その時点で終了してしまいました。 Senna: では、実際にインタビューに進んだ3件について、どんな会社だったか教えてもらえますか? Shigeo: 1件目はWeb開発の会社でした。データエンジニアとWebデベロッパーの両方で応募していて、一次面接では、ある程度質問には答えられたとは思います。ただ、その会社としては「すぐにプロジェクトにジョインできる即戦力」を求めていて、技術スタックも自分の経験とあまり合っていなかったようで、一次面接の後は連絡がありませんでした。 Senna: では2件目は? Shigeo: 2件目は、ノースバンクーバーにある建築系の会社で、Surespanという会社です。そこではデータサイエンティストを募集していました。話を聞いてみると、建設プロジェクトの入札でさまざまなオプションがあり、その土地の条件を入力すると、ライバル企業がどの程度の金額で入札してくるのかを予測できるような人材が欲しいということでした。内容としては面白そうでした。 Senna: たしかに面白そうなドメインですね。面接官の方はどんな方だったんですか? Shigeo: 面接官の方はデータサイエンティストというより、建築業界側のマネージャーという印象でした。質問も技術的なものより、「Surespanという会社についてどのくらい理解しているか」「ノースバンクーバーの土地勘がどれくらいあるか」といった内容が多く、建築業界のドメイン知識を重視しているようでした。自分はテック業界出身なので、その点は足りなかったのかなと思います。 半年越しのリベンジ:Cohereからのスカウトメール Senna: では3件目が、今のCohereさん、という流れですか? Shigeo: そうですね。 Senna: Cohereには最初、いつ応募していたんでしたっけ? Shigeo: 最初にアプライしたのは2024年の11〜12月頃です。渡航して1〜2ヶ月後ですね。最初の100件の応募の中にCohereも含まれていました。その時は書類選考で落ちてしまいました。 Senna: なるほど。そのあと、5月頃にCohereのリクルーターから連絡があったんですよね。 Shigeo: はい。「半年前はダメだったけれど、まだ仕事を探しているようであれば選考を受けてみないか」というメールをいただきました。 Senna: 半年前に蒔いた種が半年後に芽を出した感じですね。LinkedIn経由のDMではなく、メールだったんですね。 Shigeo: 最初に応募したときの情報が残っていたのだと思います。 Amazonの面接:ビッグテックの選考プロセス Senna: ちなみにAmazonも受けていたんですよね? Shigeo: Amazonにはビッグデータエンジニアのロールで応募していたのですが、リクルーターの方から「経歴を見るとフロントエンドエンジニアの方が向いているのでは?」と言われて、AWSのとあるサービスのフロントエンドエンジニアの面接を受けることになりました。 Senna: なぜそうなったのかちょっと謎ですね……。どんな面接内容でした? Shigeo: 主にコーディングインタビューでした。Googleの検索フォームのようなものをその場で実装するライブコーディング形式で、実装しながら説明し、そのコードについて「この要素はアクセシブルか」「APIの呼び出し回数はどうなっているか」といった形で深掘りされました。典型的なフロントエンド寄りの質問が多かった印象です。結果的にはご縁はありませんでしたが、ビッグテックの面接プロセスを経験できたのは大きかったと思います。 Cohereでの役割:シニア・データクオリティ・スペシャリスト Senna: その経験も経て、いよいよCohereに入社ですね。改めて、現在のポジション「シニア・データクオリティ・スペシャリスト」というお仕事の内容を教えてもらってもいいですか? Shigeo: 「シニア・データクオリティ・スペシャリスト」という職種は、主にLLM(大規模言語モデル)のレスポンスを評価する仕事です。具体的には、レスポンスの安全性をチェックしたり、日本語であれば日本語表記ガイドラインに沿った表現になっているか、日本語の丁寧さのレベルが定められた基準に沿っているかなどを評価します。その上で、問題点や改善点をMLエンジニアにフィードバックする役割を担っています。 Senna: 日常的に一番やり取りが多いのはMLエンジニアの方々ですか? Shigeo: MLエンジニアはイギリスにいるので、時差を利用してほぼ同期的に働いているイメージです。自分がこちらの時間で作業している間に、向こうも業務時間になっていくので、やり取りがしやすいです。 