学校と先生を最大限活用し、Eco製品を販売する会社でiOSデベロッパーとして就職が決まったヤンマーさん
バンクーバーの学校にてモバイルアプリ開発を学んだ後に、iOSデベロッパーとして現地就職を果たしたヤンマーさんにお話を伺います!
略歴としては日本で通信系の企業で働いた後、バンクーバーのカレッジへ留学。留学当初はWebデザイナーを目指すも紆余曲折によりモバイル開発を学び、卒業後はiOSデベロッパーとしてカナダで就職をしました。
モバイルエンジニアとしては未経験ながら現地就職までたどり着いたヤンマーさんに、海外で就職を成功させるための秘訣を教えていただきました。
海外で就職を目指す方にとってとても参考になる内容になっています!
インタビューアー:Senna、Kazu
経歴
Senna:僕とヤンマーさんはプライベートでも交流があったりするので、あまり堅い話はしないつもりですが、インタビューの目的としてはヤンマーさんのようにエンジニアとしてカナダに来て就職する人たちへ、こっちのリアルを届けようというものです。
ヤンマーさんの経歴を教えていただけますか?新卒からエンジニアでしたっけ?
ヤンマーさん(以下敬称略):大学と大学院は情報系に行きました。ただ勉強はほぼしていなかったので、技術者としての能力はほぼゼロでしたね。
新卒で働いた会社は通信系だったので、ソフトウェアとハードウェアどちらもやるんですけど、どちらかというと配線工事、インターネットのケーブルとかサーバーとかそっちの方が担当で、設計することも一応ありましたが、当初はプログラミングのこともあまりわかっていないという状況でした。
Senna:カスタマーサポートに近いようなイメージですかね?
ヤンマー:どちらかというと何でも屋という感じでした。技術者としては全然まだまだで、開発のことはあまり知りませんでした。オブジェクト指向自体よく理解していなかった気がしますし、アルゴリズムも辞書型ってなんやねん、って感じで。大学院の研究ではウェブクローリングで集めたデータを元に仮説を立てて実験するみたいなアカデミックの方の経験はあったのですが、デベロッパーとして何かを開発して作るというのはあまりなく、それこそGitもPushとAddくらいしか知りませんでした。
最初にSennaさんに話した時に、デザイナーになるかエンジニアになるか迷ってるという話をしたんですよ。
Senna:そういえばそんなこと話しましたっけ。
ヤンマー:今でこそデベロッパーですけど、最初はデザイナーを目指してRed Academyを希望していましたから。つまりデベロッパーを挫折したんですよね。もういやだと思って。
Senna:そうですよね、そんなイメージを最初僕も持っていて、いつの間にかその話どっか行ったなーと思って(笑)
ヤンマー:そこらへんの経緯も後で説明します(笑)
Senna:なるほど。大学院を出てから、一社目では何年くらい働いたんですか?
ヤンマー:大学院が終わってから3-4年働きました。会社自体は良かったんですけど、自分はメンタルが弱くて、結局会社に合わずにメンタル病んで会社休んでたんですよね。その後少しずつ回復していく中、今の会社だと辛いし申し訳ないなという思いで転職活動もしていたのですが、でもやっぱり日本って新卒逃すと就職するのめっちゃ難しいじゃないですか。
Senna:4年の職歴があったらまあまあいけそうな気もしますけど、そんなことない?
ヤンマー:それが同じ業界だったら潰しが効くんですけど、やっぱり会社自体は違う業界だったんでそれでうまくいきませんでした。今の業界で続けるのは無理だけど、かといって新しくやり直すのも日本では厳しい。そして自分の性格的に、自分で一からできるようなタイプでもないので、学校のような感じでステップバイステップでやれる環境がいいなと考えていました。その当時28-29歳でワーホリの期限が近づいてきたという年齢の事情もありました。子供の頃に親の事情でカナダで過ごしていたということもあり、元から英語を使ってみたかったという思いもありました。そういう理由がセットとなって、カナダに留学して英語を使ってそこで学んでみて、あわよくばそこで就職できればいいかなと思っていました。
Senna:なんか今聞くと「全て理想を叶えましたけど何か?」みたいに聞こえますね(笑)
ヤンマー:いやいや全然、裏では色々なことが(笑)そもそも通っていた学校が潰れたりと、大事件もありましたし…
Senna:そうそう紆余曲折めちゃくちゃあったなと思いつつ、結果としてはちゃんと生活もできてますし。というわけで、Frogのセミナーに最初来た時が、新卒で4年働いた会社の後に休職をしていた期間だったというわけですよね?
