Frog

英語も技術もゼロからの挑戦!ディレクターからエンジニアへの転身と、ボランティア経験を武器に海外就職を成功させたSatomiさん

英語も技術もゼロからの挑戦!ディレクターからエンジニアへの転身と、ボランティア経験を武器に海外就職を成功させたSatomiさん

今回は東京でウェブディレクターとして5年勤務し、その後エンジニアへとキャリアチェンジするためにカナダへ渡航。海外就職を成功させたSatomiさんのインタビュー記事です。

Satomiさんの最大の特徴は、「海外で働きたい」という思いを原動力に、英語や技術に不安を抱えながらもゼロから挑戦を始め、渡航後はボランティアやアルバイトを通じて現地での経験を積み重ねていった点です。半年間の就職活動では、応募数わずか30件という中で苦戦しながらも、面接後のフォローアップによって逆転内定を勝ち取った行動力が光ります。

特に注目していただきたいのは、準備不足を感じながらも「やり切る精神」で挑戦し続けた姿勢と、孤独にならず周囲のサポートを得ながら乗り越えたプロセスです。就職活動の現実と向き合いながら、それでも海外就職を実現できた背景には、完璧さではなく「工夫と継続」があったことを、本記事を通じてぜひ感じていただければと思います。

経歴とこれまでの仕事

Ryo: 今日はよろしくお願いします。まず最初に、これまでどんな経歴を歩まれてきたのかをお聞きしてもよろしいですか?

Satomi: はい。私は東京にあるデジタルマーケティングの会社で、ウェブディレクターとして5年間働いていました。主な業務は、クライアントが持っているウェブサイトの運用や更新を担当する部署に所属していて、デザイナーさんやコーダーさんとクライアントの間に立ってコミュニケーションを取りながら進める仕事でした。具体的には、成果物の確認やスケジュール管理、要件定義といったことをやっていました。クライアントが大企業であることが多かったので、直接その会社に常駐して勤務するという形がほとんどでした。

Ryo: なるほど。大手クライアントの案件に直接関わる形で、かなり責任も大きい仕事だったのではないでしょうか。

Satomi: そうですね。常にお客様に気を使う立場でしたし、納期の管理や調整、修正依頼などもたくさんありました。自分が直接手を動かすというよりも、周りと調整して全体を進めていく立場だったので、精神的に疲れることも多かったです。

Ryo: そうした中で、カナダに渡航されたということですが、それはいつ頃だったんですか?

Satomi: カナダに来たのは2023年の8月です。現在はコーナーストーン・カレッジに通っていて、ウェブデベロップメントのコースを受講しています。そのコースは1年間の座学と1年間のコープから成り立っていて、合計で2年間のプログラムです。

Ryo: 日本でウェブディレクターをされていたところから、ソフトウェアエンジニアを目指して勉強することになったわけですが、なぜキャリアチェンジしようと考えたのか、そのきっかけをお聞きしてもいいですか?

Satomi: 一番大きな理由は「カナダに来たかったから」です。ウェブディレクターの仕事をカナダで続けるとしたら、かなり高いレベルの英語力が必要になります。クライアントと英語で細かい調整をしたり、高度なコミュニケーションを取るのは私にとってハードルが高いと感じました。その一方でエンジニアなら、プログラミングというスキルを通してコミュニケーションできる部分が大きいと考えました。そういう意味で、エンジニアに転職することが自分にとって現実的だと思ったんです。

Ryo: なるほど。大学の頃からそういったウェブやIT系の仕事を目指していたんですか?

Satomi: 大学の時点ではそこまで明確には考えていませんでした。当時は「将来どんな会社に就職しよう」とか「どんな職種に就こう」といった具体的なイメージは全然なくて…。でも就職活動をしている大学4年生の時に、「何かを作る仕事をしたい」「クリエイティブなことに携わりたい」と思うようになったんです。それでデジタルマーケティング会社のウェブディレクター職に出会い、興味を持って就職しました。

日本での働き方と忙しさ、海外への憧れ

Ryo: ウェブディレクターのお仕事って、ソフトウェアエンジニアリングに近い部分もあるのかなと思うんですが、実際にやってみてどうでしたか?例えばSIerみたいに常駐してお客さんとやり取りをして、その会社の文化に合わせて働くみたいなイメージもあるんですけど。

