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最新インタビュー

エンジニア歴5年、半年間のUIUXコース受講後、応募12社で勝ち取ったカナダのスタートアップ内定
インタビュー

エンジニア歴5年、半年間のUIUXコース受講後、応募12社で勝ち取ったカナダのスタートアップ内定

今回インタビューにご登場いただいたのは、電子書籍取次企業で5年間にわたりフルスタックエンジニア→チームリードエンジニアとして活躍し、その後カナダ・バンクーバーへ渡航したコジマさん(以降Kojiken)。大学卒業後にシアトルへ1年間留学し、Amazon/Microsoftなどのエンジニアと触れ合った体験がキャリア観を大きく揺さぶり、「海外でエンジニアとして働く」という目標を抱くきっかけになりました。2023年のイベント「Canadian Dream」に参加し、ワーホリを起点にコープ・就労ビザ・永住権を見据える具体的なロードマップを描いたことがカナダ行きの決め手となります。本記事では、半年のUI/UXコーププログラムを選んだ理由、“見せる提案”としてクローンサイトを制作する就職戦略、AI時代のスタートアップで実感するUI/UX × エンジニアスキルの相乗効果など、海外就職を志すエンジニアにとって実践的なヒントが満載です!どうぞご覧ください!日本での経歴とシアトル留学が変えた人生Senna: それではちょっと日本でのご経歴と、なんで海外を目指そうと思ったのかの軽い自己紹介的なところからお願いしてもいいですか。Kojiken: 大学は教育学部で全然エンジニアと関係ないところを卒業した後に、シアトルに1年間留学しました。Senna: シアトル?バンクーバーからまた近いところですね。Kojiken: そうなんです。実際、在学中には Amazon や Microsoft のエンジニアが学校に何度も来てくれました。彼らは自由な働き方をしていて待遇も破格。とにかくキラキラしていて、「エンジニアっていいかもな」と漠然と思いながら帰国したんです。Senna: 良い形で”毒された”わけですね(笑)Kojiken: 帰国後は就活をしつつ「どうしようかな」と迷っていたのですが、やっぱりエンジニアになりたい気持ちが強くなり、3か月ほどプログラミングスクールに通いました。そのあとエンジニア職で就職活動をしていたところ、友だちから「フィンテックの授業でプロダクトを作るメンバーが足りないから手伝ってほしい」と誘われてチームに参加することに。その授業では各チームに社会人メンターが付いていて、最終的にそのメンターの方が、当時勤務していた会社に僕を紹介してくれたんです。Senna: なるほど、メンターさんの紹介がきっかけでエンジニアとして就職されたんですね。Kojiken: そうです。電子書籍の取次をしている会社に就職しました。書店と出版社の間に入って、取り継ぎ業務を行うような会社です。チームの規模はそれほど大きくなかったので、エンジニアとして5年ほど、いろんな分野の開発に関わることができました。Senna: 5年間もいらっしゃったんですね。ご経歴を見ると「フルスタックエンジニア」と「チームリード」の2つの肩書きがありますが、これは最初の4年1ヶ月がフルスタックエンジニアで、その後がリードという感じですか?Kojiken: そうですね。最初の4年ほどはメンバーとして働いていて、その後に開発チームのリードを任されるようになりました。シアトルで出会った価値観の変化Senna: 素晴らしいですね。ということは、日本でのご経歴はこの1社にしっかりと腰を据えて積まれて、その後にカナダに来られた、という流れになりますよね。実際、海外に行きたいという気持ちは、大学時代にシアトルに行かれた経験から来ているんでしょうか? 1年間行かれていたんですよね。その時の体験が忘れられなくて、「やっぱり英語圏や海外で働きたい」っていう気持ちは、ずっと持っていた感じですか?Kojiken: そうですね。シアトルに留学していた頃から、漠然と「いつか海外で、エンジニアとして働いてみたいな」という気持ちはずっと持っていました。ただ、その後はコロナがあったり、結婚したりといろいろあって、気づけば時間がどんどん過ぎてしまって……気づいたら、ワーホリにギリギリ行ける年齢になってた、という感じです。Senna: なるほど、そういうことだったんですね。大学はきちんと卒業されて、その後5年ほど働いて、でもその前に1年間シアトルに行ってたんですよね。あれって、大学を1年休んで行ってたわけではないんですか?Kojiken: いえ、卒業してから行きました。Senna: あ、なるほど。じゃあ、ギャップイヤーのような形で行かれたんですね。Kojiken: そうです、そんな感じです。Senna: なるほど〜。じゃあそのギャップイヤー的な1年間でシアトルに行って、そのあと5年間働いて、「あ、ワーホリもうギリギリじゃん!」って気づいて……それで海外に行こうと決めた、ということですね。Kojiken: はい、まさにそんな感じです。Senna: ちなみに、シアトルでの1年間って、どんなことをされてたんですか?ちょっと興味あるんですけど。Kojiken: 学校の授業とインターンシップを組み合わせたプログラムに参加してました。最初の9か月は、経済系のビジネスの授業を受けて、残りの期間はインターンシップで、僕は日本語教師をしていました。Senna: なるほど。大学は教育学部だったんですよね?その流れでそのまま教育業界に行くのかなと思いきや、シアトルに行ってみたら「エンジニアめっちゃキラキラしてるやん!」って衝撃を受けて、「ちょっと目指してみようかな」と思った。その流れで帰国後に3か月間プログラミングスクールに通った、っていう時系列ですかね?Kojiken: そうですね、言われてみると確かに、大学卒業後のどんでん返しみたいな感じですね(笑)。Senna: 人生の方向がガラッと変わった感じですね。Kojiken: まさにそうです。シアトルでの経験で価値観が大きく変わったなと思います。出会った人たちからの刺激もすごかったし、周囲の環境も全然違っていて。自分の中で人生が豊かになったというか、視野が広がったというか。そういういい思い出があったからこそ、「また海外で働きたい」という気持ちはずっと持ってました。Senna: それって、価値観が変わった「瞬間」って、覚えてたりします? 僕も昔はあったと思うんですけど、正直あんまり覚えてないんですよね(笑)。たぶん自分も海外に来た時に「うおっ」て思ったはずなんですけど。Kojiken: そうですね、シアトルに行ったとはいえ、僕が参加してた1年のプログラムって、日本人が結構多くて。同じカレッジに留学してる同期の日本人たちから刺激を受けることが多かったんです。今まで友達にいなかったタイプの人が多くて、考え方が全然違って。たとえば、ギネス記録を目指してイベントを企画してるような友達もいて、そういう人たちからの影響が大きかったですね。Senna: なるほどね。ネジぶっ飛んでる系の人たちが多かったと(笑)。Kojiken: そうそう、行動力がすごい人が多くて。Senna: アメリカ留学って、なんかそういう「ぶっ飛んでる人」多いですよね。僕はカナダにずっといるから余計にそう感じるのかもしれないけど。Kojiken: ほんとにそう思います。後先考えずに動ける人たちが多くて、こっちが圧倒されるくらい。でも、それがすごく刺激になったんですよね。シアトルのスペースニードルカナダを選んだ理由とFrogとの出会いSenna: なるほど。じゃあそのシアトルでの1年間の中で、人生の転機になるような出会いや経験があって。それで帰国後にエンジニアを目指して3ヶ月間学んで、就職して5年。その間も「海外で働きたい」という気持ちはずっと心のどこかにあったんですね。でも、そこで改めてお聞きしたいんですが、最終的にカナダを選んだのはどうしてだったんですか?シアトルが近かったからというのも理由の一つかもしれませんけど。Kojiken: そうですね。いろいろ調べてはいたんですけど、やっぱりFrogのイベントがすごく大きなきっかけでした。そこで一気にイメージが湧いたというか。Senna: えっ、マジですか。めちゃくちゃ嬉しいですね、それ。Kojiken: コープとワーホリを使って働いて、その間に頑張って永住権を目指す——みたいな。明確なゴールってわけじゃないけど、道筋がちゃんと見えたんですよね。それまでベルリンとかオランダとかも調べてはいたんですけど、ブログ記事とかはあっても、ビザとか就労の道筋みたいなものが体系的にまとまっていなくて。でもFrogのイベントで、すごくリアルに「こういうステップで進めるんだ」ってイメージできて、「あ、これ今動かないとマズいな」って思ったんです。Senna: なるほどね。そういえば、カナダ・バンクーバーにはシアトルにいたときに来たことあったんですよね?Kojiken: そうです。ちょっとだけ来たことがあって。Senna: なるほど。それもあって、バンクーバーの雰囲気も含めて、全体的にイメージがしやすかったんですね。Kojiken: はい、まさにそうですね。Senna: いやー、そう言ってもらえるのは本当に嬉しいです。それって、2023年の「カナディアンドリーム」の時ですよね?KeiさんとKoheiさんしか登壇してなかったあの回?Kojiken: そうですそうです。Senna: あの時ね、覚えてますよ。150人くらい来てくださって、登壇者はたった2人(笑)。大行列ができちゃって、超反省したんですよ。「これはアカン」と思って、翌年は4人に増やしたんですけど……それでも足りなかったっていう。この会場のどこかにKojikenさんが居たはず…Kojiken: 本当にすごかったですよね。Senna: あのイベントに来てくれた価値がちゃんとあったなら、反省も報われます(笑)。Kojiken: めちゃくちゃ良かったです。Senna: イベントを通して、海外に向けた道筋が少しでも具体的に見えたなら嬉しいですね。とはいえ、実際に国を選ぶってかなり悩む部分でもあると思うんですけど、他に候補になっていた国ってありました?Kojiken: ドイツ、オランダ、シンガポールとかですかね。Senna: シンガポールなんかは日本人も多いですし、人気ですよね。でも、あまりピンと来なかった感じですか?Kojiken: そうですね。正直、国に対して強いこだわりはなかったんですけど、技術的に遅れてないかとか、治安がどうかとか、そういうところは気にしてました。あとは英語圏であるかどうか、ですね。Senna: ああ、やっぱり日常生活がすべて英語っていうのは、長期的に見ても大きいですよね。カナダ渡航とカレッジ選択Senna: ありがとうございます。じゃあ実際にカナダに渡航されたのって、いつ頃だったんですか?Kojiken: 2023年8月の末頃ですね。Senna: ちなみに、カレッジ選びの時点で、ある程度道筋はイメージできてたんですか?コープ行って、ワーホリを挟んで、そのあとできれば就労ビザ、最終的に永住権っていう。そのルートを実現したい中で、なぜWeb開発じゃなくてUI/UXだったのか、気になってる人も多いと思うんですよ。Kojiken: まず、ワーホリを活用するって考えた時に、半年間のプログラムが一番都合が良かったんです。というのも、年齢的にももうギリギリだったので。Senna: あー、なるほど。年齢のリミット的な。Kojiken: そうです。で、半年のコープ付きプログラムとなると、ほとんど選択肢がなくて。実質、UI/UXくらいしかなかったんですよね。Senna: 確かに。Web系で半年+コープ付きって、僕もほとんど見たことないです。Kojiken: なぜか分からないんですけど、UI/UX系は数も多くて、広報してる学校も結構ありました。Senna: なるほど。じゃあ、ビザとの相性が最優先で、たまたまUI/UXが条件に合ってたと。Kojiken: でも、もともとUI/UXにはすごく興味があったので、「これはいい機会だな」と思ったんです。Senna: ご経歴的には完全にエンジニア寄りですよね。Kojiken: そうですね。Senna: UIまわりも、いつかは体系的に学びたいなっていう思いがあったんですか?Kojiken: はい。個人開発をしていたときに、デザイン面でめちゃくちゃ苦労してたんです。あとは仕事でもデザイナーさんとコミュニケーションを取る機会が多くて、「ここをちゃんと理解できれば、もっとスムーズにやり取りできるのに」って思うことが多くて。Senna: 確かに。最近だとFigma筆頭に、エンジニアとデザイナーが一つのツール上でやり取りするのも当たり前になってきてますしね。そういう意味では、UIを学ぶエンジニアも今後どんどん増えていくのかなって気がしてて。でも正直、エンジニア歴5年の人が今さら半年UI/UXを勉強して意味あるのかな?って思う人もいると思うんですよ。僕も以前はそう思ってましたし。Kojiken: いや、むしろ基本すら学んだことがなかったので、自分にとってはすごく意味がありました。エンジニアとしてはずっと、デザイナーさんが作ったデザインをもとに、それに従って開発するっていう流れだったので、UI/UXの視点を持って全体を考える経験は初めてでした。だからもう、学ぶことだらけで、本当に新鮮でしたね。エンジニア経験者がUI/UXを学ぶ意義Senna: これ、Yutoさんの時にも同じことを言ったんですけど……ビザ目的でカレッジを選ぶ場合、やっぱり一番長いコースを選びがちなんですよね。ビザに余裕があれば、1年〜1年半のプログラムで、コープがさらに長く付いてくるようなWeb系のコースが多いじゃないですか。で、Web系で3〜4年の経験がある人がそういうコースに行って、「何も学ぶことがなかった」って言いながら卒業していくパターンも結構多くて。だから僕もそれに慣れちゃってて。Yutoさんのときも、Kojikenさんのときも、「有意義な期間だった」って言ってもらえると、正直どうリアクションしていいか分からなくなるんですよ(笑)。「マジ?」ってしか言えないというか。なので、むしろ教えてほしいんですけど、エンジニアとしてバリバリやってきた人が、英語でUI/UXとかデザインを学ぶって、実際キャリア的にどう活きてる実感があります?Kojiken: いや、もうまさに今、実感してますね。僕、今スタートアップで働いてるんですけど、まだまだ人数が少なくて、スピードがものすごく求められる環境なんです。で、ありがたいことにAIツールも自由に使える会社なんですけど、基本的にはFigmaとAIコードエディターを連携させて、まずはプロンプトを投げてコードを生成する、っていう流れで開発してるんですね。Senna: へぇ、面白いですね。Kojiken: ただ、AIが返してくるコードって、Figmaのデザインと100%一致してるわけじゃないんですよ。でも逆に、「あれ、これFigmaより良くない?」って思うこともあって。で、そういうときに、UI/UXを学んでいたおかげで、「これはアリ」「これはナシ」って、自分で判断できるようになってきたんです。それをデザイナーさんに見せると、「むしろこっちの方がいいね、それ使おう!」みたいな感じになることもあって。だから本当に、AI時代だからこそ、エンジニア自身がデザイン面でも判断できる力を持っていると、圧倒的にスピード感を持って開発できるんだなって実感してます。Senna: なるほど。つまり、ただAIに頼るんじゃなくて、その出力に対して「何が良くて何が悪いのか」を自分で判断できる“審美眼”みたいなものが身についた、っていうことなんですね。Kojiken: まさにそうですね。そこが一番大きい気がします。カレッジでの充実した学習期間Senna: 実はずっと思ってたんですけど、半年のコースってどうなんだろうなって。ビザの事情がなかったとして、実際どうでした?半年って短くなかったですか?Kojiken: いや、ちょうどよかったですね。Senna: 本当に?Kojiken: むしろ、これ以上長かったら飽きてきたかもです(笑)。Senna: なるほど、それ大事ですよね。たしかに8ヶ月目あたりから「もう学ぶことないんですけど…」みたいな空気になる人いますしKojiken: そうですね、学ぶには本当にちょうどいい期間だったと思います。Senna: やっぱりそれって、エンジニアとしての現場経験があるからこそ、半年の学びが濃く感じられたのかもしれないですね。ちなみにUI系に進む人ってそこまで多くない印象があるんですけど、日本人のクラスメイトは何人くらいいたんですか?Kojiken: 日本人は7人くらいですね。Senna: クラス全体では何人くらい?Kojiken: 正確じゃないですけど、たぶん30人くらいいました。Senna: へえ、けっこう多いですね。で、みんな仕事は見つかってる感じですか?Kojiken: いや、それがあんまり聞かないんですよね。Senna: やっぱり半年だけってなると、現実は厳しいですよね。Kojiken: そうですね。経験者は僕とYutoさんと、あともう1人コロンビア人のエンジニア出身の方くらいでした。あと1人UI/UXを学んでた人がいたんですけど、その人はプログラムが終わったら帰国しちゃって。Senna: なるほど。じゃあ本気で海外就職を目指した人って、そんなに多くなかったんですね。Kojiken: はい。半年で終える人もいれば、途中から延長して1年に切り替える人もいました。1年通う人のほうが、「こっちで本気で就職したい」という意志が強い感じでしたね。Senna: あー、なるほど。まずは半年「お試し」で入って、良さそうだったらさらに半年延長して本腰入れる、みたいなスタイルもアリなんですね。途中で切り替えるのも柔軟にできると。Kojiken: そうですね、意外とそれができる感じでした。Senna: なるほどね。なんか学校の話ばっかり聞いちゃってすみません(笑)。Kojiken: いえいえ。あと、めちゃくちゃプレゼンが多かったです。Senna: あ、それ良かったんじゃないですか?むしろ。Kojiken: 良かったです。プレゼン力も鍛えられました。Senna: エンジニア系のコースって、意外とプレゼンの機会少ないですもんね。もちろん日本の学校と比べれば多いけど、とはいえ「こっちで通用する力」ってなると、やっぱりプレゼンやコミュニケーションの部分って大事ですし。そういう意味でもUI系に行ったのは正解だったかもですね。Kojiken: 授業外の時間もかなり使って勉強してました。授業で紹介されたGoogleのマテリアルデザインとか、Appleのヒューマンインターフェースガイドラインとか、概要だけじゃ物足りなくて、自分で詳細まで読み込んでました。