ヤンマー:そうですね。休職中に留学先とそのコンサルをいろいろ探してたんですけど、そこでFrogを見つけたときにめちゃくちゃ詳しく書くフォームがあって(笑)
Senna:あの仰々しいフォームでしょ?(笑)
ヤンマー:そしたらSennaさんがメッセージをめっちゃ詳しく書いてくれて、めっちゃありがたかったです。それにFrogはソフトウェアエンジニアやデザイナー、メディアに特化したコンサルだったのでその点も良くて、メッセージやスカイプでのやり取りになって、という感じでした。
なので一回も東京などのリアルセミナーに参加したことがないですね。
Senna:全部オンラインか。珍しいですね。その休職中のタイミングで、オンラインでやりとりさせてもらって、その時にデベロッパーかデザイナーかの相談もあったということですよね?
ヤンマー:そうですね、その時は7-8割くらいはデザイナーを目指してて、その時にSennaさんからBCITとかCICCCとか、いくつか学校を紹介されました。最初はBCITを目指していて、でも現実的にめちゃ難しいと聞きました。しかも数学の成績も必要で、まず現地に着いてからテストを受けてということで、これ無理だーってなりました。その時に他の学校の募集要項も見ていて、その中で一番いいと思ったのがRed Academyで、一旦そこでデザイナーをちゃんと目指したということですね。
カナダのRed Academyに入学を決めるも…
Senna:やっぱりすごく珍しいパターンですね。Red Academy自体はデザイナーを目指す人には珍しくなかったんですけど、ヤンマーさんはバックグラウンドがソフトウェアエンジニアとかに見える業種で、その後デザイナーにということでしたね。エンジニアの業界が自分に合ってないかもしれないっていう葛藤もあったと思うんですけど、それで入ったのがRed Academyという学校だったということですね。
補足ですが、Red Academyは昔あったデザイナー向けのUI/UXなどを勉強できる人気の高かった有名な学校です。我々業界人も学校のことを知っていて、しかも外国人向けのCo-opのプログラムを作るということで僕らの間でもニュースになり、それでヤンマーさんみたいな人たちが踊らされて、これは素晴らしいということでガンガン入学していたら、2020年にRed Academyが潰れ、路頭に迷った人たちが続出し、ヤンマーさんはその被害者の一人でした。
ヤンマー:ただ自分はめっちゃラッキーな方で、入学前に潰れたんですよね。
Senna:それはラッキーでしたね。
ヤンマー:そうなんです、不幸中の幸いはいつもの自分のパターンなんですけど(笑)
Senna:なるほどね、いやめちゃくちゃラッキーですよ。他のRed Academyに入ってから潰れた人たちで、残り三ヶ月で卒業という人とかいましたからね。まあ幸い学費とかも全部返ってきたし、一応Frog経由で入った人たちは金銭的には損はしなかったんだけど、まあそういう問題じゃないよねって人は当然多いわけで。Red Academyには嫌な思い出しかない。
ヤンマー:嫌いですよ(笑)レシート返さない問題とか
Senna:そういうトラブルも含めて、COSのYuyaさん(代表の人)にも相当動いてもらいましたが、本当に無事に返金されてよかったですね。
ヤンマー:はい、おかげさまで本当に助かりました。コロナと学費のレシート無しの状況もあって一年くらいかかってようやく返金されました(笑)
Senna:そうですね、Red Academyが潰れるという大きなトラブルや返金処理の問題がありつつ、それでも自分のキャリアを前に進めなきゃいけないという状況でしたよね。
CICCCへ進学先変更
Senna:話を前に進めると、Red Academyの後に候補に上がったのが、CICCCですよね。その時の意思決定って実際どうだったんですか?デザイナーを志してRed Academyに行こうとしてたところから、CICCCのデベロッパーコースへの変更というのは落胆だったのか、それとも期待だったのか。CICCCのUI/UXコースって今でこそありますけど当時はなかったので。
ヤンマー:CICCCを選んだ理由が二つあって、ひとつは当時すぐ入れる学校がそこしかなかった ふたつ目は噂でCICCCにUI/UXのコースが始まりそうで、Red Academyの代わりになるかもというのもあったので、入学後にUI/UXを学べるんじゃないかという希望を持って入学しました。公立のデザイナー系の学校も紹介してもらったんですけど、公立って、そこから入るのにめっちゃ時間がかかるんですよね。その時コロナでいつ入れるかもわからないという状況だったので、もしめっちゃ先になるんだったら、ワーホリの期限もあるし今入れるCICCCにしようということに。逆に今振り返ると、その時よくCICCC選んだなと思います(笑)
Senna:本当ですよね。だってキャリアの思い描いていた方向と全然ちがうやんみたいな(笑)
ヤンマー:なんで諦めなかったんだろうなみたいな。
Senna:当然だけどあの時期Red Academyが潰れて、コロナもあり、正直留学を辞めるという人が8割で、2020年の前半ってもはやみんな留学なんてしない時期ですよ。コロナもあって今後どうなるかわからないみたいな。だからヤンマーさんがその時諦めなかったのには本当にびっくりしました。
ヤンマー:今思い返すともう後がなかったというか、当時日本へ帰っても何もできないと思ってました。日本で働いて苦しかった思い出もあるし、日本で一人で勉強しようとしても無理だったし、環境を変えるしかないなと。
Senna:ワーホリの時期とかも含めて、環境を変えるんだったらコロナとか関係なしに今しかない!みたいな感じだったってことですよね?
