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物流会社の営業からWorkdayのエンジニアへ!カレッジを経由し北米屈指のビックテックで採用されたAyakaさん

物流会社の営業からWorkdayのエンジニアへ!カレッジを経由し北米屈指のビックテックで採用されたAyakaさん

今回は、日本の物流会社からカナダのWorkdayでソフトウェアエンジニアとして活躍されるAyakaさんにインタビューをさせていただきました。

営業開発部でのSaaSプロジェクトをきっかけにIT業界への転身を決意したAyakaさん。コロナ禍で最初に国境を開いたカナダを選び、全くのゼロからCICCCでプログラミングを学習し、カナダでのエンジニア1社目でWorkdayへの就職を実現されました。

Ayakaさんの経験には、これから海外就職を目指すエンジニアにとって重要な示唆が多く含まれています。技術職未経験からの転身、学校選択の基準、就職活動での戦略など、カナダでのキャリアチェンジの実践的なプロセスが詰まった本インタビューを、ぜひ最後までお読みください。


経歴と現在の状況

Ryo: 今回はAyakaさんに来ていただきました。まず初めに簡単に経歴を教えてもらってもいいですか。

Ayaka: はい、Ayakaです。新卒で日本のSGホールディングスという物流の会社に入社しました。物流のコンサルの会社で倉庫のオペレーション設計を主にしていて、4年勤務した後、カナダに移住してきました。その後1年間CICCCというコミュニティカレッジでウェブディベロップメントを勉強して就活して、Workdayに就職しました。Workdayがエンジニアとしては1社目で、現在2年半勤務しています。

Ryo: Workday具体的に何をされている会社なんでしょうか。

Ayaka: Workdayは簡単に言うと、お金と従業員を管理するのを手助けするソフトウェアを会社向けにB2Bに提供しているSaaSの会社ですね。

Ryo: 日本でも使われているんですか?

Ayaka: 日本でも結構導入している会社が増えてきていると思います。

Ryo: Workdayって日本にもオフィスはあるんでしょうか。

Ayaka: クラウドサポートチームみたいなのがあるので、そのチームが国ごとにとか会社ごとのコンフィギュレーションをサポートして使えるようにしていますね。

Ryo: カナダのWorkdayさんはエンジニアさんだったりとかディベロップメント部門が主に人員がいらっしゃるってイメージですか?

Ayaka: そうですね。開発が多いと思います。セールスもいると思うんですけど、あまり見かけませんね。

海外就職への志向と技術への転身

Ryo: 海外就職を目指すきっかけがあったのでしょうか。

Ayaka: 海外で働くということは以前からの目標でした。大学時代に留学も検討しましたが、自分の資金で、キャリアを積んだ上で海外に行きたいと考えていました。学生時代の1年間の留学よりも、社会人として行く方が自由度が高いと判断し、一度就職してから海外移住を検討することにしました。就職後3〜4年目頃に、会社全体でデジタル化を推進する動きがあり、様々なIT企業とのプロジェクトを進める中で、Kintoneなどの導入が始まりました。

Ryo: 社内でデジタル化の推進があったんですね。

Ayaka: 私自身は営業開発部に所属していましたが、本来の業務とは別に営業成績管理ツールの開発を依頼されました。SaaSのシステムエンジニアと一緒に要件定義を行うことになり、会議に参加して要件を固めていく作業に携わりました。データの受け渡し方法やAPI仕様についてのミーティングを重ねる中で、徐々に技術的な興味が湧いてきました。また、予算承認されなかった部分については、BIツールを使用して自分たちで直感的にデータを確認できるようにするよう指示があり、BIツールは本格的なプログラミングではありませんが、簡単なSQL文を書く必要があったため、書籍で学習しながらデータ取得やフィルタリングの方法を習得していく過程でウェブ開発への関心が高まりました。せっかく技術を学ぶなら海外での経験も積みたいと考え、技術学習と海外移住を組み合わせてキャリアチェンジを目指すことにしました。

Ryo: それは内部のチームと一緒に作ったんですか?それとも受注みたいな感じで外部の人と一緒に作ったんですか?