Senna: すごいですね。完全に好奇心ドリブンですね。Kojiken: あと、課題が多くて。1〜2週間ごとに、簡単なプロダクトをデザインする課題が出るんです。で、その過程で「AirbnbってなんでこんなにUI整ってるんだろう?」みたいに、いろんなウェブサイトを新しい視点で見るようになってすごく勉強になりました。Senna: うわー、それ面白そう。俺も通ってみようかな……最近ちょっと暇で(笑)。ずっとUIUXとかやってみたいなって思ってたんですよね。Kojiken: いや、本当におすすめですよ。学びも多かったし、気づきもたくさんありました。Senna: なるほどね。ありがとうございます、めちゃくちゃ参考になります!就職活動の開始と戦略Senna: じゃあ、カレッジの期間中、半年間はかなり充実していた印象ですけど、実際、就職活動っていつ頃から始めたんですか?そこ、僕ちゃんと聞いたことなかったなと思って。Kojiken: 始めたのは2月の後半くらいですね。Senna: あ、なるほど。8月に渡航されたんですよね。ってことは、2月後半ってもう授業の終わりが見えてきたタイミングか。Kojiken: そうですね、まさに終盤でした。Senna: ということは、もう本当に順当に「そろそろ就活だな」ってタイミングで動き始めたって感じですね。Kojiken: はい、そんな流れでした。Senna: 実際どうでした? 就活やってみて。Kojiken: いやー、運が良かったなと思います。Senna: いやもう、それみんな言うんですよ(笑)。100人に聞いたら99人は「運が良かった」って言います。でも実際、何社くらい応募したんですか?Kojiken: 12社くらいですね。Senna: えっ、12社!? めちゃくちゃ少ないじゃないですか(笑)。革新的な就職活動戦略:クローンサイト制作アプローチSenna: ちなみに、Frogメンバーの報告によると2〜3月は返信率低かったって話を聞いていましたが、そのへんのエピソードもぜひ聞いておきたいです。Kojiken: 実は就活を始めて3社目で内定まで行けたんですよ。Senna: えっ、マジで!? そんなに早く?Kojiken: はい。でも結局、その会社から契約書が届かなくて、連絡も取れなくなってしまって……。それを待ってる間に、もうコープが始まりそうなタイミングになっちゃって。それで就活を再開して、何社か応募して、今の会社に決まったって感じです。Senna: なるほどね。最初に決まったと思って待ってたら、契約書が来ないまま音信不通になっちゃったんですね。意外とそれ、珍しくないパターンなんですよね。Kojiken: そうなんですね。契約書来ないかなーって、ずっと様子見してしまってました。Senna: そっか、で、その頃ちょうどファイナルプロジェクトとかも重なってたんですよね? 学校の。Kojiken: そうです、ちょうどそんなタイミングで。Senna: それにしても、10数社しか応募してないって、Frogの中でもかなり少ない方です。で、結果的には12社中2社から内定をもらったってことですよね?Kojiken: はい、そんな感じです。あともう1社、面接は通ったけど手応えがないところもありました。Senna: でも確率だけ見ると6分の1で内定って、かなり高確率ですね。それだけ選んで応募してたってことですよね?Kojiken: そうですね。自分の場合はスキルとマッチしてるところにだけ応募してました。で、反応があった会社には全力で準備して、時間をかけて対応してました。Senna: 例えばどんな?Kojiken: 面接の中で「今こういうサービス作ろうとしてるんだよね」みたいな話をされたんです。で、「技術的にこういう課題があるかも」って言われて、それなら作って見せてしまおうと思って。クローンサイトみたいなのを自分で作って、送りました。Senna: それはデカい! 見せる資料があると説得力が段違いですよね。Kojiken: 今の会社も、最終面接でその会社のサイトのクローンを作って見せました。「こういう風に自分だったら改善する」とか、そういう提案込みで。Senna: なるほどね。それって、よくあるマスアプライのパターンと真逆のアプローチですよね。一社一社をちゃんと見て、準備して、提案していく。そんな手間かけられないっていう人が多い中で、Kojikenさんはかなり丁寧に進めていったんですね。Kojiken: 吟味を重ねたってほどじゃないですけど(笑)、求人要項を見て「ここスキル合いそうだな」ってところにだけ送ってました。反応があったら、その会社で受かるためにできることは全部やろうっていうスタンスでしたね。Senna: クローンサイトを作るっていっても、当然その会社の内部までは見えないから、ある程度は想像でやるしかないわけですよね。Kojiken: そうですね。ブラウザの拡張機能で、そのサイトがどんな技術使ってるかをざっくり調べたり、求人票に書かれてる技術スタックを参考にして、「こういう構成かな」って仮定して作ってました。Senna: 最近だとClaude Codeに「サイトの構造を把握する」機能が付いて、あれ使えばもっと精度高く作れますよね。社内でどんな課題抱えてるかを推測して、提案まで持っていくっていう。でも、それでも実際にやってる人って少ないんですよね。Kojiken: そうですね。作ってる過程で「このリクエスト無駄に多いな」とか見えてくるんですよ。で、「なんでこのAPIこんなに叩いてるんだろう?」とか、逆質問として聞こうかなと思ったりもしたんですけど、結局聞かなかったですね。ただ、聞かれたら答えられるようには準備してました。Senna: 素晴らしいです。それ、めっちゃ面白いやり方ですね。やっぱり、英語がネイティブじゃない僕たちにとっては、「口で伝える」より「実際に見せる」ほうが説得力があるって、間違いなくあると思うんですよ。Kojiken: まさにそれです。言葉では勝てないなって思ったんで、だったら「見せるしかない」って。それが一番伝わると思ってました。実際の面接体験Senna: いや、いいですね。それは本当に、心の支えになる人多いと思いますよ。Frogに相談に来る人の中にも、「英語でのコミュニケーションでネイティブにはどうしても勝てない」とか、他のFrogメンバーと比較して「あのコミュ力お化けには叶わない」とか、そういう悩みを抱えてる人が多いんです。でも、別に声が大きくなくても、ちゃんと勝てる方法はあるし、Kojikenさんのやり方みたいなのが、これからのスタンダードになっても全然おかしくないなって思います。Kojiken: そうですね。とはいえ、けっこうバクチ感ありましたけど(笑)。Senna: いやいや、でもバクチ感でいったら、何百社にマスアプライする方がよっぽどバクチじゃないですか(笑)。それに比べたら、ちゃんと調べて、提案して、っていうKojikenさんの方法は、むしろ理にかなってると思いますよ。ほんと素晴らしいです。ちなみにもうちょっと深掘りしたくて。さっき面接まで行ったのが3社って言ってましたよね?Kojiken: はい、そうですね。Senna: で、そのうち2社は最終面接まで行ったと。ほぼオファー寸前だったってことですよね。1社は契約書が来なかったパターンで。じゃあもう1社、落ちた会社の話も軽く聞いてみたいんですけど、そこはどんな面接だったんですか?Kojiken: そこはHRの方との面談でしたね。軽めの内容で、現状のステータスを聞かれたり、自己紹介したり、「何か質問ある?」みたいな、いわゆるスクリーニング面談って感じでした。でも、そのまま落ちちゃいました。現在の職場環境とAI時代の開発Senna: 結局、今働いてる会社って、何人くらいの規模なんですか?Kojiken: 今は6人くらいですね。Senna: 6人か、かなりコンパクトですね。まさにできたてホヤホヤのスタートアップって感じですね。改めてになるんですけど、どういった会社で、Kojikenさんはどういう役割を担ってるんですか?Kojiken: ファウンダーがキックボクシングの元世界チャンピオンでして(笑)。格闘技や柔術、ヨガなどの動画を配信するプラットフォームを開発している会社です。オフィス内にスタジオがあって、先生の方のレッスン動画を撮影し、それをプラットフォームで配信する仕組みになっています。Senna: すごいですね、ファウンダーむちゃくちゃ強そう(笑)Kojiken: 実際は、すごくにこやかで柔らかい雰囲気の方です(笑)。今はベータ版を公開中で、最近マーケティング担当も入って、これから本格的にプロモーションを仕掛けていくフェーズですね。Senna: 面白そうなプロダクト!カナダでの初めてのキャリアとして、かなりスタートアップな環境に飛び込んだわけですが、Kojikenさんのポジションとしてはどういう立ち位置なんですか?Kojiken: エンジニアが僕を含めて2人だけで、もう1人の方はモバイルに強い人なので、自分は主にWebまわりを担当しています。フロントもバックエンドも、インフラも含めて、全般を見ていく感じですね。Senna: なるほど、フルスタックで。ちなみに働き始めて今どのくらい経ちました?Kojiken: ちょうど3週間です。Senna: おお、本当に先月入ったばかりなんですね?まだ日が浅いとは思いますが、実際に働いてみて、今のところどんな感じですか?Kojiken: 最近のスタートアップに入った人は皆感じてるかもしれないんですが、やはりファウンダーがAIに対する期待値がすごく高くて。「AI使えば開発なんてすぐできるでしょ?」みたいなノリで、GoogleやOpenAIのデモのイメージを持ってるんですよね。それで、自分が出した開発スケジュールに対して「もっと早くできるんじゃないの?」みたいな疑問を感じられていて、それを英語で説明するのがなかなか大変です。Senna: それ、めっちゃ分かります。これからAIに対する“期待”だけが先走って、そういう企業がどんどん出てくると思います。でも経営側がそれを鵜呑みにして「なんでもできるんでしょ」ってなっちゃうと、現場は混乱しますよね。Kojiken: 今までに比べたら、確実に開発スピードは上がってる実感はあるんですけど……逆に「もっと速く」っていうプレッシャーがこれから先もっと来るのかと思うと、ちょっと不安もありますね。Senna: 分かります、それ。僕も最近また開発側に戻ってやってて、同じこと思ってますよ。で、厄介なのが、僕の場合は経営側でもあるし、自分で開発もある程度できちゃうんで、「1日でプロダクト作ってローンチしたろか」みたいなマインドになっちゃうんですよ(笑)。それを止めてくれるのがパートナーとかだったりするんですけど、やっぱり経営者がそのテンションで「AIで全部すぐできるでしょ?」って言い出すと、現場はたまったもんじゃないですよね。Kojiken: 本当にそう思います。今って、まだ答えが見えてない段階じゃないですか。AIをフル活用する前提でソフトウェアアーキテクチャや開発プロセスを変えていかないと限界があると感じています。既存の開発の延長でスピードだけ上げていくとなると現場のエンジニアがどんどんしんどくなっていく気がしてます。Senna: うん、スタート段階から「AI前提」でルールやガイドラインがきっちり定まってるならまだしも、それが曖昧なまま走り出すと絶対どこかで歪みが出ますよね。海外生活と日本との違いSenna: いやー、じゃあ今はなかなか大変なフェーズにいらっしゃるわけですね。ところで、日本で5年間働いてからのカナダ移住という形だと思うんですが、日本と海外で働いてみて、何か気づいたことや違いってありますか?Kojiken: そうですね。まず、日が長いのはいいですね(笑)。Senna: あー、なるほど。確かに夏は夜9時くらいまで明るいですもんね。Kojiken: 仕事終わった後にまだ外が明るいっていうのが、すごくメンタル的に効いてる感じがして。Senna: でも冬になったら、こっちは5時には真っ暗ですよ(笑)。って、去年の8月に来られたKojikenさんは知ってますよね。Kojiken: はい(笑)。でも働き始めがちょうど日が長い時期だったので、今は気持ち的にすごく助かってます。Senna: ですよね。9月くらいまでは全然大丈夫ですからね。いいタイミングでしたね。それで、日本と海外での働き方の違いとかって、今のところ何か実感してることあります?Kojiken: そうですね。前職は日本でそこそこ大きな会社にいたので、その時と比べてですが、やっぱり意思決定のスピード感が全然違いますね。ファウンダーも「このAIツール使ってみたら?」みたいにどんどん提案してくるし、マーケティングの人も新しいツールをバンバン使ってる。とにかく実行が早い。Senna: そこはまさにスタートアップの良さですよね。「使えるものは全部使う」っていう。ちなみに他のエンジニアの友達とか、周囲の話も含めて、日本と海外の違いで気づいたことって何かありますか?もちろんスタートアップと大企業の違いもあると思いますけど。Kojiken: 正直、まだ他の会社の話をちゃんと聞けてないんですよね。ただ、今の会社ってすごく多国籍で。ファウンダーはイラン出身、エンジニアにはロシアの方もいて、中国の人もいる。バックグラウンドはバラバラなはずなんですけど、意外と「違うな」と感じることは今のところ少ないです。Senna: ああ、それはわかります。最初は「考え方も文化も全然違うのかな?」って思うけど、働いてみると意外とそうでもないですよね。Kojiken: そうなんですよ。もっとカルチャーショックがあるかと思ってました。ただ、日本人同士だったら、なんとなくのニュアンスとか“阿吽の呼吸”みたいなものが通じる部分があるじゃないですか。でもこっちだとそういうのは当然ないので、ちょっと大変だと感じることもあります。Senna: そうですよね。その「空気を読む」みたいな文化は海外にはほぼないですもんね。逆にそこを手放すのには時間がかかる。Kojiken: 例えば、「Good job」って言われた後に、「でもこの見積もりってAI使ってたらもっと早くできたんじゃないの?」みたいに言われることもあって……。「本当にGood jobだったと思ってる?」って、つい考えちゃいます(笑)。Senna: あー、それはある(笑)。でもそれって、日本語でも同じですよね。「なんか今褒めてたけど、本音どうなの?」って。Kojiken: たしかに。言われてみればそうかもです。Senna: いやでも、これからAIファーストな会社がどんどん出てくる中で、そういう葛藤を抱える人は絶対増えますよね。Kojiken: そうですね。でも今、まさにその最前線にいられるのは、ある意味いいチャンスだなと思ってます。自分としては、前向きにやっていきたいなと思いますね。グラウスマウンテンでのスノボ写真これから渡航される方へのメッセージSenna: さて、このアドバイスのパートまで読むような方は、間違いなく本気度高めの層だと思いますが、何かこれから渡航される方にアドバイスなどはありますか?Kojiken: そういう方に伝えたいのは……ほんとに「Frogの説明会、行きましょう」ってことですね。Senna: おぉ、そこ?(笑) でも、それでいいのかな?Kojiken: はい、自分自身もそうでしたけど、本当にあの説明会で背中を押されたんです。正直、それまでなかなか一歩踏み出せなかったんですけど、「今動かないと間に合わない」って逆算できたのが、すごく大きかったです。Senna: なるほど。その「逆算しなきゃ」っていう考え方も、説明会で初めて知ったような感じですか?Kojiken: はい。情報を得て初めて「自分がどのタイミングで何をすべきか」が明確になったんです。Senna: 素晴らしいですね。じゃあ、最後に伝えたいアドバイスとしては「Frogの説明会に来ましょう。Canadian Dreamに参加しましょう」ってことで(笑)ビザ制度の変化と対応Senna: ちなみに、他に言い残してることとか、今のうちに伝えておきたいことあります?Kojiken: そうですね……やっぱり「ビザ周りは本当に変わりますよね」っていうのは強く感じます。Senna: ほんと、それ。もうルールがコロコロ変わるんですよね。Kojiken: 自分も、もともとは妻がワーホリでカナダに来ていて、自分はその配偶者ビザ(オープンワークパーミット)で滞在しようと思ってたんですけど……その制度も変わっちゃって使えなくなってしまいましたし。過去の情報が本当に当てにならないなと。Senna: いやー、そうなんですよね。最近だと「ワーホリ2回OK」とか、制度変更も多いですし。Kojiken: ですよね。「だったら行けたのに!」って思ってる人、絶対多いと思います。僕も今、年齢上限がもう少し引き上がらないかなーって、地味に期待してます(笑)。Senna: わかります(笑)。一応、もしワーホリ期間中に就労ビザが出ないってなった場合でも、RO(Recognized Organization)枠なら35歳まで申請できるんで、ギリギリまで粘れる道はあります。ただ、あれ枠が少ないので、ほんとに早く動かないと厳しいですね。だから、もし今後「どうしようもないかも…」って思うような状況になったら、遠慮せず言ってください。一緒に最善を尽くしましょう。Kojiken: ありがとうございます。なんか、まとまりのない話ばかりですみません。Senna: 全然大丈夫ですよ。いつもこんな感じですから(笑)。引き続き、よろしくお願いしますね。何かあったらSlackのDMでも何でも、気軽に連絡してください。Kojiken: はい、ありがとうございます。Senna: 今日は本当にありがとうございました!皆さんいかがでしたでしょうか。インタビューを通じて強く感じたのは、Kojikenさんが徹底して「選択と集中」にこだわっていたことでした。応募した企業はわずか12社。それでも2社からオファーを得られた背景には、企業の技術スタックを読み解き、クローンサイトを自作して提案資料として提示するという、英語力のハンディをアウトプットの質で埋める実践的な戦略がありました。さらに、半年の UI/UX 学習で手に入れた審美眼は、AI が生成するコードを即座に取捨選択できる判断軸となり、スタートアップの開発スピードを支えています。ビザ制度が目まぐるしく変わる昨今に、Frogの説明会で得た最新情報から逆算して行動した事実は、「動き始めるなら今」というメッセージそのものです。海外キャリアには予期せぬアップデートとプレッシャーがつきものですが、環境の変化をチャンスに変えるKojikenさんの姿勢が、次の挑戦を考える読者の背中を力強く押してくれることでしょう!

