カナダで挑戦した3年間、カフェ店員、就職にレイオフ、様々な経験を積み日本へ帰国を決めたYutoさん
本日は日本で営業職として働いた後、カナダへ渡りフロントエンドエンジニアとして就労、その後レイオフにあい、日本への帰国を決意されたYutoさんにインタビューさせていただきました。
Frog利用者に限らず、一定数の海外就職を目指して渡航される方々が、海外で就職から永住権を取得しなければその留学は失敗だったと感じている方は多いことかと思われます。
ですが、実際には今回ご紹介するYutoさんのように、海外で過ごしたあらゆる経験から、日本に居た頃には想像も出来なかったようなレベルアップを遂げた方も少なくはありません。
私達は海外就職と呼ばれる運の要素にも左右され、一般的に非常に難易度の高い挑戦をしてきたこともあり、それらの挑戦をしてきた私達は日本へ帰国した後も多くのシーンで必要とされています。
今回はそんな日本帰国を決めたYutoさんの3年間をご紹介させて頂ければと思います。
世界を意識するようになった理由とキャリアチェンジ
Senna: まずはYutoさんの経歴から話してもらえますか。日本での経験、カナダでの経験、そして今後日本でどういう未来像を描いているのかまで教えてください。
Yuto: 日本では製造業で営業職をしていました。なのでエンジニア経験ゼロの状態でバンクーバーに来ています。
Senna: 製造業をやっている中でバンクーバーに行こうと思ったのが、エンジニアになるきっかけだったんですか?
Yuto: いや、厳密に言うとそうではなくて、海外で働きたいという思いはずっと大学生の頃からあったんです。そのために海外で働けるチャンスが多い日本の会社に入ったんですが、やっぱり日本の大企業は体質が古くて、年功序列が当たり前だったんです。
Senna: 日本で務めていた会社はグローバルに展開していたんですか?
Yuto: そうです。世界中にブランチがあり、グローバルな製品を作っていました。機械の部品なんですが、どこの世界でも規格さえ合えば使えるものです。
Senna: なるほど。それで、エンジニアになる決断はどうしてだったんですか?営業からエンジニアに転向するのは少し珍しい気がしますが。
Yuto: 最初はデジタルマーケティングに興味がありました。営業職をしている時にマーケティングについて調べることが多く、面白そうだなと思っていました。しかし、Frogに相談させてもらった時に「カナダでデジタルマーケティングの職に就くのはとても難しい」と言われて方針を変更しました。実例に基づいて話していただいたので、とても信頼できると思いました。
Senna: じゃあ、最初はデジタルマーケティングを目指していたんですね。
Yuto: そうですね。でも、セナさんと面談させてもらった時にエンジニアという選択肢もあると提案されました。それがもう4年半前のことです。
Senna: なるほど、もう4年も経ったんですね。
エンジニアへの転身とその手応え
Senna: 実際にエンジニアにシフトチェンジしてみて、どうでした? 良かったですか?
Yuto: めっちゃ良かったですね。自分の性格にも合ってるなって実感しました。
Senna: 性格に合ってるって、どういうところでそう感じたんですか? 俺はデジタルマーケティングの経験はないから、その違いが分からないんですが。
Yuto: 僕はもともと問題解決が好きで、人の役に立つことが大好きなんですよね。それを実現するための手段は営業でもデジタルマーケティングでもいろいろあるんですが、コーディングを通じて問題解決するのが一番好きなんだと気づきました。大学も理工系だったので、そういう意味で理系のDNAが入ってる気がします。
Senna: なるほどね。理系だったんだ。ちなみに何学部だったんですか?
Yuto: 理工学部でロボットの研究をしてました。ただ、プログラミングはあまり得意ではなく、むしろ苦手でしたね。僕はどちらかというとハードウェアに関心がありました。
Senna: それでもプログラミングの方に進んだんですね。
渡航のタイミングと準備期間
Senna: じゃあ、エンジニアを目指すことを決めた時点でカナダ行きを考えていたということですね。僕らと初めて話したのがそのタイミングですか?