Ayaka: 外部企業への発注でした。日本の典型的なSI企業に委託し、外部のシステムインテグレーターと協働する形でした。会社内部のシステム担当の人たちはウェアハウスマネジメントシステムの開発に忙しいので、内情をよく知ってる人が参加しないといけないじゃないですか、要件定義って。実際にシステム使うのが営業開発部門の人だから、それが私なので参加したっていう経緯ですね。

Ryo: SIの上流工程を物流の会社にいながら経験することができたってことですね。

Ayaka: そうですね。実際に手は動かさなかったんですけど、どういうふうに要件を作っていくのかとか。

Ryo: Ayakaさんが技術職を選んだ理由や動機があれば教えていただけますか。

Ayaka: 技術職は一度スキルを身につければ、技術トレンドの変化に合わせて継続的に学習する必要はありますが、人との接触を最小限にして作業に集中できることが自分の性格に合っていると考えました。そのような作業スタイルや開発業務が自分に適していると判断しました。また、営業開発部にいたため、次のキャリアステップとして営業職を勧められましたが、絶対にやりたくないと感じていたのも大きかったですね。営業職の方々を観察していても、楽しさもある一方でストレスも多いように見え、自分には合わないと考えていました。

カナダを選んだ理由

Ryo: ちなみになんでカナダだったんですか?

Ayaka: ビザですね。

Ryo: やはりそうですか、他に候補はどこがあったんですか?

Ayaka: オーストラリアやイギリスも検討しましたが、コロナ禍の影響で渡航が困難でした。私が渡航したのは2021年夏でしたが、検討を始めたのは2020年で、コロナ禍真っ只中でした。その中で渡航可能な国を探した結果、カナダが最初に国境を開放したんです。早く会社を退職して移住したいと考えていたため、タイミングを優先してカナダを選びました。

Ryo: オーストラリアの方がもしも先に国境ちょっと開けてたら、オーストラリアに行ってた可能性も全然あるみたいな感じですか?

Ayaka: あったと思いますね。

Ryo: カナダってやっぱりそのIT業界としては強いとかあるじゃないですか。そういうことは考えずに本当にもうビザというか国境が開いた順だけだったんですか?

Ayaka: それは情報としてやっぱりアメリカ西海岸にテック企業って集まってるので、就職先の幅は広いかなと思っていたのはありますね。

Ryo: アメリカに近くテック企業も多いということは、情報として知っていたということですね。

英語学習の準備

Ryo: Ayakaさんは戦略的にキャリア選択をされているんですね。英語学習については、どのような準備をされていましたか?

Ayaka: 特別、カナダに来るからしっかり勉強したっていうよりかは、結構ずっと英語は好きな教科だったので、高校の時に一番好きな教科だったので、大学に入ってからもいつか使うだろうなと思って、あんまり距離を置かずにいたんですね。英語で洋画を見るとか、音楽聴くとか、ポッドキャスト聴くとか、喋る機会こそそんなになかったんですけど、ずっと触れてはいて、なので特別に何かカナダに来る時に対策したっていうことはなかったですね。

Ryo: というと、例えば何か実践的な英語学習の機会があったとかですか?

Ayaka: 大学の時に結構英語を使う機会がボランティアに行ったりとか、あとはヨーロッパ一周をオーストラリアの人としたりとかあったので、ずっと何かしらちょくちょく英語を使う機会はありました。働いてからも留学生とか帰国子女の人が多かったりしたので、周りに英語を使おうぜみたいなイベントとか集まりとかもちょこちょこあったので。

Ryo: チャイルドケアをボランティアでされていたとか、今回例えばITっていう分野をチョイスしたっていう部分もそうですが、どれも国外で必要とされそうな職種ばかりですね。長期で海外に行けそうな職種をずっと探していたんですか?

Ayaka: そうですね。日本で就職活動してたときの大きな基準も、将来的には海外で仕事できるような職種、業種にしたくて、物流も結構海外勤務とかあったりするので、そういう基準で選んだ会社ではあるんですけど。

Ryo: Ayakaさんのように大学時代から海外移住を見据えて戦略的にキャリア選択をされるのは素晴らしいですね。IT以外にも保育、物流、金融など永住権取得に有利な職種があるので、参考になると思います。

学校選択の基準

Ryo: CICCCちなみに選んだのもコープっていう部分があるからっていうことですかね?

