エンジニア歴5年、半年間のUIUXコース受講後、応募12社で勝ち取ったカナダのスタートアップ内定

今回インタビューにご登場いただいたのは、電子書籍取次企業で5年間にわたりフルスタックエンジニア→チームリードエンジニアとして活躍し、その後カナダ・バンクーバーへ渡航したコジマさん(以降Kojiken)。大学卒業後にシアトルへ1年間留学し、Amazon/Microsoftなどのエンジニアと触れ合った体験がキャリア観を大きく揺さぶり、「海外でエンジニアとして働く」という目標を抱くきっかけになりました。
2023年のイベント「Canadian Dream」に参加し、ワーホリを起点にコープ・就労ビザ・永住権を見据える具体的なロードマップを描いたことがカナダ行きの決め手となります。
本記事では、半年のUI/UXコーププログラムを選んだ理由、“見せる提案”としてクローンサイトを制作する就職戦略、AI時代のスタートアップで実感するUI/UX × エンジニアスキルの相乗効果など、海外就職を志すエンジニアにとって実践的なヒントが満載です!どうぞご覧ください!
日本での経歴とシアトル留学が変えた人生
Senna: それではちょっと日本でのご経歴と、なんで海外を目指そうと思ったのかの軽い自己紹介的なところからお願いしてもいいですか。
Kojiken: 大学は教育学部で全然エンジニアと関係ないところを卒業した後に、シアトルに1年間留学しました。
Senna: シアトル?バンクーバーからまた近いところですね。
Kojiken: そうなんです。実際、在学中には Amazon や Microsoft のエンジニアが学校に何度も来てくれました。彼らは自由な働き方をしていて待遇も破格。とにかくキラキラしていて、「エンジニアっていいかもな」と漠然と思いながら帰国したんです。
Senna: 良い形で”毒された”わけですね(笑)
Kojiken: 帰国後は就活をしつつ「どうしようかな」と迷っていたのですが、やっぱりエンジニアになりたい気持ちが強くなり、3か月ほどプログラミングスクールに通いました。そのあとエンジニア職で就職活動をしていたところ、友だちから「フィンテックの授業でプロダクトを作るメンバーが足りないから手伝ってほしい」と誘われてチームに参加することに。
その授業では各チームに社会人メンターが付いていて、最終的にそのメンターの方が、当時勤務していた会社に僕を紹介してくれたんです。
Senna: なるほど、メンターさんの紹介がきっかけでエンジニアとして就職されたんですね。
Kojiken: そうです。電子書籍の取次をしている会社に就職しました。書店と出版社の間に入って、取り継ぎ業務を行うような会社です。チームの規模はそれほど大きくなかったので、エンジニアとして5年ほど、いろんな分野の開発に関わることができました。
Senna: 5年間もいらっしゃったんですね。ご経歴を見ると「フルスタックエンジニア」と「チームリード」の2つの肩書きがありますが、これは最初の4年1ヶ月がフルスタックエンジニアで、その後がリードという感じですか?
Kojiken: そうですね。最初の4年ほどはメンバーとして働いていて、その後に開発チームのリードを任されるようになりました。
シアトルで出会った価値観の変化
Senna: 素晴らしいですね。ということは、日本でのご経歴はこの1社にしっかりと腰を据えて積まれて、その後にカナダに来られた、という流れになりますよね。
実際、海外に行きたいという気持ちは、大学時代にシアトルに行かれた経験から来ているんでしょうか? 1年間行かれていたんですよね。その時の体験が忘れられなくて、「やっぱり英語圏や海外で働きたい」っていう気持ちは、ずっと持っていた感じですか?
Kojiken: そうですね。シアトルに留学していた頃から、漠然と「いつか海外で、エンジニアとして働いてみたいな」という気持ちはずっと持っていました。ただ、その後はコロナがあったり、結婚したりといろいろあって、気づけば時間がどんどん過ぎてしまって……気づいたら、ワーホリにギリギリ行ける年齢になってた、という感じです。
Senna: なるほど、そういうことだったんですね。大学はきちんと卒業されて、その後5年ほど働いて、でもその前に1年間シアトルに行ってたんですよね。あれって、大学を1年休んで行ってたわけではないんですか?
