コロナを物ともしない行動力、SEからWeb系フロントエンドとしてカナダで就職を果たしたTogashiさん
今回は日本でSE、コンサルなどを経験した後、バンクーバーのカレッジに留学され、現地スタートアップ企業VidigamiにFrontend Developerとして見事就職を果たしたTogashiさんにお話を伺いました。
Togashiさんは前回インタビューさせていただいたKoheiさんと同期入学で、在学中より個人、共同でのアプリ開発や就活のための英語対策などを経て就職が決まり、その間培った色々なノウハウ、経験をシェアしてもらいました。
コロナ禍での就職という不安が残る状況下での就活ではありましたが、これから留学、海外就職するにあたって具体的にどのような対策をしていけばいいのか、とても参考になるお話が聞けたと思いますので、ぜひお楽しみください。
経緯
Senna:バンクーバーに来る前までの経歴について教えてもらえますか?
Togashi:2社経験した後自営業をしていました。その間、システムエンジニア、コンサル、プログラマーなど色々経験しました。1社目はSIerの会社でシステムエンジニアをしつつ、Javaのプログラマーもやってました。プログラミング結構嫌いだったので(笑)そんなにしっかりとはやってなかったです。
実は僕には、ずっとお世話になっていたお爺ちゃんがいたんですけど、1社目の会社はその人のコネで入れてもらって、でもそのお爺ちゃんが亡くなって、もうこの会社で働きたくないと思ってフィリピンに2か月留学しました。英語が話せるようになったので外資企業に入りたいと思いアクセンチュアとアバナード(※1)を受けて、どっちも受かりました。アクセンチュアってすごい人気なんですが、それがちょっと嫌で「じゃあ僕はアバナードにしよう」という軽いノリで決めました。
ただ、英語がしゃべれるようになっていたと思っていたんですけど、実際全然しゃべれなかったです。でも入社してみると誰も英語話してないし、めっちゃ日本人の文化だったんですよ。「これは英語圏の国に行かないとだめだ」と思って調べたらFrogが見つかって、その日の内に連絡して、そしたらヒアリングするって返信もらって、それからちょっと真剣に渡航を考えるようになりました。
※1…アバナード:戦略コンサルの大手アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社。マイクロソフト製品とコンサルティングの精鋭が集まる企業
Senna:ヒアリングというか、Skypeでちょっと話したぐらいですけどね。
Togashi:当時僕がFrogに送ったメールって、めっちゃふわっとしてたと思うんですけど。
Senna:そうそう。(笑)
Togashi:最初のモチベーションはふわっとしてたけど、段々と現実味帯びてきて、行ってみようかという気持ちになりましたね。当時働いてた会社はさっき言ったアバナードで、業務内容的には、半分はコンサル業だったんで、プログラミングは全くせず、コンサルしかやってない時期もありました。当時プログラムをしていた時は、C#.NETを使ってました。一番最後のプロジェクトは、シェアポイントのデータ移行をPowerShellで書いたんですけど。(笑)めっちゃ嫌でした。(笑)
カナダを選んだ理由
Senna:どうして海外就職先としてカナダを選んだのかについて教えてもらえますか?
Togashi:適当ですね(笑)
Senna:適当かい!(笑)
Togashi:めっちゃ適当だと思います。アメリカとカナダと、あと英語しゃべる国あったかなーって。本当にそんな感じです。全然考えてなかったですね。
Senna:たまたま検索してFrogがあったからですかね。
Togashi:そうですね。そしたら現実味を帯びてきて、「まー行くか」みたいな。(笑)
Senna:なるほど。最初は結構適当だったけど、そこにFrogがあったし、Frogとの相談の中でカナダまでやってきたと。
海外に目を向けたきっかけ
Senna:そもそも海外を目指そうと思ったきっかけって何だったんでしょうか?
Togashi:さっき話したお爺ちゃんがよく「釣りは魚がいっぱいいる所でしよう」「魚がいない所で釣りをしても意味がない」ということをビジネス上の意思決定時の基準にしていたのをよく聞いていました。それで僕としては「じゃあ、日本じゃなくて海外」というのが自分の頭の中にずっとあって。具体的にカナダに来ようと思ったのはその人が亡くなってからなんですけど。英語が話せればばもっと大きい池があるわけだから、そっちで仕事をした方が大きいチャンスがあるんじゃないかなーと思ってました。
Senna:金持ち父さん的な人がいたということですね。
Togashi:そうですね。英語が話せるようになれば、英語圏以外でも、ドイツとかビジネス上英語を使う国に行こうと思えば行けるわけじゃないですか。仕事をしようと思えばどこでも仕事ができるようになるし、自分と合った文化圏への移住もできるようになるし。
Senna:なるほど、キャリアや生活環境のオプションを増やすっていう意味で海外に目を向けたということですね。
渡航前の英語力
Senna:Togashiさんは英語の勉強してから渡航したんでしたっけ?