Satomi: そうですね、確かに近い部分はあるかもしれません。私の場合はクライアントごとに社風や働き方がかなり違っていました。忙しさについてもそれによって変わって、ある部署に入ったときは残業が多くて大変でした。日本では残業時間の上限が月45時間って決まっていると思うんですけど、その限界に達しないように自分たちで工夫していました。とにかく業務量が多かったので、1か月の中でどう調整するかというのが課題でした。その時期はかなり忙しかったです。

Ryo: なるほど、やっぱりそういう働き方だとSIer的な感じに近いですよね。請け負っているクライアントの要望に合わせてずっと動いていくみたいな。

Satomi: はい。クライアントが持っているウェブサイトを長期的に運用しながら、例えばキャンペーンページを作ったり、新商品のリリースに合わせてページの更新をしたり、そういう仕事をしていました。基本的には常にお客さんがいて、その方々の要望を叶えるために調整していく仕事でした。

Ryo: 子どもの頃や学生時代から「海外で働きたい」とか「海外で暮らしてみたい」っていう気持ちはあったんですか?

Satomi: はい、子どもの頃から漠然と海外への憧れはありました。ただ、英語が得意だったわけではなくて、むしろ苦手意識が強かったんです。大学のときに留学を考えたこともありましたが、結局は実現しませんでした。

Ryo: じゃあ、就職して日本で働いている間に「やっぱり海外に行きたい」と思うようになったきっかけがあったんですか?

Satomi: そうですね。社会人になってからも「海外で暮らしたい」という気持ちはずっと心の中にありました。青年海外協力隊を調べてみたり、何か海外に行ける方法はないかと探したりしたこともありました。でもなかなか実行には移せませんでした。そんな中で大きなきっかけになったのが、同じ部署で働いていた先輩が退職する時に「カナダに行く」と聞いたことでした。驚いて詳しく話を伺ったら、カナダで生活する準備をされていて、連絡先も交換して一緒にご飯を食べたりしました。その先輩は実際にバンクーバーに行かれたんですが、当時の私はすぐに決断できず、「自分にはまだ無理かな」と思っていました。

Satomi: でも、2022年のゴールデンウィークに突然「やっぱり海外に行きたい」という気持ちが強く湧いてきたんです。そのときに先輩に連絡をして、カナダでの生活について具体的に話を聞きました。そこでFrogのことを紹介してもらって、すぐに説明会に参加しました。説明会を通じて、自分が海外に行くことが少しずつ現実的にイメージできるようになりました。

海外就職者写真1

カナダを選んだ理由と英語学習

Ryo: 先輩がカナダに行かれたということでしたけど、実際に話を聞いて「カナダに行きたい」と強く思ったんですか?それとも、まずは「海外に行く」ということが先にあって、その行き先がたまたまカナダだったという感じなんですか?

Satomi: そのときは「カナダに行きたい」というよりも、まずは「海外に行く」ということ自体が現実的なのかどうか全く分かっていない段階でした。ただ、先輩が実際にウェブディレクターからキャリアチェンジして、現地で快適に暮らしているという話を聞いて、良い印象を持ったのは確かです。そしてFrogの説明会で具体的に「コーナーストーンのCICCCなら、予算を抑えながら2年間(1年座学+1年コープ)通えて、さらにワーホリを足せば最大3年間滞在できる」という話を聞きました。しかも学費と生活費を含めて400万円くらいで挑戦できると知って、自分でも可能かもしれないと感じました。その時点で他の国を調べることは全くせず、「カナダに行こう」と決めました。

Ryo: なるほど。最初からカナダ一択だったんですね。具体的に費用とか滞在期間のイメージができると現実味が出ますよね。

Satomi: はい、本当にそうでした。

Ryo: 英語についても伺いたいんですが、大学のときから勉強していたんですか?それとも渡航を決めてから改めて力を入れたんですか?

Satomi: 大学受験のときに文法を一通り勉強して基礎はありました。大学では国際関係学科に所属していたので、英語を使う授業は多かったです。ただし得意ではなくて、どちらかというと苦手意識の方が強かったです。コーナーストーンに入学するときにはTOEICのスコアが必要だったので、そこで本格的に勉強しました。条件としては、TOEIC850点以上ならESLなしで直接入学、800点以上あれば1か月ESLを受けてから入学可能でした。私のスコアは845点でギリギリ直接入学できるラインに届かなかったので、1か月ESLを受講してからプログラムに入りました。

Ryo: なるほど。TOEICは大学時代に取ったんですか?それとも渡航を決めてから勉強し直したんですか?