ヤンマー:そうですね。それで最初から永住権を狙うとかって感じではなく段階的に目標を決めていました。まず最初はカナダに行ければOK。次は学校がある程度できればOK。ワンチャン就職できれば良いなという感じで、とりあえずまずはこれをやれば良いという感じで。例えばカナダに今行くっていう目の前の目標に絞れば、そこまでめちゃ難しいことではないなと思って。
Senna:なるほどね、それは頭のいい人の目標の設定の仕方かもしれないですね。目標が曖昧なまま、理想だけを掲げて来る人もいる中、現実を見据えてゴールを決めてきたってことですね。
ヤンマー:そうですね。
Senna:いやーでも素晴らしい。小さい目標を立てつつというので、心が折れることもなく、CICCCにしたということですね。CICCCに入学したのはいつでしたっけ?
ヤンマー:2020年9月から入りました。
英語力について
Senna:その頃コロナも真っ只中でなかなか大変だったと思いますけど、ヤンマーさんは英語って元々できたんでしたっけ?
ヤンマー:そうですね、ありがたいことに会話はそんなに苦労しませんでした。
Senna:スタッフからもヤンマーさんの英語力の評価はすごく高かったんですよ。英語の部分に関しては、エンジニアとしてカナダでやっていくのに壁を感じている人が多いとは思うんですが、英語は日本にいた時からずっと勉強していたんでしたっけ?
ヤンマー:ありがとうございます。そうですね。留学に行くって決めてから1年くらい期間があったんですけど、その間にめっちゃ勉強してたってのもあるし、もともと1歳-5歳くらいの幼少期にカナダに住んでいて、それで何となく発音の感覚が残っていたので。
Senna:へーそういうもんですか?5歳だとぶっちゃけ何も覚えていないのでは?って思いましたけど。
ヤンマー:覚えてないんですよ。覚えてないんですけど、でもなんとなく発音が残ってて、せっかくだったら活かしたいという気持ちがあって中学ではすごく勉強して、高校では全然しなくて、大学では留学生が来る飲みサーで色々話そうとして、社会人になってからは逆に仕事で英語を使わないのがもったいないと思い、それが留学の原動力にもなりました。
Senna:なるほど、素晴らしい。
転機となるCICCCでD先生との出会い
Senna:それで英語力の部分もなんとかなって、CICCCの英語の入学基準は難なくクリアして、それで2020年9月の入学に至ったわけですが、1年間の学校生活を振り返って実際どうでした?何かいいことや悪いことがあれば教えていただけますか?
ヤンマー:これはもうぶっちゃけ参考にならないと思うんですけど、とにかくD先生が神すぎました。多分今就職できたのもD先生のおかげみたいなものなんで。
Senna:CICCCって先生の差が激しいですよね。UI/UXを教えるE先生もいいんですよ。経歴もちゃんとしてるし。CICCCでモバイルの先生をしているD先生もすごく良くて。アルゴリズムから理解している芯の通ったエンジニアの先生ですよね。ただ初心者からは教え方がどうこうと評判が悪い部分もあって、一方経験者組からするとちゃんと知識があるから、あんなにいい先生いないんじゃないかと話を聞く機会もあってと、ギャップが実は面白くて。
ヤンマー:個人的にはD先生は初心者の方にもめちゃ教え方がうまいと思ってます。実際自分の周りにいる未経験の人たちでも、D先生の教え方はわかりやすくて面白いって言ってますし。ただなんだかんだ未経験からカナダで就職できるようになるまでって、めちゃ知識量が必要だと思うんです。それを1年間、もしくはそれより短い期間で学ぶためには、宿題も量多くなるし、授業の内容も難しくなるのは仕方のないことなのかなと。逆にいえばそれだけ本当に現地で闘えるレベルのことを教えてくれます。
Senna:いやーだからヤンマーさん色々ラッキーですよね。
ヤンマー:ほんとまた不幸中の幸いで、Red Academyが潰れてCICCCに予定変更かーと思ったところ、D先生神やーとなりました。
Senna:あれ、でもモバイルを目指そうとは最初は思ってなかったはずですよね?