Senna: Shigeoさんがデータを集めてレビューし、それに対してMLエンジニアがイギリス時間でモデルの改善を進めていく、という流れなんですね。素晴らしい。ちなみに、Cohereという会社自体を知らない読者の方も多いと思うので、改めてCohereがどんな会社か、簡単にご説明いただけますか? Shigeo: Cohereは一言でいうと、エンタープライズ向けのLLMを提供している会社です。代表的なプロダクトとしては「North」というプロダクトがあり、たとえば旅行代理店のエージェント業務を代替するようなソリューションなどを提供しています。また、自分は直接関わっていませんが、LLMのAPIやチャットボットのAPI、画像生成のAPIなども提供していて、それらをOpenAIよりも安い価格で提供しているという特徴もあります。 エンタープライズ向けLLMの強みとRAGの仕組み Senna: エンタープライズ向けLLMと言われても、一般の方にはあまりイメージが湧かないかもしれませんが、コンシューマー向けのLLMサービスとの違いはどこにあるのでしょうか? Shigeo: 主な違いとしては、企業ごとにかなり細かいチューニングを施した状態で導入できる点だと思っています。Cohereのモデルは、企業内のさまざまなリソースと接続することができ、たとえば企業内のGoogleドライブやOneDriveといったクラウドストレージ上の情報へのアクセスを許可し、それらを読みに行くことができます。また、チューニングしたAIエージェントを社内で共有できるという点も大きな特徴です。 Senna: なるほど。社内のナレッジベースにアクセスできるRAG的な仕組みを、エンタープライズ向けに提供しているイメージですね。共有の部分は、どういう文脈で便利なんでしょう? Shigeo: 例えば、就業規則に特化したAIエージェントを社内で作ることができます。就業規則のドキュメントを読み込ませてチューニングしたAIを社内向けに公開しておくと、社員からの「就業規則」に関する質問に正確に答えてくれる、といった使い方ができます。特定の分野に特化したエージェントを部署ごとに作り、それを組織全体で共有できるというのは、エンタープライズ向けならではの利点かなと思います。 Senna: 話を聞いていると、社内専用のRAGシステムを簡単に導入できる、というイメージに近いですね。規模感としてはどうなんでしょう?僕はよく「OpenAIやAnthropicと肩を並べるくらいの存在だよ」とやや大げさに説明してしまうのですが(笑)、実際の評価額などわかる範囲で教えてもらえますか? Shigeo: 評価額としては2024年9月時点で約70億ドル(約7ビリオン)と言われていて、日本ではなかなか見ない規模感のスタートアップだと思います。 多国籍・多分野の専門家が集まるチーム構成 Senna: 本当に桁違いですね。そんな会社で働いているという事実だけでも、かなりインパクトがあります。チームの規模感や構成はどんな感じですか? Shigeo: 自分が所属しているチームは大体100人くらいで、世界各地にメンバーがいます。主要な言語ごとにネイティブスピーカーがそれぞれ10人ずつくらいいるイメージです。日本語ネイティブも、自分を含めて10人くらい在籍しています。バックグラウンドもそれぞれで、自分のようにテック系のバックグラウンドの人もいれば、企業の法務部出身で法律に詳しい人、薬学や医療分野に詳しい人など、いろいろな分野の専門家がバランスよく採用されている印象です。 Senna: エンタープライズ向けだからこそ、各業界ごとに専門性を持ったメンバーを揃えているわけですね。Shigeoさんの役割としては、テック側の知識を持っているからこそ、JSONやCSVといったフォーマットを理解して、他のメンバーをサポートする部分もありますよね。 Shigeo: 法務系バックグラウンドのメンバーなどは、JSONやCSVといったデータ形式にあまり馴染みがない方も多いので、自分がそのあたりをサポートしたり、役割分担をしながらチームとして機能するようにしています。 Senna: 素晴らしいですね。Cohereで働き始めてからどのくらいになりますか? Shigeo: 働き始めたのが6月なので、まだ半年には届いておらず、5ヶ月目くらいですね。1年間のコントラクトで、Self-employedという形での契約なので、Cohereの社員というよりは、業務委託に近い立ち位置です。あと7ヶ月くらいは働ける予定です。 