Ayaka: そうですね。授業のクオリティが低いことだけは知ってましたが、一番お金をかけなくてよくて、ディスカウントとかもあったから選んだというイメージですね。正直特に深く調べもせずに学校を決めました。

Ryo: カナダに来る前に何か準備みたいなのはしたんですか?それとももうCICCCに入ってからって感じですか?

Ayaka: いや本当にしとけばよかった話なんですけど、3ヶ月くらい会社辞めてから時間あったのに、遊び呆けて何もせずにCICCCに入ってから、なんか準備コースみたいなのが1ヶ月あったんですけど、その時に初めてHTMLとCSSから勉強し始めました。

CICCCでの学習の実情

Ryo: 正直な気持ちを口にしてよければ「カナダ屈指の素晴らしい会社であるWorkdayに、CICCCの初心者コースに通っているような方がたった1年で入れるわけがない」って多分思ってる人が殆どだと思うのですが、どういう勉強をしたのでしょう。

Ayaka: 勉強は他の人と同じことしかしてないと思います。足りてないところはいっぱいあったと思います。なので、そんなに色々やってたわけではないです。

Ryo: メンターが居たとかですか?

Ayaka: 「この人がメンター」って人はいませんでした。それこそ最初からFrogに入ってればよかったなって今になって後悔してるくらいですね。

学校外での自主学習が成功の鍵

Ryo: 学校では就職準備と基礎技術習得のバランスが難しいですよね。

Ayaka: 学校の授業以外でやったことの方がやっぱり効果はあったと思います。学校のカリキュラムはそんなに豊富じゃなかったし、ペースが遅かったので。自分で先にどんどん勉強を進めていくのが、多分大切だと思っていました。

Ryo: 自分で先に進めるというと具体的には何をされました?

Ayaka: やっぱり知識がゼロの状態から始めるので、ハンズオン形式のレクチャーがないと何もできないんです。だからUdemyはたくさんやりました。安い時に買って、できるだけ早く進めていきました。多分半年ぐらいでいろんなインプットをやりきって、そんなにいろんなことをやらずに、ReactとちょっとデータベースとAPI書くぐらいの、バックエンドは本当に何でもかんでもやらずに絞って、一旦それができたら何かしらフルスタックで作れるようにはなりますよね。

Ryo: 一通りの知識を身に付けたらポートフォリオや自己制作という事ですか?

Ayaka: 自分の力とグループ開発とかで、3つぐらいかな、ポートフォリオに乗せられるようなアプリを作って、その都度インプットしてたものはアウトプットする。そうするとエラーも出るし、デバッギングしないといけないしっていうので、またその都度勉強してっていう感じです。

Ryo: 授業も必死について行ったみたいな感じでしょうか?

Ayaka: 授業はそんなに頑張ってないです正直。朝だったらモーニングクラスだったから、もう半分寝ながら受けてましたし、課題はちゃんと出してましたけど、そんなに時間のかかるものでもなかったから。

Ryo: その辺の技術のチョイスとか選定とかは割と先生が言ってくれたことをそのまま鵜呑みみたいな感じですかね。

Ayaka: 同じ代でちょっと日本で経験のある、エンジニアとして経験のある人がクラスメイトにいるので、その人たちがやってることを丸パクリしました。

Ayaka: そうですね。その意味ではその人がロードマップ紹介してくれたりとか、この順でも良かったよとか、毎回毎回その人が先にやって、それを後で教えてくれたんで、自分で調べて何がいいかなっていう時間は特になかったです。

Ryo: それは実質メンター的な存在でしたね。

Ayaka: 確かに…周りの人にも沢山助けられました。

Ryo: しかし、未経験の人に陥りがちな「授業だけやる」という罠に引っかからなかったのは素晴らしいですね。多くの人は現地で就職する目標を見失って、授業についていくことに必死になりやすいので。そこは一般的な未経験の人とは違う目線だったのかなと思います。

