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リファラルのキッカケはカレッジの課題?日本でフロントエンド、リードエンジニアを経験しカナダへ渡航、1年掛けて現地就職を達成したKanaさん

本日のインタビュー相手は、日本ではホテルの予約センターで働き、その後エンジニア経験を経てカナダへ渡航したKanaさんです。2019年に業界未経験でカナダ渡航を考えるも、コロナの影響で一度は断念。その後、一旦日本で業界経験を積み、2023年にカナダへ渡航されました。

Frogでは、毎日多くの方から北米への挑戦についての相談を受けますが、「一度日本で準備をしてから渡航する」という決断をし、実際に行動に移す人は非常に少ないです。海外挑戦へのモチベーションを維持し、不安を払拭するためには多くの準備や学習が必要であり、それを実行して目標を達成することがどれほど困難であるかが分かります。

今日はそんなKanaさんに、日本でどのような過程を経てカナダに渡航し、カナダでどのような挑戦や努力を重ねてきたのかを伺いました。有言実行の鏡のような存在で、非常にストイックな印象を持っていましたが、話を聞くうちに意外な一面も見え隠れし、非常に興味深く参考になる内容だと思います。ぜひご覧ください。


キャリアの転機と最初の相談

Senna: では早速、まずは経歴から振り返りましょう。僕も把握している部分はありますが、最初にFrogに相談された時は、まだ業界経験はなかったですよね?

Kanaさん(以下敬称略): そうです。最初にお話ししたのは2019年です。当時は外資系ホテルの予約センターで働いていました。全然業界も職種も違いましたね。

Senna: 当時のカウンセリング内容はあまり覚えていないのですが、その時は「業界経験を積むために日本で頑張ろう」という話になったんでしたっけ?

Kana: いえ、その時は未経験でもカナダに行こうと思っていました。2019年に決意し、学校にも申請をして、英語のスコアも5.5を取得して証明書を見せ、支払いまで済ませました。しかし、2020年にコロナが起きて、渡航を一旦延期することにしました。

Senna: コロナの影響で計画が狂ってしまったんですね。一度カナダ行きを諦めて、日本で経験を積むことにしたと。通常、一度経験を積むと、そのまま日本でキャリアを続ける人が圧倒的に多いですが、Kanaさんは違ったので驚いたことを覚えています。結果的に、日本ではどのくらい経験を積んだんですか?

Kana: 日本では最終的に2年と5ヶ月くらい経験を積みました。まず、エンジニアになるために独学で3ヶ月勉強し、その後フロントエンドエンジニアとして雇ってもらえたんです。

Senna: それだけで美しいストーリーが出来上がりそうです(笑)。独学はどのように進めたんですか?

Kana: 当時は動画学習が流行っていて、「Progate」や「Udemy」を利用しました。ゲーム感覚で学べる教材を使いながら独学で勉強し、早くエンジニアとしての経験を積みたかったので、バックエンドは諦めてフロントエンドに集中しました。

Senna: 日本での経験も、学習内容もすべてフロントエンドに集中していたんですね。

Kana: はい、その時はバックエンドを勉強するのに時間がかかると感じたので、フロントエンドに絞りました。

バックエンドへの葛藤

Kana: バンクーバーでフロントエンドで就労する人が多いことを知っていたので、将来を見据えてフロントエンドに絞って勉強しました。でも、振り返ると少し安易な考えだったかもしれません。もう一度やり直せるなら、バックエンドから始めている可能性が高いですね。

Senna: そこは非常に興味深いですね。フロントエンドから始める人が多いのは、Frogの就業事例が多いからという理由で理解できます。ただ、プログラミングの学習に絞って考えると、僕もバックエンドの仕組みやデータの流れから学ぶ方が良い場合もあると思います。

Kana: 本当にそう思います。もし当時に戻れるなら、バックエンドから始めてフルスタックエンジニアを目指していたかもしれませんね。

Senna: 海外就職を目指すにあたって、バックエンドの経験を積むのは確かに難しい部分もありますよね。特にFrog界隈では、未経験からバックエンドエンジニアとして海外就職した人はかなり少ないです。

Kana: フロントエンドでもバックエンドでも、日本では未経験から就業できる可能性が高いと思います。それなら、未経験からの就業が難しいバックエンドからスタートした方が、フルスタックエンジニアになる道筋を描きやすかったかなと、今なら思います。

Senna: 確かに。スタートアップなど少人数の企業では、フロントエンドの人員を先に補充するケースが多いですからね。シニアのフロントエンドエンジニアが1人いて、あとは実装部隊という形で、バックエンドはシニア1人いれば十分という小規模チームの構成はよく見ます。だからこそ、未経験から海外でバックエンドの経験を積むのは難しいというのは理解できます。

Kana: そうですね。現在もフロントエンドの経験を積んでいますが、フルスタックになるには相当な努力が必要です。就職活動をしている時も、フルスタックとして戦うよりは、フロントエンドに集中した方が該当するポジションが多いと感じていました。

日本での転職活動の実情

Senna: 日本での転職活動はどうでしたか?特に大変だったことはありましたか?

Kana: 大変でしたが、1ヶ月以内に決まりました。就活自体は3週間ほどで、5社から内定をいただきました。

Senna: 5社も?!日本の転職市場は素晴らしいですね。

Kana: なぜ5社も内定をいただけたのか自分でも分かりませんが、日本は未経験でも挑戦できる環境が整っていると思いました。

Senna: ちなみに、どの時期に就職活動をしたんですか?

Kana: 2020年の6月に独学を始め、9月頃に前職を退職し、そこから就職活動をしました。そして、11月から働き始めました。

Senna: コロナの影響がまだ色濃く残っていて、企業も採用活動に消極的な時期でしたよね。それでも5社から内定をもらえたのは素晴らしいです。

Kana: そうですね。当時は就職活動が非常に大変だと感じていましたが、今のカナダでの就職活動と比べると、まだ楽だったなと思います。

Senna: なるほど。僕も先日カナダのスタートアップ企業の採用について話を聞きましたが、一つのポジションに対して、応募者の8割が国外からだったそうです。英語圏だと世界中の人が採用候補になるので、競争率がとんでもないことになっているのかもしれませんね。ちょっと興味があるんですが、他職種でも同じように転職活動をしたことはありますか?

Kana: あります。以前は営業アシスタントや事務系の仕事をしていました。その時は、面接は1回だけで、履歴書を簡単に提出すれば通るという感じでした。正社員や契約社員の採用も含めて、それほど難しくはなかったんです。でも、IT業界は全然違いました。いきなり面接が3、4回もありました。

Senna: IT系だと、最初の面接から技術面接、行動インタビューなどが普通に続くので、それが当たり前だと思ってしまいますが、他の職種ではそうではないんですね。

Kana: そうなんです。他職種からテック業界に移った身としては、こんなに大変なのかと驚きました。最初は本当に新鮮で、戸惑いましたね。

Senna: 日本でも同じ感覚でしたか?