Kojiken: いえ、卒業してから行きました。
Senna: あ、なるほど。じゃあ、ギャップイヤーのような形で行かれたんですね。
Kojiken: そうです、そんな感じです。
Senna: なるほど〜。じゃあそのギャップイヤー的な1年間でシアトルに行って、そのあと5年間働いて、「あ、ワーホリもうギリギリじゃん!」って気づいて……それで海外に行こうと決めた、ということですね。
Kojiken: はい、まさにそんな感じです。
Senna: ちなみに、シアトルでの1年間って、どんなことをされてたんですか?ちょっと興味あるんですけど。
Kojiken: 学校の授業とインターンシップを組み合わせたプログラムに参加してました。最初の9か月は、経済系のビジネスの授業を受けて、残りの期間はインターンシップで、僕は日本語教師をしていました。
Senna: なるほど。大学は教育学部だったんですよね?その流れでそのまま教育業界に行くのかなと思いきや、シアトルに行ってみたら「エンジニアめっちゃキラキラしてるやん!」って衝撃を受けて、「ちょっと目指してみようかな」と思った。その流れで帰国後に3か月間プログラミングスクールに通った、っていう時系列ですかね?
Kojiken: そうですね、言われてみると確かに、大学卒業後のどんでん返しみたいな感じですね(笑)。
Senna: 人生の方向がガラッと変わった感じですね。
Kojiken: まさにそうです。シアトルでの経験で価値観が大きく変わったなと思います。出会った人たちからの刺激もすごかったし、周囲の環境も全然違っていて。自分の中で人生が豊かになったというか、視野が広がったというか。そういういい思い出があったからこそ、「また海外で働きたい」という気持ちはずっと持ってました。
Senna: それって、価値観が変わった「瞬間」って、覚えてたりします? 僕も昔はあったと思うんですけど、正直あんまり覚えてないんですよね(笑)。たぶん自分も海外に来た時に「うおっ」て思ったはずなんですけど。
Kojiken: そうですね、シアトルに行ったとはいえ、僕が参加してた1年のプログラムって、日本人が結構多くて。同じカレッジに留学してる同期の日本人たちから刺激を受けることが多かったんです。今まで友達にいなかったタイプの人が多くて、考え方が全然違って。たとえば、ギネス記録を目指してイベントを企画してるような友達もいて、そういう人たちからの影響が大きかったですね。
Senna: なるほどね。ネジぶっ飛んでる系の人たちが多かったと(笑)。
Kojiken: そうそう、行動力がすごい人が多くて。
Senna: アメリカ留学って、なんかそういう「ぶっ飛んでる人」多いですよね。僕はカナダにずっといるから余計にそう感じるのかもしれないけど。
Kojiken: ほんとにそう思います。後先考えずに動ける人たちが多くて、こっちが圧倒されるくらい。でも、それがすごく刺激になったんですよね。

カナダを選んだ理由とFrogとの出会い
Senna: なるほど。じゃあそのシアトルでの1年間の中で、人生の転機になるような出会いや経験があって。それで帰国後にエンジニアを目指して3ヶ月間学んで、就職して5年。その間も「海外で働きたい」という気持ちはずっと心のどこかにあったんですね。でも、そこで改めてお聞きしたいんですが、最終的にカナダを選んだのはどうしてだったんですか?シアトルが近かったからというのも理由の一つかもしれませんけど。
Kojiken: そうですね。いろいろ調べてはいたんですけど、やっぱりFrogのイベントがすごく大きなきっかけでした。そこで一気にイメージが湧いたというか。
Senna: えっ、マジですか。めちゃくちゃ嬉しいですね、それ。
Kojiken: コープとワーホリを使って働いて、その間に頑張って永住権を目指す——みたいな。明確なゴールってわけじゃないけど、道筋がちゃんと見えたんですよね。それまでベルリンとかオランダとかも調べてはいたんですけど、ブログ記事とかはあっても、ビザとか就労の道筋みたいなものが体系的にまとまっていなくて。でもFrogのイベントで、すごくリアルに「こういうステップで進めるんだ」ってイメージできて、「あ、これ今動かないとマズいな」って思ったんです。
Senna: なるほどね。そういえば、カナダ・バンクーバーにはシアトルにいたときに来たことあったんですよね?
Kojiken: そうです。ちょっとだけ来たことがあって。
Senna: なるほど。それもあって、バンクーバーの雰囲気も含めて、全体的にイメージがしやすかったんですね。
Kojiken: はい、まさにそうですね。
Senna: いやー、そう言ってもらえるのは本当に嬉しいです。それって、2023年の「カナディアンドリーム」の時ですよね?KeiさんとKoheiさんしか登壇してなかったあの回?