Ayaka: 学校でしっかり学べる、自分が欲しい情報が得られるって思ったらそこにフォーカスした方がいいのかもしれないですけど、私はやっぱり何か分からなかったら巻き戻して聞きたいし、分からないところをもう1回見たいしっていうのがあったので、授業はやっぱり流れていっちゃうじゃないですか。自分が何が聞きたいのかっていうのをちゃんと用意しないままに聞くので、なんかこう受動的になっちゃう。けど自分から学習する分には、欲しい情報を探してお金出して買って聞いてってやるので、身が入りやすかったっていうのがあるかもしれません。

集中と選択の重要性

Ryo: ポートフォリオは3つ作られたっていうことだったんですけど、就職活動って言うとどのぐらいから始めました?

Ayaka: 就職活動は学校が終わる、学校の勉強のアカデミックタームが終わる2ヶ月ぐらいですね。でも、まずレジュメがそもそも未経験なので、エクスペリエンスの部分が書けないじゃないですか。まずいと思って、その時ボランティアをやってたので、ボランティアの経験は書けたんですけど、それも大した威力なさそうだなと思ったので、学校が終わった瞬間、アカデミックタームが終わった瞬間から、日本の業務委託の案件をやり始めました。

Ryo: すると就職活動は全体で何ヶ月?

Ayaka: 就活は全部で3ヶ月やってたんですけど。その期間フリーランスで働きながら、経験も積みつつ就活しつつっていうのは、それはどっちもやってました。

Ryo: 1年のコープ期間では時間の制約があるため、早めの準備と日本での実務経験が重要だと判断したんですね。

Ayaka: そうですね、それをしないとむしろ未経験はちょっと厳しいんじゃないかなというのがありました。

LinkedInによる就職成功

Ryo: 何か振り返ってみて就職が成功した秘訣など思いつきますか?

Ayaka: そうですね、やはりLinkedInでしょうか。LinkedInは誰もがやると思うんですけど、レジュメと自分のポートフォリオサイトのリンクとGitHubのリンクも貼って、GitHubは毎日プロジェクトしてたら自然と芝が生えるじゃないですか。そういったものも含めアピールできるところは書く。あとは一番大事なこと、LinkedInのちゃんと写真を自分の顔でいい感じの人だってわかる写真にするのは大事だと思います。

Ryo: 写真ですか?

Ayaka: 私はLinkedInのおかげで就職できたようなもんなので。

Ryo: それはどういうことでしょう?LinkedInのプロフィールを正確に書くとか?

Ayaka: 今のチームのマネージャーがLinkedInで直接メッセージをくれたんです。「これ受けてみませんか」って、ダイレクトメッセージくれたので、そこから受けて通りました。やっぱり見てくれている人は見てくれているし、リクルーターとつながるのも手取り早いと思うし、LinkedInで「いい人、楽しそうな人、一緒に働いてみたいな」っていう印象を与えられるページにするっていうのは、写真も文章も含め、自分のブランディングの上で大事だと思います。

Workdayでの業務内容と大企業でのジュニアエンジニア体験

Ryo: 今ちょうどWorkdayに入社されて2年半くらいっておっしゃってましたっけ?

Ayaka: そうですね、2年7ヶ月です。

Ryo: これまでどんなプロジェクトやお仕事をされてきたか、話せる範囲で教えてもらえますか?

Ayaka: 入社以来ずっと同じチームに所属していて、「タレントマネジメント」というカテゴリーの商品を担当しています。

この領域は、企業が社員のスキル向上やキャリアパスの実現をサポートすることを目的としたプロダクトです。

私のチームは、もともと 「GIGS」 という名前のチームで、今はリブランディングされて 「フレックスチーム」 になっています。
このプロダクトは、社員が本業とは少し異なる分野のサイドプロジェクトに参加できる機会を提供し、スキルアップや次のキャリアに活かせる経験を積めるようにするものです。
私たちは、その「GIGS」を管理するための プラットフォーム を開発しています。

Ryo: なかなか難しいお仕事ですね。社員のモチベーション維持のためのサービスということでしょうか?