Kana: はい、日本でも同じでした。

海外への挑戦を決めたきっかけ

Senna: なるほど。では、日本での職歴から次のステップに進む経緯について、もう少し教えてください。バンクーバーに留学しようと決めたのはいつ頃ですか?

Kana: それは2019年です。もともと海外に興味があって、どこかで住んで働きたいと思っていました。姉がバンクーバーに住んでいたこともあり、2019年に姉を訪ねてバンクーバーに行ったんです。

Kanaさんのお姉さんのお店

Senna: それは何月頃ですか?

Kana: 5月です。1週間か2週間ほど滞在しましたが、その時にバンクーバーの街がとても素敵で気に入りました。

Senna: 5月ですか?夏に訪れてバンクーバーが素晴らしいという話はよく聞きますが、5月だとまだ雨が多くてテンションが下がる人も多そうですが。

Kana: 私が行った時はたまたま毎日晴れていて、雨が降ったのは1日だけでした。

Senna: それは運が良かったですね。

Kana: そうですね。私は姉と仲が良く、姉の近くに住めるというのも大きな魅力でした。IT分野に興味があり、北米でキャリアを積むのが良さそうだと思って、バンクーバーでの生活を考え始めました。当時は何も知らなかったですが、なんとなくバンクーバーがITに向いていると感じたんです。

バンクーバー行きを決断した理由と日本でのキャリア

Senna: バンクーバーに来ようと思った理由には、お姉さんの影響が大きかったんですね。

Kana: そうです。姉がいたことと、IT業界でのキャリアを考えていたことが重なりました。

Senna: 日本でキャリアを積み上げた後にバンクーバーに移ることを決めるのは、なかなか難しい決断だったと思います。日本でのキャリアを捨てることに対して、葛藤はありましたか?

Kana: もちろんありました。2年半ほど日本で働き、途中からフロントエンドのリードエンジニアになり、マネージャーのポジションまでオファーしていただきました。その時点で、あと半年ほどでバンクーバーに行くと決めていたので、マネージャーを引き受けるのは難しいと思い、正直に話して断りました。

Senna: その時点で、すでに海外での生活を決めていたんですね。それにしても、Relicという非常にレベルの高い会社に在籍していたのに、それでもバンクーバーに来る決断をしたのはすごいですね。

Kana: Relicでの経験は本当に楽しかったです。ですが、その経験を手放してでも、海外に挑戦することを選びました。

Senna: 正直、日本でそこまでしっかりとしたキャリアを積んでいる人が渡航するとは思っていなかったので、本当に驚きました。そのまま日本でキャリアを積み上げる道を選びそうなのに、あえてそれを捨ててバンクーバーに来たのは、なぜだったんでしょう?

Kana: そうですね。手放すものは大きかったですが、それでもやはり海外に行きたいという気持ちが強かったんです。挑戦へのワクワク感が勝っていました。

Senna: 普通なら「なんで海外なんて行くの?」という否定的な反応もありそうですが、会社はKanaさんの海外挑戦を応援してくれたんですか?

Kana: はい、Relicは挑戦する人を応援してくれる会社で、私が海外に行きたいという夢をマネージャーやメンターたちが全力で応援してくれました。もちろん、悲しみや寂しさもありましたが、次のステップに挑戦したいという気持ちが強く、みんなの応援のおかげで決断できました。

Senna: それは素晴らしい会社ですね!

Kana: はい、本当に素晴らしい会社だったと思います。

Senna: 経歴を拝見しましたが、日本では2年半の経験の中で、フロントエンドデベロッパーからリードフロントエンドエンジニアへとキャリアを積まれていますね。ここでの経験はカナダでも活かされたと思いますか?

Kana: ここでの経験がなければ、カナダで仕事を得ることはできなかったと思います。結果的にですが、Relicでの経験は私のカナダでのキャリアを築く大きな助けになりました。

留学とキャリアアップの戦略

Senna: ここまでで既にいろいろな経験をされてきたKanaさんですが、実際にカナダへ渡航したのはいつですか?

Kana: 2023年の4月です。

Senna: コロナも落ち着いてきた時期ですね。

Kana: そうです。バンクーバーに来たときには、もうみんなコロナをあまり気にしていませんでした。日本ではまだマスクが一般的でしたけど。

Senna: それで、CICCCに入学されたんですね?

Kana: はい、CICCCに入りました。1年間の学生生活と1年間のコープ(有給インターンシップ)というプログラムを選びました。日本での経験と、リードエンジニアとしての肩書きもあったので、ある程度の自信はありましたが、フルスタックエンジニアとしてのスキルを身につける必要があると感じていました。

Senna: やはり、フルスタックのスキルが必要だと?

Kana: そうですね。CICCCの座学の1年間は、特にバックエンドの知識を深めるために使いました。ボランティアやパートタイムの仕事をしながら、足りないスキルを補いました。

Senna: 在学中にボランティアもされていたんですか?

Kana: はい、学校でバックエンドのボランティアを募集していたので応募しました。また、Relic時代の同僚が立ち上げた会社で、デザイナーやフロントエンド、バックエンドを担当するパートタイムの仕事も掛け持ちしていました。

カレッジでの取り組み

Senna: 学生期間の1年間をどのように過ごしたか、振り返ってもらえますか?

Kana: はい。1年間はフルスタックの知識を得るために、特にバックエンドの経験を積もうと努力していました。ポートフォリオを作成したり、フルスタックとしていくつかのアプリケーションを開発しました。学校の課題が2〜3ヶ月に一度あるのですが、それをポートフォリオとして活用しようと、かなり真剣に取り組んでいました。

Senna: 経験者の中には、課題を適当にこなす人も多いですよね。学校の授業なんてやるだけ無駄だと考える人も。

Kana: そうですね。でも私は本気で取り組んでいました。結果的にフルスタックにはなれなかったので、振り返ると無駄だったように思える部分もありますが、実は就職できた理由はカレッジの課題だったんです。

Senna: そうなんですか?カレッジの課題がどのように就職に影響したんですか?

Kana: Twitter(現X)でカレッジで作った自作のアプリケーションを紹介する投稿をしたんです。「これを一週間で作った」とか「こういうところが大変だった」という内容の動画を載せたところ、カナダの企業で働いている日本人の方がその投稿に興味を持ってくれて、連絡をいただきました。

Senna: どこで繋がるか本当にわからないですね。

Kana: そうなんです。だから、経験者としてカレッジに通いましたが、授業でアプリケーションを一生懸命作ったことは無駄ではなかったと思っています。

先生の最終授業日に撮ったクラスメイト達との写真

学生期間の過ごし方、就職活動について

Senna: 改めて学生期間の過ごし方について伺いたいのですが、業界経験者としてカレッジに通われていたので、就職活動にも力を入れていたんですか?