Kojiken: そうですそうです。
Senna: あの時ね、覚えてますよ。150人くらい来てくださって、登壇者はたった2人(笑)。大行列ができちゃって、超反省したんですよ。「これはアカン」と思って、翌年は4人に増やしたんですけど……それでも足りなかったっていう。

Kojiken: 本当にすごかったですよね。
Senna: あのイベントに来てくれた価値がちゃんとあったなら、反省も報われます(笑)。
Kojiken: めちゃくちゃ良かったです。
Senna: イベントを通して、海外に向けた道筋が少しでも具体的に見えたなら嬉しいですね。とはいえ、実際に国を選ぶってかなり悩む部分でもあると思うんですけど、他に候補になっていた国ってありました?
Kojiken: ドイツ、オランダ、シンガポールとかですかね。
Senna: シンガポールなんかは日本人も多いですし、人気ですよね。でも、あまりピンと来なかった感じですか?
Kojiken: そうですね。正直、国に対して強いこだわりはなかったんですけど、技術的に遅れてないかとか、治安がどうかとか、そういうところは気にしてました。あとは英語圏であるかどうか、ですね。
Senna: ああ、やっぱり日常生活がすべて英語っていうのは、長期的に見ても大きいですよね。
カナダ渡航とカレッジ選択
Senna: ありがとうございます。じゃあ実際にカナダに渡航されたのって、いつ頃だったんですか?
Kojiken: 2023年8月の末頃ですね。
Senna: ちなみに、カレッジ選びの時点で、ある程度道筋はイメージできてたんですか?コープ行って、ワーホリを挟んで、そのあとできれば就労ビザ、最終的に永住権っていう。そのルートを実現したい中で、なぜWeb開発じゃなくてUI/UXだったのか、気になってる人も多いと思うんですよ。
Kojiken: まず、ワーホリを活用するって考えた時に、半年間のプログラムが一番都合が良かったんです。というのも、年齢的にももうギリギリだったので。
Senna: あー、なるほど。年齢のリミット的な。
Kojiken: そうです。で、半年のコープ付きプログラムとなると、ほとんど選択肢がなくて。実質、UI/UXくらいしかなかったんですよね。
Senna: 確かに。Web系で半年+コープ付きって、僕もほとんど見たことないです。
Kojiken: なぜか分からないんですけど、UI/UX系は数も多くて、広報してる学校も結構ありました。
Senna: なるほど。じゃあ、ビザとの相性が最優先で、たまたまUI/UXが条件に合ってたと。
Kojiken: でも、もともとUI/UXにはすごく興味があったので、「これはいい機会だな」と思ったんです。
Senna: ご経歴的には完全にエンジニア寄りですよね。
Kojiken: そうですね。
Senna: UIまわりも、いつかは体系的に学びたいなっていう思いがあったんですか?
Kojiken: はい。個人開発をしていたときに、デザイン面でめちゃくちゃ苦労してたんです。あとは仕事でもデザイナーさんとコミュニケーションを取る機会が多くて、「ここをちゃんと理解できれば、もっとスムーズにやり取りできるのに」って思うことが多くて。
Senna: 確かに。最近だとFigma筆頭に、エンジニアとデザイナーが一つのツール上でやり取りするのも当たり前になってきてますしね。そういう意味では、UIを学ぶエンジニアも今後どんどん増えていくのかなって気がしてて。でも正直、エンジニア歴5年の人が今さら半年UI/UXを勉強して意味あるのかな?って思う人もいると思うんですよ。僕も以前はそう思ってましたし。
Kojiken: いや、むしろ基本すら学んだことがなかったので、自分にとってはすごく意味がありました。エンジニアとしてはずっと、デザイナーさんが作ったデザインをもとに、それに従って開発するっていう流れだったので、UI/UXの視点を持って全体を考える経験は初めてでした。
だからもう、学ぶことだらけで、本当に新鮮でしたね。
エンジニア経験者がUI/UXを学ぶ意義
Senna: これ、Yutoさんの時にも同じことを言ったんですけど……ビザ目的でカレッジを選ぶ場合、やっぱり一番長いコースを選びがちなんですよね。ビザに余裕があれば、1年〜1年半のプログラムで、コープがさらに長く付いてくるようなWeb系のコースが多いじゃないですか。で、Web系で3〜4年の経験がある人がそういうコースに行って、「何も学ぶことがなかった」って言いながら卒業していくパターンも結構多くて。
だから僕もそれに慣れちゃってて。Yutoさんのときも、Kojikenさんのときも、「有意義な期間だった」って言ってもらえると、正直どうリアクションしていいか分からなくなるんですよ(笑)。「マジ?」ってしか言えないというか。なので、むしろ教えてほしいんですけど、エンジニアとしてバリバリやってきた人が、英語でUI/UXとかデザインを学ぶって、実際キャリア的にどう活きてる実感があります?