Yuto: そうです。渡航を決めたのは相談の1年半くらい前ですね。結構長い期間がありました。COVID-19の影響もあったので。
Senna: そうか、COVIDがあったんですね。それで最初に相談したのが2020年のゴールデンウィーク頃でしたっけ?
Yuto: そうですね、5月くらいだったと思います。
Senna: 実際に渡航したのはいつですか?
Yuto: 2021年の10月です。COVIDの影響で1年半くらい延期したんですよ。
Senna: なるほどね、COVIDの影響で準備期間が長引いたんですね。それでプログラミングや英語の勉強はどうでしたか? 渡航前にどのくらい準備できましたか?
Yuto: 仕事をしながらプログラミングと英語の勉強をしていました。1年半の間、本当に自分にプログラミングが合っているかどうか、お見合いしている感じでしたね。
Senna: それで「行けそうだ」と感じたんですか?
Yuto: そうですね。これなら行けると思いましたし、途中で辞めたら後悔するだろうなとも思いました。
Senna: 日本で一度経験を積んでからくるという選択もあったかと思いますが
Yuto: そうですね。セナさんはよく「日本で少し経験を積んでから来た方がいい」って話されてると思うんですが、僕の場合はすぐに来て良かったですね。恐らく日本で経験を積んだ後だと、僕は来てなかったと思います。
Senna: ただ、日本であっても業界経験があった方が企業からの評価は高まりますよね。
Yuto: 間違いないです。ただ、やっぱり日本は世界で一番住みやすい場所だと思うので、そこから飛び出して海外に行くというのは、ある程度は勢いが大事だと思うんです。
Senna: それは確かに…。これだけ住みやすく、日本語が通じるという利点のある日本を出て海外で頑張るって、正直人生においてある意味「バグ」のようなものだと思っています。そのバグ期間を意識的に作ってまで海外に行こうと思うのは、相当なモチベーションが必要かもしません。
Yuto: 実際にカナダに来てみて、日本がいかに住みやすい場所だったかを改めて実感しました。
カナダでの生活とカレッジについて
Senna: カナダの学校生活についてはどうでしたか? 理想と現実にギャップはありましたか?
Yuto: それに関しては、Frogの記事で事前に色々とリサーチしていたので、特に驚くことはなかったですね。カレッジは復習の場と捉えていたので、自分で学んだことを確認する場として利用していました。
Senna: それは良いマインドセットですね。渡航前の自己学習がしっかりできていたからこそ、スムーズに進められたんでしょうね。日本での1年間の学習期間が生きた感じですね。
Yuto: そうですね。ただ、もう少しプログラミングを深く勉強しておけば良かったかなと思います。特にフロントエンドの勉強はしていたんですが、ReactやTypeScriptを含めた実務的な技術にも手を出しておけばよかったと感じています。
Senna: なるほど。日本ではどのくらいの範囲でプログラミングを学んでいたんですか?
Yuto: 基本的にはJavaScriptを触っていました。もっと他のフレームワークやバックエンドにも手を出しておけば良かったかなと思います。
Senna: そうですね。VanillaでJavaScriptから始めるのは基礎固めとしては良いと思いますが、最近の参考書はフレームワークも多いですからね。実務的な側面にも手を出しておくべきだったかもしれませんね。
Senna: 日本にいた時、誰か教えてくれるメンターとかはいたんですか?
Yuto: 特にメンターはつけず、自分でなんとかやっていました。でも、今振り返ると、それが中途半端な状況に陥った原因の一つだと思っています。Reactなどのフレームワークに手を出すのは自分にはまだ早いと感じていたんです。
Senna: なるほど、フレームワークを避けたのはその時の自己判断だったんですね。
Yuto: はい、そうです。でも、もしメンターがいたら、もっと早く路線変更できたかもしれませんね。
英語力とESLの挑戦
Senna: じゃあ、日本でプログラミングの準備はしっかりしていたということですが、英語力に関してはどうでしたか? 授業についていくのに問題はなかったですか?