Satomi: 渡航を決めてからです。大学時代はTOEIC必須ではなかったので受けていませんでした。TOEFLの勉強コースを追加で取ることはできたんですが、それもそこまで力を入れていなかったので、点数が伸びた実感はありませんでした。Frogの説明会を受けて「行くならTOEICが必要」と分かってから勉強を始めました。

Ryo: じゃあ、説明会を受けてからどのくらいで850点近くまで上げたんですか?

Satomi: 実は説明会を受けた直後は熱が少し下がってしまって、1年くらい準備を怠ってしまったんです。でも「2023年8月入学に間に合わなければ年齢的に厳しい」と感じて、そこから3か月集中して勉強しました。結果的に850点近くまで伸ばすことができました。

Ryo: 3か月でそこまで伸ばすのはすごいですね。最初は何点くらいからのスタートだったんですか?

Satomi: 最初に模試を受けたときは560点くらいでした。そこから3〜4回受けて、回数を重ねるごとに少しずつ点数が伸びていきました。

Ryo: それは相当努力されましたね。短期間でそこまで点数を上げられたのは本当にすごいと思います。

渡航前の準備と技術学習

Ryo: 技術的な準備についても伺いたいんですが、エンジニアとしては未経験で渡航されたんですよね?カナダに来る前に何か学習はされましたか?

Satomi: はい、完全に未経験というわけではなく、仕事の中でウェブサイトがどう作られているか、制作の流れは知っていました。要件定義から設計、開発、テスト、ローンチまでの一連の工程を理解していたのは大きかったと思います。そのうえで、渡航前に自分でも勉強しようと思って、オンラインのテックスクールに3か月ほど通いました。

Ryo: なるほど。Udemyみたいに完全に動画だけの学習ではなく、ちゃんと先生がついてくれるスクールということですか?

Satomi: そうです。メンターが付くタイプのスクールでした。ちょうど会社に教育援助制度があって、授業料を10万円まで補助してくれる制度があったので、それを利用して通いました。せっかく会社にそういう制度があるならと思って、Udemyのような完全独学ではなくメンターがいるスクールを選びました。

Ryo: そのスクールでは何を学んだんですか?

Satomi: フロントエンドのコースを選んで、HTML、CSS、JavaScriptの基礎から学びました。そこからjQueryもやって、最終的にはVue.jsを使ってプロジェクトを作るところまでやりました。

Ryo: しっかり基礎からフレームワークまでカバーしていたんですね。そのコースを終えてからカナダに来られたんですか?

Satomi: はい、そうです。余談ですが、そのスクールが主催していたプログラミング部門のコンテストに応募して、最優秀賞をいただくことができました。応募者数は少なかったと思いますが、それでも自信につながりました。

Ryo: それはすごいですね。小さなコンテストでも「評価された」という経験は自信になりますよね。

Satomi: はい。そこからカナダに来て、学校の授業に加えてUdemyでもReactを学びました。さらに、クラスメイトと一緒にチームプロジェクトを組んで開発を進めることもしました。社会人経験があるメンバーと協力してやったんですけど、チームでの開発を通じてGitの使い方や、チームでの動き方を学べたのはすごく大きかったです。

アルバイト経験と英語力の向上

Ryo: 学校に通っていると、生活費のためにアルバイトをするかどうか迷う人も多いと思うんですけど、Satomiさんはアルバイトをされましたか?

Satomi: はい。コープに入ってからなかなか仕事先が見つからなくて、貯金も尽きそうになってきたので、やむを得ずアルバイトを始めました。

Ryo: 具体的にはどんなアルバイトをされていたんですか?

Satomi: カナダのローカルカフェ「ブレカ」でサンドイッチ職人をやっていました。ひたすらサンドイッチを作る仕事です。

Ryo: それは英語を使う機会にもなったんじゃないですか?

Satomi: そうですね。責任を持って働いて、お金をもらいながら英語でコミュニケーションを取らなければならない環境は、本当に大きな練習になりました。学校で勉強しているだけでは身につかない部分を実践できたと思います。ミスが許されない状況で「ちゃんと話さなきゃ」という責任感が生まれるので、アルバイトでも現地で働くことはすごく意味があると感じました。英語力を伸ばすためにも、現地で働くのは賛成です。

Ryo: 学校の座学期間は、授業に沿って学習していたんですか?それとも自分で工夫して補ったりしていましたか?