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インタビュー

業界経験4年目からカナダで即フリーランス業務を獲得しフルタイムへ、転職も間近という理想キャリアの歩み方

日本で4年ほどの開発経験を積み、カナダ・バンクーバーの私立カレッジCICCCに留学したYutoさん。渡航後まもなく、Upwork経由で初めての海外案件を受注。その実績をもとに継続的な契約を獲得し、就学中にフルタイム雇用へと繋げられました。さらに、元々はワーホリだけで現地就職予定だったYutoさん、直前でFrogの説明会を経てプランを変更し、ビザの猶予期間が十分に残っており戦略を持って臨んだ結果、2社目の現地企業からオファーを受け、現在は転職直前のタイミングにもあります。Yutoさんの実践的なアプローチには元々あった行動力はもちろん、即座に方向修正し、柔軟な思考で現状を楽しむ姿勢には、これから北米での就職を目指すエンジニアにとってのリアルな学びが詰まっています。Senna: では今日はよろしくお願いします。Yuto: はい、よろしくお願いします。Senna: Yutoさんは以前実はFrogのYouTubeの方にも1回出ていただいたっていうのもあるので、そちらを見て頂いた方には不要かもしれませんが、改めて自己紹介お願いできますか?Yuto: そうですね。日本で4年ほどWebのフロントエンドを主にやっていて、こっちに渡航したっていう感じですね。Senna: フロントエンドの人でしたっけ?Yuto: そうです。一応バックエンドをやったりとかPMやったりとかもちょっとあったんですけど、主にフロントエンドで、元々こっちでアプライしようと思ったっていう感じですね。Senna: なるほどですね。ちなみに日本での話をするんだったら、大学とかって学校は結構エンジニア系の人ですか?Yuto: いや、全くエンジニアじゃなくて、早稲田の文化構想学部っていうところ出身で、本当に文系の学部なんです。Senna: なるほどですね。こっちに来た時は業界経験は4年でしたよね。ちなみに日本の会社って僕とか知ってる会社ですかね?Yuto: いや、そんなめちゃめちゃ大手ではないですね。大手のグループ企業みたいな感じですね。Senna: ポジションはフルスタック寄りですかね。こっちの就活はフロントエンドで行ってたんですか?Yuto: そうですね。基本的にはもうフロントエンドでやってましたね。Senna: なるほどですね。やっぱなんだかんだ言ってフロントまだまだ多いよね。Yuto: フロント多いですねー。学校とか行ってもフロントの人ばっかりで、バックエンドの人はたまにしか見かけませんね。海外を目指したきっかけSenna: 日本で文系の学校を出て日本で4年くらい働いている中で、何かしらのきっかけがあってカナダ行こうってなると思うんですが、海外行こう、カナダ行こうとなった経緯とかきっかけが何かあったら教えてください。Yuto: もともとエンジニアになったのが海外で生活をするためでした。大学2年生の時にワーホリでオーストラリアとニュージーランドに留学に行きました。帰ってきた時点で、絶対海外で就職しようと思って。何がいいかなって考えた時に、永住権が取りやすいっていう観点で職種を考えてました。デザイナーとかライターのフリーランスもやってみたんですけど、全然自分に合っていなくて。Senna: それでエンジニアに?Yuto: エンジニアやってみて、めっちゃ面白いってなって、もうその時からですね。だから海外へという気持ちで言えば、結構前からになります。Senna: それって年としてはいつ頃?大学とか社会人とか。Yuto: そうですね、たぶん20とか21ぐらいですかね。Senna: そうなんですね。この後喋るかもしれないけど、カナダに来た時から英語は結構得意でしたもんね。Yuto: そうですね、基本的に英語の問題はそんなにないかなっていう感じです。Senna: それはじゃあ、さっきお話しあったオーストラリアとニュージーランドでのやっぱり経験が大きかったってことですかね?Yuto: そうですね。Senna: でもオーストラリア、ニュージーランドにワーホリで行くっていうのも、もともと興味があったのかなって思いますが、そんなこともない?Yuto: いや、中学3年生の時に修学旅行でイギリスに行って、それまでは興味がなくて、そこでめっちゃいろいろ喋ったりして、全く英語は喋れなかったんですけど、身振り手振りでコミュニケーションして、それがめちゃくちゃ楽しかったんです。それがターニングポイントっていう感じかもしれないですね。Senna: イギリスか。中学校とか高校で海外に行くと、何も通じなくて海外怖いってなるパターンもありますけどね。Yuto: 結構分かれますよね、どっちになるか。Senna: Yutoさん的には超楽しかったってことですね。Yuto: もうめちゃくちゃ楽しかったですね。Senna: 素晴らしい。イギリスっていうことは、ブリティッシュアクセントに憧れとかある方ですか?Yuto: いや、全くないです。Senna: あ、そうなんだ。カナダを選んだわけSenna: では次にカナダという選択肢についても聞ければと思うんですが、さっきビザが取りやすいという話はあったと思います。ただ、他にもいろいろ選択肢はあったと思うんですよね。オーストラリア、イギリス、ニュージーランド、もちろんアメリカも含めて。その中でカナダという選択肢に至った理由は?Yuto: やっぱりビザが一番大きい理由ですね。ドイツもちょっと考えてましたし、もともとはニュージーランドで永住権取りたいと思ってたんですが、すでにワーホリを使ってしまっていたので、最初から就労ビザを取るのは難しいなと思って。Senna: なるほどね。Yuto: ドイツはベルリンだったら英語だけでいけるって話を友達から聞いてたんですけど、実際には募集要項に「ドイツ語も少しは話せること」って大体書いてあって。時間を語学に使うより、技術力を高めたいと思って。あと、ニュージーランドとカナダって自然があって、都市部もあるところが似てるかなと思って。バンクーバーならちょうどいいなと。Senna: なるほどね。シンプルに僕がニュージーランドに詳しくないだけだけど、例えばカナダでいうCoopやポスグラみたいな、外国人が働きやすい制度ってニュージーランドにはなかったんですか?Yuto: 僕が知る限りニュージーランドにはなかったんじゃないかと思います。自分が知らないだけかもしれないですけど、ニュージーランドには有名な方が1人いて、向こうでエンジニアとして就職してPR取ったっていう人がいたんですけど、その人も3年か4年くらい学校に行かれていたそうなので。Senna: なるほどね。まあでも、やっぱりワーホリを既に使ってしまってたっていうのが大きかったということですね。Yuto: そうですね。Frogに相談して急転直下のプラン変更Senna: ありがとうございます。じゃあそういった選択肢はいろいろありつつ、最終的にカナダに決めたということかなと思いますが、その時点でFrogには連絡いただいたんですかね?Yuto: 実はカナダ渡航を考えた時はFrogを使って渡航する予定じゃなかったんです。正直留学を考えだしたタイミングはFrogのことをよくわかってなくて。なので、最初は特に誰かに相談することもなく、ワーホリだけでPR(永住権)を目指すつもりでした。Senna: そうだったんですか?Yuto: で、渡航の飛行機も取って、こっちに来る1ヶ月前ぐらいのタイミングで「一応聞いてみようかな」と思ってFrogに相談してみたら「いや、流石にそれはやばいのでは?」って言われて(笑)「うわぁ、マジか、楽観しすぎてたわ」と思って、とりあえず学校行くかって決断して学校に通うことにしました。Senna: 一ヶ月前って急転直下過ぎる(笑)Yuto: 時期としては2024年の3月にはもう飛行機を取っていて、仕事も辞めており「よし行くぞ」と思ってたタイミングだったんですよ。で、時間ができたので「ちょっと連絡してみようかな」って思ったら、「おーやべえやべえ…」ってなって(笑)Senna: 「おーやべえやべえ」で済むのか(笑)Yuto: でどう考えても予算オーバーするので、家賃を浮かすためにタイに行くかってなって、タイとベトナムに行って、日本からフリーランスの仕事をもらいながら3ヶ月だけ働いて、学校が9月からだったので、それまでフリーランスやりながら、家賃浮かせながら楽しみながらって感じでやってました。Senna: 臨機応変さがすごい、よくそんな柔軟に動けましたね。Yuto: いやー、本当に運がよかったです。何回「金が尽きる…」って思ったかわかんないですけど。Senna: ちょっとタイムラインを整理させてもらうと、3月くらいにFrogに連絡いただいて、その時点ではもう会社も辞めてて「これは自分の計画だとなかなか大変そうだな」って気づいたってことですよね。ワーホリだけだとちょっときついかもって思って、そこからカレッジに申し込みし直したと。で、なんでタイとベトナム?Yuto: もともとエンジニアになってやりたかったのが、永住権を取ることと、東南アジアで仕事しながらバックパッカーすることだったんですよ。で、カレッジ入学のタイミングまで時間があったので「ちょうどいいタイミングだな」って思って。Senna: 逆に急なプラン変更がいいタイミングになったと。Yuto: そうですね、そんな感じです。Senna: ちなみに、その時の気持ちを思い出して教えてほしいんですけど、どの辺で「これは厳しいな」って思いました?今、特にワーホリが2年間使えるようになるってニュースもあって、「ワーホリだけでいけそうだな」って思う人が増えてるんですよ。実際、僕らも「2年になったんだったらワンチャンあるかも」って思ってたぐらいで。Yutoさん的に、どのタイミングで「これは1年じゃきついな」と判断したんでしょう?Yuto: そうですね。自分はFrogのカウンセリングの時に結構具体的な状況を説明して質問させてもらって、実際のビザのポイント計算を一緒にしてもらった時ですね。ワーホリで就労して永住権に対して十分なポイントを得るためには、ワーホリのプランだと「1日目から速攻で働かないとポイント足りない」って状況だと判明しました。でも自分はわりと楽観視するタイプなので「観光ビザで3ヶ月あるし、その間に仕事見つけて、1日目から働けばいいか」ぐらいに思ってたんですけど、Frogはもちろんのこと他の人に聞いても「いや、それは難しいよ」って言われて、「まあ、そりゃそうだな」と(笑)Senna: なるほどね。でもそれは本当に早めに気づけてよかったですね。就労年数が全然足りなくて、ポイントが足りないって話は表に出てこないけど未だに多いですからね。Yuto: いや、本当そうですよね。ついて回ったお金の問題Senna: じゃあそういうのも含めて、最初はワーホリだけって考えていたけど、カレッジに切り替えるという判断をされたと。やっぱりお金も時間もかかるし、結構大きな決断だったと思いますが、その辺どうでした?Yuto: そうですね。お金は「あーやばいな」と思ったんですが、フリーランスでの収入が普通に働いていた時よりも少しよかったこともあり、固定費がかからないし、タイとか行けばなんとかなるかなと。それで「あれ?これ完璧じゃん!」って思って。東南アジアを巡ることにしました。Senna: へー、なるほどね。ということは、もともとの3月時点の予算感からタイとベトナムに行って、生活費を落としつつフリーランスやって、その間に学費分は稼げたってことですか?Yuto: いや、学費はもう4月に払わなきゃいけなかったんで、もともとワーホリで使うつもりだった費用を学校の学費に充てて、それで「このままだとカナダで生活するお金がないぞ」と思って、それで生活費を稼ぐために東南アジアに行ったという流れです。Senna: 面白いですねそれ。学費だけ払って生活費は東南アジアで稼ぐ、真似する人が増えそう(笑)Yuto: 絶対やめたほうがいいです。危なすぎます(笑)。Senna: 食いつなげるかどうかが博打ってこと?Yuto: そうですね。今回、仕事を得るために自分がいろんな博打を打ちすぎてて、参考になるのかすら怪しいです。東南アジアでフリーランスの仕事を探したんですけど、思ったよりもなかったですし。Senna: FrogのSlackにあるjob-searchとか見てると、日本の案件とかリモート案件が流れてきてるのを見て、「みんな簡単に見つかってるんだろうな」って思いがちなんですけど、実際には「リモートOK」とか書いてあっても「日本国内に限る」とか、「東南アジアからはNG」とかってのもありますもんね。Yuto: そうそう。やっぱり会社側としても、PCを海外に送るのはリスクだし、自前のPC使われるのもセキュリティ的に不安だっていう話、よく聞きます。Senna: で、そのフリーランスの仕事はすぐ見つかったんですか?Yuto: そうですね、めちゃくちゃラッキーでした。3週間くらいで見つけられたので、本当に良かったです。Senna: なるほど。じゃあ、東南アジア生活を経て実際にカナダに来たのは去年の8月末くらいってことですね?Yuto: はい。Senna: で、今もう仕事も見つかってるってことは…え、まだ滞在8ヶ月ってこと?Yuto: そうですね、先月の頭からフルタイムを始めたので、8ヶ月ですね。仕事しながらバックパッカーカレッジの評価は?Senna: あなたの通っていたコースはどちらでしたっけ?CICCC?Yuto: CICCCのUIUXです。Senna: あ、そうか、半年だけ通うやつか。Yuto: はい、そうです。Senna: だからか。なんか就職早いなって思ってたけど、そういうことだったんですね。