Kana: ポートフォリオを作りながら就職活動の準備はしていたんですが、正直なところ、カナダに渡航した年の夏は、バンクーバーで初めての夏だったこともあり、かなり満喫して遊びに夢中になってしまい、ほとんど就職活動をしていませんでした(笑)。

Senna: それは意外ですね!ずっと必死に頑張っていたのかと思っていました。

Kana: いえ、全然です。夏のバンクーバーは本当に素晴らしくて、思いっきり遊びまくっていました。就職活動もポートフォリオ制作もせず日々を満喫していましたね。

Senna: なるほど。そういう時期も必要かもしれませんね。真面目に頑張りすぎると、疲れてしまいますし。

Kana: そうですね。日本では目標を達成するまで常に張り詰めて頑張っていたんですが、こちらに来てからは「せっかくの人生、楽しんだ者勝ち」という気持ちに切り替えていました。たまには息抜きも必要だと感じました。

Senna: バランスが大事ですよね。こちらに来る人たちは、どうしても必死に頑張ろうとしがちですが、それで潰れてしまっては元も子もないので、時にはリラックスすることも大切です。

Kana: そうなんです。バンクーバーは冬が精神的に厳しいので、夏を楽しんだのは結果的には良かったと思います。

カナダでの学生生活と就職活動の始まり

Senna: タイムラインをもう少し整理したいのですが、カナダに来たのは2023年の4月で、5月から学校が始まったということですね。

Kana: はい、そうです。4月にカナダに来て、1ヶ月間ESL(語学コース)を受講し、5月から学校に通い始めました。夏は遊びましたが、9月、10月頃から本格的にフルスタックのポートフォリオを作り始めました。

Senna: 9月、10月から本格的に取り組んだんですね。

Kana: そうですね。最初の課題はHTMLやCSSなどの基礎的な内容で、ポートフォリオとしては使えませんでした。でも、9月頃からNode.jsやReactの学習が始まり、そこから本格的に取り組み始めました。就職活動を本格的に開始したのは2024年の2月頃からです。

Senna: カリキュラムの進行はどう感じましたか?

Kana: 全体的に「浅く早い」進行だったと思います。もし私が業界未経験で来ていたら、かなりバタバタしていたと思います。

Senna: 就職活動は2024年の2月から始めたということですが、具体的にはどのように進めていったのですか?

Kana: まず、ポートフォリオを完成させ、履歴書の作成に取り掛かりました。履歴書やカバーレターの書き方を学び、何度も修正を重ねました。賛否があると思いますが、私はほぼすべての応募にカバーレターを添付しました。テンプレート的なものではなく、応募先に合わせた内容で、真剣に書いたつもりです。

Senna: 履歴書やカバーレターの作成にはかなり時間をかけたんですね。

Kana: そうです。履歴書も何度もブラッシュアップし、カバーレターも応募先ごとに書き分けていたので、準備にはかなりの時間をかけました。これらの書類を整えた上で、応募を繰り返しました。

Senna: 就職活動中、誰かにサポートをお願いしたことはありますか?

Kana: はい、いろんな人に見てもらいました。例えば、Keiさんに履歴書をチェックしてもらったり、Ryoさんにアドバイスをもらったりしました。学校の先生にも見てもらいましたし、彼氏がカナダ人なので、英語の表現についても助けてもらいました。Sennaさんにも見てもらいましたね。

Senna: いろいろなサポートを受けながら進めていたんですね。Keiさんとの添削については、Frogのイベントでお話しされていたのを覚えています。確かその時、Keiさんが「今はフルスタックじゃないと引っかからない」とおっしゃっていましたね。それで、Kanaさんもタイトルをフロントエンドからフルスタックに変えたんですか?

Kana: そうです、その時からタイトルもフルスタックに変えました。周囲の方々からたくさんアドバイスをいただきながら進めました。これまでアドバイスをくださった皆さんには本当に感謝しています。

Frogでテックトークを主催して登壇した時の写真

カナダでの就職活動について

Senna: カナダでの就職活動について、少し振り返っていただけますか?正直、日本で2年半とはいえ、エンジニアとして働き、リードエンジニアとしての経験もあったので、自信もあったのではないかと思います。Kanaさんとしては、この就職活動準備に充てた1年間の学生期間が十分だったか、どう感じましたか?

Kana: 私自身は、その1年間はかなり短く感じました。もちろん、遊んでいた時期もありましたが、気づいたら卒業まで3ヶ月しか残っておらず、そこから焦って就職活動を始めたので、もう少し余裕が欲しかったですね。

Senna: とはいえ、期間が長すぎても、だらだらしてしまいそうですね。

Kana: そうですね。もう少し長くても良かったとは思いますが、適度な緊張感を持って進められたので、結果的にはちょうど良かったのかもしれません。

Senna: 業界経験者だと、以前はワーホリの1年で就職することを目標にするのが王道でしたが、計画を立て直せるとしたら、ワーホリだけで挑戦していたと思いますか?

Kana: いえ、私には少し考えられませんね。ビザの交渉でも少しトラブルがあったので、もし1年しかなかったとしたら、恐らく無理だったのではないかと思います。

ビザ周りの交渉

Senna: ビザに関して言えば、Kanaさんの場合はCoopもあり、ワーホリもあったので、交渉面でそれほど苦労はなかったのではと思いますが、実際どうでしたか?

Kana: そうですね。元々の計画通り、ビザ交渉においても「私はあと2~3年は働けます」と伝えられたので、その点は問題ありませんでした。ただ、私の会社の担当者がCoopビザについて知らなかったので、「そのビザは本当に大丈夫なのか?」と説明するのが少し大変でした。会社側も就労可能なビザかどうかについては非常に慎重になるので。

Senna: 企業はビザの専門家ではないことが多いですから、馴染みのないビザカテゴリーの説明は大変ですよね。

Kana: 結局、そのあたりの説明は学校に頼りました。自分ではうまく説明できなかったので。

Senna: ビザの説明や交渉については、Frogに頼ってもらって大丈夫ですよ。これまで何百回と説明してきましたから。

Kana: そうなんですね。ありがとうございます。ちなみに、トロントに行ったCoop勢にも同じようなトラブルがあったか聞いたのですが、彼らは問題なかったみたいです。

Senna: Frogからトロントに行った人たちは大企業が多いですよね。大企業だとビザセクションを持っていたり、詳しい人がいたりするので、そのあたりのサポート体制が整っていることが多いです。

Kana: そうなんですね。とはいえ、ビザの問題は会社側にとっても重要なので、もしワーホリしかなかったらどうやって交渉するんだろうと思いました。

Senna: 実際やってみると、1年のみのビザで就労やビザサポートを得るのは相当に難しいですよね。

応募と面接

Senna: 実際に就職活動では、どれくらいの会社に応募したんですか?