Satomi: 授業をベースにはしていました。ただ、自分が身についていないと感じた部分はUdemyで勉強したり、チームプロジェクトを通じて実践したりしていました。学校の課題も、必須のものは提出しましたけど、任意課題についてはチームプロジェクトを優先したいときはやらない、といった形で調整していました。

Ryo: 学校での英語コミュニケーションはどうでしたか?座学期間で「英語力が伸びた」と感じることはありましたか?

Satomi: 学校の中ではそこまで伸びた感覚は正直ありませんでした。ただ、こちらで出会った彼と普段から英語で会話するようになったことで、多少間違っても伝わるんだという自信がついて、英語を話すことへの抵抗感がなくなったのは大きかったです。

英語での学習と教材選び

Ryo: 技術の勉強についてなんですけど、カナダに来てからは英語で学ぶ機会が多いと思うんです。最初にスクールで勉強したときは日本語だったんですか?それとも英語の教材を使っていましたか?

Satomi: 日本にいたときに通ったスクールは日本語でした。講師の方も日本人で、日本語で説明してくれる形でした。でもカナダに来てからは、できるだけ英語の教材を使うようにしました。英語字幕をつけて講義を見たり、どうしても理解できない概念が出てきたときだけ日本語の教材を調べて補完する、というやり方に切り替えました。やっぱり英語で学んだ方が、そのまま実務に直結しますし、自分のためになると感じたので、なるべく英語で勉強するように意識していました。

Ryo: 確かに、日本語の教材にもすごくわかりやすいものがあるんですよね。僕もどちらか一方に偏らず、日本語でも英語でも「良い教材」を選ぶようにしています。たとえば、面接対策でやるLeetCodeは英語の教材が充実しているので英語でやるんですが、言語の基礎を学ぶときは日本語の本の方が理解が早いこともある。そういう使い分けは僕もよくしています。

Satomi: それはすごくわかります。私も技術書を読むときはまず「英語の原書があるか」を調べて、あれば英語で読むようにしています。Udemyも基本的には英語の講座を受講しました。ただ、英語で理解できても日本語で説明しようとすると全然言葉が出てこないことがあって…。英語と日本語で用語が一致しないことに苦労する、というのは実際に働き始めてから強く感じました。

Ryo: なるほど。僕も「英語ではわかるけど日本語で言えない」という状況はよくあります。実際に説明しようとすると、うまく翻訳できなくて困ることがありますよね。

Satomi: そうなんです。日本語で学んでいたときの問題点は、専門用語を日本語では理解していても、英語でその用語を言えないということでした。実際に仕事を始めたときに「それ知ってるけど英語では言えない」という状況がありました。だから今では、なるべく英語で学ぶことを徹底するようにしています。

就職活動の始まりとボランティア経験

Ryo: ここからは就職活動について伺いたいんですが、どのタイミングで準備を始めましたか?座学中から動いていましたか?それともコープが始まってからですか?

Satomi: 胸を張れるほど早くはなかったんですが、本格的にレジュメを整え始めたのは座学が終わってコープが始まるタイミングでした。ただ、座学の時点から「レジュメに書けることを増やしたい」と思っていたので、ポートフォリオを作ったり、チームプロジェクトに参加したり、ボランティアに応募したりしていました。

Ryo: ボランティアはどうやって探したんですか?

Satomi: 合計で4件経験しました。1件目はMeetupの主催者が「ウェブサイトを作ってくれる人を探している」と投稿していたのを見て応募しました。2件目はFrogのSlackに流れてきたポストで募集があったので応募しました。3件目はそのFrogでのボランティアを通じて知り合ったプロジェクトマネージャーさんから「気候テックのイベントLPを作ってくれないか」と依頼を受けました。そして4件目は学校のジョブポスト経由で見つけました。

Ryo: その4件のうち、有償のものはありましたか?

Satomi: はい。4件中3件は完全に無給で、イベントLP制作だけ有償でお金をいただきました。

Ryo: ボランティアの経験って、面接のときに役に立ちましたか?

Satomi: すごく役立ちました。面接では「具体的にどんな経験をしたか」を必ず聞かれます。そのときに、カナダでの経験として話せるものがあるのは大きかったです。日本での経験だけだと「それは日本の話だからカナダでは通用しないかも」と思われてしまうんじゃないかと不安だったんですが、ボランティアを通して「現地でこういうことをやりました」と言えたのは強みになったと思います。

Ryo: なるほど。実務経験に近い形で説明できる材料が増えるわけですね。実際、僕もいろんな人のレジュメを見てきましたけど、カナダでの経験がある人とない人とでは印象が全然違います。ちなみに、そのときレジュメはどんな感じだったんですか?