Yuto: 僕はESLに一ヶ月、Pre-Classに一ヶ月通いました。当時はFrogメンバーのElle先生が担当で、そのクラスはほとんど日本人だったんですが、みんなの英語力がすごく高くて、正直ショックを受けましたね。プレゼンテーションが毎週あったんですけど、スクリプトを丸暗記するくらい必死でした。
Senna: なるほど、ちなみに在学中にスターバックスでバイトを始めたと聞きましたが、そこでは英語力もかなり上達したんですか?
Yuto: スタバが僕の英語力を変えたと言っても過言ではないです。スタバでの仕事を通して、ネイティブスピーカーが使う語彙や接客英語を学びました。当初はESLやクラスで聞く英語とはまるで別言語のように感じました。
Senna: いつスタバで働き始めたんですか?
Yuto: 2022年3月からですね。カナダに渡航して半年ほど経った頃です。
Senna: スタバは希望者が多くて入るのが難しいと聞きますが、どうやって仕事を見つけたんですか?
Yuto: 成功法でスタバの専用応募サイトからいろんな店舗に応募しました。面接が決まるまで1ヶ月くらいかかりましたね。最終的に2店舗からオファーを貰いました。
Senna: その時点で、面接に受かるだけの英語力があったということですか?
Yuto: 多分、英語力よりもパーソナリティーを見られていたと思います。英語は働いているうちに慣れると考えられていたんじゃないかと感じています。
Senna: 経験してみてどうでしたか? 実際にスタバで働いたことで英語がどれくらい上達しましたか?
Yuto: スタバでの経験は本当に大きかったです。同僚やお客さんとの会話を通して、日常的な英語や、開発者として働く際に使うような英語も自然と身につきました。接客英語と言われますが、実際には多くのシチュエーションで使えるスキルです。
Senna: なるほど。スタバでの仕事が英語力向上に大いに役立ったんですね。
スターバックスでの成長と恐怖心の克服
Yuto: スタバで働いたことが僕にとって大きな転機でした。英語を話すことに対する恐怖心や躊躇が完全になくなりましたし、リスニング力も飛躍的に向上しました。加えて、北米で働くということがどのようなものか、具体的にイメージできるようになりました。その反面で、最初の方は「全く聞き取れない」や「上手く考えを伝えれない」等の苦労はありましたが、働いて良かったと思います。
Senna: それは素晴らしいですね。英語力が伸びたことを実感したのは、いつ頃からですか?
Yuto: 働き始めて3ヶ月ぐらい経った頃ですね。週3、4日働いていたので、かなりの時間をスタバで過ごしました。そのおかげでリスニングやスピーキングスキルが一気に伸びたと思います。
Senna: やっぱり接客業の影響は大きいですね。Frogのメンバーにも、最初はスタバで働くことを推奨すべきかもしれませんね(笑)。
Yuto: もう一つ、スタバで働いて良かった点は、就活や勉強でのストレスを忘れるリフレッシュの場になっていたことです。周りと自分を比較して焦ることもありましたが、スタバでの仕事はそうした不安を一時的に忘れさせてくれました。
就活のスタートと挫折
Senna: 就活の話も聞きたいんですが、いつ頃から就活を始めましたか?
Yuto: 2022年の10月頃からですね。在学期間中に準備を始めました。12月に学校が終わる前の2、3ヶ月前に少しずつ動き出していました。
Senna: でも、すぐには反応がなかったんですよね。
Yuto: はい。ちょうどその時期、レイオフが始まっていたので、反応はほとんどありませんでした。Frogのアドバイスもあり、実務経験を積む必要性を感じ始めました。
Senna: なるほど。そのアドバイスを受けてどう動きましたか?