ヤンマー:そうなんですよ。これももうぶっちゃけD先生がモバイルの先生だったからモバイルでいいかなみたいな。
Senna:なるほど、エンジニアとしての基礎がちゃんと学べると言うのもあっただろうし。
ヤンマー:そうなんです。実はCICCCに入ってからも1-2ヶ月はデベロッパーかデザイナーかを迷っていて、噂に聞いていたUI/UXのコースができないなーと思って、でもとりあえず目の前の授業は一応しっかり受けておこうと思ってやっていました。そうしたら、だんだんこの授業がおもしろく、分かりやすい!となって、気づいたらデベロッパーを目指していました。しかもちょうどその内容が大学時代とかに挫折してたもので、そういうのをもう一度社会人になって学び直して、こういうことだったのかと理解できたのはうれしかったですね。先生の教え方もあり、デベロッパーって面白いなと感じました。
Senna:おお、それが転機だったわけね。
ヤンマー:そうなんですよ。
Senna:実はそこはすごく気になってて、もともとエンジニア的な畑にいて、それが嫌になってデザイナーを目指したわけじゃないですか、だからヤンマーさんはエンジニアでなくデザイナーで行く人だという認識があったわけですが、エンジニア志望になったのがいつのタイミングなんだろうなーと気になっていたんです。D先生の授業からってことですね?
ヤンマー:そうですね。
Senna:D先生の授業は、情報系の専攻だった人にとっても勉強になる内容でしたか?
ヤンマー:なると思います。もちろん情報工学とかをしっかりマスターしてる人だったら「もうこれ知ってるわー」ってなると思うんですけど、自分はむしろ大学で挫折して全然学ばなかった人なので、授業を受けて「なるほどこういうことだったのか!」となりました。
Senna:へーなるほど。ますますD先生ファンが増えるんだろうな。
ヤンマー:そうなっちゃいますねほんと(笑)
在学中の1年間のスケジュール
Senna:CICCCに入って、D先生の授業を受けて、それでエンジニアの道を目指そうということで再度軌道修正したという時期も多分あって、CICCCに入って1年間頑張って勉強したと思います。学校の1年間のスケジュールとか流れってどんな感じでしたか?技術力をつける時期と、ポートフォリオ作る時期と、就活する時期など色々あったと思いますが。
ヤンマー:最初の6ヶ月は授業をはじめ、技術力を身に付けることにフォーカスしていました。プラスαで自分で勉強してという感じで。そして6ヶ月を過ぎたあたりから、D先生が授業自体をあまりやらず、自主学習や他のプロジェクトに時間を使うようになりました。そこからだんだん時間が空き出したので、少しずつ就活の時間を増やしていきました。
ここもラッキーだったんですけど、D先生のその当時の新方針により、授業は長くせず、最初の6-7ヶ月で終わるようにしてました。それで残りの期間はポートフォリオ作成かつ就活の時間など自由に当てるようにしてくれた感じです。自分の場合、先生がコネでボランティアを紹介してたのでそれに参加しました。しかも個人経営とはいえ一企業だったので、結果的にレジュメにも会社名付きで載せることができ、リファレンスにも繋がりました。そのボランティアを2-3ヶ月間くらい最後の就活中にやっていて、同時に片手間でポートフォリオを作っていたので、学校の終盤は結構大変でしたね。ポートフォリオを作るのと、ボランティアと、就活。しかも予想以上にボランティアの作業がマネジメントできなくて、この3つを同時並行するのは大変でした。今思うとここらへんのスケジュールは改善点だったと思います。
カナダでの就職活動で大切なこと
Senna:まあでも、ボランティアであったとしてもレジュメに書けるリファレンスを作るということはやるべきだと思います。最近だとポートフォリオ自体は力を抜いて、そういうボランティアとかインターンに集中するっていう経験者もいますね。
ヤンマー:カナダでは経歴がナンボなので、レジュメに載せられる「◯◯をした」というものが大事ですよね。しかもSelf Employedじゃなくてちゃんとした企業の名前で載せられるものがないと、ぶっちゃけ受からなかったと思います。よっぽどコネがないとレジュメも見てくれないって感じなので。絶対どこかの企業の名前が欲しいですね。
Senna:そうそう、本当にそういう期間を作っていたっていうのは素晴らしいと思います。D先生の紹介ということだったんですね。
ヤンマー:そうですね。なおかつそれまでの皆の話を聞くと、iOSエンジニアはApple Storeに何かアプリを出しておいた方が絶対にいいってのがあったんで、クラスの2-3人とアプリをプロジェクトで作ってリリースしました。あとGitHubとReadmeに書いて、自分のWebサイトにも載せて、レジュメやLinkedInにも書いて、そこでアピールを狙ってましたね。Self Employedではあるものの、Apple Storeにアプリを出した経験はあるということで。
Senna:なるほど、話だけ聞いていると1年間の使い方を含め、もはや理想中の理想なんじゃないかと思えてきますね(笑)