Kana: 60件ほど応募しました。完全にフルコミットできたわけではなく、カレッジのファイナルプロジェクトがあり、友人と組んでしっかり取り組んでいたので、就職活動にはその合間を縫って挑戦していました。

Senna: 60件応募して、返信が来たのは?

Kana: 4件でした。応募数に対しての返信率は約6%ということになりますね。

Senna: それはFrog全体で見ても標準的な結果ですね。応募はすべてオンラインで行ったんですか?

Kana: はい、すべてオンラインで行いました。できるだけ会社の公式サイトから直接応募するようにしましたが、難しい場合はLinkedInやIndeedを利用しました。

Senna: 面接の内容や進捗状況についても教えてください。

Kana: 4件のうち、1件は電話でのやりとりだけで、「C言語はできますか?」と聞かれて「できません」と答えたら終了しました(笑)。もう1件は、応募フォームで3ページほどの質問に回答する形でしたが、その後連絡が途絶えました。

Senna: 実際に対面で面接したのは?

Kana: 2社です。そのうち1社が現在の勤務先です。

Senna: 初めての北米での面接が、そのまま現在の会社に繋がったんですね。

Kana: そうです。初めての北米での面接で、そのまま採用されました。しかも、その2社の面接が同じ週に重なり、月曜日に1社目(現職)、火曜日にもう1社というスケジュールで、本当に大変でした。

初めての北米面接と過密スケジュール

Senna: 同じ週に二社の面接があったのは大変でしたね。

Kana: そうなんです。その週の木曜日に面接の日程が決まり、次の週の月曜と火曜に面接が入っていました。その週末は面接対策に追われて、本当に疲れてしまいました。

Senna: それはしんどいですね。

Kana: はい、普段はのんびり準備していたのに、急にスケジュールが詰まったので、余計に大変でした。普段は「どうせ面接なんて来ないだろう」と思って気軽に準備していたんです。それが急に真剣モードに切り替わりました。

Senna: そのタイミングで景気が回復し始めた感じだったんですかね?

Kana: そうかもしれません。応募を始めた当初は、驚くほど書類選考が通らなかったのですが、後半に入って急に通るようになったので、タイミングと運の重要性を実感しました。

Senna: 具体的にはいつ頃のことですか?

Kana: 2024年の3月末から4月にかけてです。その頃から急に返信が増えました。

Senna: なるほど。2023年に入ってからはリセッションの影響が強かった時期ですよね。

Kana: そうなんです。2023年の夏はリセッションの影響で就職活動が非常に厳しい時期でした。2024年には景気が回復すると期待していましたが、なかなか状況は改善せず、私も焦りを感じていました。

Senna: 結局、タイミングが重要ですね。2023年を準備期間と割り切って英語学習や遊びに使ったのは、結果的に良い判断だったかもしれません。実際に採用された面接については後ほど伺いますが、もう一社の面接についてはどのような内容だったんですか?

Kana: もう一社はシニアフロントエンドエンジニアのポジションでした。書類が通るとは思っていなかったので、面接に進めただけでも驚きでした。

Senna: 経験年数で言うと2年強くらいですよね。多くの人はシニアポジションへの応募を躊躇すると思いますが、Kanaさんはそれでも挑戦したんですね。

Kana: はい、ダメ元で応募しました。結果的に1次面接で落ちましたが、シニアポジションに対しても堂々と応募して良かったと思います。

Senna: シニアポジションに応募して面接に進めたというのは、それだけで自信になりますね。やはり挑戦することが大事だと思います。

Kana: そうですね。チャレンジすることの大切さを改めて感じました。

リファラルの重要性と面接の体験

Senna: それではいよいよ、今の会社の採用プロセスについて少し教えてください。最初はTwitterでアプリケーションを作ったことを投稿し、その投稿がきっかけで声がかかったということでしたよね。

Kana: そうです。その投稿を見た同じ会社で働いている日本人の方の目に留まり、推薦してくれました。そのポジションには500人以上が応募していたのですが、その方が人事に私の書類を見てくれるようお願いしてくれたんです。

Senna: それはすごいですね。500人以上の応募の中で、リファラルの力で書類が目に留まったんですね。

Kana: そうなんです。でも、それでも最初は3週間ほど何も連絡がありませんでした。その方が再度人事に確認してくれて、その後、急に面接が決まりました。

Senna: リファラルの力は本当に大きいですね。そんなに多くの応募がある中で見てもらえるのは、リファラルがあってこそだと思います。面接の際にリファラルのメリットを感じることはありましたか?

Kana: リファラルのおかげで、書類審査の段階で見てもらえる確率がかなり上がったと思います。面接でも「○○さんからの推薦がありましたね」と言われましたし、リファラルがあると面接官の印象も全然違いました。

Senna: リファラルの重要性は年々増していますね。それでも、そこから実際に面接を突破するには、しっかりとした準備が必要だったと思います。

Kana: そうですね。面接の準備は本当に大変でした。特に最初の頃は、英語での自己紹介や質問に対する回答をしっかり準備して、リハーサルを繰り返していました。

Senna: 英語での面接は、内容の準備だけでなく、表現や話し方にも気を使わなければならないので、本当に難しいですよね。

Kana: はい。特に技術的な質問に対する回答は、英語でスムーズに説明するのが難しかったです。でも、繰り返し練習することで、徐々に自信がついてきました。

Senna: それが今の会社での採用につながったんですね。リファラルだけでなく、Kanaさん自身の努力が大きな要因だったと思います。

Kana: そうですね。リファラルはあくまできっかけであって、最終的には自分の力で勝ち取るしかないと感じました。

技術面接から最終面接までのプロセス

Senna: 面接のプロセスについて、もう少し詳しく教えてください。

Kana: 一次面接が技術的な質問で、二次面接がライブコーディング、その後、会社の技術責任者と話すのが最終プロセスでした。

Senna: 三段階の面接だったんですね。普通はBehavioral Interview(行動面接)から始まることが多いと思いますが、技術面接から始まったのは何か理由があったんですか?

Kana: おそらく、会社が技術力を重視しているからだと思います。Behavioral Questionもありましたが、一次面接の後半に少し聞かれる程度で、ほとんどが技術的な質問でしたね。

Senna: それは会社が技術力に重点を置いている証拠ですね。一次面接ではどのような質問内容でしたか?