Yuto: 僕と、Hiroshiさん、Koichiさん、そしてもう一人で朝会を開いていました。朝の7時から10分間、オンラインでその日の目標を話し合っていました。Koichiさんが日本の案件を取り、実務経験を積む方法を教えてくれたので、それに倣ってWantedlyを使って日本の案件獲得にシフトしました。
リセッションの中での就活
Senna: 2022年後半は、リセッションが始まる時期でしたよね。まさにタイミングが悪かったとしか言えませんが、その時期に就活をしていたんですね。
Yuto: はい、本当にリセッションの真っ只中で、就活が全くうまくいかない時期でした。僕が就活を始める前はとても景気が良く、就職できた人が多い時期でしたが、僕の時は全然違いました。
Senna: それはつらかったですね。でも、コミュニティの支えがあったのは大きかったのではないですか?
Yuto: そうですね。Frogというコミュニティの大きさを改めて感じました。情報共有がしっかりできていたおかげで、周りの状況を把握し、一歩前に進むことができました。同じように日本の案件を見つけて実務経験を積む仲間もいて、そこから学ぶことも多かったです。
Senna: そういう環境で情報を得ながら進めたことは大きいですね。何でも自分の責任だと感じてしまう人は、特に就活で苦しむことが多いですし、何が自分の責任で、何がそうじゃないのか知る努力としても、情報収集は重要ですね。
Senna: 日本からの案件獲得にシフトして、スムーズに仕事は見つかりましたか?
Yuto: はい、驚くほどスムーズでした。2週間で見つかりました。未経験の状態で、よく採用してくれたなと感謝しています。
Senna: 本当に未経験だったんですよね。それでリモートで採用された理由は何だったんですかね?
Yuto: その会社はすでにリモート文化が根付いていて、リモートで海外から働いている人も何人かいました。また、会社自体が海外展開を目指していたので、カルチャーフィットしたんだと思います。
忙しい日々と実務経験の重要性
Senna: 日本の案件はどのくらいの時間働いていたんですか?
Yuto: 週30時間ぐらいですね。ほぼフルタイムです。それに加えてスタバでの仕事もあったので、週に40時間以上働いていました。さらに就活や個人学習もしていたので、当時の生活は本当に大変でした。
Senna: 1年間そんな忙しい生活を続けていたんですね。
Yuto: そうですね。あの時は本当に大変で、もっとゆとりを持つべきだったと感じます。でも、実務経験を優先したことは間違いではなかったと思います。学校で学んだことと実務は全然違いますから、現場での経験を積めたことは大きかったです。
Senna: その日本の会社の環境はどんな開発環境だったんですか?
Yuto: はい、Web系の会社で、受託開発もしつつ自社プロダクトもありました。TypeScriptなどモダンな技術を使っていました。フロントエンドの実務経験としては、とても良い経験ができました。
Senna: スタバでの仕事を続けながら、日本の案件で実務経験を積み、さらに英語力も伸びてきたんですね。理想的な留学生活に見えますね。
就活の反省と改善点
Senna: それだけ忙しい生活をしながら、就活も進めていたんですね。就活に対する取り組みなどはどうだったんでしょう。
Yuto: そうですね、まず反省点としては技術記事を書いたり、もっとアウトプットする時間を確保すべきでした。また、ミートアップにも参加していましたが、就職を探している人ばかりだったので、途中から疲れてしまい、フェードアウトしました。履歴書のブラッシュアップも全然できていなかったですし、ATS(Applicant Tracking System)についても当時は知りませんでした。
Senna: ATSは最近の就活では重要な要素ですからね。応募の数をこなすだけではうまくいかない時代です。
Yuto: そうなんですよ。時間がなかったので、LinkedInのEasy Apply機能を使って大量に応募してしまいましたが、それが最善の方法ではなかったと振り返ると思います。
就職活動における戦略の重要性
Senna: なるほど。毎日ただ応募するだけでなく、戦略を練るべきだったと。
Yuto: そうですね。応募する前に、もう少し考える時間を持って戦略を立てた方が良かったと思います。毎日応募することに集中し過ぎて、効率的ではありませんでした。
Senna: 確かに、それは良いアドバイスですね。記事を読む人にとっても参考になると思います。ありがとうございます。でも、Tomoさんの会社で一時期働いていたんですよね?