ヤンマー:そうですね、そういう意味では周りの人にかなり恵まれていたと思います。結構裏では返金問題とかビザの修正とかでかなりあくせくしていたんですけど(笑)
Senna:間違いない。あとFrogの反省点としても載せた方がいいかもしれないけど、やっぱり学校とか先生の使い方ですよね。僕らは学校のネガティブレビューも結構聞くから、経験者だったら特に学校を軽く見る人たちの方が多いわけですよ。それを僕らも駄目だとは言っていない。でもヤンマーさんのように、気に入った先生にちゃんと教わろうと決めて、その先生からボランティアも紹介してもらい、それがリファレンスになってというように、学校をしっかり活用している人もいるわけですもんね。
ヤンマー:そうですね。僕もSennaさんが言うようにあまり学校に期待はしていませんでした。でも学校に入った後に、この人(D先生)だったらかなり良いと思ったので、自分の場合は方針を変えましたね。僕は逆に授業に100%集中して、授業の課題もさらにプラスアルファでやるぐらいでした。
Senna:これあれだな、久しぶりに学校のいい話を聞いているな(笑)
ヤンマー:いやでも僕もこの記事を読んで、皆が学校に期待しすぎたらだめかなって思っています。他のクラスの情報を聞いていたら、やっぱりSennaさんの言う通りな面もありますしね。
Senna:そうなんですよ。しかも散々な先生の方がD先生よりも良いっていう人もいるんですよ。それは要するにちゃんと私たちの話を聞いてくれるとか、親身になって相談に乗ってくれるとか、そう言う精神的な面での良さしか見てなくて。
ヤンマー:いやーD先生めっちゃ聞いてくれますよ。でもたしかにわかるっちゃわかる部分もあります。僕はたまたまオブジェクト指向とか、バックエンド、ロジック的な部分が好きだからD先生の授業にハマったんですけど、D先生はWebの基礎に関してはあまり教える機会がなかったですし、授業ではJavaとかクラス、オブジェクト指向だし、モバイルだし、アルゴリズムだし。しかも課題も重たい。なので例えば未経験からフロントとしてめちゃやりたい人にとっては確かに合わないってのはわかるし、それはしょうがないかなと思います。
Senna:間違い無いですね。だからそのレベルの先生がいるともはや全部解決なんですけど、それがなかなかいないというね。
ヤンマー:そうですね、しかもWebは移り変わりも激しいんで難しいですよね。
カナダでの就職活動の期間と応募数
Senna:ということで、学校の授業をちゃんと受け、ボランティアの紹介も受け、先生からのリファレンスもゲットして、学校をうまく使ったパターンということで記事には載るかなーと思うんですけど、とは言いつつも日本での経験も役に立たないとまでは言わないけど業種としては違っただろうし、経験と言ってもその先生のボランティアの3ヶ月という期間ということで、ハタから見ると厳しさも残るだろうなーという部分もあるのですが、就職活動では具体的にどれくらいの期間頑張って、何社くらい受けたんですか?
ヤンマー:就活にトータルかけた期間は大体4-5ヶ月ですね。適当にクリックして応募した会社数は100社くらいかな。ワンクリックで応募できる会社とかも結構ありますからね。100個応募したうちインタビューまで行ったのが10-15社でした。あとは全部基本的に返信が来ませんでした。そして二次選考へ進んだ15社のうち、本インタビューではレジュメやビザで落とされるのがほとんどでした。選考が進んだ15社のうち、技術選考まで至ったのが6-7社かな。
Senna:なるほど、それでも打率高い方ですね。
ヤンマー:そうなんですか?一回Sennaさんに相談した時に、あなたの経歴的に3割くらいは余裕でしょって言われて、それに比べると少なかったですが(笑)
Senna:3割は盛ったかもしれないですね(笑)元気付ける意味も含めてだろうけど。ただ僕から見ればぶっちゃけヤンマーさんの場合ってやることやってる人だったから、就活をやり続ければいずれ受かるんだろうなとは思ってました。
ヤンマー:そういうことだったんですね、ありがとうございます。そうですね、就活のためにやれることは結構やりました。
Senna:そうそう、作品も作ってたし。COSからのリファレンスもあったし。学校からのリファレンスもあったし、結構その辺は僕も安心していました。でも100社応募して1割くらいだったんですね。
ヤンマー:はい。時期が悪かったのかな。8月にめっちゃガーっと沢山送ったんですけど、8月はインタビューにつながった応募が一個もありませんでした。あれって波がありますよね。会社から返事がポンポン返ってくる時期もあれば、全くない返事が無い時期もあるので。
Senna:間違いない。波の傾向として、これは僕らも分析し続けなきゃいけないですけど、やっぱり夏頃ってやっぱり毎年厳しいと思いますね。UBC、SFUみたいなあの辺の強者がインターン探したり、Coop入ったりとか、就活したりとかってやっぱり秋前じゃないですか。その辺の時期と丸かぶりして競争率が上がり、求人も増えるけど厳しさも増してるのかなと周りでは言われています。逆に12月とか1月になってくると、会社からの返信があったりしますよね。ヤンマーさんは就活の時期について、この頃は結構返信がよく来るというのはありましたか?