Kana: 最初の40分間はJavaScript、 CSS、 React、 TypeScriptに関する質問が続きました。口頭でどんどん質問され、それに答える形式で、かなり緊張しました。

Senna: それは大変ですね。技術的な質問ばかりだと、答えるのにもプレッシャーがかかりますよね。

Kana: そうなんです。技術的な質問は答えるのに時間がかからないので、すぐに次の質問が来るんです。答えられなかったらどうしようと不安になりましたが、事前にしっかりインプットしていたので、ほとんどの質問に答えられました。

インタビュー対策と役立ったツール

Senna: インプットというのは、具体的にはどんな対策をしていたんですか?

Kana: 友人のMikiyaさんに「InterviewCat」というプラットフォームを勧められて、それで対策をしていました。

Senna: そういえばFrogのSlackでも話題に上がっていましたね。具体的にはどのように利用したんですか?

Kana: インタビュー対策に特化したオンラインツールで、質問リストがあり、それに対して自分で回答を考えられるようになっています。とても役立ちました。

Senna: それは良いですね。

Kana: はい。特にフロントエンドの質問が多く、対策として非常に有効でした。ライブコーディングの練習にもなりましたし、本当に助かりました。

Senna: なるほど。InterviewCatでしっかり対策して、ほとんどの質問に答えられたということですね。それが一次面接だったわけですが、他に印象に残っていることはありますか?

Kana: 私にとっては人生初の面接だったので、とにかく緊張していました。面接前にとても緊張していたので、カモミールティーを飲んで気持ちを落ち着かせました。これが嘘のように効果があって、割とリラックスして面接に臨めました。

Senna: 面接で緊張しすぎると、頭が真っ白になってしまうこともありますからね。リラックス方法も人それぞれですね。

Kana: 本当にそうですね。

二次面接とライブコーディング

Senna: それで、一次面接が終わった直後に二次面接の連絡が来たんですね。

Kana: そうなんです。一次面接が終わって10分後には「ぜひ二次面接をお願いします」という連絡が来て、びっくりしました。今までに聞いたことのないスピード感でしたね。

Senna: それはすごいですね!相当評価されたんですね。

Kana: 実はあとから知ったのですが、その時、採用候補者のプールには私しかいなかったみたいなんです。

Senna: 500人も応募者がいた中で、Kanaさんだけが残っていたということですか?

Kana: そうですね。応募者の中には技術的なスキルがマッチしない人も多かったようで、面接をしても「思ったより合わない」ということが続いていたようです。その時に私がリファラルで推薦されて、運良く面接に進めたという感じです。

Senna: 人事の立場に立つと、たとえATSを使っていたとしてもそれは大変ですよね。そんな状況で、ちょうど良いタイミングでリファラルが入って、スムーズに進んだということですね。

Kana: はい、タイミングが良かったと思います。一次面接が終わってすぐに「次のステップへ」と言われたのは、本当にラッキーでした。

ライブコーディング面接での戦略

Senna: ライブコーディング面接の準備はどのようにされましたか?

Kana: ライブコーディングに慣れていなかったので、YouTubeで「ライブコーディングのやり方」や「Reactでのコーディング」についての動画を見ながら、自分なりにシミュレーションを繰り返しました。具体的には、データをフェッチして表示させるなど、一般的なReactの操作に関する対策を行いました。

Senna: そういった準備は大事ですよね。ライブコーディングでは、ただコードを書くのではなく、どのように考えながら進めるかを見せることも求められますから。

Kana: その通りです。ただ、やはり実際の面接となると緊張が大きくて、途中で一瞬パニックになりました。ドキュメントを読む時間が足りなくて、何をすべきか分からなくなった瞬間があったんです。

Senna: 面接ではよくあることですね。

Kana: 面接官の一人が結構厳しい感じで「今何してるの?」と何度も聞いてきたので、焦ってしまい本当にパニックになりましたが、他の面接官が助け舟を出してくれて、なんとか持ち直しました。

Senna: それはラッキーでしたね。でも、そんな状況でもしっかり対応できたのは素晴らしいです。

Kana: 結局、1時間半の中で課題をすべて終わらせることはできず、残った部分を宿題として提出する形になりました。少し不安でしたが、後で他の応募者も終わらないことがあると聞いて、少し安心しました。

Senna: 二次面接の結果はどのくらいの期間で出たんですか?

Kana: 実は、二次面接が終わったその日の夕方に「三次面接に進んでください」という連絡が来ました。

Senna: それは早いですね!企業としても、早く良い人材を確保したいという気持ちが伝わります。

Kana: とても嬉しかったですし、次に進むためにさらに頑張らなければという気持ちになりました。

最終面接と結果の通知

Senna: 最終面接ではどのようなことが話されましたか?

Kana: 最終面接では、主にチーム文化やプロジェクト管理、会社のビジョンについて話しました。技術的な質問はほとんどなく、私がチームにどのように貢献できるかという点に焦点が当てられていました。

Senna: 技術的な質問が少なかったということは、一次と二次の結果を見て、技術力は認められたということですね。

Kana: そうだと思います。むしろ、チームとの相性や会社の文化にフィットするかどうかを確認する場でしたね。最終面接は少しリラックスして臨めました。エンジニアチームのトップと話すだけだったので、あまりプレッシャーは感じませんでした。30分間のビヘイビュアルクエスチョンが中心でしたが、逆に私のほうからも多く質問しました。

Senna: それだけ聞きたいことがいろいろあったということですか?

Kana: それもありましたが、それ以上に自分から質問して相手に話させたかったという意図もありました。

Senna: なるほど、質問攻めで相手に話させる作戦ですね。

Kana: そうです。相手にどんどん質問して、こちらが興味を持っていることを示すようにしました。相手の話を引き出すことで、自分の発言を減らせたので、結果として楽に進められたなと思いました(笑)。

Senna: それは良い戦略ですね。面接で自分から質問をするのは、相手に「この人は積極的だな」という印象を与えられるので、非常に良いやり方だと思います。最終的に内定を得たわけですが、どのくらいの期間で結果が出たんですか?

Kana: 最終面接が終わったその日に連絡が来て、「ぜひ一緒に働きましょう」とオファーをいただきました。すぐに決まったので驚きましたが、カナダに来て1年、やっと努力が報われた瞬間でした。

Senna: それは本当に嬉しい瞬間ですね!ここまでの努力と準備が実を結んだわけですね。

Kana: はい、本当に頑張ってきて良かったと思いました。

Senna: ちなみに面接の経験を通じて、何か教訓はありましたか?

Kana: いろいろありますが、やはり「諦めないこと」と「準備の重要性」を実感しました。面接に進めるかどうかは運もありますが、そのチャンスを活かすためには、しっかりとした準備が必要です。

Senna: 特に英語の表現やカバーレターの書き方など、現地で求められるスキルも高かったのではないですか?