Satomi: 正直に言うと、レジュメは完璧じゃなかったです。セナさんに添削していただいたときは、赤字だらけでした(笑)。でも、それでも面接に進めたのは、やっぱり「現地での経験を積んでいたこと」が大きかったと思います。

海外就職者写真2

就職活動の苦労と内定までの道のり

Ryo: 実際に就職活動を始めたのはいつ頃ですか?

Satomi: 今年の1月末から2月くらいにかけて本格的に動き始めました。

Ryo: そこから最終的に今の会社に決まったのが7月末でしたよね。となると、活動期間としてはだいたい6か月くらいになると思うんですが、その間どういう気持ちで活動されていましたか?

Satomi: はい、ざっくり6か月くらいです。その間は正直すごくつらかったです。毎日欠かさず応募していたわけではなくて、アルバイトが忙しくなったりして、気が向いたときに「自分でお尻を叩いて応募する」という感じでした。応募しても返事がないことが多くて、「どうせ就職できないんだろうな」という気持ちになることが多かったです。

Ryo: それはかなりしんどいですね。実際、こちらで就職活動をしていると「応募しても返事がない」「自分が何をやっているのか分からなくなる」「お金も減っていく」「勉強もストップしてしまう」といった感覚に陥りやすいんです。しかもそれが数か月続くと、精神的にすごくつらい。そういう状況の中で、半年間活動を続けられたのは本当にすごいことだと思います。

Satomi: ありがとうございます。でも正直、彼がいなかったら日本に帰っていたと思います。周りの友達やクラスメイトも日本に帰国して、日本でキャリアを積むという雰囲気だったので、「やっぱり就職は難しいよね」という空気に流されそうになりました。そういうときに支えてくれる人がいたから、なんとか踏ん張れたという感じです。

Ryo: 応募件数はどのくらいでしたか?こちらだと数百件応募する人も多いので。

Satomi: 実は合計で30件いくかいかないかくらいしか応募していません。

Ryo: 30件ですか!かなり少ない方だと思います。それでも結果を出せたのは、ボランティアやチームプロジェクトで現地経験を積んでいたことが大きいんでしょうね。

Satomi: そうだと思います。レジュメや経験が完璧ではなくても、現地でやってきたことを具体的に話せたのは大きかったと思います。

面接の流れとフォローアップ

Ryo: 今の会社に決まるまでの面接の流れについて詳しく伺いたいんですが、レジュメを出してからどういうステップで進んだんですか?

Satomi: 面接は全部で2回でした。1回目はHRの方との面接で、2回目はエンジニアの方を含めた面接です。それで終わりだったので、回数が少なくてラッキーだったと思います。

Ryo: まず1回目のHRとの面接はどんな内容でしたか?

Satomi: 基本的にはよくあるビヘイビアルインタビューでした。自己紹介や志望動機、これまでの経歴について話しました。印象的だった質問は「開発を終えてシステムをローンチした後に、あなたならどんな作業をしますか?」というものでした。私は「PCや携帯などいろんなデバイスで表示を確認します」と答えました。

Ryo: 面接は対面でしたか?それともオンラインでしたか?

Satomi: Google Meetを使ったビデオ面接でした。

Ryo: 面接は英語で進むし、緊張もあると思うんですけど、実際どうでした?ボランティアである程度は慣れていた部分もあったんじゃないかと思うんですが。

Satomi: 実は面接対策をほとんどしていなくて、日程が決まってから慌てて学校のキャリアサポートにMock面接をお願いしました。でもMockでは本当にボロボロで、途中で言葉が出てこなくなったりして不安が大きくなりました。そこで彼に頼んで、前日に4〜5時間くらい徹底的に練習しました。

Ryo: 2回目のエンジニアとの面接はどういう内容だったんですか?

Satomi: 実際の作業テストはなく、質疑応答が中心でした。質問内容としては「テストツールを使ったことがあるか」「プロジェクト管理ツールは何を使ってきたか」「Reactをどう思うか」「新しいライブラリを学ぶときはどうやって学ぶか」といったものでした。

Ryo: 面接を終えたときの感触はどうでした?

Satomi: 正直「絶対落ちた」と思いました。HRの方は反応を返してくれるので話しやすかったんですが、エンジニアの方々は表情が固くて、話が伝わっているのか分からず不安になってしまいました。緊張もあってどんどん言葉が出にくくなって…。特にテストツールについて聞かれたとき、授業で少し触れただけで実務経験がなかったので「使ったことはありません」と答えたんです。それで落ちたと思いました。

Ryo: そこからどう巻き返したんですか?