もともとの計画としては「半年の学生期間+半年のCo-op+1年のワーホリ」みたいな2年計画で現地就職と永住権の足がかりを目指してたってことですか?Yuto: そうですね。Senna: なるほど。それでUIUXを選んだ理由は?Yuto: 逆にUIUXしかなくね?って思ってて(笑)ウェブ開発はもう日本でやってたし、もう一回やるのはつまらないと思って。だったら新しいスキルを得た方がいいし、フロントやってたので、そこから広げるならデザインが一番自然かなって。Senna: ちなみに、UIUXのコースを半年間振り返ってみてどうでした?つまんないとかなかったですか?Yuto: いやもう100点満点でした。Senna: マジ?ほんと、おめでとう!だいたいFrogの人だと「知ってることばっかりだった」とか「面白くなかった」とかカレッジ卒業生から聞かされまくってる身として、100点ってのはかなりレアですね。Yuto: いやもう最高でしたね。めちゃめちゃ勉強になったし、実際にフリーランスの仕事でFigma使ってデザインやらせてもらってるのもカレッジで学んだことが大きいです。アウトプット重視の授業で、質問もしやすいし、質問できる人にはすごく向いてるコースだと思います。Senna: なるほど。コミュニケーション得意な人とか、そういう人には特に良さそうですね。Yuto: はい。Senna: UIUXに関してはまた後でもう少し掘って聞いていきたいと思いますが、次の話題に入っても大丈夫ですか?Senna: 一応、半年とはいえCo-opのセクションがあるから、学校からの紹介とかもあんのかなと思いましたけど、仕事紹介とか特になかったですか?Yuto: 一応あるにはあるんですけど、やっぱり完全にデザイン未経験だと厳しいのかなって思いましたね。あと、実際に入ってみた感想としては、思ったより仕事紹介は少なかったという印象です。そこに頼ってた人も多かったと思うので、ギャップを感じていた人もいたかもしれません。Senna: UI/UXのコースについて、これはちょっと完全に僕の情報収集になるんですけど、日本人どのくらいいました?Yuto: 結構多かったですね。クラスが20人くらいだったんですけど、そのうち7人くらいが日本人でした。Senna: Frogの人たぶんあまりいませんよね?Yuto: そうですね。Frogのメンバーは自分と、もう1人Kenという人の2人だけでした。Senna: そうなんだよな。UI/UX系ってうちはどうしてもエンジニアが多いから、まだまだカバーできてない領域なんだけど、実は思ったより受講してる人がいるっていう話も聞いてて。Yuto: 一応UI/UXコースって1年コースもあるので、もしウェブ開発を選ぶ理由が「1年間あるから」ってだけなら、UI/UXでも全然ありだと思いました。Senna: それは面白い。エンジニアだったらある程度わかってる分野だから、「英語でやってもなんとなくわかるだろう」と思って、エンジニアのコースを選ぶ人も多いのかなと思うけど。Yuto: 確かに、それはありますね。Senna: でも、Yutoさんの場合はやっぱり英語の素養というか、もともとわかってた人だからこそ、新しい分野を英語で学ぶことに抵抗がなかったのかもしれないですね。Yuto: それはちょっとあるかもしれないですね。完全に知らない単語とか、日本語でも知らないような単語が出てくることもありますし。Senna: 今後UI/UXの受講もおすすめしてみようかなと思いました。エンジニア経験が日本にあって、英語もある程度できる人、あとはDiplomaがいらない人には特にいい選択肢かもしれないですね。Yuto: 間違いなくオススメです。渡航してすぐフリーランスの案件獲得Senna: ありがとうございます。またその辺も後でいろいろ聞かせてください。それで半年間の授業が終わって、その後は就活ですよね?この記事読んでる人やYouTube見てる人も気になるところだと思うんですが、Yutoさんはカナダに来てからすぐフリーランスとして働いてましたよね?あれはフリーランス?パートタイム?Yuto: こっちに来てからは、こっちの会社でフリーランスとして働いていました。Senna: あれ、確かUpwork(アップワーク)で仕事見つけたんでしたっけ?Yuto: そうです、そうです。Senna: それはかなり理想的なパターンですよね。こっちに来て、「仕事見つかるかな…パートタイムなんてあるの?」って不安に思う人多いけど、実際に行動して結果出してる人の話は本当に参考になります。実際やってみてどうでした?やっぱり仕事探し大変でしたか?Yuto: そうですね。自分も最初は「パートタイムってあるのかな」って思ってたんですけど、求人見たら本当に無くて。フリーランスもやらずに来てたので、ちょっと絶望しました(笑)それでもいろいろ足広げて、Upworkも試して、その一方でカフェの仕事も視野に入れたりして、いろいろ探してたんですよ。そんな中でたまたまバンクーバーの企業からオファーを貰えて「うわー耐えたー!」って感じでしたね。Senna: Upworkって、自分から応募するイメージなんだけど、オファーって向こうから来たんですか?Yuto: 基本的には掲載されているジョブに自分から申し込む形なんですけど、自分の場合は向こうからオファーが来ました。Senna: えーすごいね。デザイナー系だったら、ポートフォリオ見てオファー来るって話は聞いたことあるけど…エンジニアでもあるんだ。Yuto: めちゃめちゃポートフォリオ載せて、プロフィールのSEOも考えて、「このワードを入れればこのタグとマッチする」みたいなことを徹底的に分析してました。Senna: えーそれ、もし暇な時でいいからぜひFrogでも共有してもらえませんか?Yuto: 学校で一度ワークショップをやったんですよ。その時のノートがあるので、もし必要なら共有します!Senna: それはむちゃくちゃありがたい。質問多いんだよねその辺。Frogでも最近Upworkを紹介すること増えてるけど、「知ってるけど仕事が見つからない」って声が本当に多くて。「オンラインのポートフォリオどうすればいいの?」って聞かれることも多いから、もし反響多ければFrogのオフィスで勉強会やらせてもらえますか?Yuto: わかりました。Senna: ありがとう。やっぱりUpworkでも自己アピールの方法が鍵なんですね。Yuto: そうですね。YouTubeとかでも情報収集しまくりました。Senna: へー面白い。じゃあ、アピールしてから実際にオファーが来るまで、どのくらいかかったんですか?Yuto: 自分は本当に運が良くて、3週間くらいで1件目のオファーが来ました。でも基本的にはUpworkって、Upwork上での経験を重視されるんですよ。以前の正社員での実績とかは、あんまり見られないです。Senna: あー、なるほど。Upwork内で実績ゼロだと基本的に声かけてもらえないけど、Yutoさんの場合はバンクーバーにいる人を探してたクライアントで、たまたま条件が合って声がかかったと。Yuto: そうですね、本当にラッキーでした。Senna: でも、バンクーバーにいるUpwork利用者って結構いると思うんですよ。なんでYutoさんが選ばれたんですかね?Yuto: 実はそのオファーを受けるときに先方から質問50個くらいあったんですよ。最初やめようかと思ったんですけど、「これ全部答えたら逆にいけるんじゃないか」って思って。3時間くらいかけて全部答えました。Senna: すごいなー。50個ってなると作る側も大変だろうけど、それに全部答えたっていうYutoさんがすごいYuto: いやー、やってやりましたね(笑)Senna: で、そのフリーランスの仕事の内容ってどんな感じだったんですか?Yuto: 完全にウェブのフロントエンドと、Figmaを使ってデザインもやってました。授業と並行してたので、学んだことをすぐに実践に投入してましたね。アプリ自体はMVPのチャットアプリケーションで、WebSocket使ってDiscordみたいな感じのものを作る仕事でしたSenna: なるほど。スタートアップの本当の初期メンバーって感じですか?Yuto: そうです。社員は自分と社長の2人だけでした。Senna: それはレアケースですね。スタートアップ初期と言っても、普通は10人くらいはいることが多いから、まさかのマンツーマンでスタートだったとは。流れとしてはこっちに来たのが9月で、そこから3週間で仕事が見つかって、9月中にはもう働き始めてたってことですよね?Yuto: はい、そうです。フルタイムのための就職活動はSenna: で、今に至るわけだけど、その後ちゃんと就活もしてたって話でしたよね?Upworkだけじゃなくて、フルタイムの仕事を目指して動いてたと。Yuto: そうですね。2月にはFrogの履歴書イベントに参加して、そこでインプットとアウトプットの重要性を知り、詰め込みまくって。今までの経歴を全部英語で書き直して、履歴書のマスター版を作って、3月には応募しまくってましたSenna: 返事はありましたか?Yuto: 応募を始めた2~3月は全く無かったです。ただ、なぜか4月に入ってから、3月に応募した企業から一斉に返事が返ってきたんです。Senna: やはり!僕もびっくりしてXでも投稿しました!4月に謎の大量雇用が起こったんだよね。Yuto: 本当に謎でした。全く理由がわからなかったです。Senna: 俺も「Frogの代表なら何か知ってるでしょ?」みたいに言われるんだけどマジで理由がわからない(笑)Yuto: 本当にすごかったですね。Senna: そうですね。あのタイミングでちゃんと就活しておいて本当によかったですよね。こういう時期に就活してるかどうかってもはや運でしかないので。Yuto: 本当にそう思います。Senna: レジュメ会も参加されていたということですが、参加してみてどうでしたか?Yuto: めっちゃくちゃよかったです。結局自分もレジュメについては独学だったので、やるべきこと、取り組むべきことがかなりハッキリした非常に良い会でした。Senna: 僕自身もめちゃくちゃ勉強になりました。かなり実践的でしたよね。Yuto: そうですね。僕も前の職場の人にも話を聞きながらまとめ直して、しっかり取り組みました。Senna: ちゃんとレジュメ会でのインプットを受けて、それを実行に移されたってことですね。Yuto: はい、そうですね。Senna: よかったよかった。で、イベントの影響もあったと思うけど、Yutoさん自身の就職活動の頑張りも当然あったと思います。フリーランスのお仕事からフルタイムになり、3月に応募しまくって4月に一気にお返事が来たということで現在に至ると思うのですが最終的に仕事はどちらに決まったんですか?Yuto: そうですね。ちょっと流れがややこしいんですが、4月からもともとフリーランスでやってた会社でフルタイムとして働くことになって、今もその会社で働いているんですが、先ほどお話しした4月にお返事いただいた別の会社から新たにオファーをもらって、5月中旬からそっちの会社で働くことに決めました。Senna: そうか、フリーランスからフルタイムに移った4月の時点ではオファーはまだ来てなかったんですね。Yuto: はい、そのときは全然音沙汰なしの時期だったので、フリーランスからフルタイムに変わった時は普通に「やったー!」って思っていました。オファーが来たのはそのあとだったんです。Senna: タイミングと運も味方したんですね。Yuto: 本当にそう思います。全部ラッキーだったなって。Senna: でもね、Frogでこうやってインタビューしてる人、みんな「ラッキーだった」しか言わないんですよ(笑)でも、そのラッキーな時期に適切な場所と努力と計画をしていたということが重要だと思うので、運は前提ではありつつ、それだけの話でもないと思うんですよね。Yuto: ありがとうございます。Senna: さて、就活で具体的に何をしたのかっていう話も、ちょっと深掘りして聞いてみたいんですけど。結局、2月にレジュメ会に出て、履歴書をアップデートして、3月に応募しまくって、撃沈して、4月に返信が一気に来たっていう流れだったんですよね?Yuto: はい、そうですね。Senna: その中で他の人がやってなさそうなことって、何かありました?Yuto: 2つあるかなと思ってて、1つ目は応募の手段ですね。みんなLinkedInとかIndeedから応募する人が多いと思うんですけど、自分はその会社の公式サイトに行って、そこに書いてあるメールアドレスを見つけて送るっていうのをやってました。加えて、LinkedInでエンジニアやHRに直接申請してDMを送って、「リファラルください」と頼むようにしてました。それで実際に何件かリファラルもらったんですけど、そこからは決まらなかったですね。Senna: おお、素晴らしい。でも、リファラル経由では面接には繋がらなかったってこと?Yuto: そうなんですよ。1件も面接には繋がらなかったです。Senna: 最近、リファラルの効果って弱くなってる気がするんですよね。前だったら、「リファラル=30〜40%面接通過」くらいの感覚だったのが、今はもう「一次選考がちょっと有利になるかな?」くらいのもので。やっぱりリファラルが当たり前になってきてるのかもしれないですね。Yuto: なるほど…。Senna: まあ、そうは言っても、やれることは全部やるのが海外就職の基本ですしね。LinkedInでのDMも、公式メールも、「うざがられるかも」って思う人もいるみたいだけど、別に迷惑になるわけでも、禁止されてるわけでも無いので。Yuto: 自分もそう思ってやってました。「うざがられるかも」って考えるより、動いて認識される方が絶対にいいなと思って。Senna: 素晴らしい。オンライン応募+公式応募+LinkedInで接触って、三段構えで動いてたってことですね。Yuto: そうですね。