Kana: そうですね。書類選考に通るための履歴書やカバーレターの作成、そして面接でのコミュニケーションスキルなど、求められる基準は高かったです。でも、周りのサポートやアドバイスを活かしながら、なんとか乗り越えることができました。

Senna: その準備と努力が実を結んで、現在の会社でのポジションを得られたわけですね。これからカナダでキャリアを積んでいく中で、さらに活躍されることを期待しています。

Kana: ありがとうございます。これからも挑戦を続けていきたいです。

Senna: そういえば、もう一社の返事は来ていましたか?

Kana: 面接の1ヶ月後くらいに来ました。かなり遅くて、すでに今の会社で働き始めていたので、もう興味はありませんでした(笑)。お見送りのメールでしたけど。

Senna: そうなんですね。

Kanaさんの英語力について

Senna: ところで、Kanaさんがどのように英語を勉強してきたのか、今まであまり聞いたことがなかったと思います。

Kana: 英語の基礎は、高校卒業後に通った外国語学院で身につけました。神田外語学院というところで、主にTOEICの勉強をしていました。

Senna: そうなんですね。デジタルハリウッドに通っていた時、同じ時期に神田外語学院に通っていた友人がいましたよ。

Kana: へー、そうだったんですか。私はそこでTOEICの勉強をして、当時300点から700点弱まで伸ばしました。でも、話す力はあまり身についていませんでした。

Senna: なるほど、英語の基礎はしっかりしていたんですね。カナダに来る時も、英語で困ることは少なかったですか?

Kana: いえ、実際には今でも英語には苦労しています。話すことに慣れていないので。

Senna: それは誰でもありますよね。でも、カナダに来てから英語が一番伸びた時期はいつでしたか?

Kana: それは、IELTSを独学で勉強した時です。IELTSの勉強を通じて英語力が一気に伸びたと感じました。

Senna: IELTSの勉強を本格的に始めたのはいつですか?

Kana: 2019年の渡航準備の時に勉強を始め、カレッジ入学のために5.5を取得する必要がありました。そして、2022年に再び渡航準備を進めていた時、カレッジの基準が6.5に上がってしまい、再度合格点を目指して勉強を始めました。その時も本当に大変でした。

Senna: そうだったんですね。IELTSのスコアを1.0上げるのは本当に大変なことです。特に仕事をしながらとなると、かなりの努力が必要だったと思います。

Kana: はい、フルタイムで働きながらの勉強だったので、時間の確保が難しかったです。結果的には半年ほどかけて目標を達成しました。

独学でのIELTS対策

Senna: そのIELTSの勉強はすべて独学で行ったのですか?

Kana: はい、独学です。IELTSの公式教材やオンラインの模擬試験を活用して、リスニングやリーディングを中心に勉強しました。ライティングやスピーキングも、自分でできる範囲で練習しました。

Senna: 独学でそこまでスコアを上げられたのは素晴らしいですね。特に、ライティングやスピーキングの練習は難しかったのではないですか?

Kana: ライティングは自分で書いて、オンラインのエッセイ添削サービスを利用しました。スピーキングは動画を見たり独り言で練習しました。

Senna: 自分で計画を立てて学習し、結果を出すのは本当にすごいです。英語の学習はモチベーションを保つのが難しいこともありますが、どのようにやる気を維持していましたか?

Kana: 将来の目標をしっかりと持っていたことが大きかったと思います。カナダでエンジニアとして働きたいという強い思いがあったので、そのためには英語力が必要だと自分に言い聞かせていました。

Senna: 目標がはっきりしていると、やる気も維持しやすいですよね。カナダでのキャリアを考えた学習が実を結んだということですね。

Kana: そうですね。目標がなかったら、ここまで頑張れなかったと思います。

独学の重要性とコツ

Senna: 英語もプログラミングも独学でここまで来られたという話を聞いて、何か独学に対する心構えのようなものはありますか?

Kana: 心構えというわけではないのですが、日本で学校に通っていた時に、学校は本当に「お金を取るだけの場所だな」と感じたことが何度かありました。学校側もビジネスなので、お金をどう取るかに集中するあまり、私たちのスキルや能力の向上に繋がらない体制ができてしまうことがあると思っています。なので、私は何かを学ぶときは基本的に独学で学ぶようにしています。

Senna: それは素晴らしい考え方ですね。Frogもカレッジや学校を利用する人たちに、ぜひその考え方を持ってもらいたいです。

Kana: 単純に、独学のほうが自分に合っていたというだけかもしれませんけどね。

Senna: 独学する際に気をつけていることやコツはありますか?

Kana: 絶対に目標を持つことです。例えば「この期間までにこのスコアを取る」とか、「この期間までにエンジニアとして就職する」といった具体的な目標を設定していました。

Senna: 目標が明確になることで、やるべきことがはっきりし、本領が発揮できるということですね。

Kana: そうです。目標があると計画的に取り組めるので、それが結果に繋がることが多いです。

Senna: 独学で成し遂げた経験は本当に大きいですね。

インターナショナルな職場での英語の壁

Senna: 今働いているのは「WhereTo」という会社ですよね?

Kana: はい、そうです。もともとはサンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業で、Flight Centre Travel Groupという大手企業に買収されました。Flight Centreはオーストラリアの会社で、バンクーバーにも旅行代理店があります。

Senna: なるほど、アメリカ発の会社がオーストラリア企業に買収されたんですね。どんな仕事をしているのかも聞いてみたいですが、その前に、英語面で今でも苦労することはありますか?

Kana: あります。特に今の職場はインターナショナルな環境なので、カナダ人やアメリカ人だけでなく、ロシア人やブラジル人とも一緒に働いています。特に私のメンターはロシア人なのですが、最初は全然言っていることが分かりませんでした。

Senna: ロシア人の英語は訛りが強く、舌を巻いて話すことが多いので、本当に聞き取りづらいですよね。

Kana: 本当にそうなんです。今はだいぶ慣れましたが、最初の頃は何を言っているのか全く分からなくて大変でした。

Senna: バンクーバーは特にインターナショナルな都市なので、英語の訛りも様々で、苦労することが多いですよね。ロシア英語やインド英語は、僕もいまだに聞き取りが難しいです。

Kana: 私も同じです。ウクライナ人の同僚もいますが、やはりロシア寄りのアクセントなので苦労しています。

Senna: インターナショナルな環境では、どんな英語が飛び出すか分からないので、その都度適応していくしかないですね。

Kana: そうですね。聞き取りが難しい場面も多いですが、仕事を通じて少しずつ慣れてきました。

カナダで働くという選択肢:文化と仕事の違い

Senna: では、実際に働いてみての感想を教えてください。カナダでの仕事と日本での仕事の違いについて、どのように感じていますか?