Togashi:当時付き合っていた彼女がIETLS7か8くらい持ってて、2年くらい付き合ったら大体しゃべれるようになっていたという感じです。アバナードに働いていた時もTOEICが必要だったので、イングリッシュカンパニーで勉強してました。それで大体しゃべれるようになりました。
Senna:なるほどね。彼女さんの存在が英語を伸ばす大きな原動力になったと。
Togashi:でもライティングは全然できなくて、今やべーってなってます。
Senna:TOEICは仕事で日本国外の人とコミュニケーションをとる必要があったから受けたんですか?
Togashi:一応英語のカンファレンスを聞いたり、プロジェクトによっては英語を使う機会があって、上司の代理で参加したり、英語で話す機会も多少はありましたが、実際にはほぼなかったです。会社はグローバルに展開しているので、基本的にはそこの国のコンサルをすることが仕事なんですよ。業務上英語が必要なのは各国ブランチ同士でナレッジを共有する時ぐらいで、僕は日本法人所属なので、日本企業にしかコンサル業務はしないので、具体的に業務上英語を使う機会はナレッジの共有以外は特になかった、という状況でした。
Senna:英語の部分がガッツリ必要ではないけどあった方がいいよねくらいのレベルだったと。彼女さんとのコミュニケーションの部分と、会社業務で少し使っていたというところですね。英語の勉強のためにフィリピンにも行ったんでしたよね?
Togashi:そうですね。フィリピンに行った時に、そのベトナム人の彼女と出会ったんですよ。
エンジニアを目指したきっかけ
Senna:エンジニアを目指すきっかけって何かあったんですか?
Togashi:さっき言ってた、そのお爺ちゃんに勝手に就職させられたからですね。その時の会社がエンジニアリングの会社でした。
Senna:プログラミングは会社入ってから勉強し始めたんですか?
Togashi:そうですね。僕は出社初日、パソコンのつけ方すら分からなかったんですよ。(笑)Windowsだったんですけど。タイピングもできなかったし、最初はそんなレベルでした。
Senna:それはコネ部分でどうにかなるレベルだったんですか?入ってすごい苦労したんじゃないのかなって思うんですけど。
Togashi:苦労は多分したような気がします。
Senna:そこでJavaを勉強して業務で使っていたんでしたっけ? 実務でプログラミングができる会社に入れてもらえてよかったですね。
Togashi:その会社は、そのお爺ちゃんが一回助けたことのある会社だったみたいですね。人脈が物凄い人だったので、その人が一声かければ入れてくれるような会社が結構あったんですよ。それで入れてもらった会社がたまたまテック系の会社で。そのお爺ちゃんの本業は建設業だったんですけど、「これからの時代は建設業じゃやっていけないからITの方がいいよ」ということでその会社を紹介してもらいました。
Senna:なるほど、そこで初めてプログラミングに出会って…、正直プログラミング面白いと思いましたか?
Togashi:思わなかったですね。(笑)全然面白くなくて。
Senna:ぶっちゃけ大体そう思いますよね。でもよく続きましたね。
Togashi:結構負けず嫌いだったんですよね。入社して全然使えない自分がめちゃくちゃコンプレックスだったので、入社してから結構ちゃんとやるようになりました。その時の会社はSIerで、プログラミングをするプロジェクトもあるし、ないのもあるんですけど、僕としては、プログラミングができるプロジェクトに行きたかったのでそっちに配属させてもらいました。
最初のプロジェクトは、会計システムだったんですけど、仕事をする中で僕自身がすごい使えないということが分かって、じゃあどうやったら使える人になれるのかなって考えて、簿記を取ろうと思って簿記の2級をとりました。
その一時期は使えるようになったんですけど、次のプロジェクトに行くとまた使えなくなってしまうんですよ(笑)
自分が使えないと分かる度にそれが許せなくて、ちゃんとプログラミングを勉強しようと思って徐々にJavaを書けるようになっていきました。
Senna:大体みんなそこで自分に合ってないと思ったり、つまらないと思って挫折する人が多いですけどね。
Togashi:コネ入社で何も使えないのに給料が結構高かったので辞めたくなかったんですよ。それとお爺ちゃんが期待してくれているのも感じていたので。仕事で詰まったことがあった時にいろいろと相談もできたし。
Senna:TogashiさんはJavaから入ってずっとそこでSEやってたんだよね。Web側だったんですか?