Ayaka: そうですね。企業には 「リテンションレート(Retention Rate)」 という指標があって、これは社員が会社にどれだけ長く留まって働き続けているかを示す割合です。

多くの企業はこのリテンションレートを上げたいと考えていて、優秀な人材を外に流出させず、会社の中で育てたいわけです。

そのためには、社員が自分のキャリアを描きやすく、スキルを伸ばしやすい環境をどう作るかが大事になります。私たちのチームは、そのためのプロジェクトや仕組みをいろいろ考えて、実際に提供しています。

さらに、私たちは Workday の自社プラットフォームを自分たちでも使っているので、他のチームのメンバーが私たちのプロダクトに興味を持って「それをやってみたい」と手を挙げて異動してくることもありました。
こうした社内での人材の異動やキャリアチェンジは 「インターナルモビリティ(Internal Mobility)」 と呼ばれていて、私たちのプロダクトはその促進にもつながっています。

チーム構成とレイオフの影響

Ryo: チーム自体はどういう感じの構成になってるんですか?

Ayaka: デザイナーさんはまずいなくて、マネージャーが1人、PMが1人、あとQAさんが、前までは結構いたんですけど大幅レイオフでいなくなっちゃったのでQAさんが1人、あとディベロッパーが8人です。2つのスクラムチームに分かれてて、4人ずつって感じです。

ただ、今年大きなレイオフがあって一気にQAさんはいなくなり、なるべくテストはオートメーションにするようになりました。

Ryo: そうですね。ちなみにWorkdayみたいなすごいカルチャーもしっかりしている会社にジュニアで入った時の求められるところって、今思い返してみると何ですか?

Ayaka: コミュニケーションですね。もう1年目は大変すぎて記憶がないです。

Ryo: どのあたりが一番大変でしたか?

Ayaka: 一番は、コミュニケーションの機会がとても多いことですね。

ミーティングが多いのはもちろん、毎日のスタンドアップでもただ進捗を共有するだけじゃなく、最後にみんなで質問に答える時間があります。たとえば「もし生まれ変わるなら何になりたい?」といった軽い質問を毎回やるんです。

私たちはそれをスクラムの最後に必ずやるというちょっと変わったルールがあって、毎日それを繰り返します。
なので、とにかく話さないといけない場面が多いんです。

しかも私の場合、この業界も初めてでエンジニア経験もゼロ。ミーティングに出ても、何を話せばいいのか全くわからない。
日本語でも難しいと思うのに、それを英語でやるとなると発想を切り替えないといけなくて…。最初は本当に、全てのミーティングが苦痛でしたね。特にレトロスペクティブ(振り返りミーティング)なんかは。

大企業の構造的なコミュニケーション

Ryo: 海外の職場は「無駄なミーティングが少ない」というイメージもありますが、実際はどうでしたか?

Ayaka: 実際私の会社はスクラムイベントがかなり多かったです。

しかも「何も発言しない=そのミーティングにいる意味がない」とみなされます。会社から見れば、お金をかけて人をそこに座らせているわけですから、発言がなければコストの無駄です。だから、何かしら発言しなければならないというプレッシャーがありました。

Ryo: 大企業ほどスクラムやアジャイルのような体系的なプロセスが整備されていて、結果的にミーティングも多くなる傾向がありますね。ジュニアレベルでは、質問やコミュニケーションが主要な仕事の一部になりますよね。

Ayaka: そうですね。ただ、私は根暗なので…(笑)日本にいたときも一人で黙々と作業するスタイルが中心でした。だから、コミュニケーションは正直苦手分野だと思っています。

Ryo: それでもやっていくためには慣れるしかありませんよね。

Ayaka: 例えば、スタンドアップは割とすぐ慣れるんですが、プランニングとなると「チケットを見るときに何を重視すればいいのか」「どう発言すればチームに価値があるのか」が分からなくなるんです。

レトロスペクティブでは「このチケットが大変でした」みたいな個人的な感想だけではダメで、「そもそもこの作業は何の目的でやっていて、どういう意見なら意味があるのか」を考え出すと、もう何も言えなくなってしまう。

最初の頃はそれが本当にしんどくて、メンタル的にもきつい時期がありました。

プレゼンテーションとデモの重責

Ayaka: あとはデモとか結構あるので、スプリントごとにスプリントレビューってあって、自分たちが作ったバグの修正やプロダクトのデモ、ジュニアにさせたがるんですよね、やっぱりスプリントレビューでは他のチームの人も集うので自分たちのチームだけじゃなくて、もうちょっと外にも自分をアピールしましょうねみたいな。あってやたらさせられるんですよね、デモ。デモしたら質問されるじゃないですか。テクニカルに。答えないといけないし。もう地獄でしたね、最初。今はデモはしたくないですけどあんまり。

Ryo: どの辺から慣れてきました?