Kana: そうですね、私はカナダでは今の職場しか知りませんが、大きな違いだと感じるのは文化的な背景と働く環境です。まず、先程話したように、カナダは多文化社会なので、私の会社にもさまざまな国籍や文化背景を持った人たちが集まっています。彼らの働き方やコミュニケーションの取り方は国ごとに異なりますし、性格や仕事の進め方もさまざまです。日本の職場とはかなり違うと感じます。

Senna: たしかに、カナダの職場では多様なバックグラウンドを持つ人々が共に働いていますよね。それに比べて、日本の職場は比較的同質性が高いので、文化的な違いで苦労することは少ないかもしれません。

Kana: はい、まさにそうです。ただ、良い点としては、カナダの働き方はワークライフバランスがとても取れていることですね。基本的には定時で上がれますし、残業しても30分くらいで済みます。日本の会社と比べると働く時間はかなり短く感じます。プライベートの時間をしっかり確保できるので、その点は非常に満足しています。

Senna: それは良いですね。仕事の内容についてはどうですか?日本での経験と比べて、技術的なチャレンジはありますか?

Kana: 私が以前日本で働いていた会社は、技術的に非常に整った環境でした。コーディングガイドラインや設計書などもしっかりしていて、新しい技術も積極的に取り入れていました。それに比べると、今の会社はスタートアップから成長してきた経緯があるので、まだまだ整備が必要な部分が多いです。

Senna: 具体的には、どのような部分が整っていないと感じますか?

Kana: 例えば、APIのドキュメントがなかったり、コーディングガイドラインが整備されていなかったりします。私が入社してから、これらを整えるためにいろいろと取り組んでいます。設計やガイドラインを整備することが今の主な課題ですね。とはいえ、全体的にはまだ混沌としています(笑)。

Senna: なるほど、それはチャレンジングな環境ですね。整備されていない環境での仕事は、逆に言えば自分で環境を作り上げる機会でもありますが、プレッシャーも感じますよね。

Kana: そうなんです。初めてのことばかりでプレッシャーもありますが、やりがいも感じています。今までは新規開発が専門だったので、0から自由に環境を作れたのと技術スタックが整っていたこともあり、既存システムの環境整備は新しい挑戦です。

カルチャーショックと仕事の進め方

Senna: カルチャーショックなどは感じましたか?例えば、カナダの仕事の進め方や職場の文化が、日本と異なると感じることはありますか?

Kana: はい、ありますね。カナダの職場では、個々の意見や考えを重視する文化が強く感じられます。日本では、全員が一つの方向に向かって一致団結して働くことが多いですが、こちらではそれぞれが自分の意見を持ち、自由に発言することが求められます。そのため、会議では活発な議論が行われ、意見の対立もよくあります。

Senna: 確かに、カナダの職場文化は「自分の意見を持つこと」が前提になっていますよね。意見の対立やディスカッションが当たり前なので、日本の「和」を重んじる文化とは少し異なります。

Kana: そうですね。その違いに最初は少し戸惑いましたが、今は楽しんでいます。自分の考えをしっかり持ち、発言することが大事だと学びました。また、カナダでは仕事とプライベートの切り分けがしっかりしているので、オフィスを出たら仕事のことは忘れて、家族や友人との時間を大切にできるのも良い点です。

スタートアップの成長過程に携わる経験

Senna: 現在の職場では、スタートアップの成長過程を見守る役割も担っているんですね。スタートアップが大きくなっていく様子に関わるのは、非常に貴重な経験だと思います。

Kana: はい、まさに今その過程を見守っているところです。私の働いている会社は社員数も増え、組織としての基盤を整える段階に来ています。こうした成長の過程に関われるのは、非常に面白い経験ですね。

Senna: それは素晴らしい経験ですね。日本の大企業での経験と、カナダのスタートアップでの経験を両方持っていることは、今後のキャリアにおいても大きな強みになると思います。

Kana: ありがとうございます。確かに、この経験は今後のキャリアにも活かせると思います。まだまだ学ぶことはたくさんありますが、今の環境で得られることを最大限吸収していきたいです。

Senna: なるほど、現場の課題はかなり多そうですね。スタートアップが組織化に移行するタイミングでは、誰がリーダーシップを取るのか、ルールを整備するのかが重要ですからね。

Kana: そうですね。今は、フロントエンドのミーティングを主催したり、ガイドラインやルールを作ったりしています。これまでフロントエンドエンジニア同士で意見を共有する場すらなかったので、まずはその環境を作ろうと動き始めました。日本でのリード経験が役立っています。

Senna: そうですよね。日本での経験が活かせるというのは非常に大きな強みだと思います。特に、こちらの職場では自発的に動かなければならない場面が多いので、その点で日本でのリード経験が役に立ちそうですね。

Kana: そうなんです。日本では、上司や同僚がしっかりと指示を出してくれる環境が整っていますが、こちらでは自分で動かなければ何も進まないことが多いです。初日から何をすればいいのか、パソコンはいつ届くのか、誰も教えてくれなかったので、自分から連絡して確認しました(笑)。

Senna: それは大変でしたね(笑)。誰も教えてくれないというのは驚きですが、それもスタートアップならではの文化なのでしょうね。自分から動く力は本当に重要です。

業務内容とリファクタリングの課題

Senna: 実際、かなさんがどのような業務を担当しているのか教えていただけますか?

Kana: 私はフロントエンドエンジニアとして、最初は大きなチームの一員として入社しました。その後、チームが分割されて、今は小さなチームでフロントエンドを一手に担っています。主に新機能の開発を行っていますが、最近はリファクタリングがメインの仕事です。以前のコードがかなり古いので、Class ComponentをFunctional Componentに書き換える作業をしています。

Senna: ああ、それは正直地味な作業ですね。

Kana: 本当そうですね。5年前のコードベースがまだ残っているので、初期のReduxやSagaがコアに使われていたりして、理解するために勉強し直したりしました。

Senna: そういうリファクタリングは確かにモチベーションが下がりやすいですが、将来的には絶対にプラスになりますよね。

Kana: そうですね。今は我慢の時期だと思っています。今の環境を改善すれば、将来はよりスムーズに新機能を開発できるはずです。

Senna: そういうモチベーションって大事ですよね。

Kana: これは実は以前Tomoさんにもアドバイスを頂いたんです。レガシーな環境からのリファクタリングや対処について、その時に頂いたアドバイスに「やはり長期的にその会社のキャリアを考えるなら、本気で取り組むべき」というアドバイスが結構刺さっていますね。私は今の会社に残るつもりなので、全力で環境を良くしていこうと思っています。

Senna: そのアドバイスは的確ですね。長く働く場所なら、自分で環境を整えたほうが絶対に良いです。逆に、短期間で離れるなら、深く関わらずに次を見据えるのも一つの戦略ですからね。

Kana: その通りです。現状を良くするために、今はコーディング環境の整備に力を入れています。これからもこの会社で働き続けるなら、さらに良い環境を作っていきたいと思っています。

カナダと日本の労働文化の違い

Senna: カナダと日本の仕事の違いについて、もう少し詳しく教えていただけますか?例えば、働き方や職場の雰囲気、同僚との関わり方などはどうですか?