Satomi: 逆質問のときに「御社で使っているテストツールを教えてください」と聞いたら教えていただけたので、その週末に急いで簡単なToDoリストのプロジェクトを作って、そのツールを実装しました。そして月曜日に「面接では答えられなかったけれど、週末に勉強して使ってみました。もしよければこちらをご覧ください」とメールを送りました。

Ryo: それは素晴らしいフォローアップですね。反応はどうでしたか?

Satomi: 翌日にHRの方から「すごく参考になる、ありがとう」と返事をいただきました。本来は木曜日に結果が来る予定だったんですけど、月曜日の朝に「今日時間ある?」とメールが来て、その日のうちにGoogle Meetで「オファーを出します」と伝えられました。

Ryo: すごい!まさにフォローアップで評価が上がったということですね。実際にこちらでも「後から挽回した」という話はよく聞きます。

Satomi: そうなんです。実はFrogの動画で「フォローアップで挽回した」という経験談を聞いていたので、それを参考にしました。「やり切る精神」が大事だと思って挑戦しました。金曜日に面接があったのも運が良くて、土日に集中して取り組めましたし、面接を録画してAIの議事録を共有してもらえたので、テックスタックをもう一度確認できたのも大きかったです。

合格の決め手とオファーの詳細

Ryo: ちなみに、面接全体を振り返って「これが合格につながったかもしれない」と思うポイントはありますか?

Satomi: 一つあると思っています。一次面接でHRの方と話したとき、逆質問のタイミングで会社のビジョンや価値観、競合他社について事前に調べて質問したんです。そうしたらHRの方がすごく喜んでくださって、「よく調べてくれてありがとう」と言ってくれました。その後の会話も盛り上がって、企業理解をきちんとして臨んだことが良い印象につながったと感じています。

Ryo: なるほど。やっぱり事前準備の差は大きいですね。では、実際にオファーの連絡はどんな形で来たんですか?

Satomi: 月曜日の朝に「今日時間ある?」とメールが来て、Google Meetに招待されました。最初に少し雑談をしてから「オファーを出します、おめでとうございます」と伝えられました。その場で契約書や必要なドキュメントの説明があり、その後にメールで送られてきた書類にサインしました。

Ryo: そのとき、想定外だったことや驚いたことはありましたか?

Satomi: 一つだけありました。オファーをいただいた後に「プロフェッショナルな経験からリファレンスを2件提出してください」と言われたんです。面接のときには何も言われていなかったので驚きました。幸い、前職の上司や、ボランティアで関わったプロジェクトマネージャーさん、そして石さんにお願いすることができて、最終的には3件提出しました。

Ryo: そのリファレンスは日本の元上司でも大丈夫だったんですね。形式は電話やZoomではなく、メールでのやり取りでしたか?

Satomi: はい。HRの方がリファレンス先に直接英語で質問を送って、その人が答えるという形式でした。やり取りは全部メールで完結しました。

Ryo: それは助かりますね。ちなみに差し支えない範囲で伺いたいんですが、年収レンジはどのくらいだったんですか?

Satomi: Indeed経由で応募したんですが、ジョブポストには「55K〜70K」と書かれていました。オファーのときに「このレンジの中でどうですか?」と聞かれたんですが、私は「仕事をいただけるだけでありがたいです」と答えて、そのまま提示された条件で決まりました。

Ryo: 日本での年収と比べるとどうでしたか?

Satomi: 日本では残業も多くて、年収は450万円くらいでした。今回のオファーはそれより大きく上がったので、本当に嬉しかったです。ジュニアポジションで、カナダでの有給経験もなかったので、正直「レンジの下限で来るだろう」と思っていたんですが、上げてもらえたのは感謝しかありません。

Ryo: 初めての海外就職で、残業が少なくて、ジュニアとして育ててもらえる環境でのスタートは理想的ですね。

カナダでの働き始めと日本との違い

Ryo: ここからは実際に働き始めてからのことを伺いたいと思います。日本の会社と比べて「ここが違うな」と感じたことや、「これはいい」と思ったことはありましたか?

Satomi: 一言で言うと、最高です。もう日本には帰りたくないくらいです。

Ryo: そんなにですか(笑)。具体的にどんなところが違うんでしょう?