Togashi:そもそも最初の会社でも、アバナードでも、一緒に働いている人の中でプログラミングができる人ってそんなにたくさんはいなかったんですよ。自分もアプリは作れないプログラマーでした。でもコンサル業務を一緒にやっている人の中でアプリの作り方は分からないけどやれば何でもできる頭のいい人たちもいて、そういう方向を自分も目指していました。
なので、プログラミングをちゃんと勉強し始めたのは、カレッジでKoheiくんに出会ってからですね。今フロントエンドエンジニアをやっているのもKoheiくんがやっているからですね。
Senna:Togashiさんから仕事が決まったって話を聞いた時も「Koheiさんがいたから」と言ってて彼の存在が大きかったようですね。
在学中は共同アプリ開発などで技術力を伸ばす
Senna:学校は実際どんな感じでしたか?
Togashi:そもそも学校に対して求めるものは特にはなかったですね。僕は18からずっと働いてきていて、長い期間休んでなかったので「休憩したいなー」と思ってました。BCITへの入学も検討しましたが、IELTS 6.5以上を取るのも面倒くさいと感じたので止めました。
学習面でいうと、Koheiくんと共同でアプリ開発をしたんですけど、その過程でプログラムがうまく書けない場面にちょくちょく出くわしました。具体的なバグがあってそれを解決する場合は対応できるんですけど、全体的に最初から作るとなるとできないっていうのをアプリ開発の初期段階で感じました。
Senna:元々SE方面の人ですしね。
Togashi:そうですね。どちらかというと1から作るんじゃなくて特定の問題を解決する方にフォーカスしてたので、アプリを最初から作るとなると全然ダメでした。
Koheiくんと共同でアプリを作っていく中で、自分自身具体的にどんなスキルが必要なんだろうっと考えるようになって、それでこちらのジョブマーケットでの需要も高く、Koheiくんもよく知っていたReactの勉強を始めました。
Senna:なるほど。元SEというベースがあったにしても、就職については僕も少し心配してたんですが、いつの間にか色々作ってましたよね(笑)
Togashi:そうですね。でも最初は本当に全然分かんなかったですね。
Senna:でも1年であんなにいい会社に入れるまでになったんですよね。やっぱり就職のコツを知りたい人も多いと思うんですけど。何がモチベーションになったんでしょうか?
Togashi:具体的にどこを目標にするのかが大切だと思います。Koheiくんはシニアデベロッパーですけど、彼ほどじゃないにしても、Reactをちゃんと理解して話せるようになれば英語力はそんなに問題なく就職はできるだろうと思っていました。あとは戦略を色々と考えてて、技術的なReactの学習だったり、そもそもReactという技術をどうして使うのかといったことも掘り下げて勉強してそれを英語で説明できるようにしました。
アルゴリズムも自分で勉強していて、それも楽しかったんですけど途中で切り上げて、実際のアプリ開発にフォーカスするようにしました。最後の方はKoheiくんと共同でポーカーのアプリを作ることになってそれがポートフォリオとしては物凄くよかったかなと思います。
Senna:そうですよね。お二人の作ったポートフォリオは他のエンジニアから「設計面で参考にさせていただきました」とか色々コメントもらってますよ。
Togashi:僕は設計はしてないですけどね。(笑)
Senna:聞かなかったことにします(笑)そうか、そこはKoheiさんがやったんですね。
Togashi:学習をする過程でよかったなと思うのは、自分が理解しないままにしてきたものが理解できるようになったということですね。個人でFlutterで英語のアプリを作った時は分からないことがたくさんあったんだけど、Reactの学習を始めて知識レベルが上がった上で、Koheiくんと共同でポーカーアプリを作り始めたことが大きかったですね。
分からないところは全部聞くことができたし、あとはKoheiくんが書いたコードも理解できるレベルまでいけたので、それはすごくよかったと思います。
渡航後1か月で面接した会社に採用される