Yuto: そうなんです。本当に良い経験でした。
Senna: Tomoさんの会社で数ヶ月働いたという話ですが、どうしてその会社で働くことになったんですか?
Yuto: 実は、僕が応募した翌日にTomoさんがFrogのSlackで採用に関するポストしていて、それを見てすぐに応募しました。その後、TomoさんにもすぐDMでご挨拶させて貰ったというのが経緯ですね。
Senna: そうだったんですね。Tomoさんとつながっていたことで、採用にプラスの影響があったんですか?
Yuto: それがどう影響したかは正直分かりませんでしたが、選考途中で「Tomoのリファラルかい?」と確認されました。なので、スクリーニング段階で影響があったと思っています。
Senna: なるほど。面接の際にTomoさんからのリファラルが確認されたということですね。Tomoさんからは面接のアドバイスやサポートはありましたか?
Yuto: Tomoさんは非常に真面目な方なので、面接の内容には一切触れませんでした。ただ、面接官の性格やどういう人かという質問には答えてくれました。例えば、「この人は厳しいから構えていけよ」といったアドバイスはもらいましたね。
Senna: それでも、多少の情報があるのは心強いですね。
Yuto: 実際にTomoさんは面接官としても登場しました。技術的な質問の際、マネージャーが非常に難しい質問を投げかけてきたんですが、Tomoさんがさりげなくフォローしてくれて、本当に助かりました。
短期間でのレイオフとその後の関係
Senna: その後、残念ながらレイオフになってしまったんですよね。チーム自体が潰れたわけではないんですか?
Yuto: チーム自体はまだ存続していますが、僕を新たに雇う際に、会社側も「フルタイムで雇うか、フリーランスで契約するか」を決めかねていたようです。結果的に、思ったよりコストがかかってしまい、レイオフという形になりました。
Senna: なるほど。でも、後から元チームメンバーとご飯に行ったり、内部事情を教えてもらったりしていたんですね。
Yuto: そうなんです。チームメンバーは本当に良い人たちで、後からいろいろと教えてくれました。カルガリーから来ていたメンバーとも話しましたが、その時に当時の状況を詳しく聞くことができました。
Senna: そのレイオフとプロベーションの境目が少し曖昧に感じるんですが、実態はどうだったんですか?
Yuto: 正確にはプロベーション期間内でのレイオフでした。理由を言う必要がないので、正式なレイオフとは少し異なりますが、事実上のレイオフだったと思います。
Senna: プロベーション期間ということで、理由を明示しなくても済むんですね。レイオフ後は、チームのメンバーとの関係ってやはり切れてしまうものなんですか?
Yuto: それがレイオフされた後すぐに、開発チームのマネージャーとチームが所属する別のマネージャーから連絡が来て、「リファラルするよ」と言ってもらえたんです。もちろんレイオフされたこと自体には驚きました。1年かけて就職活動をして、ようやく仕事を見つけたと思ったらすぐにレイオフされてしまったので。
Senna: 雇用保険(EI)の申請とか出来たんですか?
Yuto: 幸いにも申請出来たんです。かなり助かりました。
Senna: そうだったんですね。ちなみに話せる範囲で大丈夫なのですが、雇用保険の内容について詳しく教えてもらえますか?
Yuto: 雇用保険(EI)は、過去52週間の間に働いた実績を基にして給付されます。僕の場合、スターバックスを新しい開発職を取るために辞めたので、それもEIの対象になりました。会社を自分から辞めても、特定の理由があれば保険が降りるんです。
Senna: レイオフされたポジションの失業保証だけじゃないんですね、それは知らなかったです。勉強になりました。
雇用保険の申請プロセス
Senna: EIを申請するのは時間がかかるって聞きましたが、実際どうでしたか?