ヤンマー:6-7月は結構順調にあって、7月段々少なくなっていき、8月はなくなって。面白いことに9月になったらまたパッと増えました。
Senna:まーそういうことですよね。わかりやすいな本当に(笑)
じゃあ9月頃に返信も色々返ってくるようになって、仕事が決まったのはいつ頃でしたか?
ヤンマー:10月の半ばくらいです。
Senna:そこまでで100社くらい受けてて、Coop始まるのは予定通りだと9月からだったと思うんですけど、だから1ヶ月程後ろにずれたってことですよね。
ヤンマー:そうですね。あと就活で結構疲れていたんで、仕事始めるのは11月からにして、二週間くらい休みをもらいました笑
Senna:大事ですね!その休憩期間がなくて本当に追い詰めてやる人もいますから。ではまあ100社受けて、1割くらいの打率で返事が返ってきて、面接しつつ、テックインタビューまで行ったのは6-7社くらいということですよね?
ヤンマー:そうですね。
就職活動での苦労とアピールしたポイント
ヤンマー:最初のスクリーニングインタビューは結構通過したんですが、その後のインタビューで自分がよく落とされた大きな原因の1つとして経歴があったと思うんですよね。一応2-3ヶ月のプロジェクトの経験とかはあったんですけど、それでもやっぱりiOSとしてちゃんと働いた経験はなくて。面接した企業に何度かフィードバックを求めたんですけど、やはりどこもチームを通してのプロジェクトの経験が浅いという理由でした。
Senna:なるほど。経歴で落とされる部分に関してはね、もはや皆通る部分だと思いますけど、逆に今の会社の面接に受かったのも事実なわけですよね。面接の内容でここウケたなとか、これだから私雇ってもらえたのかなとか、何かトリガーとなったものはありましたか?
ヤンマー:技術に関しては、アルゴリズムは一つアピール出来た部分だと思います。僕はアルゴリズムが元々結構好きだったんですけど過去に挫折して、でもCICCCのD先生がアルゴリズム大好き人間で、僕が先生のそのマニアックさにすごく共感して、めちゃ面白いやんと感じるようになり、アルゴリズムは結構やりました。そしたら就活のアルゴリズムテストは結構突破出来るようになりました。それ以外のカルチャーフィットとか、タイミングとかは運ですね。
今働いてる会社は、スタートアップではないんですけど、元々80人くらいいるEコマースで、これからテックの人材を集めて自社開発とかアプリ作ったり、Webサイト作ったりしようというフェーズだったので、その時にiOS技術者欲しいとなり募集していたところに採用されました。たぶん僕がiOSで採用された一人目だったので、iOSをそこまで厳しく見る人がいなかったんじゃないかと思います(笑)
Senna:なるほどね。とは言ってもそれはいろんな会社を受け続けての巡り合わせだろうし。
ヤンマー:フルスタックでシニアのような人がいて、その人とも面接をして、アプリ作る必要があるから作ってくれという話になり、運良く採用されました。
Senna:それだけの数打って、ボランティア活動もしてリファレンスも得てというのもあったので、半分は運だとしても、あとの半分は実行力じゃないですか?