Kojiken: いや、もうまさに今、実感してますね。僕、今スタートアップで働いてるんですけど、まだまだ人数が少なくて、スピードがものすごく求められる環境なんです。で、ありがたいことにAIツールも自由に使える会社なんですけど、基本的にはFigmaとAIコードエディターを連携させて、まずはプロンプトを投げてコードを生成する、っていう流れで開発してるんですね。
Senna: へぇ、面白いですね。
Kojiken: ただ、AIが返してくるコードって、Figmaのデザインと100%一致してるわけじゃないんですよ。でも逆に、「あれ、これFigmaより良くない?」って思うこともあって。で、そういうときに、UI/UXを学んでいたおかげで、「これはアリ」「これはナシ」って、自分で判断できるようになってきたんです。それをデザイナーさんに見せると、「むしろこっちの方がいいね、それ使おう!」みたいな感じになることもあって。だから本当に、AI時代だからこそ、エンジニア自身がデザイン面でも判断できる力を持っていると、圧倒的にスピード感を持って開発できるんだなって実感してます。
Senna: なるほど。つまり、ただAIに頼るんじゃなくて、その出力に対して「何が良くて何が悪いのか」を自分で判断できる“審美眼”みたいなものが身についた、っていうことなんですね。
Kojiken: まさにそうですね。そこが一番大きい気がします。
カレッジでの充実した学習期間
Senna: 実はずっと思ってたんですけど、半年のコースってどうなんだろうなって。ビザの事情がなかったとして、実際どうでした?半年って短くなかったですか?
Kojiken: いや、ちょうどよかったですね。
Senna: 本当に?
Kojiken: むしろ、これ以上長かったら飽きてきたかもです(笑)。
Senna: なるほど、それ大事ですよね。たしかに8ヶ月目あたりから「もう学ぶことないんですけど…」みたいな空気になる人いますし
Kojiken: そうですね、学ぶには本当にちょうどいい期間だったと思います。
Senna: やっぱりそれって、エンジニアとしての現場経験があるからこそ、半年の学びが濃く感じられたのかもしれないですね。ちなみにUI系に進む人ってそこまで多くない印象があるんですけど、日本人のクラスメイトは何人くらいいたんですか?
Kojiken: 日本人は7人くらいですね。
Senna: クラス全体では何人くらい?
Kojiken: 正確じゃないですけど、たぶん30人くらいいました。
Senna: へえ、けっこう多いですね。で、みんな仕事は見つかってる感じですか?
Kojiken: いや、それがあんまり聞かないんですよね。
Senna: やっぱり半年だけってなると、現実は厳しいですよね。
Kojiken: そうですね。経験者は僕とYutoさんと、あともう1人コロンビア人のエンジニア出身の方くらいでした。あと1人UI/UXを学んでた人がいたんですけど、その人はプログラムが終わったら帰国しちゃって。
Senna: なるほど。じゃあ本気で海外就職を目指した人って、そんなに多くなかったんですね。
Kojiken: はい。半年で終える人もいれば、途中から延長して1年に切り替える人もいました。1年通う人のほうが、「こっちで本気で就職したい」という意志が強い感じでしたね。
Senna: あー、なるほど。まずは半年「お試し」で入って、良さそうだったらさらに半年延長して本腰入れる、みたいなスタイルもアリなんですね。途中で切り替えるのも柔軟にできると。
Kojiken: そうですね、意外とそれができる感じでした。
Senna: なるほどね。なんか学校の話ばっかり聞いちゃってすみません(笑)。
Kojiken: いえいえ。あと、めちゃくちゃプレゼンが多かったです。
Senna: あ、それ良かったんじゃないですか?むしろ。
Kojiken: 良かったです。プレゼン力も鍛えられました。
Senna: エンジニア系のコースって、意外とプレゼンの機会少ないですもんね。もちろん日本の学校と比べれば多いけど、とはいえ「こっちで通用する力」ってなると、やっぱりプレゼンやコミュニケーションの部分って大事ですし。そういう意味でもUI系に行ったのは正解だったかもですね。
Kojiken: 授業外の時間もかなり使って勉強してました。授業で紹介されたGoogleのマテリアルデザインとか、Appleのヒューマンインターフェースガイドラインとか、概要だけじゃ物足りなくて、自分で詳細まで読み込んでました。
Senna: すごいですね。完全に好奇心ドリブンですね。
Kojiken: あと、課題が多くて。1〜2週間ごとに、簡単なプロダクトをデザインする課題が出るんです。で、その過程で「AirbnbってなんでこんなにUI整ってるんだろう?」みたいに、いろんなウェブサイトを新しい視点で見るようになってすごく勉強になりました。
Senna: うわー、それ面白そう。俺も通ってみようかな……最近ちょっと暇で(笑)。ずっとUIUXとかやってみたいなって思ってたんですよね。
Kojiken: いや、本当におすすめですよ。学びも多かったし、気づきもたくさんありました。
Senna: なるほどね。ありがとうございます、めちゃくちゃ参考になります!