Yuto: 申請後、サービスカナダの担当者が確認するので、すぐに降りるわけではなく、数ヶ月待つケースもあります。僕も何度もサービスカナダに電話して確認を急いでもらいました。
Senna: サービスカナダに何回も電話して大変だったんですね。英語での電話対応も慣れましたか?
Yuto: はい、英語で電話する経験が一気に増えました。何回も電話で経過を確認したり催促しなければならなかったので、その経験が英語の電話対応に自信を持たせてくれました。
Senna: EIが降りて少し安定した後、何をしていましたか?
Yuto: 再び就活を始めました。前の会社でリファラルをもらったところにも応募しましたが、結局それは繋がりませんでした。代わりに、LinkedInで「レイオフされました、職を探しています」と投稿したところ、あるCEOから「新しいポジションを作ろうと思っているんだけど興味ある?」というDMが来ました。
Senna: それはすごい展開ですね。その後どうなったんですか?
Yuto: すぐに興味があると返事をして、レジュメを送りました。そこから面接が進み、最終面接まで行ったんです。結局その会社は、Koichiさんが働いている会社だったんですけど、惜しくも最終面接で落ちました。
Senna: 最終面接まで進んで惜しい結果だったみたいですが、会社がどたん場で採用方針を変えたんですよね?
Yuto: はい、フロントエンドを採用したいと言っていたのに、突然バックエンドを採用したいという風に変わりました。これが理由で不採用になったと、CEOから連絡をもらいました。
Senna: それは残念でしたね。完全に運とタイミングが悪かったですね。その時点で日本へのキャリア転換を考え始めたんですか?
Yuto: いや、当時はまだカナダの会社で面接を続けていました。ただ、稼ぎが必要だったのと、キャリアにブランクを作りたくないという理由で、日本の会社でも面接を受け始めていました。そして、Koichiさんの会社から不採用の連絡が来たのが今年の6月ぐらいです。その頃から、日本でのキャリアも真剣に考え始めました。
Senna: そこから帰国を決めるまでのスピードが早かったですね。
Yuto: そうですね。カナダを去る友人たちが増えてきたタイミングでもあり、自分のいるべき場所を考え始めました。
新しいスタート:日本でのフルタイムの挑戦
Senna: 帰国後のアクションはもう決まっているんですか?
Yuto: はい、現在働いている日本のスタートアップでフルタイムとして働かせてもらいます。SaaSの会社で、創業2年ですが、海外展開も視野に入れている勢いのある会社です。アメリカ人の同僚と一緒に、海外版のプロダクトのMVPを作っていて、カナダで身につけた英語も活きています。
Senna: 英語の経験が生きているのは素晴らしいですね。
Yuto: そうなんです。エンジニアとして日本でフルタイムとして働いたことがないので新鮮です。職業もスキルも、そして住む場所も全てが変わる。まるで2回目の人生が始まるような感覚です。
Senna: それはとてもポジティブな考え方ですね。
Yuto: 正直少し前までは日本に帰ることに対して非常にネガティブでした。カナダでフルタイムのソフトウェアデベロッパーとして働くことに固執していましたから。しかし、そういった執着を手放して、新しい道をポジティブに捉えられるようになったのは大きかったと思います。
Senna: 一度カナダでの挑戦を経たことで、将来的にまたカナダや他の国に挑戦することも十分に可能ですよね。将来的にもう一度北米や海外を目指すことは考えていますか?
Yuto: はい、北米に限らず、どこかのタイミングでまた海外に挑戦したいと思っています。ソフトウェアデベロッパーとして働いているのは、人々が抱えている問題を解決したいからなんです。僕が解決したいと思う問題がどこの国にあるかで、あとはタイミングだと思っています。
Senna: 素晴らしいですね。日本からカナダに来て、スターバックスで働き、オンラインで日本の企業での実務経験を積み、Tomoさんの会社で働き、リファラルを受けて、他の会社にも挑戦して…と振り返ると、とても充実したキャリアだと思います。
Yuto: そうですね。全てが良い方向に進んでいると感じます。
海外へ向かうエンジニアへのアドバイス
Senna: では、これから海外を目指す人たちにアドバイスはありますか?