Senna: で、2つ目のポイントは?Yuto: Jake's Templateっていう、アメリカとかカナダでも使われてるエンジニア用の履歴書フォーマットがあって、それを使いました。たぶんFrogメンバーのKeiさんが紹介してたやつです。Senna: Keiさんか!いろいろ発信してくれてましたもんね。Yuto: そうです。Jake's Templateを使って、最初は自分の工夫やこだわりを履歴書に書いてたんですけど、そこを全部やめて、1行ずつで実績を書く形式に切り替えたんです。「これをしたから、これが得られた」という成果型で、1ページにとにかく詰め込んだら、めちゃめちゃ反応が良くなりました。Senna: 素晴らしいね。Frogの中でもけっこうみんな使ってるんですねJake's Template。Yuto: 自分も紹介したら、「それ知ってるよ」って言われて、ちょっと恥ずかしくなって黙ってました(笑)。Senna: いやいや、それどんどん伝えてってください(笑)Keiさんが広めてくれた情報って、本当に連鎖してて、それで救われた人も多いと思う。Frogらしいエコシステムですよね。Yuto: そうですね。Senna: じゃあ、その2つの工夫が就活で大きな武器になったということですね。Yuto: はい。Senna: ちなみに、就活って言っても、言うほど長くはやってないですよね?どのくらいの期間でした?Yuto: 応募してたのは、だいたい3週間くらいです。1ヶ月なかったと思います。Senna: それが2月〜3月くらい?Yuto: はい、そうです。Senna: その間もフリーランスの仕事は続けながらだったわけですし、レジュメ会とも丁度時期が被ってたってことですね。仕事内容についてSenna: お仕事内容も少し触れていただきましたけど、最初に話されていたDiscordみたいなやつ作ってたっていうのから、内容は変わったりしてるんですか?Yuto: サービス自体は変わってないです。ただ、もともとバックエンドとインフラを担当していた別のフリーランスの方がコストの都合で契約終了となって、その業務も自分が引き継ぐ形になりました。Senna: え、じゃあインフラもバックもフロントも全部Yutoさんがやってるってこと?Yuto: はい。でもスキルも伸びるし、やりがいがあるので楽しくやってます。Senna: スタートアップならではの経験ですよね。ジョブディスクリプションにとらわれず、いろんな業務に関われるというのは。Yuto: 本当にそうですね。Senna: チームって5人くらいでしたっけ?その構成ってどんな感じなんですか?Yuto: 自分以外に3人がいて、その方たちはデータのスクレイピングやパイプライン構築を担当しています。もう1人がPM兼エンジニアのボスで、ウェブ開発は自分一人で担当している形です。Senna: ビジネスモデル的にはどういった領域の会社なんでしたっけ?Yuto: ヘルスケア系のSaaSです。複数のチャネルに散らばっている医療情報を集約して表示するようなツールを作っていて、ニュースとチャットを組み合わせたような、ディスコードとポータルサイトの中間のようなサービスですね。Senna: なるほど。ヘルスケア関連の情報を一元管理するようなシステムですね。確かに少し大きめの会社からすると便利かも。Yuto: そうですね。入社パッケージとかに含まれる保険や福利厚生の情報がバラバラに存在していて、見づらいっていう課題を解決するようなイメージです。Senna: 面白いですね。じゃあ、今後取り組んでみたい業務やチャレンジしたい領域ってありますか?Yuto: そうですね。来月から新しい会社に移るので、そこではデザインシステムの部署に入ることになってます。今まではUIそのものを作ってきたんですけど、今度は共通コンポーネントや再利用可能な設計をしていく仕事になります。Senna: おお、より設計寄り、アーキテクチャ寄りなフロントという感じですね?Yuto: そうですね。なので可読性が高くて拡張性のあるコードを書くことをもっと意識しないといけなくて。コードの質を高めつつ、デザイン側も尖らせていきたいと思ってます。Senna: 素晴らしい。ちなみにその会社はどんな会社なんですか?Yuto: 受託系の開発会社で、いろんな企業のプロジェクトを請け負ったり、自社サービスもいくつか持っている会社です。正式名称はちょっと長いんですけど、「Pacific Programming & Tech」という会社です。社員数が50〜200人規模の会社なので、スタートアップよりは安定感もあるし、待遇も良かったです。Senna: で、ここの会社でのお仕事が来月、つまり6月からスタート?Yuto: はい、そうです。Senna: じゃあ今働いてる会社は…?Yuto: 今月15日までで一旦フルタイムとしての契約を終了して、その後はパートタイム/フリーランスとして継続する予定です。Senna: え、じゃあ新しい会社のフルタイム+今までの会社のパートタイムってこと!?Yuto: はい、その通りです(笑)。Senna: 体力大丈夫!? いつ寝てるの!?Yuto: 全然寝てますよ。毎日8時間寝てます。Senna: いやすごいな…しかもちゃんと遊びにも行ってるって。どんなスケジュールと体力してるんだ(笑)Yuto: いえいえ(笑)Senna: いやあ、すごい人だ…。アップワークからの仕事獲得、即戦力としてのフリーランス起用、そして複数社勤務。どれもFrogでもレアケースだと思います。Yuto: そうなんですかね。Senna: 本当にありがとうございました。スーパーマンみたいな働き方をされていて、正直驚きました。Yuto: いえいえ、こちらこそありがとうございます。カナダと日本の働き方の違い、そして今後のキャリアSenna: 最後に少し、日本とカナダの違いみたいなところも聞いてみたいと思います。ゆうとさんは日本でもエンジニアとして働かれていたご経験があると思うのですが、実際に日本とカナダの両方で働いてみて、感じた違いって何かありましたか?Yuto: そうですね、よく言われる話かもしれないですが、自分の意見をちゃんと発信しないといけないというところは本当に感じました。Senna: うん、確かに。Yuto: 日本ではエンジニアって、あまり喋らない寡黙な人が多い印象があるんですが、こっちでは筋肉ムキムキのボクサーみたいなエンジニアが普通に発言してリードしてくるので(笑)。やっぱり主張しないとつぶされちゃうというか、埋もれちゃう感覚はありますね。うちのチームはそこまで大きくないですが、それでもみんなよく喋ります。Senna: わかります(笑)。指示に従うことがエンジニアの仕事って思ってる人も日本にはまだまだ多いですしね。Yuto: そうですね。あとはビジネスの背景を理解していないとレジュメも書けないなって思いました。日本でただ上司の指示に従っていたような働き方だと、こっちのレジュメでは「結局何を達成したの?」ってなるので。Senna: なるほどね、バックグラウンドや意図を理解せずに提案すると、逆に信用を失うってこともあり得るわけですね。Yuto: そうです。「この技術使いたいです」っていうだけじゃなくて、なぜ使いたいのか、どうしてその選択肢になるのかを説明できることが求められると思います。Senna: 素晴らしい視点ですね。ビジネス理解と発言力の重要性、確かにそれは大きな違いですね。今後のキャリアと個人開発への想いSenna: 来月から新しい職場が始まるというところで、ちょっと時期尚早かもしれないですけど、長期的にはどんなキャリアを考えているんですか?Yuto: 長期的にはまず、当面は転職せず次の職場で落ち着きたいと思ってます。やっぱりビザのこともあるので、しっかり信頼を得て、LMIAとかビザサポートに繋げていければと。Senna: うんうん。Yuto: で、PRが取れて落ち着いたタイミングで、ビッグテック系に行ってみたいなと思ってます。それまでは今やっているフリーランスの仕事や個人開発にも力を入れて、経験値を積みながら、いずれそれらをまとめて次に繋げていきたいというイメージです。Senna: 素晴らしいですね。ちなみにその個人開発、FrogのSlackにも投げてくれてた「ResumeDev」のことですよね?あれすごいなと思いました!Yuto: はい、あれは就活が終わった次の日からすぐ着手して、1週間くらいで作りました。Senna: 1週間!?(笑)Yuto: 友達と2人でやって、自分がフロント、友達がAWSやAPI周りを担当してくれたんです。フロントはCursorとか使って開発しました。Senna: いや、新しいFrogメンバーにも紹介できるような実用ツールですよね。自分のレジュメ管理ツールとして本当に便利そう。Yuto: そうなんですよ。就活やってみて気づいた不便さをそのままツールに落とし込んだ形なので、使ってみてくれる人がいれば嬉しいです。Senna: ありがとうございます。是非紹介して回ります!Yuto: ありがとうございます!就活の現場で感じた「管理の難しさ」が、ResumeDevの着想にSenna: ちなみにResumeDevって、1週間で友達と作ったとおっしゃってましたけど、もともと何か課題感があったんですか?履歴書の管理が大変だったとか。Yuto: そうですね、完全に自分自身がペルソナでした。さっき話したJake's Templateをベースにして、自分用にカスタマイズできるものだったので、「自分だったらこう使いたい、こう管理したい」というのをイメージしながら作りました。Senna: 今だとGoogleドキュメントで管理してる人が多いですよね。Yuto: そうですね。なので、Google DocsからGeminiのAPIを使ってResumeDevにコンバートする機能もつけました。簡単にインポートできるようにしています。Senna: ResumeDevってFrogの中でもど真ん中のニーズだと思うんですよ。みんな就活する時、レジュメのバージョンがバラバラになって、何がどれかわからなくなる問題を抱えてるし。Yuto: そうですね。自分も3週間で何十社も応募していて、マスターファイルがどんどん増えて、どれが最新版かわからなくなったんです。履歴書のバージョン管理の必要性を強く感じました。Senna: Gitのリポジトリみたいにブランチ切りながら管理するような感覚だよね。でもエンジニアじゃない人はそのイメージ湧かないし大変ですよね。Yuto: そうなんですよ。ResumeDevは、そんな人でも簡単に履歴書を管理できるようにしたかった。Senna: Frogのショーケースページに載せてもいい?説明会とかセミナーでも紹介したいなと思っていて。Yuto: もちろんです!使ってもらってフィードバックくれたら、すぐ土日で対応します!Senna: 一緒に開発された方もFrogの方?Yuto: いえ、日本の友達です。エンジニア仲間で、AWSやバックエンドをやってもらいました。Senna: ぜひその方にも感謝の気持ちを伝えさせてください!海外就職を目指す人へ:最新情報を、自分の頭で判断してSenna: 最後に、これから海外就職を目指す人に向けてアドバイスをお願いしてもいいですか?昔の自分に向けてでも大丈夫です。Yuto: 一番伝えたいのは、「昔の情報を鵜呑みにしないで、最新情報をちゃんと見て判断すること」ですね。自分も楽観的な性格なので、「昔の人ができたから、自分もいけるだろう」って思ってしまってたんです。Senna: うん、わかる。Yuto: でも今はBCPNPも取りづらくなってるし、Express Entryも厳しくなっている。仕事も、先月と比べても明らかに取りづらくなってる実感があります。Senna: 本当にそうだと思う。Yuto: 英語ももちろんだけど、話す力がないと話にならないし、技術力もめちゃくちゃ大事。その上で、ちゃんと準備して、現実的に判断して動くことが大事ですね。「来ればなんとかなる」じゃなくて、現実を見据えておかないと、すぐ帰国ってことになっちゃいます。Senna: 本当にそうだと思います。2022年の情報を見て、「海外いけるっしょ!」って来ちゃってる人、多いんですよね。楽観視も大事だけど、過信は危険。Yuto: そうですね。自分も楽観タイプだったからこそ来れた面もありますが、今はもう少し慎重に見た方がいいかもしれないですね。Senna: でも、すごい成長ですよ。就活開始3週間でフリーランスを掴み、ResumeDevを個人開発して、来月からは新しいフルタイムの職場にも就く。全部、自分の足で勝ち取った経験だからこそ、説得力があると思います。Yuto: ありがとうございます。Senna: ではぜひ、来月の新職場が落ち着いたらまたお話を聞かせてください。よろしくお願いします!Yuto: ぜひ!楽しみにしています!—いかがでしたでしょうか?「ラッキーでした」と何度も語るYutoさんの言葉の裏には、周りに頼りつつ必要な情報収集と柔軟な考えの元で即行動する力、そして何より挑戦を楽しむ姿勢を強く感じました。海外就職と移住を「戦略的に取り組むべきプロジェクト」として捉え、英語力・技術力・ネットワーキングを駆使してキャリアを切り拓いてきたその歩みは、これから北米を目指すすべての人にとって大きなヒントになると思います!履歴書テンプレートやUpwork攻略法、さらにはResumeDevの開発と、誰かの役に立つ情報を惜しみなく共有してくれる姿勢も「循環する経験知」の好例となってくれたように思います!次のステージである新たな職場でも、Yutoさんの柔軟さと前向きさがきっと大きな力になることでしょう。海外就職や移住に「正解」はありませんが、Yutoさんのように「動きながら考える」姿勢が、きっと次のチャンスを連れてくるはずです。読者の皆さんの挑戦にも、良い波が訪れることを祈ります!