Satomi: まず勤務時間です。9時から5時までで仕事が終わるのが当たり前で、残業をする雰囲気がありません。しかも自分のペースで働けるので本当に快適です。金曜日は3時から「ゲームタイム」があって、最近はみんなでジオゲッサーをやったりして、4時には「お疲れさま」と解散するような雰囲気です。

Satomi: それから、チームの雰囲気もすごく良いです。カナディアンが多いんですが、私のように英語が流暢でないノンネイティブにも本当に優しいです。「困ってない?」「質問があったらいつでも言ってね」と頻繁に声をかけてくれて、質問を歓迎する文化があるので、安心して働けています。ジュニアで分からないことが多い中でも、抵抗なく質問できて、楽しく仕事ができています。

Ryo: 会社の規模感やチームの人数はどのくらいなんですか?

Satomi: 会社自体はストックフォトサービスを運営しています。イメージしやすいのはShutterstockやiStockのようなサービスです。もともとiStockで働いていた方が独立して、「アーティストにもっとフェアな報酬を支払うべきだ」という思いから立ち上げた会社です。社会的意識も高くて、カナダらしいDEIを大切にしている文化があります。

Satomi: 全体の規模は50人くらいで、契約しているアーティストは1900人ほどいます。私のいるテックチームは11人で、その中でクライアント側のウェブサイトを運用しているのが5人チームです。構成は、シニアディベロッパー、インターミディエイト、私ともう一人のジュニア、そしてUI/UXデザイナーです。

Ryo: 技術スタックはどんなものを使っているんですか?

Satomi: フロントエンドはReact、バックエンドはPHPのLaravelです。テストツールはJestやRubyの自動テストを使っています。私はジュニアフロントエンドディベロッパーなので、基本的にはフロントエンドを担当しています。

Ryo: 入社してからのオンボーディングはどういう流れでしたか?

Satomi: HRがウェルカムミーティングを開いて、人事ツールの説明をしてくれました。それから他部署の方とのイントロミーティングもあって、マーケティングや財務など色んな部署の人と自己紹介をしました。最初の1〜2週間は「はじめまして、日本から来ました」と挨拶ばかりしていた感じです。

英語でのコミュニケーションとカルチャーギャップ

Ryo: 英語でのコミュニケーションについてですが、実際に働き始めてみて困ったことはありましたか?

Satomi: 最初は本当に緊張しました。もともと英語に苦手意識があったので、「もし聞き取れなかったらどうしよう」「何を言われているのか理解できなかったらどうしよう」と常に不安でした。

Satomi: でも実際に働き始めてみると、みなさんすごく優しくて。もし私が聞き取れなかったときは「もう一度言おうか?」と自然に言ってくれますし、逆に私が「Sorry, can you repeat that?」と聞き返しても嫌な顔をされることはありませんでした。そういう雰囲気にすごく助けられました。

Ryo: それは安心できますね。僕自身もカナダで働き始めたとき、聞き返すのが怖くて「わかったふり」をしてしまうことがありました。Satomiさんもそういう経験はありましたか?

Satomi: ありました。最初の頃は特にそうでした。でも「結局あとで迷惑をかけてしまうなら、その場で聞き直したほうがいい」と思うようになってからは、勇気を出して聞き返すようにしました。

Ryo: 実際に働いていて意識していることはありますか?

Satomi: フルリモートの仕事なので、こまめにコミニケーションをとるように心がけています。特にジュニアなので、進捗状況などチームメンバーに伝えて、何をしているのか見えるようにしています。また作業完了した際に、「Nice work!」などと褒めてくれることが多いので、モチベーション維持にもつながります。

今後のキャリアとこれから挑戦したいこと

Ryo: ここまでお話を伺ってきて、今後のキャリアについてどう考えているのかすごく気になります。今後、どういう方向に進んでいきたいと考えていますか?

Satomi: まずは今の会社でしっかり経験を積むことを第一に考えています。ジュニアとして入社したので、まだまだ分からないことだらけです。だから一つひとつのタスクをきちんとこなして、チームから信頼される存在になりたいと思っています。そのうえで、自分の担当領域をもっと広げていきたいです。

Ryo: ということは、フロントエンドを中心に経験を積みながら、ゆくゆくは別の領域にも広げていきたいという感じですか?

Satomi: はい。今はフロントエンドが中心ですが、バックエンドにも少しずつ関われるようになりたいと思っています。Laravelを触る機会もあるので、そこから経験を積んでフルスタック的に動けるようになるのが理想です。

Ryo: カナダでのキャリアをこのまま続けていきたいと考えていますか?それとも将来的には日本に戻る可能性もありますか?