ヤンマー:はい。これも運が良いような悪いような話なんですけど、大手クレジットカード会社の最終面接まで行ったことがあって、多分ほぼ合格してたんですよね。最終面接が終わって、人事からメールが来て、給料とかの交渉に入ったのでやったーと思ったんですけど、ビザは何を使ってる?と聞かれて「Coop」と言ったら落とされました。
Senna:それ多いというか、大企業はやっぱり厳しいですねなかなか。いかに経歴がしっかりしていようが、やっぱりビザ周りの部分で学生とかCoopとかワーホリって言った時点でアウトってのが多すぎて。
ヤンマー:そうですね、大企業はやっぱり融通効かない感じがありますね。
Senna:ルール的には明らかに働けるし、会社にいてもマイナス要素なんてほぼないはずなんだけど…
ヤンマー:そうですね、今の会社も若干怪しいんですよね。Coopって会社にサインもらわなきゃいけないんですけど、出したら「え、Coop?」みたいな感じで言われて。流石にもう3-4ヶ月働いているから大丈夫かなとは思っているんですけど。
Senna:それは大丈夫でしょう。だってCoopが嫌なのって、要するにド初心者がきたらどうしようという部分が大きいわけで。
ヤンマー:それ本当にやめて欲しいですよね。面接の意味ないやんって思います。最終面接受かった後にアホちゃうのみたいな。
現在の仕事と会社について
Senna:今更になりますけど、iOSデべロッパーとして就職されたと思いますが、どういう会社で何やってるかを話せる範囲で教えてもらえますか?
ヤンマー:先ほど言ったように会社はEコマースとかをやっていて、基本的にはプロダクトを売ったりしています。そこでプロダクトに関するアプリを作って、アプリ内でそのプロダクトを紹介したり、まだこれは将来の話なんですけど、プロダクトの中にはIoT的なのも出てきて、アプリで自社のその製品を操作できるようにしたりとかそういう構想もあります。
Senna:まあさっきも言ってたけど、iOSデベロッパーを初めて雇うくらいのステージでしょう?80人いて、それだけ構想も色々あるのに、iOSデベロッパーを初めて雇うのかってのが不思議でならんってのはありますけど。
ヤンマー:本当に今までは技術者がいなかったんですよ。それで2-3ヶ月くらい前からまずは自社のWebサイトをちゃんと作ろうってなって、それでも技術者3人+デザイナー1人という体制でした。その後にアプリ制作も開始して、そこに自分が運良く応募した感じです。なので成長している会社というのもあり今はその辺りの人材をガンガン採ってます。自分が入社した後に、Android技術者を1人、iOSとAndroidのシニアも1人採ってくれました。デザイナーももう1人とシニアデザイナーとか色々雇ってますね。iOSチームで言えば自分が入った時は1人だったけど、今は6-7人になりました。今はちょうど人を雇いまくっているフェーズっぽいです。
Senna:へーそんなに急成長してるのはすごいですね!実際今働いて何ヶ月ですか?
ヤンマー:そろそろ5ヶ月になると思います。
日本とカナダの労働環境の違いについて
Senna:iOSデベロッパーとして実際に今の会社で働いてみて、日本と比べての差とかありますか?元々日本が合わないという話があった上での今だと思いますが。
ヤンマー:全てですね、あらゆるものが違いすぎて。うちの会社は8割くらいの社員がカナダ人なので西洋の文化もあるし、リモートって環境もあるし、何もかもが違います。でもやっぱりこっちの人は自分を大切にするっていうのはありますね。これは全然期待してなかったんですけど、海外でよく休みをちゃんと大切にするとか聞きますけど、特にうちの会社は本当にそうだったんだなって思います。みんなびっくりするほど休みとるし。本当にいいことだと思ったのが、風邪とか家族の面倒を見るとかで、休みだったりこの時間をオフにするとかをさせてくれます。当たり前じゃない?って思うかもしれないですけど、日本だとやっぱりすみませんという感じで休みが取りづらいですし、有給も何日か前に申請してちゃんとチェックしてって感じだったので。こっちではシニアやPMの社員が、当日の重要な時になって「今日は風邪だから無理」って言って休むとかしょっちゅうあるんで(笑)
Senna:それは人としての尊厳だと思うけどね
ヤンマー:それが日本にはなかったんで。もちろん日本でも会社によってはあると思うんですけど、あまり自分の経験としてはなかったので、休みに関しては助かっています。
Senna:日本でいう典型的なワークライフバランスがちゃんと整っているって話ですよね。それがこっちのいいところでもあると思います。あとこれは話せればってレベルですけど、日本の給与帯とカナダの給与帯の差って、感じてるレベルでやっぱり全然違う?