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銀行からスタートアップ、金融のスペシャリストからカナダでソフトウェアエンジニアへ。自由を求めて選んだ技術者の道
インタビュー

銀行からスタートアップ、金融のスペシャリストからカナダでソフトウェアエンジニアへ。自由を求めて選んだ技術者の道

今回インタビューさせて頂いたIshiさんは、10年以上にわたり金融業界でキャリアを積んできた金融のプロフェッショナルです。業界経験を活かしてフィンテック企業へ転職した後、さらなる挑戦として選んだのは、ソフトウェアエンジニアというまったく新しいキャリア。30代半ばを過ぎてのキャリアチェンジ、そして家族と共にカナダへ移住という大きな決断を経て、現在はカナダのヘルステック企業でフルスタックエンジニアとして活躍されています。今回の渡航で未経験からの海外就職を叶えたIshiさん。全くの未経験からカナダでエンジニアとしてのキャリアをスタートすることになりましたが、今なぜその決断に至ったのか。海外で働くという価値観の変化と、技術職への憧れ、努力の課程など、その背景をじっくりと伺いました!Senna: 本日はよろしくお願いします。まずは、カナダでのエンジニア就職おめでとうございます。Ishi: ありがとうございます。Senna: 内定をもらわれたのが2月末でしたよね?働き始めたのは3月の頭からですか?Ishi: はい、その通りです。ちょうど2ヶ月が経つところですね。Senna: 実はKoichiさんから「未経験から仕事を見つけた方がいますよ」と聞いて、すぐにご連絡させていただきました。未経験での採用事例って本当に久しぶりだったので。Ishi: Koichiさんからすぐに連絡をいただきました。ありがとうございます。Senna: ありがとうございます。Frogで前にご紹介したYukiさん以来ですかね、未経験の方で決まったのって。およそ半年ぶりぐらいかもしれません。Ishi: そうなんですね。Senna: 今回「未経験の海外就職挑戦の道筋」となるインタビューになるかもしれないでので、ぜひ詳しくお話を聞かせてください。Ishi: よろしくお願いします。公開された時にもしかしたらクビになってたりするかもしれないですけど(笑)Senna: クビになったらまたその時は相談してください(笑)。ただまずは現地でのフルタイム雇用という大きな第一歩をクリアされたということで、そのプロセスを伺えたらと思います。日本でのキャリアは銀行からスタートアップへSenna: ちょっと僕の記憶も曖昧なところがあるので、プロフィールを拝見しながら伺っていきます。改めて、日本ではどんなお仕事をされていたんでしょうか?Ishi: 日本では金融機関にずっと勤めていました。最初の10年間は銀行に勤務していて、その後2年間はフィンテックのスタートアップでファイナンスマネージャーとして働いていました。Senna: 銀行員としてはFrogで3人目ですね。確かHiroshiさんも銀行出身で、他にももう一人いらっしゃったと思います。Ishi: そうなんですね。Senna: ちなみにそのスタートアップ、UPSIDERさんは法人向けのクレジットカードを扱う有名なFintech企業ですよね?Ishi: はい。日本だとバクラクカードやマネーフォワードさんの法人カードがありますが、UPSIDERはその流行が来る前、2021年ごろからサービスを始めていました。Senna: なるほど、ちょうど先日LayerXの方と話したばかりで。その時バクラクの事は知りました。Ishi: そうなんですか。Senna: では銀行時代に戻ると、新卒から大手銀行に入られたということですね?Ishi: はい。最初の5年間は法人営業で貸出業務をしていて、その後5年間は海外赴任でPMI(企業統合プロセス)に携わっていました。銀行が海外の銀行を買収するタイミングで、その統合作業のために現地に派遣されました。Senna: PMIで海外に出られたというのは、なかなかできない経験ですよね。Ishi: そうですね。自由に働く人たちに囲まれて仕事をするうちに、「こういう環境でまた働いてみたい」と思うようになりました。Senna: その後、日本に戻ってUPSIDERに入られたんですね?Ishi: はい。帰国してすぐに、日本の大企業の働き方に違和感を感じてしまって。自由な環境で、かつビジネスとしても面白そうだったUPSIDERに転職しました。Senna: UPSIDERさんでは、ファイナンスマネージャーというポジションだったと。Ishi: はい。CFOを置かない会社だったので、資金調達などは私が担当していました。ただエクイティではなくデットファイナンス(借入)中心でした。Senna: クレジットカードビジネスは、先にお金がないと始められないですもんね。Ishi: その通りです。特にグロースのフェーズに入ると、シリーズBやC以降でデットファイナンスによる資金調達が必須になります。Senna: エクイティだけじゃ限界が来ると。Ishi: そうです。銀行からすると、スタートアップにたくさんのお金を貸すというのは当時は前例がなかったので、なかなか苦労しましたね。テックの現場に感じた憧れ、「作る側」に立ちたいという想いSenna: そこでの経験から、やっぱりエンジニアリングの世界に興味が湧いたということですね?Ishi: はい。本当にその通りです。UPSIDERでは、エンジニアたちの力でサービスが伸びていく現場を目の当たりにして、それがとても印象的でした。Senna: 実際、法人カード市場も変化してきた時期でしたもんね。Ishi: コロナ以降、企業がSaaSを多く使うようになって、決済ニーズが爆発的に増えました。カードとソフトウェアを組み合わせることで、経費精算も含めた業務効率化が可能になる。そうした流れにうまく乗れたことで、サービスが伸びていきました。Senna: Ishiさん自身はそのソリューションを投資家や関係者に説明する立場だったと。Ishi: はい。プロダクトの魅力を一番伝えられるのは、実際にそれを作っている人たちだと感じました。自分はあくまで橋渡し役。でも、だんだん「自分も作る側に回りたい」と思うようになってきたんです。Senna: そこで「エンジニアになりたい」と。Ishi: そうですね。文系出身ということもあって、「ハードスキルが足りない」という課題意識が強くありました。それと、海外で働いていた頃の自由な環境にもう一度身を置きたいという気持ちも大きかったですね。Senna: 確かに。タイやインドネシアでの経験が大きかったんですね。Ishi: ええ。あの時感じたのは、自分起点で動ける仕事の楽しさです。日本と違って、ミスを許容する文化があるというか、自分の判断で物事を動かせる自由さが魅力でした。Senna: 「ミスできる自由さ」、それは確かに日本では少し足りない感覚かもしれませんね。子育てとキャリアの両立。「自由な働き方」を求めてSenna: 先ほど少し触れられていましたが、お子様が生まれたタイミングというのも、今の働き方を選ばれる上での一つのきっかけになったと。Ishi: はい。子どもが生まれて、柔軟でフレキシブルな働き方ができる環境がほしいと思うようになりました。日本でも、いわゆるスタートアップとか、いわゆる“イケてる”と言われる企業ではそれが可能なこともあるんですが、海外に来ると「そもそもそれがないとやばい会社」みたいな前提があるじゃないですか。Senna: その前提の違いはかなり大きいですよね。Ishi: そうなんです。働く中での自由、働き方の自由、個人の意思や生活スタイルの尊重というのをすごく感じていて、そういった部分も含めて「海外に行くのはアリだな」と思いました。Senna: ワークライフバランスだけじゃなくて、意思決定の機会の多さ、つまり「自分で考えて自分で決める」というような場面が多い、という点でも惹かれた感じですかね。Ishi: まさにその通りですね。Senna: そういえば、最初は単身でカナダに来られたという話でしたよね?Ishi: はい。最初の2ヶ月間だけ単身でカナダに来て、現地での生活のセットアップをしました。私が来たのは2023年9月で、家族が合流したのは11月。その時点で子どもは2歳と4歳、今は3歳と6歳になっています。Senna: それはまた子育てとしてもお忙しい時期に……本当にタイミング的には大変だったと思います。Ishi: そうですね(笑)。Senna: 実は最近、同じようにお子様をカナダに連れてこられた方がいらっしゃって。Frogではまだそんなに多くないんですよね、子ども連れで来られる方って。Ishi: そうなんですね。Senna: 情報交換できる機会も少ないので、もし何かあればぜひ共有いただけると嬉しいです。Ishi: ぜひぜひ。あまり情報がないので、必要な方にはお伝えできればと思っています。バンクーバーを選んだ理由と、Langara進学の決め手Senna: そんなご家庭の事情も含めて、海外での新しいキャリアを考え始めた中で、なぜバンクーバーを選ばれたのか、またなぜLangara Collegeだったのか。その意思決定の過程を伺ってもいいですか?Ishi: はい。バンクーバーを選んだのは2022年頃から考え始めていたんですが、当時はコロナが収束しつつあるタイミングでした。その頃、唯一移民にオープンだったのがカナダという印象が強くて。今ではカナダもビザ的には厳しい動きもありますけど、当時はまさに移民ブームの状態という印象でした。Senna: 確かにあの頃は異常なほどに移民を受け入れていましたね。Ishi: はい。実は15年前に1ヶ月だけビクトリアに滞在していたことがあって、その時の印象がとても良かったんです。子育ての観点ではアジア系の住民が多いこともあり、ノンネイティブとしてのハードルが低いと感じたのもバンクーバーを選んだ理由のひとつです。Senna: なるほど。Ishi: あともちろんFrogがバンクーバーを拠点に活動しているというのは、エンジニアを目指す上で非常に大きな要因でした。Senna: ありがとうございます。そういっていただけて光栄です!そして学校としてLangara Collegeを選ばれたのは?Ishi: BCITやUBCなど他の選択肢もありましたが、現実的にお金と時間を一番節約できるのがLangaraのWMDDプログラムでした。それに、Frog経由で事前にTomoさんやHiroshiさんとコンタクトを取って、いろいろお話を伺っていたことも大きな後押しになりました。僕にとってはすでに彼らがメンターのような存在だったので、自然とLangaraという選択肢に決まりました。Senna: 結構ストレートに意思決定された印象ですね。コロナの時は本当にカナダの移民政策が極端にオープンになっていたのを覚えています。Ishi: はい。当時は外から見てそれが異常だと気づかなかったぐらいです(笑)。Senna: エクスプレスエントリーのスコアが100点とか、名前書けば通るんじゃないかみたいな時期もあったので、あれで勘違いした方は正直多かったと思います。Ishi: まさに。ただ、その勘違いがなければ自分も来られなかったかもしれないです。今思えばそういう意思決定を後押しした意味ではありがたかったですね。Senna: Langaraに決めた後は、HiroshiさんやTomoさんなど、Frogの先輩方もいたので迷うことはあまりなかった?Ishi: そうですね。他の国と迷ったこともなくて、最初からカナダ、それもバンクーバー一択でした。アメリカやイギリスではなく、カナダを選んだ理由Senna: 他の英語圏、例えばアメリカ、イギリス、オーストラリアなどと迷うことはなかったんですか?Ishi: あまりなかったですね。やっぱりカナダは移民に寛容なイメージがあったというのと、国として多様性を本気で実現しようとしている姿勢があると感じたんです。Senna: 確かに今の情勢的にもそのあたりは違いますよね。Ishi: 他の国では差別の話をよく聞いていましたし、実際にアメリカに住んでいる友人からもやはりその点辛いという話を聞いていました。イギリスは伝統色が強すぎる印象が強く、テクノロジー分野においてもあまりイメージが繋がりませんでした。オーストラリアは地理的に独立していて、少し距離感がありました。Senna: カナダが丁度良かった感じですかね?Ishi: はい。例えば、アフガニスタンでタリバンが政権を取った時に、「我々は移民の国であり、危機にある人を受け入れる」と首相自らが公言したことがありましたが、そんな国って、他にないと思います。もちろん支持・不支持はあると思いますが、国のトップがそれをアイデンティティとして掲げているのは、来る側としてとても心強く感じました。Senna: 子どもを学校に入れることも視野に入れた時、確かにその姿勢は大きいですね。Ishi: そうなんです。英語が話せないノンネイティブの子どもでも、安心してスタートできる環境がある。その前提として多様性を受け入れようと努力する社会の懐の深さがある。だからカナダを選びました。Senna: おっしゃる通りです。最近のアメリカとの比較で一番よく出てくるのが「多様性」と「移民への寛容さ」なので、その感覚は非常によくわかります。Ishi: まさにその通りだと思います。留学前から長く描いていた「海外で働く」という目標Senna: さきほどビクトリアに1ヶ月滞在されていたと伺いましたが、それは旅行ですか?Ishi: 語学留学のようなものでした。大学生活の最後に「思い出作りに行こう」と、そんな軽い気持ちでした。Senna: 思い出作り、いいですね(笑)。さて、ここで毎年恒例の企画なんですが、Frogに初めてご連絡いただいた時の最初のメールを振り返ってみるというのをやっておりまして。Ishi: え、そうなんですか(笑)。Senna: 初期のお問い合わせメール、ものすごく丁寧に書かれていたのが印象的でしたよ。Ishi: そうなんですか(笑)。Senna: ちなみにそのメールには「BCITが第一希望」と書かれていたんですね。Ishi: たしかに、しかしその頃はまだ他のFrogメンバーの皆さんに相談させて頂く前でした。実は当時、MBAも選択肢に入れていたんです。ファイナンス畑の人間が最もイメージしやすいルートですし、海外就職に漠然と憧れていた時期でした。Senna: でも、最終的には「ハードスキルを身につけたい」という明確な目的意識が勝ったということですよね。Ishi: そうですね、まさに。CSなどの学術的な側面より、やはりまずはプロダクトを作れるスキルを身に着けたいイメージでした。メンター達との関わり、そしてLangaraでの1年4ヶ月Senna: Langaraを選ばれた背景には、やはりFrogのメンバーの存在が大きかったと伺いましたが、メンターとして関わってくださったのもFrogにいる方々ですか?Ishi: そうですね。特にTomoさんとKoichiさんですね。ただ、いわゆる技術指導というよりは、結果報告したり、たまに飲みに行って相談したりするような関係性でした。Senna: わかります。自分が行き詰まったときに、目指す道に既にいる人がいるって本当に励みになりますよね。Ishi: はい。しかも同じ学校、同じコミュニティにいる人たちだったので、より身近に感じられました。Senna: そして実際にLangaraでの学生生活がスタートしたわけですが、1年4ヶ月ほど在籍されたんですね?Ishi: はい。ただ、もともとは事前に日本である程度勉強してから来ようと思っていたんですが、スタートアップの仕事が忙しすぎて全く時間が取れず、チュートリアルをなんとなく見た程度でカナダに来ることになりました。Senna: 開発経験ゼロではなかったけれど、まだ自分で手を動かして作れる状態ではなかったと。Ishi: そうですね。その状態でスタートしました。Senna: 英語の方はどうでした?Ishi: 学校の授業で困ることはなかったです。Langaraのプログラムはノンネイティブの学生が多く、みんな英語は上手ですが、ネイティブのスピードには苦戦しましたね。授業だけで終わらせない、自走力と戦略的な学習姿勢Senna: 留学前はエンジニアとしての勉強はチュートリアルくらいしかやっていなかったとのことですが、Langaraで「就職につなげる技術力をつける」という意識は当初からありましたか?Ishi: はい。2023年当時は就職が非常に難しい時期だと言われていたので、卒業時に完全未経験では厳しいと考えていました。卒業までに半年の実務経験を積んでおきたいという目標がありました。Senna: それをKoichiさんと話されたんですね。Ishi: そうです。その時に「Langaraのカリキュラム的に、3ターン目が終わる頃に業務経験を積めるレベルになる」と聞いて、だったら自分は2ターン目終了時にはそこに到達していないといけないと逆算して学習計画を立てました。Senna: そこで授業+αを自分でやるというスタンスを取られたと。Ishi: はい。Udemyなども活用して、常に「学校の授業では新しいことがない状態」にしておくようにしました。そうしておけば、つまずくことはないと思っていました。Senna: Koichiさんのアドバイスもあったと思いますが、やっぱり半年の実務経験は未経験の皆さんにはFrogとして必ず達成して欲しいと伝えている部分でもあります。 ただ、多くの人が「わかっていても実行できない」んですよね。Ishi: それはあると思います。僕は自分の遊びの時間を完全にゼロにして、家族と過ごすか、勉強するかの2択に絞っていました。Senna: ちなみに授業の中で「これ実務には使わないな」って思ったものはどうしていましたか?Ishi: 正直に言えば、必要ないと判断した授業は極力手を抜きました。すべてを完璧にやろうとすると体力が持たないので。Senna: 大事な判断力ですね。ただ授業の取捨選択をするためには、そもそも何が必要で何が必要じゃないか、事前に目利きが必要だったと思いますが、それも先輩方に聞いて?Ishi: はい。2ターム前に卒業された日本人の先輩などに聞いて、「この先生はこういう傾向がある」など、ある程度の情報を得たうえで判断していました。Senna: チーム開発などもLangaraで学ばれたのですか?Ishi: それで言えばエンジニアとしての習熟という観点で、Langaraのプロジェクトを未経験者だけのチームでやり切ったのは非常に大きかったです。