Satomi: 今の気持ちとしては、できるだけカナダで長く働きたいです。働き方や人との関わり方が自分にすごく合っていると感じているので、日本に戻る理由があまり思い浮かばないんです。もちろん状況によっては日本に帰ることもあるかもしれませんが、現時点ではカナダでキャリアを築いていきたいと考えています。

Ryo: 将来的に「こんなチャレンジをしてみたい」という夢や目標はありますか?

Satomi: まだ大きなビジョンがあるわけではないですが、自分の力で何かを作り出せるエンジニアになりたいという思いがあります。今は周りに助けてもらうことが多いですが、いずれは自分がリードしてプロジェクトを進められるようになりたいです。

これから海外就職を目指す人へのメッセージ

Ryo: 最後に、これから海外就職を目指す方に向けてメッセージをいただけますか?

Satomi: まず伝えたいのは、「完璧じゃなくても挑戦して大丈夫」ということです。私は英語が得意なわけでもなく、エンジニアとしての経験もほぼゼロの状態でカナダに来ました。それでも周りのサポートや自分なりの努力を重ねて、今こうして働くことができています。

Satomi: もちろん、準備不足で苦労したこともありましたし、就職活動も簡単ではありませんでした。でも「できないから諦める」ではなく、「できないなりに工夫して進めていく」ことが大事だと思います。

Ryo: なるほど。準備が足りなくても、やり切る精神で挑戦することが大事なんですね。

Satomi: はい。それから、一人で抱え込まないことが本当に大事だと思います。就職活動がうまくいかないと「自分だけがダメなんだ」と思いがちですが、実際には多くの人が同じ壁にぶつかっています。私自身も彼やFrogの仲間に支えられて乗り越えることができました。だから、支えてくれる人や相談できる人を見つけて、孤独にならないようにしてほしいです。

Ryo: ありがとうございます。これから挑戦する方にとって、すごく力になるメッセージだと思います。


今回のインタビューを通じて強く印象に残ったのは、完璧ではない状況でも「工夫して行動し続けた」ことが、Satomiさんのキャリアを切り拓いたという点です。

半年間の就職活動は決して順風満帆ではなく、応募件数もわずか30件ほどと少なめ。それでも「現地での経験を積んでおくべき」という意識から、ボランティアやチームプロジェクトに積極的に参加し、レジュメに書ける材料を着実に増やしていきました。"応募数の多さ"ではなく、"経験の質"で勝負した点は大きな学びになると思います。

さらに、印象的だったのは「面接で答えられなかった質問を週末に自ら勉強し直し、フォローアップのメールで成果を提出した」という行動です。たしかにFrogではこの方法を推奨してきましたが、これを実際に実行に移せる方はそう多くはありません。結果として、その一歩が逆転内定へとつながったのは象徴的です。

そしてもう一つ大事なポイントは、孤独に戦わなかったこと。彼やFrogの仲間の支えを受けながら、精神的な負担を軽くし、挑戦を継続できたことも成功の背景にありました。『海外挑戦は孤独である』という、もはや当たり前と思われてきた常識を覆し、「一人で頑張らなくていい」という状況を作ったのはSatomiさんであり、海外就職を目指す誰もが心に留めておきたいメッセージではないでしょうか。

Satomiさんの体験は、完璧な準備がなくても「やり切る精神」と「支えてくれる仲間」があれば、海外就職という大きな壁を乗り越えられることを証明してくれています。

無料相談受付中

このまま一度も海外に
挑戦しない人生に
後悔はありませんか?

多くの方がカウンセリングを受けて初めて「なぜもっと早く相談しなかったのか」と気づいています。 まずは気軽に無料相談で、あなたが抱いている不安や疑問をお聞かせください。

  • 専門カウンセラーによる1対1の個別相談
  • あなたの経験・スキルに基づいた具体的なアドバイス
  • 最新の海外就職市場動向と成功事例の共有
2,000+
累計相談実績
95%
相談満足度
24h
以内の返信

"Frogを使うことでビッグテックへの再現性ある挑戦ができた。コミュニティの力あってこその挑戦だった。"

プライバシーポリシー厳守
オンライン対応
勧誘・営業なし

最新情報をチェック

SNSで最新情報を発信中。ニュースレターもご登録ください。

Instagram

日常の活動や
イベントの様子

フォロー

X

リアルタイムな
情報発信

フォロー

YouTube

イベント内容や
キャリア情報

チャンネル登録

Newsletter

最新情報を
メールでお届け