Senna:なるほど。具体的に技術的な部分まで説明できるようにしておいたのは大きいですね。ウェブ未経験でとりあえずReactのチュートリアルをやってみて簡単なアプリを作りました、という人は結構いるのだけど、「じゃあ実際どういう設計したの?」「データレイヤーどう考えてるの?」とか聞いても説明できなくて就職面接で苦戦を強いられる人も多いですね。
Togashi:それを言うと僕も結構そんな感じでした。良かったか悪かったかは置いてといて、カナダに来て一か月くらいの時に就活をちょっとしたことがあって、実は就職が決まった今の会社って、その一番最初に面接行った会社なんです。
就職の3か月前に学校のファイナルプロジェクトが始まるんですけど、Koheiくんと色々プロジェクトをやっていく中でもう終わってしまっていて、3か月が結構暇だったので就活してたんですよ。
とりあえずレジュメを送ってみたりしているといくつか返事をもらって、電話インタビューがあってその中でReactの中身について質問されてうまく答えられないことが結構ありました。
なので、このまま知らないままだとヤバいなというのが分かって勉強を始めました。それと、その技術的なことを英語でも説明できるように準備もできました。それを早めに気づけたのがよかったかなと思います。
Senna:それは、めっちゃよかったですね。実際にそれCoop始まってからやる人が多いですからね。就活はなるべく早めにやっといた方がいいなと思いますが、バンクーバーに来て一か月目で面接に行ったという人は流石に初めて聞きました(笑)
Togashi:いや、正直いけると思ってたんですよね。
バンクーバーに来て一か月目でその会社の面接を受けてLeetCodeのEasyぐらいの問題が出題されたんですよ。
その時はPythonの問題だったんですけど、つたないながらも説明ができました。問題も難なく解けてたし、本当は一回受かってたんですよね。そこの会社はVidigamiっていう教育系アプリを開発してるんですけど、アメリカのYearbookという会社と合併した直後で一回採用をストップするって言われちゃったんですよ。
実際その時採用されてたら技術的にも結構ヤバかったから結果オーライでした。その後就活の時期になって、そこの会社のReactの求人を見つけてCEOに連絡したら「もう一回受けてみなよ」って言われて面接に臨んだら、Reactの簡単な説明と僕の今やっているプロジェクトの説明で採用されました。アルゴリズムの問題とかはなかったのでラッキーでしたね。
Senna:1年くらい前に受けに来た人がもう一回受けに来るというのも熱意を感じるし、いい方向に話が進んだんでしょうね。
Togashi:そうですね。
Senna:そういう意味でも非常にレアな道筋ですよね。流石に1か月目で就活しろとかは僕らも言いませんが(笑)でも1年ちょっとでよくここまで習得できたなと思います。
Togashi:足りてはいないかな。今の仕事をやる分には全然大丈夫だけど。でも足りるということは一生ないだろうし。
Senna:でも現地就職できるレベルに至らない人もたくさんいますよ。
Togashi:僕の話聞いてて分かると思うんですけど、結構浅はかなんですよ。だから失敗することが多いんですけど、失敗から学んでいるとは思ってます。
他の人の話聞いてると100社レジュメ送ってどこで落ちてんのかとかちゃんと記録をとってない人が多いですね。別にトラックの仕方はどうであれ、100社送って次に繋がっていないのであれば、レジュメの書き方に問題があるわけじゃないですか。やっぱりちゃんとトラックして失敗から学べないと難しいかなと思う。
Senna:ポーカーアプリを作り出したとかしたのは、Coopが始まる数か月前でしたっけ?
Togashi:ポーカーアプリはCoopが始まった後、就職前後くらいですね。それと、ブラジル人の彼女がこっちに来てたので1か月ずっと遊んだり。
Senna:総合すると結構有意義なカレッジ生活だったということですかね。
Togashi:そうですね。楽しかったです。
就職活動
Senna:何社くらいにレジュメ送ったんでしょうか?
Togashi:50社くらいですね。
Senna:どのくらいの確率で返事をもらえてたのでしょう?