Langaraは2-4タームそれぞれで計3つのプロジェクトをやるのですが、毎回未経験者のみで構成された同じチームで参加しました。未経験だけで組むことのプロコンはありますが、経験者と組んだ場合に陥りがちなのが、「開発の全体像がよく分からないまま簡単にできそうなタスクだけを任されて、個人として伸びない」という状況です。未経験集団で取り組むと、プロジェクト自体は当然ハードモードになりますが、自分の頭で色々調べて計画するようになります。結果としてオーナーシップを強く持つようになり、エンジニアとしてサービスをスクラッチから作る能力が大きく伸びました。必要な支援や知識はcohortの経験者やinstructorから得れば良いので、ちゃんとプロジェクトにコミットしてくれる人さえ集まるなら未経験集団でトライするのは全然ありだと思います。この経験は実際に今の仕事にも活きていて、例えばフィーチャーをまるっと渡された時に、要件定義やデータモデルの考案、イシューの切り分けなど、ジュニアにも関わらずある程度自走できるのが自分の強みになっていると感じます。Langaraでの実務経験、そしてFrogを通じたプロジェクト参加Senna: そんな中で、卒業前の4ヶ月で2つの仕事を得られたとお聞きしました。具体的にはどういった内容だったんですか?Ishi: はい。ひとつはLangaraでのパートタイムの仕事です。これは在学中にプロジェクトでの取り組みが評価されて声をかけていただいたもので、HiroshiさんやKoichiさんも同様の流れだったと聞いています。Senna: 素晴らしいですね。もうひとつは?Ishi: もうひとつはFrogの掲示板で募集されていたボランティア案件でした。8月末に募集が出ていて応募し、プロジェクトに加わることができました。Senna: どんなプロジェクトだったんですか?Ishi: B2B向けの入札支援マッチングサービスを開発するという内容で、RFP(提案依頼書)を整理・可視化し、案件と企業のマッチングを支援するアプリのMVP(Minimum Viable Product)を作るというものでした。私はフロントエンド寄りの実装を担当しました。Senna: 面白いですね。それも全員ボランティアだったと。Ishi: はい。構想段階のプロジェクトで、自分としても実務経験を積む貴重な機会となりました。「職務経験があるかどうか」で変わる目線。未経験でも伝えられる“プロ感”Senna: Langaraでのパートタイムと、ボランティアでの開発経験。あの時点ですでに“職歴”がついていたという点では非常に良かったと思うんですが、就職活動においてそれは大きかったと感じましたか?Ishi: そうですね。正直、僕はものすごくたくさんの企業に応募したわけではなかったんです。全部で3〜4社くらいでしたが、やはり職務経験があるという前提で話してもらえた会社はありました。Senna: 明らかにリアクションが変わる感覚があった?Ishi: はい。特に一社は、「職務経験がある」という前提で質問が進んでいって、「ああ、これは理解してると思ってもらえている前提なんだな」と感じましたね。やっぱり学生だと、“甘さ”が見えると受け手側が感じるみたいで。Senna: わかります。Ishi: 僕自身は別にそういうつもりはないんですけど、“プロフェッショナルとしての世界にいる”という印象を与えるという意味では、たとえ短期間でも職務経験は大きな意味を持つと思いました。実際にはLangaraのプロジェクトの授業やアウトプットは相当ちゃんとしているので、面接で聞かれた場合には自信を持って答えていましたが、あくまで受け手がバイアスを持って聞いてしまうということですね。Senna: ちなみに、日本の職歴とカナダでの職歴の違いというか、重視され方についてはどう感じました?Ishi: そのあたりはまだよく分かってないところがあって…。僕はカナダで職歴を積んだので、日本との比較ができていないというのが正直なところです。Senna: その話は確かに賛否両論ありますね。「職歴にロケーションを書く必要はない」と言う人もいますし。Ishi: えっ、そうなんですか?Senna: いますいます。でも、明確なルールがあるわけじゃないですし、結果相手にどう上手くアピール出来るかに集中するとそういう判断も出てきますね。ボランティアとパートタイムから実感した「働く現場」の感覚Senna: ただ実際、現地企業のようなSaaS企業でアジャイル開発にチームとして入るみたいなイメージって、未経験からだと想像しづらい面もあると思います。そのあたりのギャップって、どのように埋めていきましたか?Ishi: たしかにそれはあると思います。ですが、Langaraでのパートタイムは雇い主がインストラクターで、授業と同じような環境だったので、実際にはあまり大きなギャップは感じませんでした。Senna: なるほど。Langaraではスクラムなども教えるんですね。Ishi: はい。スクラムやアジャイルの概念は授業でも取り扱われていたので、自然とその延長線でパートタイムの業務に入れました。Senna: ボランティアの方はどうでした?Ishi: あちらはむしろ真逆で、何も決まっていない状態から自分たちで全部決めていく環境でした。ベンチマークも自分たちで定義し、パイプラインも一から設計する必要がありました。Senna: それは大変ですね。Ishi: でもそのおかげで、あまり「環境の変化によるギャップ」みたいなものは感じなかったですね。Senna: 結果的に言うと、Langaraのプロジェクトでアジャイル的な仕事の進め方を学んでいたことが、現場に入る上での地ならしになっていたと。Ishi: そうですね。特に“ビジネスとして使えるものを作れ”という現実的な視点が授業で求められていたのが大きかったです。インストラクターにもよると思いますが、プロジェクトでは「本当に需要があるのか?」というところから詰めていく必要がありました。Senna: すごい。そういう観点が入るのは本当に大事ですね。Ishi: プロジェクトはフルスタックで構築して、スクラムを模したチーム開発形式だったので、必要な概念はしっかり身につけられたと思います。Senna: 他の学校だとファイナルタームで一気に作るみたいなケースが多くて、そこまでのプロセスをリアルに再現する授業って意外と少ない印象なんですよね。Ishi: そうですね。BCITのCSTとかはCS的な知識の詰め込みがメインだと思うので、また少し違うと思っていました。Senna: LangaraではJiraも使っていたって聞いて驚きました。Ishi: はい。Jiraも使っていましたし、GitHubの運用も含めて、現場寄りのツールが普通に授業で使われていました。就職活動は人生で最もタフだった経験Senna: ではいよいよ、実際の就職活動の話に移っていきたいと思います。やっぱり今のご時世、ジュニアでの就職は相当厳しいと思うんですよ。ビザの問題もあるし、リセッション気味で経済も微妙。さらにLLM(大規模言語モデル)の台頭で「ジュニア雇う意味あるの?」なんて声すらある。その中での挑戦だったと思うんですが、振り返っていかがですか?Ishi: 間違いなく人生で一番タフな期間でした。でも、その分本当にいろんな学びがありました。Senna: ぜひ、細かく聞かせてください。ここが本題ですから。Ishi: はい。まず僕はかなり早い段階から準備を始めました。先ほど話したように、半年の業務経験を積みたいと思っていたので、第2タームの途中にはすでにレジュメを作っていました。 この時点では、まだVanilla JavaScriptやCSSしかわからないようなレベルで、ちょうど最初のフロントエンドのプロジェクトが終わろうとしている時期でした。Senna: えっ、そのレベルでレジュメ作ったんですか?Ishi: はい。そのプロジェクトをラップアップしてすぐ、「とりあえず出してみよう」と、形にして応募もしていました。Senna: 結果はどうでしたか?Ishi: もちろん返ってきませんでした(笑)。ただ、Job Postingにどういう単語が並んでいるか、準備にどれぐらいかかるかを知るための練習としてはすごく意味がありました。Senna: 試し打ちして市場感を知るっていうのは大事ですよね。Ishi: そうなんです。で、これもKoichiさんの言葉を参考にしたんですが、フルスタック、いわゆるMERNスタックを使った実績でも応募できるものは増えると聞いて、第2タームと3タームの間のブレイクでUI/UXデザイナーを誘って個人プロジェクトを作りました。Senna: おお、それをLinkedInに載せた?Ishi: はい。コードは正直かなり雑だったんですが、「MERNスタックでアプリ作った」という事実ができたので、少し自信にはなりました。で、それを武器に約100件ほど応募しましたが…Senna: …返信きました?Ishi: 全く来ませんでした(笑)。そもそも僕の時はプロジェクトベースしか書いてないレジュメなんて、誰も相手にしないという感覚でした。Senna: なるほど、そこで方向転換を?Ishi: そうです。そこでマスアプライ(大量応募)は意味ないと思って、ネットワーキングに切り替えました。ネットワーキングの重要性──ただし「どこに行くか」がカギを握るSenna: この間もまさに同じような話をしていて。Kansukeさんってご存じですか?Ishi: あ、はい。CCTBに通っていらっしゃる方ですよね。Senna: そうですそうです。彼の一日密着動画を撮らせてもらったんですけど、彼も同じくネットワーキングの重要性を話されていました。Ishi: うんうん。Senna: 特にミートアップに行っても、全員レジュメ持参で、まるで「求職者の集会」みたいになっているって。Ishi: 本当にそうなんですよ。登壇者の周りに人が集中してしまって、結局は「その中の1人」になってしまうんですよね。Senna: そう。それで彼は他の様々なコミュニティに顔を出すようになって、中には趣味寄りのミートアップにも顔を出すようになったと。そうすると自然に会話が生まれて、ちゃんと“人”として見てもらえるようになったらしいです。Ishi: 僕の周りでも似たような話がありました。Langaraで一緒だった人なんですが、ミートアップでたまたま仲良くなった相手がスタートアップのオーナーで。「ちょうどエンジニアを探してる」と言われて面接まで行っていました。結果的に就職にはつながらなかったんですけど。Senna: それでもミートアップから面接まで行くのはすごいですね。Ishi: あと他にも、クリスマスを一緒に過ごした人が実はテック登壇者だった、なんてこともあって。Senna: それはすごい偶然!Ishi:ミートアップに行くなら、自分が何かgiveできるものがあることが必須だと思います。大きく分けて、自身の職能やドメイン知識が活きるものと趣味ベースのものとがあると考えており、前者は僕でいうとファイナンスやスタートアップといったテーマのイベントです。後者は何でもいいんですがフレンドシップ、趣味に対する興味関心をシェアできることが、相手に対して提供できる価値かと。逆に、Tech系のイベントにいってもgiveできるものがあまりない上に求職者ばかりで雑踏に紛れてしまいます。知識を得る観点ではとても意義がありますが、就活の観点ではあまり成果は望めないかな...Senna: これは業界経験あるなしにかかわらず、やっぱりそういう方が現実的なのかもしれないですね。実際に決まった会社は、オンライン応募からSenna: ただ、ここまでネットワーキングの重要性を話しつつちょっとオチというか…。今の会社って実はオンライン応募で引っかかったんでしたよね?Ishi: そうなんですよ。結局、インタビューを受けた4社のうち、1社はミートアップ経由のフィンテック系、残り3社は全部オンライン応募でした。今の就職先もそのうちの1社です。Senna: なるほど。LinkedInってどれくらい効果ありました?Ishi: 意外とありましたね。LinkedInから直接連絡をもらった会社が3社あって、それぞれ全然違う評価軸だったんですけど。Senna: どういったところを評価されたんですか?Ishi: まず1社は、学生を雇うと補助金が出るプログラムに関係していたようで。「学生であるのに職務経験がある」という点を評価して声をかけてもらえました。Senna: Youthの補助金系ですね。よく聞きますし、Frogでも昔活用すべきってセミナー開いたことがあります。Ishi: もう1社は、Langaraで僕がデベロッパーリード(Dev Lead)をしていたことに注目してくださったようです。リーダーシップ経験を評価されたんだと思います。ビジネス経験を“武器”に選ばれた就職先Senna: で、残る1社が今働いているヘルステックの会社さんでしたっけ?Ishi: そうです。ヘルステック系のスタートアップです。Senna: 金融出身のIshiさんが、ヘルステックに?どういうつながりなんでしょう?Ishi: 僕も実はまだその答えを整理しているところなんですが…。この会社はシリーズA直後で、オペレーション人員が本当に少ないんです。だから、「ビジネスもわかるやつの方がセンス良く動けるだろう」という判断ももらえたようでした。Senna: 面接プロセスでも、技術面接だけじゃなくてビジネス系の面談があったと聞いてますが?Ishi: そうです。技術面接の後にビジネスオペレーションの責任者との面談がありました。僕が以前やっていたファイナンスの仕事や、審査業務を深掘りされました。Senna: クレジットカードの審査ってことですか?Ishi: はい。どれくらいの与信限度を設定するかという審査をしていたんです。それをマニュアルから自動化していった経験があって、それが響いたようでした。Senna: それは確かに、ヘルスケア業界のオペレーションにも通じるものがありますね。Ishi: 結果的に、“技術”と“ビジネス”の両方をわかっている人材として採用していただけたのかなと思っています。コーディングテストも「実務想定型」Senna: 面接はリートコードとか、そういうCS系のガチ問題だったんですか?Ishi: いえ、テイクホーム課題でした。リートコード的なものは一切出ませんでした。与えられたのは「こういう議題があったとき、君ならCEOにどう答える?」というような実務に近い内容でした。Senna: 面白い会社ですね。Ishi: さらに、AIエージェントを活用して何ができるかを提案するような課題もありました。Open Sourceのライブラリを渡されて、「これで何か作ってきて」と。1週間後にプレゼンする流れです。Senna: それはなかなか濃い…。Ishi: 正直AIエージェントについてその時点では単語を聞いたことある程度だったんですが、ちょうどライブラリがNext.jsベースで、自分の得意分野だったので助かりました。実際、過去の業務をAIに置き換えたらどうなるかというデモを作って、できる部分・できない部分の整理を含めて提案しました。Senna: CTOが見たかったのはコードのうまさではなく、「どう発想して、どこまで自力で動けるか」ってことだったんでしょうね。Ishi: たぶんそうだと思います。面接の流れと選考プロセスの詳細Senna: では、話が少し前後してしまいましたが、面接の流れについてお伺いしたいです。一次面接はリクルーターの方でしたか?Ishi: いえ、一次面接はFounding Engineerの方でした。最初から内部の方が出てきましたね。Senna: ああ、もう最初から技術系の方だったんですね。Ishi: はい。面接の前に、「こういう記事を書いているから読んでおいてね」と言われて、Substackにあるその会社の投稿を読まされました。Senna: なるほど、記事を読んでおいてっていうのはなかなかユニークですね。Ishi: 最初の面接は30分ほどの行動面接系の質問で、宿題的なものは後から提出という形式でした。「自分のタイミングでまたセットしてプレゼンしてね」っていう感じで進みました。Senna: 二次が先ほどのバックエンド技術の話ですね?Ishi: そうです。バックエンドの技術的な面を問われる面接でした。とはいえ、技術的な知識では自分は輝けないと思ったので、渡された記事を読み漁ってサービスのビジョンやビジネスモデルの仮説を立てることに注力しながら臨みました。「〇〇を実装するためにどうするか」という技術論というよりは「会社のフェーズ的に〇〇の優先順位が高くXXは後回しでいいと仮定して...」とか「YYを顧客に含めた方がいいと思うので」みたいにビジネス的な視点を織り交ぜるイメージです。ここの設定次第でデータモデルが変わることなどをLangaraのプロジェクトで身を持って体験していたので、自分のビジネスサイドでの経験と合わせてリアルな回答を提示できたのが結構大きかったと思います。Senna: 三次がBizOps?Ishi: はい。私のビジネスサイドのバックグランドも加味し、BizOpsの責任者の方とも面接させて頂きました。Senna: ちなみにそのポジションはジュニア向けの募集だったわけではなかったんですよね?Ishi: はい。特に「ジュニア向け」と書かれていたわけではありませんでした。誰でもという感じで出されていたと思います。募集要項も毎回同じものを出しているという話でした。Senna: となると、当然業界経験豊富な候補者もいたと思いますが、その中でIshiさんが選ばれたのは、やはり先ほどお話されていたように、他にないバックグラウンドを持っていることが評価された、ということですかね?Ishi: そうだと思います。実際チームに入ってみて、中堅〜シニアレベルの人が8人ぐらいいるんですが、皆さんすごく経験豊富で。だからこそ、「1人ぐらい異色な人材をジュニアで入れても面白いんじゃないか」と会社として思い始めていたタイミングだったのかもしれません。Senna: なるほど。最初からそのつもりだったわけじゃなく、たまたまIshiさんの応募が目に留まって、「この人面白いかも」って思われた可能性もあるわけですね。Ishi: そうですね。あと僕が応募したのがポジションは求人の公開から3時間後くらいだったんですが、たぶんその時点で応募が100件ぐらいあったようでした。その翌日に返信が来たのですが、最終的にそのポジションには800件来ていたと聞いています。