Yuto: お話したいことはたくさんありますが、エンジニアに特化したアドバイスは特にないですね。僕よりも優秀な人たちがたくさん来ているので。重要なのは、自分の気持ちが少しでも海外に向いているときに来たほうがいいということです。それと多くの人が「就職できなかったらどうしよう」と躊躇していると思いますが、それが全てではないです。長い人生において、2年や3年海外にいることはほんの誤差に過ぎないと思います。挑戦していること、挑戦したという事実が既に人生においてかけがえの無いことです。
Senna: 確かにそうですね。状況は常に変化しますからね。
Yuto: 特に北米は物価の変動が激しくて、僕がカナダに来たときと比べても今は1.5倍くらいになっています。僕が渡航した2021年当時の予算でカナダに来るのは、今だったら無理だったかもしれません。そしてこの状況が未来永劫続くことだって考えられる、だから行きたいと思った時に躊躇せず、すぐ動くべきです。
英語力と楽しむことの重要性
Yuto: それに、英語はできる限り勉強してきた方が良いです。特にある程度のスピーキングとリスニング力がないと来てから苦労します。日本にいながらもできることはあるので、できる限りの時間を英語に投資すると良いスタートダッシュが切れると思います。間違えてもいいから、積極的に自分の意思を伝えようとすることも大事です。バンクーバーは本当に多人種国家なので、頑張って意思を伝えようとする人には耳を傾けてくれます。
Senna: その通りですね。言語に限らず、伝えようとする姿勢が大切です。
Yuto: あと、気負いすぎずに楽しむことも重要です。僕もそうでしたが、思い詰めると余計に悪い方向に進むだけです。状況が良くないと感じたら、違うことをしてリフレッシュすることも大事です。
日本での経験と可能性
Yuto: そしてカナダで得た経験は、日本でも十分に活かせるということを強調したいです。日本で就職活動をすると、カナダでは考えられない数の返信が届きます。それだけ日本のエンジニア市場が活発で、尚且つ国外市場で挑戦経験も重宝されるんです。
Senna: 日本は本当に売り手市場ですよね。
Yuto: そうなんです。そして、日本のエンジニアは非常に優秀です。その人たちが英語というツールを手に入れるだけで、どれだけ可能性が広がるかを考えると、挑戦する価値は十分にあると思います。
Senna: 最近、海外での挑戦や留学の経験が、自分自身を見つめ直す良い機会になる(セルフコンセプトクラリティ)という話を聞きました。特に、マイノリティになる経験をすると、自己認識が高まるタイミングがあると。今日のお話を聞いていると、それがまさに当てはまるなと感じました。
Yuto: 本当にそう思います。カナダに来たことで、自分を見つけることになるなんて、全く予想していませんでした。デジタルマーケティングでのキャリアを考えていたら、もしかするとまた違った自分が見つかっていたかもしれませんが、今はカナダでの経験が大きな自己成長につながったと感じています。
Senna: 自分が本当に好きなことや、やりたいことに気づくタイミングが早ければ早いほど、その後の人生がより充実すると思います。
Yuto: そうですね。僕も、まさかカナダに来て自分探しをすることになるとは思っていませんでした。ですが、結果的には多くの気づきがあり、良かったと思っています。
Senna: 本当にそうですね。ありがとうございました。またお話できるのを楽しみにしています。
Yuto: こちらこそありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。このインタビューでは就業、永住権申請まで到達されている方々のインタビューが多いのですが、実際には綿密な計画を立てて挑戦される方の多いFrogであっても、景気やビザの難易度によって、日本への帰国を検討される方はいらっしゃいます。
ですがFrog利用者のインタビューを振り返っても、日本帰国後に全くカナダでの挑戦が無駄だったという方には出会ったことがありません。
今回のYutoさんもカナダでの多くの挑戦、そして経験を糧に日本で更に多くのことに挑戦される姿を見るのが非常に楽しみです!
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