Togashi:35%くらいですね。
Senna:それでも高いですね。素晴らしい。
Togashi:レジュメをどんどん作り直して人に見せたりして改善していったんですよ。最後の方はほぼ全部、80%くらいの確率で返信をもらえるようになりましたね。自分に合っている会社、ポジションを選んで送っていたというのもありますけど。
最初はどこも電話面接がありました。面接の内容ですけど、大きな規模の会社じゃなかったので、アルゴリズム関連の問題はあまり出ず、技術的な要件を聞いてくる会社が多かったかなって思います。もちろん会社によっては、アルゴリズムに関する質問もされるし、あとHackerRankの問題を送ってくる会社がありました。(笑)
Senna:マジで?それいいの?(笑)
Togashi:でもそれを後で説明させるので。本当に篩落としだと思いますけど。
Senna:調べれば分かることは世の中大半だろうし。結局それを口に出して説明できるかどうかっていう部分を見てるんですかね。
Togash:あと時間が結構シビアでした。制限時間が50秒しかないHackerRankの問題とかありましたし、書く問題は2分でした。聞かれることは実務的な問題が多くて、Reactのポイントだったり、ステート、コンテキスト、エフェクトとかその辺りを理解できているか確認されたり、よくある問題を出してどのように対応するとか結構聞かれたりしました。
Senna:あくまで実務ベースでの話ということですよね。
Togashi:そうですね、そういう話が多かったですね。
Senna:面接で印象に残っていることは何かありますか?
Togashi:就活を始めて最初の頃に行った会社では、Reactの問題をめちゃくちゃ聞かれたんですけど、その時はすでにReactのことは理解できていたんだけど、英語でReactの説明するのが難しいし準備もしてなくて、その練習を一回Kohei君と集まってやった気がします。10問くらいReactの問題があって。Coop始まる2ヶ月くらい前に受けた会社で、レジュメを送ってリクルーター面接があってテックの電話面接があって、そこでReactの実務的な質問に対して、英語でつまったところが結構印象的でしたね。その面接の後に、質問を全部振り返って次は答えられるように準備しました。自分的には結構努力したかなと思います。
Senna:英語で説明する勉強もまた必要でしたよね。
Togashi:特にそこでしたね。結構大変だったところは。
Senna:英語で説明するのは、技術的な面とはまた別ですよね。技術的には問題ない人でも、技術的な説明を英語でちゃんとできないと落とされてしまう。
Togashi:そこは結構時間かけましたね。彼女に聞いてもらったり。彼女はReactとか技術が全く分からないんで、説明するとしたら1からなんですけど、でもそれがすごく勉強になると思ったし、「僕の説明で理解できなかったところある?」みたいな聞きなおしたりしてましたね。
Senna:なるほどね。そこが最終的には鬼門という事ですね。
リクルーター面接でのビザ関連の説明
Senna:リクルーター面接って、テック面接の前に挟むケースが多いと思うんですけど、ビザまわりの説明はどのタイミングでしました?
Togashi:そこも結構大変で、別の会社の面接受けた時に、制限時間が90分のHackerRankの問題を受けて受かったんですけど、ビザのことを話したら「え?Coop?Coop無理」みたいな返事をもらって。「ちょっと待って。ビザの担当の人がいるからその人にレター書かせるからそれ読んでから考えて」って伝えてその場は終わり、同日にレターは送れたんですけど、次の日に「他の人に採用決まっちゃいました」って言われてしまったことがありましたね。
ビザのことを話すと会社側は結構難色を示してしまうので最初の方では話さないようにしました。採用が決まった後に「実はこういうビザなんだよね」って話しました。会社によってはダメっていうところもあるのかもしれないけど、うちの会社は全然大丈夫でしたけどね。CEOがめっちゃフランクな人でよかったです。
Senna:特に大手に多いんですが、リクルーター面接の時に「自分ワーホリなんです」とか「自分ポスグラなんです」とか、要するに永住権を持ってないっていうことが知られ、そこから次に進めないっていう人って実は結構多いんですよね。
日本との違いについて
Senna:実際に働いてみて何か日本との違いについてショックだったことはありますか?
Togashi:やはり異文化の人たちの集まりなので、話が通じてない前提で皆コミュニケーションしているのが印象的でしたね。会社の同僚の中で、皆が話してる英語が全然理解できない人が2人いるんですけど、その二人が会話する時には周りが何度も内容を確認してくれたりして助かりました。自分としては『仕事上のことを何度も確認したりするのは悪い』っていう気持ちがあったんですけど、全然それを相手が気にしてないのが僕としてはいい意味でのショックでした。
Senna:それは確かにありますね。カナダは移民で半分以上成り立っている国だから、言葉の意味での通じてない前提ってういのは文化として根付いている感じがするし、だから北米就職での登竜門としてのカナダはその面でいいですよね。これがアメリカだったら、もうみんな泣いてるなっていうイメージがあるけど。そこはやっぱり文化的な面で助かっているのはあるかもしれないですね。
Togashi:確かに。
社内でのコミュニケーション
Senna:会社で同僚とのコミュニケーションはどんな感じですか?