Senna: シリーズAの会社さんの一つのポジションで800件もあったんですね。それだけ来ると、オンライン応募でもしっかり目に留まる準備が必要ですね。Ishi: そうですね。僕としても、なるべくレジュメは応募先ごとに書き換えるようにしていて、毎日4〜5件は「出してみようかな」と思える求人をチェックしていました。Senna: すごいですね、それを日々続けるのは。Ishi: 1日に1〜2件しか応募できない日も多かったんですが、1ヶ月続ければ50件、2ヶ月続ければ100件にはなるので。やみくもに出すよりも、自分の強みが活かせる求人を見極めて出すようにしていました。Senna: そうするとフィンテックやビジネス系スタートアップの求人は特に意識して応募していたんですか?Ishi: はい。自分がスタートアップのグロースフェーズにいた経験があるので、そのあたりはしっかり書くようにしていました。Senna: 結果的に、3件インタビューに繋がったわけですよね?ジュニアレベルでこれはかなりすごいことだと思います。Ishi: そもそも期待していなかったのと、冬の時期でミートアップも年末年始で開催されていなかったんですよね。なので、「もうやることないし、送るしかない」と思って応募し続けたという感じでした。Senna: 結果的にそれが当たったと。ちなみに今の会社含め、その3件はすべてオンライン応募ですか?Ishi: はいそうです。レジュメの内容と、自分のビジネスバックグラウンドやカナダでの就業経験がうまくマッチしたのかもしれません。Senna: なるほど。「未経験だから」といって、それを前面に出すより、他の業界での経験や強みを推す方が効果的だったということですね。Ishi: まさにそうです。むしろ「未経験です」を前面に出してしまうとノイズになってしまうと思っていて、逆に「このドメインでの経験があります」と打ち出していく方が圧倒的に良いと感じました。ミートアップやネットワーキングを通じた関係構築の広がりSenna: こっちで未経験から入ってくる方って、本当にすごいことですよね。ということは、さっき話に出ていたミートアップでの出会いも含めると、関係性を持てた企業って4社くらいあったという感じですか?Ishi: そうですね。結果的に4社くらいとは関係を持てました。それ以外だと、最終的にはオファーはいただけなかったんですけど、自分がFintech業界で働いていたという経験を理由に何回かコーヒーチャットで繋いでもらって、最終的にUBCの先生に行き着いたっていう流れがありました。Senna: UBCの先生?Ishi: はい。その先生と話していたら、「自分の友達がFintechのスタートアップのファウンダーだから紹介してあげるよ」って言ってくださって。でも、その時ちょうど採用を止めてしまっていたらしく、話にはならなかったんですが、すごく可能性は感じましたね。Senna: なるほど。それはタイミングが合わなかっただけって感じですね。今じゃなくて、またそのうちにっていう。Ishi: そうですね。Senna: でも、そういう意味でいうと、今のお仕事が決まったのはもちろん良かったとしても、ついこの間もFrogのメンバー方で、現地で働いていた会社が買収されて給料の支払い止まってしまって。そこからFrogで紹介したりもして、先日なんとか再就職されたっていう事例もあって。本当に何が起こるか分からないのが北米市場だなと。Ishi: まさにそうですね。Senna: だからこそ、今関係を作っておくっていうのは大事というか。ワンチャンというか、「ここ入れるかも」みたいな場所を、少しずつ持っておくっていうのも、すごく意味があることかもしれませんね。Ishi: はい、ほんとそう思います。就活においても、こっちで実際に暮らして働いている人たちと話すっていうのは、自分のモチベーションにも繋がりますし、現実的なイメージも湧くんですよね。自分の強みを発見することや、売り込む練習になりますし、その後の就活でいざ面接となった時に気後れしなくなります。単純にネットワーキングという意味でも、そういった話の中で「ここで繋がりを持っておくと、将来何かに繋がることがある」というのはよく言われているので、すぐに何か良いことが起きなくても、悪いことは一つもないなという感覚があります。Senna: ほんとそれですよね。ポストグラデュエーションワークパーミット(PGWP)も3年ありますし、これからもいろんな会社をちょっとずつ覗いてみるっていうのも全然アリだと思います。 Ishi: そうですね、楽しみです。海外での仕事を通じて感じた文化の違いと働き方の変化Senna: さて、そろそろ終盤ですけど、日本で働いたことがある人がこっちで働き始めた時に感じる「文化の違い」っていうのがあれば、ぜひ聞いておきたくて。Ishiさんの場合、日本企業以外で働くのは今回が初めてというわけでもなく、タイとインドネシアの経験もありますよね?Ishi: はい。なので自分の場合は、むしろ「戻ってきた」っていう感覚が強くて。インドネシア時代と似た感覚があるんですけど、やっぱりオーナーシップをしっかり持つということが明らかに重要だと思いますね。Senna: というと?Ishi: 日本だとどうしても、部署の意向や上司の意向を実現するような構図が中心にあると思うんですけど、そういった働き方ではまったくパフォーマンスが出せないというのが、こっちの会社だと思っていて。上司との関係も、どちらかというと「自分の課題を一緒に解決してくれるサポーター」みたいな感覚なんです。だから、良い意味で全部自分のリソースって感じです。Senna: なるほど。完全に任せられているという感覚ですね。Ishi: はい。もちろん課題はトップレベルからふんわり降りてくるんですけど、具体的なイシューの認識やそれをどう解決するかは自分次第で、しっかりとリーダーシップとオーナーシップを持って実行する責任があるという感じです。今の会社でもそうですし、前に働いていたインドネシアやタイの会社も同じような文化でした。ミスに対する寛容さと「早く試して早く失敗する」文化Senna: へぇ。ミスに対する文化的な違いとかもあったりしますか?Ishi: ありますね。これは本当に大きい。ミスに対して寛容なんですよ。実際、今の会社で自分がやろうとしているフィーチャーに関して、ビジネス側と話してたら「8割ぐらい完成してたらとりあえず出してみようか」みたいな感じで言われて。Senna: え、ヘルステックなのに?!Ishi: そうなんですよ(笑)。でも、それくらい「とにかく出してフィードバックをもらって改善しよう」という文化が根付いているんですよね。「早くトライして早く失敗する」って言葉はよく聞きますけど、本当に染みついているなって。Senna: 分かんなければすぐ聞けばいい、っていう感じもあるんですかね?Ishi: はい、まさにそうです。むしろ、もうちょっと早めに質問してくれる?って言われます。「ちゃんと調べてから聞け」っていうプレッシャーがなくて、すぐにヘルプを求めやすい環境だなと感じますね。Senna: 素晴らしいです。エンジニアとしての今後の展望──求めるのは「技術力」よりも「ビジネスインパクト」Senna: ありがとうございました!では残りの質問も少ないですが、今後の展望についても、ぜひお伺いしたいです。今の会社で働きながら、将来的に目指していることや計画などがあれば教えてください。Ishi: 今は本当にエンジニアとして、一人前になるためのキャリアを積むっていうところにしか、正直あまり視野が向かないですね。特定的に「こういうエンジニアになりたい」っていうのは、まだ難しいところがあります。ただ、自分のキャリアを振り返ると、ビジネスサイドの経験があるという点が強みで、それを活かして今の会社にも採用されたと思っていて。なので、技術的に優れているかどうかというよりも、「ビジネスインパクトを残しているか」を重視したいですね。たとえば、経験につながっているかとか、大幅にコストが下がったとか、誰かの拘束時間を大幅に緩和できたとか、そういう結果を残せたかという点にフォーカスしていきたいなと思っています。AI(LLM)との共存についてIshi: あともう一つ、これはLLMの時代っていうところにも関わってくるんですけど、僕はけっこうAIに対して感謝している部分もあって。たとえば、ChatGPTやCopilotのようなツールがなければ、こんなに早く学習曲線を登ることはできなかったと思うんです。今の会社がたまたまそういう考え方なだけかもしれませんが、単純なエンジニアスキル──たとえばLeetCodeのような世界──の価値は相対的に下がってきている気がしていて、エンジニアリングに加えて何かもう一つ価値を出せるかが、特にジュニアにとって重要なんじゃないかと。Senna: なるほどですね。Ishi: すごく高いレベルのエンジニアさん達はすでにLLMに出来ない領域で活躍されていると思うので良いと思うんですが、僕らみたいなこれからの人は、すごく優秀なCSバックグラウンドを持ったとしても、GPTが出てきた今、「それだけでは代替が利く」と見られてしまう可能性があると思っています。だからこそ、なぜ自分がAIに代替されないのかを考える必要がある。実際、僕も今のまだリセッション気味のこの時代に海外就職が出来たのはAIがあったからだと思っています。Senna: なるほど。上手く使おうと。Ishi: そうですね。所詮はまだツールでしかないので金融×テックという見えにくいフィールドで活かせる強みSenna: あと金融ドメインにいた経験があるIshiさんなわけですが、正直その分野って、まだ金融ドメイン+エンジニアの知識で「こういう結果が出るよね」って想像がまだ出来ないですよね。そこも実は人材の価値としては大きかったのかもしれないですよね。Ishi: そうですね、たとえば新しいクレジットモデルを作って、これまで借りられなかった人にお金を貸せるようにしようという時に、データを集めるためのサービス設計やドメイン知識が問われてくると思うんです。今まではビジネス・エンジニア・プロジェクトが分断されていたけれど、自分はそれを一気通貫で考えられるという点が差別化につながると信じています。たとえばプロンプトも、ちゃんと書けなければAIに指示も出せないですよね。これとすごく似ていると思います。AIエージェントを実際に触ってみて感じたんですが、GPTがちゃんとしているように見えるのって、常に人間が対面で調整しているからなんですよ。勝手にやらせたら、何をしでかすかわからない。だからこそ、人間ってまだまだ重要だと思っています。これから海外就職を目指す方へのアドバイスSenna: では、最後に、これからIshiさんと同じように海外就職を目指す方々に向けて、何かアドバイスをいただけますか?Ishi: そうですね。多くの方が「事前の準備をしっかりしましょう」と言われていますが、私も本当にその通りだと思います。ただ、実際にカナダに来てから感じたのは、海外就職活動はメンタルゲームであるということです。このインタビューでお話ししたような方法論はありますが、結局のところ、それらを継続できるメンタルを保てるかが非常に重要だと思います。カナダに来る方の中には、日本でうまくいかなかったからこちらに来るという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、何かが嫌だからというモチベーションより、自分が幸せになるための明確なビジョンを持ち、それを実現するためにカナダでどうするかという意識があると、こちらでの生活や就職活動にも意味を見出しやすくなると実体験から感じました。Senna: いや素晴らしいアドバイスですね。Ishi: また、自分の価値、エンジニアとしての能力、そして就職できるかどうかは、切り離して考えるべきだと感じています。私自身、カナダに来た当初は、過去の経験をすべて捨ててゼロからのスタートだと感じていました。しかし、実際には過去の経験に救われて就職できた部分もあります。これまで築き上げてきたものは確実に価値があり、それはここで何をしようと関係ない話ではありません。エンジニアとしてのスキルアップは、その価値にアドオンするだけの話であり、学習がうまくいかないからといって自分に価値がないと思う必要は全くありません。そもそも、特に未経験者の場合は皆さん国も職種も変えて時間もお金も犠牲にしている訳で、そうした人生を賭けたチャレンジを実行している時点ですごいことだと思います。Senna: 確かに、変なプライドを持って望むのはよくないですが、逆に自分には何もないと思い込むことによる弊害も大きいかもしれませんね。Ishi: 成長のスピードは人それぞれであり、焦らずに自分のペースで積み重ねていくことが重要です。就職活動においては、LinkedInでの応募が主流ですが、経験年数だけでスクリーニングされてしまう現実があります。未経験者の中にも輝く人材はいるはずなのに、経験年数だけで判断されてしまうのは残念です。そのため、採用の価値基準自体に疑問を持ち、自分の本質的な価値やエンジニアとしての能力とは切り離して考えることが必要です。Senna: それは多くの採用担当者も頭を悩ませてるポイントかもしれませんね。Ishi: なので採用側のジャッジが正しいと考える必要はないと思います。従って、LinkedInで応募しても返事が来ないからといって、自分に価値がないと思う必要は全くないですよね。但し、自分が然るべき人に認知されるための動きをしているかどうかを省みることは重要です。自分の強みを再認識し、とにかく自分を認識してもらうために必要な場所に顔を出していくことが大切です。Senna: それは未経験者に限らず、日本での転職活動でも同じことが言えると思います。Ishi: 自分の棚卸しをしっかりと行い、その上で動いていけば、その人にしかできないストーリーを経て就職できるケースが出てくるのではないかと思います。Senna: なるほど。おっしゃる通りですね。メンタルゲームというのは本当にその通りで、僕は今になって未経験の方々の考えを思い返すことは難しいですが、想像することはできます。LinkedInなどで応募を続けて、断られ続けると、自分に価値がないのではないかと思ってしまう方もいるでしょうね。Ishi: そうですね。そんな中でも自分を信じることが大切です。未経験で安い賃金で働いているのは今だけで、3年後には日本にいた時の3倍くらいの収入を得ているかもしれないと考えて、前向きに取り組んでほしいです。Senna: 確かに、そう考えると気持ちも楽になりますね。メンタル的に限界を感じたとき、どう乗り越えるかSenna: メンタル的にやばいタイミングって、自分がやってきたことが無駄かもしれないって思う瞬間じゃないですか。そういう意味で言うんだったら、それこそこういちさんだったり、ともさんだったりもそうですけど、「自分が今こういう行動を取ってるんですよね。で、あんたたちは、俺の今取ってる行動ってどう思うの?」っていう、壁打ちのような機会が定期的にあるだけでも、メンタルブレイクを避けられるんじゃないかって、個人的には思っているんですよ。Ishi: そうですね。確かに、そういうフィードバックや会話があることで、自分の行動に対しての不安は和らぐと思います。そういう仕組みが徹底されていれば、先ほどお話した「自分がやってきたことがすべて無駄だった」「自分には価値がないんじゃないか」といった考えには至らないと思います。いや、至らないようにしたいというか、そういうマインドの持ちようが大事だと思っています。Senna: なるほど。とはいえ、ここ数年で海外就職自体が一気に厳しくなってるっていう現実もありますよね。Ishi: はい、それは確実にあります。たとえば、こちらで未経験就職した、今だと3年目くらいの人に個別に話を聞く機会があったのですが正直、あまり参考にならなかったんですよ。Senna: それはどういう意味で?Ishi: その人は、「Angularやったことなかったけど、現場でガチャガチャやってたら就職できた」とか「ネットワーク広げとけばどうにかなるでしょ」みたいな、当時の空気感で乗り切った成功例だったんです。でも、今の自分たちの置かれている環境とはまったく違う。時代が違いすぎるんです。Senna: 確かに、2022年とかそのあたりの空気感で同じことをやって就職できたらたぶん驚愕しますね(笑)Ishi: (笑)だからこそ、メンターに話を聞いてもらうのは大事なんですけど、どこかで「前提が違うな」と感じてしまう瞬間もやっぱりある。そのときに、どれだけ自分を信じられるかが重要なんですよね。僕のこの話もすぐに廃れていくと思いますのでどんどんアップデートされることを願っています。Senna: いや、本当に難しいですよね、その辺は。喋り出すとたぶんまだまだ出てきそうです。ちなみにもしよければなんですが、落ち着いたタイミングでFrogのWikiにあるメンターリストにIshiさん追加させて頂いても良いですか?Ishi: 自分でお役に立てるならもちろんどうぞSenna: ありがとうございます!この時代のジュニア就業者は非常に貴重なのと、僕自身今日はかなり勉強になったのでありがとうございました!いかがでしたでしょうか?Ishiさんのインタビューを通して感じたのは「過去のキャリアは存分に活用する、しかし成功体験に縛られない」という一貫した姿勢です。一つの業界で成果を出した、または成功した人というのはその体験を忘れられず、それが新しい挑戦を妨げているか、ブレーキになっている人というのは多くいらっしゃいます。Ishiさんも日本では素晴らしい環境、素晴らしい職場に居て多くの成功体験を積んだことでしょう。その上で全く違う業界の技術者としての夢を描けるというのは、その姿自体がIshiさんの素晴らしい謙虚さと、自分の目標に向かう姿勢が現れていると感じました。Ishiさんのインタビューは、ただの成功談には留まらなかったと思います。試行錯誤しながら積み上げてきた一歩一歩と、何度も立ち止まりながらも自分の価値を信じて行動してきた記録です。冷静に考えてみれば「自分のこれまでの経験には価値がある」と気づかなければ、キャリアを動かすことは難しい。業界外の経験を積んだからこそできること、自分にしか語れないストーリーを信じて是非皆さんも海外就職の参考にして頂ければと思います!

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