一年間という限定された期間の中で、自分のキャリアの可能性を大きく広げられたUIデザイナーのYumiさん
武蔵野美術大学を卒業後、新卒でYahooに入社したYumiさん。UI/UXデザイナーとして5年間働き、アプリのデザインやプロジェクト管理をしていたそうです。
結婚、出産など、様々なライフイベントと直面する30代の女性の、留学という選択肢を選んだ理由と、留学を通じて得たものについてお話をお伺いしました!
経歴
バンクーバーに留学するまでの経歴を教えてください。
Yahooに入社して5年目で結婚をして、30代に突入したんです。そのタイミングで、ちょっと働き方を見直したいな、と思ったんですね。20代と同じように働くっていうのは、だんだん体力的に難しくなってきたのと、結婚したこともあって、今後のライフイベントなんかも考えだして。仕事と家庭の両立をしていく自信がなくなってきて…。でもサービス作りやデザインなどには積極的に関わっていきたい。そうやって悩んでいる時に、夫が「留学でもしてみたら?」と提案してくれて。夫も留学に興味があったみたいですね。それで、今後30年、40年と働かなきゃいけない中で、半年〜1年くらい留学してもいいかなって。海外の人たちの働き方や考え方を知って、視野を広げられたらなって思って、決意しました。
留学先をバンクーバーに決めた理由はなんですか?
留学について何にも知らなかったので、留学エージェントを見たり自分で調べるところから始めました。バンクーバーは治安がいいのと、英語の発音がわかりやすい、ワーキングホリデーがあるっていうのが大きかったです。実際に住んでみて、留学生がたくさんいる街でもあるので、いろんな国から来た人に対してオープンなイメージですね。私のような海外初心者にとっては、すごく住みやすい街です。
英語について
日本で英語の勉強はしていましたか?
英語はほとんど興味なかったので…。高校は美術系、大学も美大で、英語には全然触れて来なかったです…。なので、カナダに渡る前にTOEICの単語や、文法の勉強はしました。あと、1ヶ月くらいオンライン英会話も試しました。本当にたどたどしい英語でカナダに来ちゃいましたね…!バンクーバーに来てからは語学学校に4ヶ月ほど通って、英語の基本や、プレゼンを練習するようなビジネス英語などを学びました。語学学校は、やっぱり若い人が多いので、ビジネス的な感度が少なくて物足りなく感じる部分もありました。それでもいろんな国から来た人と出会って、宗教の違いなども学べて、すごく刺激的でした!
語学学校が終わるくらいのタイミングで、仕事を見つけたかったので、ポートフォリオやレジュメ、名刺作りなどをして仕事探す準備をしました。Linkedinも必要だって言うのは聞いていたので、それを機に作りました。Frogのイベントにも参加して情報収集したり。海外就職を果たされたElleさんの話もすごく参考になりました!Elleさんがおっしゃっていたように、ミートアップに通うようにして、本当にそこから仕事が見つかったんです!みんなミートアップに行くべきですよ!
英語がわからないからって臆することはないです。みんな何かしらの挫折は感じますよ。それでも、わからないなりにミートアップに通うようにして、その繋がりから仕事になったので。
仕事について
仕事内容について教えてください。
広告バナーのデザインや提案を担当しています。各メディアに配信する広告をレスポンシブにどう対応するか、なども考えてデザインしていきます。Asanaというプロジェクト管理ツールを使って、クライアントとのやり取りをしながら業務を進めます。これまでの経験もあったので、デザイン業務自体は難しく感じませんでした。それからYahoo出身という肩書も大きかったかもしれません。そこでは4ヶ月くらいパートタイムで仕事をしました。
カナダと日本の仕事を比べてみていかがでしたか?
皆リモートで働いてるので、それぞれの生活スタイルが自由だなって感じます。ただ、どういう状態でプロジェクトが進んでいるのかが見えづらかったり。リモートならではの悩みもありますね。フィンランドやスロベニアのクリエイターもいたので、時差の調整なども大変です。でもそれもすべて初めての経験だったので、本当に新鮮でしたね!