就職活動の開始と戦略
Senna: じゃあ、カレッジの期間中、半年間はかなり充実していた印象ですけど、実際、就職活動っていつ頃から始めたんですか?そこ、僕ちゃんと聞いたことなかったなと思って。
Kojiken: 始めたのは2月の後半くらいですね。
Senna: あ、なるほど。8月に渡航されたんですよね。ってことは、2月後半ってもう授業の終わりが見えてきたタイミングか。
Kojiken: そうですね、まさに終盤でした。
Senna: ということは、もう本当に順当に「そろそろ就活だな」ってタイミングで動き始めたって感じですね。
Kojiken: はい、そんな流れでした。
Senna: 実際どうでした? 就活やってみて。
Kojiken: いやー、運が良かったなと思います。
Senna: いやもう、それみんな言うんですよ(笑)。100人に聞いたら99人は「運が良かった」って言います。でも実際、何社くらい応募したんですか?
Kojiken: 12社くらいですね。
Senna: えっ、12社!? めちゃくちゃ少ないじゃないですか(笑)。
革新的な就職活動戦略:クローンサイト制作アプローチ
Senna: ちなみに、Frogメンバーの報告によると2〜3月は返信率低かったって話を聞いていましたが、そのへんのエピソードもぜひ聞いておきたいです。
Kojiken: 実は就活を始めて3社目で内定まで行けたんですよ。
Senna: えっ、マジで!? そんなに早く?
Kojiken: はい。でも結局、その会社から契約書が届かなくて、連絡も取れなくなってしまって……。それを待ってる間に、もうコープが始まりそうなタイミングになっちゃって。それで就活を再開して、何社か応募して、今の会社に決まったって感じです。
Senna: なるほどね。最初に決まったと思って待ってたら、契約書が来ないまま音信不通になっちゃったんですね。意外とそれ、珍しくないパターンなんですよね。
Kojiken: そうなんですね。契約書来ないかなーって、ずっと様子見してしまってました。
Senna: そっか、で、その頃ちょうどファイナルプロジェクトとかも重なってたんですよね? 学校の。
Kojiken: そうです、ちょうどそんなタイミングで。
Senna: それにしても、10数社しか応募してないって、Frogの中でもかなり少ない方です。で、結果的には12社中2社から内定をもらったってことですよね?
Kojiken: はい、そんな感じです。あともう1社、面接は通ったけど手応えがないところもありました。
Senna: でも確率だけ見ると6分の1で内定って、かなり高確率ですね。それだけ選んで応募してたってことですよね?
Kojiken: そうですね。自分の場合はスキルとマッチしてるところにだけ応募してました。で、反応があった会社には全力で準備して、時間をかけて対応してました。
Senna: 例えばどんな?