ヤンマー:全然ちがいます。やっぱりこっちの方がいいですね。日本で1社しか経験してないのであまり言えないですけど、やはりカナダでは特にソフトウェアエンジニアの給与は高いし、絶対いいと思います。その分物価が高いですけどね。それでトントンかもしれない。
Senna:いやー本当それですよね。まあでも給与に関してはそこを反映された上でもらってますよってことですね。
今後の目標
Senna:ここから先は後日談みたいな感じになりますが、これからどういうことをやっていきたいとか、今後の目標ってありますか?シニアになりたいとか、永住権とか。
ヤンマー:ソフトエンジニアとしての職歴とスキルを積むということと、後は何よりビザですね。ビザに関してはやっぱり永住権が取れると嬉しいなって思います。カナダにずっと住みたいとかってのは今は無いんですけど、とりあえずこれまでの2-3年間で一番苦労しているのがビザなんで。永住権って、ずっと住むというよりは、とりあえず何も考えずに働ける権利じゃないですか。そう言った意味でめっちゃ欲しいんですよね。それが理由でさっきの大手のクレジットカード会社にも採用断られたし、その前にビザのオフィサーが間違って出したものを修正するのに1年くらいかかったし、今の会社もビザのサポートでちょっとやばいかなって感じもするし。
Senna:そうですよね。(会社の規模が)80人って聞いた時にちょっと思ったんですよ。しかもエンジニアを雇った経験が今まであまりないんだったら、考え方がレガシーなのかなって。その辺のやっぱりビザ周りの部分をなんとかしたいという気持ちが、過去の経験からもあるわけですね。
ヤンマー:そうですね、会社はワークパーミットは出さないという感じなので、もしかしたらワーホリが切れたら日本に帰らないといけないかもしれない状況です。なのでビザの面では永住権を取れたら取ってみて、何も考えずに働ける状況を作りたいと思います。
キャリア面では、今はまだジュニア〜インターミディエイトくらいなのでまずインターミディエイトまでやりたいです。シニアは皆凄すぎてなれるかどうかわからないですけど、やっぱりソフトウェアエンジニアとしてある程度のスキルと経験を積めればと思っています。
Senna:話は戻り会社についてですが、元々はEコマースの商品を扱っている会社?どういうことをやってたんですか?だって今回エンジニアを雇うのは初めてですよね?
ヤンマー:メインのテーマは環境をよくしようということなんです。例えば土に還るスマホケースとか。その次がEco家電を作り、それをアプリと連携して操作するというものです。社員はみんな自然が大好き、家庭が大切という人が多いです。
これから渡航する方へアドバイス
Senna:今後ヤンマーさんのように日本でテックの分野にはいて経験らしいものを積んで、これから海外で就職しようかなという、ヤンマーさんのようなキャリアを描こうとしている人たちが来ると思うんですけど、そういう方々へ何か一言アドバイスがあればお願いします。
ヤンマー:僕の場合は、習慣化して毎日少しでも何かをするというやり方がよかったです。自分は後回しにしちゃうタイプなので。例えば就活のためにレジュメや経歴をつくるのってめっちゃめんどうで苦手だったので、毎日1文字でもいいからLinkedInの文字を変える、っていうルールを決めたんです。そしたら実行できて、結果LinkedInの記事も充実しました。
まとめてやろうとすると結構しんどいので、何か毎日ちょびちょびやると楽というか、積み重ねられると思います。そういう感じで塵積を他にもやっていって、たぶんそういうのが就職につながったんだと思います。
Senna:なるほど。継続は力なりというのは、こういうところでちゃんと活きるということですよね。
ヤンマー:そうですね、自分の場合はですけどね。天才型の人はパッとやっちゃう人もいるし。それ以外のアドバイスとなると人それぞれです。結局自分の足りないものを補うしかないですよね。英語が足りなかったら英語やるしかないし、技術力だったら技術力だし、経歴がなかったら経歴を作るしかないし。
Senna:間違い無いですね。当たり前のことをちゃんとやりつつ、習慣化を意識すれば、ちゃんと今に繋がりましたよ。と言う非常に力強いアドバイスだったかなと思います!何か言い残したことはありますか?
ヤンマー:自分の場合は運が良かったのと、本当に周りに恵まれてました。Frogというコミュニティ、COS、クラスメート、先生など。本当に周りの環境のおかげでした。
Senna:いやーでも同じ環境でもチャンスを掴める人と掴めない人はいますよやっぱり。チャンスを掴む努力をしてきたヤンマーさんはやっぱり素晴らしいと思います。本日はありがとうございました。
カナダで就職を目指している方にとって、大変参考になる内容だったのではないでしょうか。
常にトラブルが付きまとっていたというヤンマーさん。海外生活は常にトラブルが付きまとうので、それだけでモチベーションが低下したりしがちですが、目の前の小さなゴールをひたすら追いかけるということに加え、日々の積み重ねを忘れず、前進出来る姿勢というのはそれだけで才能だなと感じました。
これからカナダで海外就職を目指す方は是非参考にしてみてください!
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