Ayaka: 1年経ったくらいですかね。1年目は本当に、それこそ同じくらいのミーティングの量とかをやってる会社で働いてる仲間がいればいいんですけど。私周りにあんまりいなかったので、エンジニアはいましたけどミーティング全然ないし、みたいな人が多くて。

Ryo: 逆にどの辺に楽しさを覚えていましたか?

Ayaka: 楽しいのは割とチケット毎に違う作業や業務が発生して楽しいと思ってやってます。本当にプロダクト範囲が広いので、毎回違うフレームワークを使ったりするんです。リリースごとに全然違う範囲に触れるので、全然やったことない業務に触れられて新鮮味は常にあります。バックエンドだと会社独自のフレームワークがあるので、毎回学ぶ事が多いです。

Ryo: 大企業の独自フレームワークではドキュメントをしっかり読み、基礎技術に詳しくなれるのはジュニアにとって大きな成長の機会ですよね。

Ayaka: 本当にめっちゃ読みますね。何かしらずっと読んでるかも。

次のチャレンジAIエージェンティック開発

Ryo: ここまで現在のAyakaさんについてお話伺ってきましたが、今後はどんなエンジニアになりたいとか、キャリアを描きたいとかありますか?

Ayaka: なんと来季からチームが変わるという、プチ転職並みの大きな変化があるんです。次はAIの開発をやることになるので、そこが楽しみです。

Ryo: やはり時代はAIなんですね!

Ayaka: 多分Workdayでパブリックリリースされてるんで言っていいと思うんですけど、全部のプロダクトに対してAIのレイヤーを押し込むみたいな動きをWorkdayは取っています。

Ryo: AIの活用が必須ということですか?

Ayaka: そうなんです。なのでどのプロダクトも必ずAIに関わるフィーチャーを何かしらやると思うんですけど。もともと会社の中でWorkdayに落とし込めるフレームワーク、そのAIフレームワークを開発していた人たちの準備ができたらしく、それで一斉に全部のチームに広げてアップデートしていこうみたいな動きですね。その部署に私も入る事になります。

カナダでの働き方とベネフィット

Ryo: それこそWorkdayさんは福利厚生みたいなのってどうですか?

Ayaka: 一番感動したベネフィットは、歯医者は全部お金がいらないと。コンタクトレンズもタダだったことです。ずっとタダですよ。バケーションは全部で5週間。PTOに+5日がパーソナルで、みたいな感じです。

Ryo: 割と働いてる時も自由ですよねこっちは。

Ayaka: 本当にフレキシブルで、仕事の合間とかでも全然用事があったら抜けれるしとか、朝もゆっくり出勤だしとかはありがたいですね。

Ryo: リモートワークとかハイブリッドとかその辺はどうですか?

Ayaka: 基本的にはハイブリッドですね。週3でオフィス、週2でリモートです。でもこれも結構フレキシブルで、チームによって違うし、個人の都合に合わせて調整もできます。

Ryo: カナダの働き方として、Workdayってどういう印象ですか?

Ayaka: でもWorkdayはこっちの中でもめちゃくちゃホワイト企業だなって思います。いい意味でカナダっぽいっていう感じですかね。やっぱり定時で帰れるし、有給も取りやすいし、上司も部下も関係なくフラットな関係で話せるし。私の知っている日本の会社文化とは全然違いますね。

今後のキャリアプランと海外就職アドバイス

Ryo: では、今後のキャリアプランについてお聞かせください。

Ayaka: そんなに長期的な計画を持てないタイプなので。10年後とかは分からないんですけど。5年後すらよく分からないんですけど。せっかく今の環境がとてもいいので今の環境でできるだけ頑張りたいというのはありますね。会社がビザもサポートしてくれているので。その辺の心配はあまりしていません。

あと数年は今の会社で頑張ってAIとかの波も来ているので。使えるリソースを使って今の環境で最大限にスキルは磨けていければなと思っていますね。

あとは、年齢的にもそうですし、女性としてもそうですけどライフステージが変わってくると思うんですね。今後の5年ぐらいで。それと技術の変化とかもうまくハンドルできるような人生設計をするというのが課題ではありますかね。

Ryo: AIの影響について具体的にはどのようにお考えでしょうか?