Kojiken: 面接の中で「今こういうサービス作ろうとしてるんだよね」みたいな話をされたんです。で、「技術的にこういう課題があるかも」って言われて、それなら作って見せてしまおうと思って。クローンサイトみたいなのを自分で作って、送りました。
Senna: それはデカい! 見せる資料があると説得力が段違いですよね。
Kojiken: 今の会社も、最終面接でその会社のサイトのクローンを作って見せました。「こういう風に自分だったら改善する」とか、そういう提案込みで。
Senna: なるほどね。それって、よくあるマスアプライのパターンと真逆のアプローチですよね。一社一社をちゃんと見て、準備して、提案していく。そんな手間かけられないっていう人が多い中で、Kojikenさんはかなり丁寧に進めていったんですね。
Kojiken: 吟味を重ねたってほどじゃないですけど(笑)、求人要項を見て「ここスキル合いそうだな」ってところにだけ送ってました。反応があったら、その会社で受かるためにできることは全部やろうっていうスタンスでしたね。
Senna: クローンサイトを作るっていっても、当然その会社の内部までは見えないから、ある程度は想像でやるしかないわけですよね。
Kojiken: そうですね。ブラウザの拡張機能で、そのサイトがどんな技術使ってるかをざっくり調べたり、求人票に書かれてる技術スタックを参考にして、「こういう構成かな」って仮定して作ってました。
Senna: 最近だとClaude Codeに「サイトの構造を把握する」機能が付いて、あれ使えばもっと精度高く作れますよね。社内でどんな課題抱えてるかを推測して、提案まで持っていくっていう。でも、それでも実際にやってる人って少ないんですよね。
Kojiken: そうですね。作ってる過程で「このリクエスト無駄に多いな」とか見えてくるんですよ。で、「なんでこのAPIこんなに叩いてるんだろう?」とか、逆質問として聞こうかなと思ったりもしたんですけど、結局聞かなかったですね。ただ、聞かれたら答えられるようには準備してました。
Senna: 素晴らしいです。それ、めっちゃ面白いやり方ですね。やっぱり、英語がネイティブじゃない僕たちにとっては、「口で伝える」より「実際に見せる」ほうが説得力があるって、間違いなくあると思うんですよ。
Kojiken: まさにそれです。言葉では勝てないなって思ったんで、だったら「見せるしかない」って。それが一番伝わると思ってました。
実際の面接体験
Senna: いや、いいですね。それは本当に、心の支えになる人多いと思いますよ。Frogに相談に来る人の中にも、「英語でのコミュニケーションでネイティブにはどうしても勝てない」とか、他のFrogメンバーと比較して「あのコミュ力お化けには叶わない」とか、そういう悩みを抱えてる人が多いんです。でも、別に声が大きくなくても、ちゃんと勝てる方法はあるし、Kojikenさんのやり方みたいなのが、これからのスタンダードになっても全然おかしくないなって思います。
Kojiken: そうですね。とはいえ、けっこうバクチ感ありましたけど(笑)。
Senna: いやいや、でもバクチ感でいったら、何百社にマスアプライする方がよっぽどバクチじゃないですか(笑)。それに比べたら、ちゃんと調べて、提案して、っていうKojikenさんの方法は、むしろ理にかなってると思いますよ。ほんと素晴らしいです。ちなみにもうちょっと深掘りしたくて。さっき面接まで行ったのが3社って言ってましたよね?
Kojiken: はい、そうですね。
Senna: で、そのうち2社は最終面接まで行ったと。ほぼオファー寸前だったってことですよね。1社は契約書が来なかったパターンで。じゃあもう1社、落ちた会社の話も軽く聞いてみたいんですけど、そこはどんな面接だったんですか?
Kojiken: そこはHRの方との面談でしたね。軽めの内容で、現状のステータスを聞かれたり、自己紹介したり、「何か質問ある?」みたいな、いわゆるスクリーニング面談って感じでした。でも、そのまま落ちちゃいました。
現在の職場環境とAI時代の開発
Senna: 結局、今働いてる会社って、何人くらいの規模なんですか?
Kojiken: 今は6人くらいですね。
Senna: 6人か、かなりコンパクトですね。まさにできたてホヤホヤのスタートアップって感じですね。改めてになるんですけど、どういった会社で、Kojikenさんはどういう役割を担ってるんですか?
Kojiken: ファウンダーがキックボクシングの元世界チャンピオンでして(笑)。格闘技や柔術、ヨガなどの動画を配信するプラットフォームを開発している会社です。オフィス内にスタジオがあって、先生の方のレッスン動画を撮影し、それをプラットフォームで配信する仕組みになっています。
Senna: すごいですね、ファウンダーむちゃくちゃ強そう(笑)
Kojiken: 実際は、すごくにこやかで柔らかい雰囲気の方です(笑)。今はベータ版を公開中で、最近マーケティング担当も入って、これから本格的にプロモーションを仕掛けていくフェーズですね。
Senna: 面白そうなプロダクト!カナダでの初めてのキャリアとして、かなりスタートアップな環境に飛び込んだわけですが、Kojikenさんのポジションとしてはどういう立ち位置なんですか?
Kojiken: エンジニアが僕を含めて2人だけで、もう1人の方はモバイルに強い人なので、自分は主にWebまわりを担当しています。フロントもバックエンドも、インフラも含めて、全般を見ていく感じですね。
Senna: なるほど、フルスタックで。ちなみに働き始めて今どのくらい経ちました?
Kojiken: ちょうど3週間です。
Senna: おお、本当に先月入ったばかりなんですね?まだ日が浅いとは思いますが、実際に働いてみて、今のところどんな感じですか?