スタートアップ企業で働いたこともいい経験でした。Yahooのような大きい企業の方が、福利厚生もきっちりしていて、長く働くのであれば安心があります。
逆にスタートアップの魅力って、サービス作りにフォーカスしてその面白さを味わえるところだと思います。大きい会社でもそういった経験はできますが、それとはまた違った必死さを肌で感じられます。CEOとの距離が近かったのも面白かったですね!ゼロからプロダクトを作り上げてきた自信と情熱はすごいです。
トレーニングプログラムとして、アメリカのカンザス州へ渡られたと聞きましたが、その経緯を教えて頂けますか?
私が働かせてもらっているResponsiveAdsが、Sprint Mobile AcceleratorとTechstarsが行うスタートアップ向けのトレーニングプログラムに参加することが年明けに決まりました。2月末〜5月末までの3ヶ月間、ビジネスに関する支援を受けながらアメリカのカンザスシティーで集中的に開発をするというものなのですが、前職でUI設計業務を中心にやっていたことから半月だけ私も参加させてもらえることになりました。
そのトレーニングプログラムではどのような経験をされたんですか?
会社が提供しているプロダクトは複雑な設定機能を含んでいるため、使いこなすまでにだいぶ学習コストがかかります。それを改善するためのUX/UIの設計や議論に参加させてもらいました。その傍ら、プロダクトのマーケティング制作物の作成やクライアント業務もやっていました。
また、普段はリモートワークですが、カンザスでチームメンバーと初対面し、英語でコミュニケーションしながら一緒に仕事ができたことはとても良い経験になりました。十分に自分の能力を発揮して会社に貢献するには英語力が足りなすぎると実感しましたし、メンバーそれぞれバックグラウンドが異なるので “働き方・キャリア” という観点での気づきは多かったです。
また、トレーニングプログラムに参加している他のスタートアップも一緒のオフィスで開発していたので、お互いがどういったプロダクトを開発しているのかを見ることができましたし、シリコンバレーから来たデザイナーに話を聞いたりすることができたので非常に刺激的でした。
レスポンシブ広告の制作及びWEBサービスの運営を行っているバンクーバーのスタートアップ企業Frogを利用して留学された方も数名この企業で働いている。
海外に渡る事、海外で活動することによって、自身の中で最も変わった部分は何ですか?
すごく抽象的かもしれませんが、視野が広がりました。英語を鍛えたいということで、積極的に英語の記事も読むようにしたので、情報のはやさ、グローバルな視点での物事の見方、そういったことも身についた気がします。留学の目的のひとつでもあった、将来のキャリアについても前向きに考えられるようになりました。いろんな人と出会って、働き方、生活の仕方を見ていくうちに、なんだか気持ちも軽くなりましたね。いろんな方法があるんだなって。ライフプランを立てる上での選択肢が広がりました。
今後の予定
これからの予定を教えてください。
日本に帰国後も今のカナダの仕事が続けられると思うので、それをしながら、自分でもフリーランスとして仕事を見つけていきたいです。リモートで仕事ができるっていう可能性が得られたので、本当に運がよかったなって。そういったチャンスを活かしつつ、これからの働き方も考えていきたいです。
これから留学を考えている皆さんにメッセージをお願いします!
情報収集をして、計画をたて、そのとおりに実行しさえすれば、大なり小なりいろんな道が開けてくると思います。本当に、Frogのイベントに行ってなかったら、今の自分は無かったかもしれません。とりあえず動いてみれば良いじゃん!って思います!
いかがでしたでしょうか?
Frogは多くのクリエイターの海外進出をお手伝いする中で、Yumiさんのようにキャリアの転換期としてカナダに渡る方は少なくありません。そんな中で、同じデザイナーとしてElleさんのお話からYumiさんが現地での活動を参考にされたよう、同じ土俵にいる私達だからこそ共有出来る物は決して少なくは無いと思います。
これからも、多くのデザイナー達にとって、そういった新しいキャリアや発見のある場所として、Frogはあり続けたいと改めて感じさせて頂いた今回のインタビューでした!
海外に出ることによって、日本にいながらも海外の企業でリモートとして働く、そんな可能性を手にしたYumiさんでした。女性として、クリエイターとして、今後の未来を考えているみなさんの参考になれば幸いです!
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