Ayaka: もうちょっと技術面で言うとまだエンジニア歴3年に満たないぐらいなのでもっとキャッチアップしないといけないところはたくさんあると思うんです。だけど今後はAIが進んでいくとコードを書くというよりかは英語でプロンプトエンジニアリングでコーディングするというのがどこまで主流になるかわからないんですけどある程度プログラミングの一部になってくると思うのでその辺の今までのコーディングの概念から外れて今後のエンジニアとしての生き方を考えないといけないのかなとは思います。

海外就職を目指すエンジニアへのアドバイス

Ryo: 最後に、海外就職を目指すエンジニアの方にアドバイスをお願いします。

Ayaka: やっぱり英語圏で働くのだったら英語はどんだけ勉強しても無駄になることはないと思うので。英語を本当に頑張ってください。

Ryo: 技術面とコミュニケーション面、どちらが重要でしょうか?

Ayaka: 私は完全に業界未経験で渡航しましたが、技術は働いてから身につけるものもたくさんあります。コミュニケーションとかソフトスキルより、技術の方が私の個人的な感覚ではついてくるのが早かったと思います。ソフトスキルは今でも緊張したりその日のステータスでパフォーマンスにムラがあったりするんですけど、技術はやっぱり論理立てて考えられれば絶対に見つけられないバグはないと思うし、解決できない事もないと思うし自分がやればやるほど進んでいくものだと思うので。

Ryo: マインドセット的な部分ではいかがでしょうか?

Ayaka: あんまり心配せず、あんまり臆さずに飛び込むという。未経験だからって何もできないと思わずに自信を持ってやれればいいんじゃないかなと思いますね。ただ、未経験で会社に勤めるのは転職をするのはだいぶ運が関わってきてしまうので一概にこれをやったら大丈夫だよなんてことは言えないんですけど。

Ryo: なるほど、運の要素は経験がある人もない人も皆が口にしますが、タイミングを掴むためにカナダに渡ったAyakaさんの決断が、今を形作ったのは間違いないですよね。今日は長時間ありがとうございました!


いかがでしたでしょうか?

未経験からスタートし、カレッジで学びながら独学も欠かさない。そしてカナダのWorkdayという大企業でエンジニアとして活躍するまでに至ったAyakaさんのストーリーは、まさに「戦略的な努力と行動力の結晶」でした。

特に印象的だったのは、大学時代から海外移住を見据えて職種を選択し、カレッジの授業だけに頼らずUdemyで先回り学習をしたり、未経験の壁を業務委託案件で突破したりと、常に一歩先を見据えた行動を取り続けていた点です。やはり必要とされる職種や環境を選び取る感覚のようなものは、その後のキャリアに大きく影響しますよね。

また、LinkedInのプロフィール写真の話や、ある意味個人ブランディングに近いお話。大企業でのコミュニケーションスキルの重要性、そして独自フレームワークのドキュメントを読み込むことで基礎技術力が向上したという実体験は、これから海外就職を目指す方にとって非常に貴重な情報ではないでしょうか。

海外就職は確かに運も関わってくるものですが、Ayakaさんのように準備と行動を怠らず、チャンスを掴む準備ができていれば、必ず道は開けるのではないでしょうか。

Frogでは今後もカナダ・アメリカで活躍するエンジニア・デザイナーの方々の貴重な体験談をお届けしていきます。皆さんの海外キャリアの参考になれば幸いです!

このインタビューは、Podcast番組『海外キャリアログ』で収録されたものです。音声で聞いてみたい方は是非Podcastの登録もよろしくお願いします!