Kojiken: 最近のスタートアップに入った人は皆感じてるかもしれないんですが、やはりファウンダーがAIに対する期待値がすごく高くて。「AI使えば開発なんてすぐできるでしょ?」みたいなノリで、GoogleやOpenAIのデモのイメージを持ってるんですよね。それで、自分が出した開発スケジュールに対して「もっと早くできるんじゃないの?」みたいな疑問を感じられていて、それを英語で説明するのがなかなか大変です。
Senna: それ、めっちゃ分かります。これからAIに対する“期待”だけが先走って、そういう企業がどんどん出てくると思います。でも経営側がそれを鵜呑みにして「なんでもできるんでしょ」ってなっちゃうと、現場は混乱しますよね。
Kojiken: 今までに比べたら、確実に開発スピードは上がってる実感はあるんですけど……逆に「もっと速く」っていうプレッシャーがこれから先もっと来るのかと思うと、ちょっと不安もありますね。
Senna: 分かります、それ。僕も最近また開発側に戻ってやってて、同じこと思ってますよ。で、厄介なのが、僕の場合は経営側でもあるし、自分で開発もある程度できちゃうんで、「1日でプロダクト作ってローンチしたろか」みたいなマインドになっちゃうんですよ(笑)。それを止めてくれるのがパートナーとかだったりするんですけど、やっぱり経営者がそのテンションで「AIで全部すぐできるでしょ?」って言い出すと、現場はたまったもんじゃないですよね。
Kojiken: 本当にそう思います。今って、まだ答えが見えてない段階じゃないですか。AIをフル活用する前提でソフトウェアアーキテクチャや開発プロセスを変えていかないと限界があると感じています。既存の開発の延長でスピードだけ上げていくとなると現場のエンジニアがどんどんしんどくなっていく気がしてます。
Senna: うん、スタート段階から「AI前提」でルールやガイドラインがきっちり定まってるならまだしも、それが曖昧なまま走り出すと絶対どこかで歪みが出ますよね。
海外生活と日本との違い
Senna: いやー、じゃあ今はなかなか大変なフェーズにいらっしゃるわけですね。ところで、日本で5年間働いてからのカナダ移住という形だと思うんですが、日本と海外で働いてみて、何か気づいたことや違いってありますか?
Kojiken: そうですね。まず、日が長いのはいいですね(笑)。
Senna: あー、なるほど。確かに夏は夜9時くらいまで明るいですもんね。
Kojiken: 仕事終わった後にまだ外が明るいっていうのが、すごくメンタル的に効いてる感じがして。
Senna: でも冬になったら、こっちは5時には真っ暗ですよ(笑)。って、去年の8月に来られたKojikenさんは知ってますよね。
Kojiken: はい(笑)。でも働き始めがちょうど日が長い時期だったので、今は気持ち的にすごく助かってます。
Senna: ですよね。9月くらいまでは全然大丈夫ですからね。いいタイミングでしたね。それで、日本と海外での働き方の違いとかって、今のところ何か実感してることあります?
Kojiken: そうですね。前職は日本でそこそこ大きな会社にいたので、その時と比べてですが、やっぱり意思決定のスピード感が全然違いますね。ファウンダーも「このAIツール使ってみたら?」みたいにどんどん提案してくるし、マーケティングの人も新しいツールをバンバン使ってる。とにかく実行が早い。
Senna: そこはまさにスタートアップの良さですよね。「使えるものは全部使う」っていう。ちなみに他のエンジニアの友達とか、周囲の話も含めて、日本と海外の違いで気づいたことって何かありますか?もちろんスタートアップと大企業の違いもあると思いますけど。
Kojiken: 正直、まだ他の会社の話をちゃんと聞けてないんですよね。ただ、今の会社ってすごく多国籍で。ファウンダーはイラン出身、エンジニアにはロシアの方もいて、中国の人もいる。バックグラウンドはバラバラなはずなんですけど、意外と「違うな」と感じることは今のところ少ないです。
Senna: ああ、それはわかります。最初は「考え方も文化も全然違うのかな?」って思うけど、働いてみると意外とそうでもないですよね。
Kojiken: そうなんですよ。もっとカルチャーショックがあるかと思ってました。ただ、日本人同士だったら、なんとなくのニュアンスとか“阿吽の呼吸”みたいなものが通じる部分があるじゃないですか。でもこっちだとそういうのは当然ないので、ちょっと大変だと感じることもあります。
Senna: そうですよね。その「空気を読む」みたいな文化は海外にはほぼないですもんね。逆にそこを手放すのには時間がかかる。
Kojiken: 例えば、「Good job」って言われた後に、「でもこの見積もりってAI使ってたらもっと早くできたんじゃないの?」みたいに言われることもあって……。「本当にGood jobだったと思ってる?」って、つい考えちゃいます(笑)。
Senna: あー、それはある(笑)。でもそれって、日本語でも同じですよね。「なんか今褒めてたけど、本音どうなの?」って。
Kojiken: たしかに。言われてみればそうかもです。
Senna: いやでも、これからAIファーストな会社がどんどん出てくる中で、そういう葛藤を抱える人は絶対増えますよね。
Kojiken: そうですね。でも今、まさにその最前線にいられるのは、ある意味いいチャンスだなと思ってます。自分としては、前向きにやっていきたいなと思いますね。

これから渡航される方へのメッセージ
Senna: さて、このアドバイスのパートまで読むような方は、間違いなく本気度高めの層だと思いますが、何かこれから渡航される方にアドバイスなどはありますか?