Kana: 私の経験から言うと、カナダの職場では同僚との関係が非常にフラットで、上下関係をあまり感じません。誰もが自由に意見を言える雰囲気があります。また、働く時間も日本に比べて短く、ワークライフバランスが良いです。日本では、特にエンジニアの職場で長時間労働が多い印象でしたが、こちらでは定時で帰ることが普通です。

Senna: ワークライフバランスが良いのは大きな魅力ですね。働く時間が短い分、家族やプライベートの時間も大切にできますね。

Kana: そうですね。仕事とプライベートの境界がはっきりしているので、退勤後は完全に仕事から離れることができます。そのため、ストレスも少なく、リフレッシュしやすい環境です。

Senna: それは良いことですね。カナダの職場文化を経験したことが、今後のキャリアにもプラスになると思います。

Kana: はい、この経験は日本でもカナダでも役立つと思います。多文化共生や柔軟な働き方の大切さを学べたので、将来的にはもっと広い視野で仕事に取り組んでいきたいです。

将来のキャリアビジョンとその葛藤

Senna: リファクタリングをしながら、今後の展開を見据えているところですね。これからやりたいことや、将来的なキャリアの展望について考えていることはありますか?

Kana: そうですね。直近の目標としては、フロントエンドのリーダーポジションにつくか、もともとやりたかったフルスタックエンジニアとしての道を選ぶか、どちらかを目指しています。今はその二つの選択肢の間で悩んでいるところです。

Senna: なるほど、リーダーとフルスタックエンジニアのどちらを選ぶかというのは、キャリアを考える上でよく出てくる悩みですね。どちらも魅力的ですが、今の会社にはフルスタックのポジションはないんですか?

Kana: そうなんです。会社には「フルスタック」というポジションがなく、どちらか一方を選ばなければなりません。もしフルスタックを目指すなら、バックエンドの領域をもっと深く学ぶ必要がありますが、簡単なことではないですからね。

Senna: 最近はどの会社も「フルスタック」として募集することが多いのに、珍しいですね。会社の方針として、エンジニアに対して明確な役割分担を求めているんですね。

Kana: そうですね。ただ、永住権の取得も視野に入れているので、英語力の向上やCELPIPの試験勉強も必要ですし、会社でのキャリアと将来のビジネスをどう両立するかも考えています。最終的には自分のビジネスを立ち上げるのが目標です。

Senna: それは素晴らしいですね。Frogとしても、もっとビジネスを立ち上げる人が増えればいいなと思っているので、全力で応援します!具体的なアイデアはまだこれからという感じですか?

Kana: そうです。まだ具体的なアイデアはありませんが、数年かけてビジネスアイデアを練ったり、試してみたりしたいです。

Senna: ちなみにリーダーポジションというのは、マネジメントも含まれるんですか?

Kana: はい、リードフロントエンドエンジニアとして、チームの管理も視野に入れています。前職でもリード経験があるので、その経験を活かしたい気持ちもあります。ただ、フルスタックのスキルも捨てがたいですね。

Senna: そうですよね。フルスタックとして技術を極めるか、チームを引っ張るリーダーの道を進むか、どちらも魅力的ですが、決断は難しいですね。

Kana: 本当にそうです。両方に興味があるので、今後どちらの道を選ぶか、しっかりと考えていきたいと思います。

Senna: 将来的にビジネスをやるなら、全体の技術を理解しておくことが役立つ場面も多いと思います。技術的な面では、フルスタックを目指すのも賢明な選択ですね。

Kana: そうですね。自分でビジネスをやるなら、全ての技術に精通していることが必要です。そのためにも、今の環境で学べることを最大限吸収したいです。

Senna: それは大切なことです。どの道を選ぶにしても、今の環境で経験を積んでおけば、将来のビジネスにも必ず役立つと思いますよ。何か迷ったときは、ぜひ相談してくださいね。

Kana: ありがとうございます。今は自分のキャリアをどう積み重ねていくか、しっかりと考えながら進んでいこうと思います。

カナダ就職を目指す人へのアドバイス

Senna: これからも、Kanaさんのように海外で活躍する人が増えていくと思いますが、同じ道を目指す人たちに向けて、何かアドバイスをいただけますか?

Kana: そうですね、まずはやはり英語力です。英語はすべての基礎になりますし、面接や仕事でも不自由しないレベルにしておくことが重要です。エンジニアとしての経験に関して言えば、日本にいる間に、できるだけ長期間の経験を積んでおくことをおすすめします。私の場合、2年半から3年の経験しかなかったので、もう少し長く経験を積んでおけば、もっとスムーズにいったかもしれないと思いました。特に4〜5年の経験があると、応募条件を満たすことが多いので、可能であればそのくらいの経験を積んでおくと良いですね。

Senna: 確かに、海外の求人でも4〜5年の経験を求められることが多いですね。

Kana: そうですね。また、私ができなかったことですが、日本にいる間に履歴書を実際に海外の企業に送ってみることも有効だと思います。そうすることで、どんな反応があるのか、何が求められているのかを事前に知ることができますし、現地に来てからの就職活動もスムーズに進むと思います。

Senna: 日本にいるうちから準備を進めることですね。それはFrogでも推奨していることの一つです。一方で、多くの人がそれを実行できていないのはなぜだと思いますか?

Kana: そうですね。応募しても反応がなかったり、返信が来なかったりすると、心が折れてしまうことが多いのではないでしょうか。でも、そのプロセスを通して得られる経験は大きいですし、現地での活動時間を節約できるので、諦めずに続けてほしいですね。

Senna: 確かに、その経験があれば、現地でのスタートも違いますね。今後、日本にいる方々がもっと準備を整えて来られるようになるといいですね。

Kana: そう思います。準備が整っていれば、就職活動もスムーズに進むと思いますので、ぜひ日本にいる間にできることはしておいてほしいです。Senna: 素晴らしい体験談をありがとうございました!


いかがでしたでしょうか。冒頭にも述べた通り、一度日本でポジションや地位を得た人が、改めてカナダに挑戦するのは非常に稀なケースです。誰もが自分のコンフォートゾーンから抜け出すことの難しさを経験していると思いますが、Kanaさんは「次の自分」を見据えて、今何をすべきか、どう実行に移すかを愚直に努力しながら見つけていく方だと、インタビューを通じて感じました。

これから起業なども視野に入れながら、常にチャレンジを続けるKanaさんの姿を見て、今後の活躍が本当に楽しみです!ぜひ、Kanaさんのインタビューを参考にしていただき、自分ならどう行動するか、今後の展望を考える際の材料にしてもらえればと思います!

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