帰国の決断:18ヶ月の挑戦で見えた次のステージ Senna: 今、日本への帰国もそろそろ検討されていると思いますが、そのきっかけは何かありますか? Shigeo: Co-opのビザで働けるのが2月末までなので、そこで一つ区切りが来る、というのが大きいです。ワーホリに切り替えればさらに1年働くことも可能ではあるのですが、日本に帰国するのであれば良い節目になるかなと感じました。海外で働くという当初の目標も達成できたと感じていますし。 Senna: たしかに、学校9ヶ月+Co-op9ヶ月の18ヶ月がちょうど来年2月で終わるわけですもんね。その期間の中でCohereでも働くことができて、当初の目的は達成できた、というイメージですね。 Shigeo: 「海外で働く経験を積む」という目標はひとまず達成できたと思っています。 Senna: そんな18ヶ月を経て、日本に帰国してからはどういった経験を積んでいきたいと考えていますか? Shigeo: 自分はまだデータエンジニアとしての経験が約2年程度で、まだ浅いと感じています。なので、これからもデータ関連の仕事・ポジションに就いて、データエンジニアかデータサイエンティストとしてキャリアを伸ばしていきたいと考えています。 未来のキャリア:グローバルプロダクトへの関わり Senna: 北米での学校生活や実際の就業経験も踏めて、「こういう環境で働いてみたい」というチャレンジはありますか? Shigeo: グローバルな環境で働けることが理想だと思っています。昨日インタビューの機会をいただいたナウキャストさんも海外の方が何名かいらっしゃるので、そういった多国籍な環境で働きつつ、状況の変化にも柔軟に対応していける会社が良いなと感じています。海外展開を視野に入れている会社や、グローバルに使われているプロダクトを作っている会社で働きたいという気持ちが強いですね。 Senna: それはCohereでの経験が大きいですか?もともとそういう考えだったのか、それとも実際にグローバルプロダクトに関わってみて考えが変わったのか、どちらでしょう。 Shigeo: Cohereで働いてみて、世界中で使われているプロダクトの開発に関わることに大きな価値を感じました。その経験があったからこそ、日本に帰ってからもグローバルに使われるプロダクトの開発に携わり続けたいと思うようになりました。データエンジニアとしては、やはりある程度大きなデータを扱っている会社でなければ、キャリア上の成長も限定的になってしまうと思うので、データの量だけでなく質や分野も含めて、「どのような価値を生み出せるデータを扱えるか」を重視したいと考えています。 これから海外を目指す方へのメッセージ Senna: まさにそうですよね。データエンジニアのキャリアパスとして、データの量と質、そしてプロダクトのスケールはかなり重要なポイントだと思います。ありがとうございます。では最後に、これから昔のShigeoさんのように海外留学や海外就職を目指そうとしている方に向けて、一言メッセージをいただけますか? Shigeo: 海外に留学するというのは、かなり思い切った決断になると思います。ただ、一度失敗してもいいので、少しでも興味があるのであれば「踏み出せるうちに踏み出しておく」ことが大切だと感じています。留学や海外就職に挑戦することで、たとえ途中でうまくいかないことがあったとしても、自分の人生にとって必ずプラスになる経験が得られると思います。なので、興味がある方は、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してみることを強くおすすめします。 今回Shigeoさんの話を通して強く感じたのは、キャリアの節目ごとに「今、自分は何を伸ばすべきか」を冷静に考え、環境を選び取ってきた点でした。Webエンジニアからデータエンジニアへの社内転向、子会社でのマネジメント経験、カレッジでの学び直し、そしてCohereでのエンタープライズ向けLLMへの関与。どれもその場しのぎではなく、一本の線でつながっています。 また、リセッションやビザ制約といった厳しい現実の中でも、飲食に流れず、日本のリモート案件を確保しながら就活を続けた姿勢は、これから海外を目指すエンジニアにとって非常に現実的なロールモデルと言えるでしょう。 最後に語られた「少しでも興味があるなら、踏み出せるうちに踏み出してほしい」という言葉は、海外就職や留学を迷っている多くの人にとって、背中を押してくれる一言だと感じました。

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