Kojiken: そういう方に伝えたいのは……ほんとに「Frogの説明会、行きましょう」ってことですね。
Senna: おぉ、そこ?(笑) でも、それでいいのかな?
Kojiken: はい、自分自身もそうでしたけど、本当にあの説明会で背中を押されたんです。正直、それまでなかなか一歩踏み出せなかったんですけど、「今動かないと間に合わない」って逆算できたのが、すごく大きかったです。
Senna: なるほど。その「逆算しなきゃ」っていう考え方も、説明会で初めて知ったような感じですか?
Kojiken: はい。情報を得て初めて「自分がどのタイミングで何をすべきか」が明確になったんです。
Senna: 素晴らしいですね。じゃあ、最後に伝えたいアドバイスとしては「Frogの説明会に来ましょう。Canadian Dreamに参加しましょう」ってことで(笑)
ビザ制度の変化と対応
Senna: ちなみに、他に言い残してることとか、今のうちに伝えておきたいことあります?
Kojiken: そうですね……やっぱり「ビザ周りは本当に変わりますよね」っていうのは強く感じます。
Senna: ほんと、それ。もうルールがコロコロ変わるんですよね。
Kojiken: 自分も、もともとは妻がワーホリでカナダに来ていて、自分はその配偶者ビザ(オープンワークパーミット)で滞在しようと思ってたんですけど……その制度も変わっちゃって使えなくなってしまいましたし。過去の情報が本当に当てにならないなと。
Senna: いやー、そうなんですよね。最近だと「ワーホリ2回OK」とか、制度変更も多いですし。
Kojiken: ですよね。「だったら行けたのに!」って思ってる人、絶対多いと思います。僕も今、年齢上限がもう少し引き上がらないかなーって、地味に期待してます(笑)。
Senna: わかります(笑)。一応、もしワーホリ期間中に就労ビザが出ないってなった場合でも、RO(Recognized Organization)枠なら35歳まで申請できるんで、ギリギリまで粘れる道はあります。ただ、あれ枠が少ないので、ほんとに早く動かないと厳しいですね。だから、もし今後「どうしようもないかも…」って思うような状況になったら、遠慮せず言ってください。一緒に最善を尽くしましょう。
Kojiken: ありがとうございます。なんか、まとまりのない話ばかりですみません。
Senna: 全然大丈夫ですよ。いつもこんな感じですから(笑)。引き続き、よろしくお願いしますね。何かあったらSlackのDMでも何でも、気軽に連絡してください。
Kojiken: はい、ありがとうございます。
Senna: 今日は本当にありがとうございました!
皆さんいかがでしたでしょうか。インタビューを通じて強く感じたのは、Kojikenさんが徹底して「選択と集中」にこだわっていたことでした。応募した企業はわずか12社。それでも2社からオファーを得られた背景には、企業の技術スタックを読み解き、クローンサイトを自作して提案資料として提示するという、英語力のハンディをアウトプットの質で埋める実践的な戦略がありました。
さらに、半年の UI/UX 学習で手に入れた審美眼は、AI が生成するコードを即座に取捨選択できる判断軸となり、スタートアップの開発スピードを支えています。ビザ制度が目まぐるしく変わる昨今に、Frogの説明会で得た最新情報から逆算して行動した事実は、「動き始めるなら今」というメッセージそのものです。
海外キャリアには予期せぬアップデートとプレッシャーがつきものですが、環境の変化をチャンスに変えるKojikenさんの姿勢が、次の挑戦を考える読者の背中を力強く押してくれることでしょう!
Frogへ相談する方法
Frogは様々な相談方法で皆様からの相談にお応えします