Togashi:扱う英語が難しいなと感じますね。会社だからっていうのもあると思うんですけど、うちの会社だと僕ともう一人のエンジニアのスペイン人以外はほぼみんなネイティブレベルですね。「みんなよくしゃべるなー」って思いますね。
Senna:IELTSで7とか取ったような人でも、会社入って『苦痛はランチタイム』ってよく聞きますね。カジュアルトークが辛いとか。
Togashi:逆に僕はそれはあんまり感じないですね。
僕結構しゃべる機会が多くて、まず毎日オプショナルで参加できる15分から20分のミーティングみたいなのがあって、それがバンクーバーのブランチメンバーだけで毎朝やってます。
カジュアルに参加できてしゃべりたくない時はしゃべらなくていいし。聞いてるだけの人もいたり、画面オフ、音声もオフにしている人もいるという気楽に参加できるミーティングですね。最初の方は本当についていくのがやっとでGoogleのトランスクリプトを見たりとか(笑)
Senna:マジで?あれ使えます?(笑)
Togashi:使えない(笑)さっき言ってた話す英語が難しい2人のことなんですけど、一人はイギリス方言バリバリみたいな感じで、もう一人はカナダ人で、「何でこんなに聞き取れないんだろう」ってずっと思ってたんだけど、UBCから来てたインターンの学生と一緒に帰る機会があって色々話しているうちに「あの人の英語理解できないんだよねー」って言ったら「俺も理解できないんだよね」って言ってて「ああ、これは俺の問題じゃなかったんだ」と(笑)
その人は滑舌がすごく悪いみたいで、最初つまった後からすごい速さで話すんですよ。他の同僚たちとは全然問題なく話せてますけど。
Senna:働き始めてからどのくらい経ちました?
Togashi:2か月半くらいですね。会社に入社してからの2か月半が一番英語力が成長したかなって思います。僕はコミュニケーションとる機会がめちゃくちゃ多いんですよ。朝のミーティングに週次ミーティングにも参加していますし。毎日じゃないですけど、オフィスに行きたい時に行って、同僚とコミュニケーションをとるようにしているのもあってリスニングに関しては、例の2人を除くと今はほぼ問題ない感じです。
スピーキングについては、実際に持ってないものとか動いてないものとかについて説明するのがめちゃくちゃ難しいですね。コードベースで話したりとか、プロトタイプを見せながら話すのはいけるんだけど、図などを使わずにそらで何かの説明をするのが一番苦労しているところです。
これから留学する人たちへのアドバイス
Senna:最後ですね。今後自分のような人が留学をする場合、何かアドバイスがあれば一言お願いします。
Togashi:失敗から学ぶということですね。小さい失敗を失敗と思わない人って結構多いなと思うんですけど、何でか分かんないけどうまくいってないことをそのままにしておかなければ、初心者の人でもうまくいくと思うし、未経験だからうまくいかないわけではないと思いますね。
いかがでしたか?
Togashiさんをインタビューを聞いていく中で、自分自身の足りない部分を客観的に見つめ、それを改善するための努力を惜しまない姿勢が印象的でした。
ただ闇雲に技術を学んで自己満足で終わるのではなく、現地のジョブマーケットの需要から方向性をある程度定め、Resume、面接英語は失敗と改善を繰り返しながら常にバージョンアップし続けた結果の現地就職達成となりました。ジョブマーケットの調査、アプリ開発を通じての技術力向上、Resume送付後のトラッキング、実際の面接で聞かれた内容に基づいた面接対策など、地に足の着いた対策ができていたからこそ多くの面接の機会を得、最終的に採用オファーを獲得するに至ったのかと思います。
就職後も積極的にミーティングに参加したり、同僚とコミュニケーションをとったりなど、前のめりな姿勢にとても刺激を受けました。
実際そういった姿勢は大事で、海外就職を目指して渡航したものの、客観的に見て行動的ではなかったり、基本的に待ちの姿勢に落ち着いて1年を過ごすという方も少なからず居るので、是非彼のそうした姿勢を参考に、今後の活動方針を考えてみるのも良いかと思いました。
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