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19歳で高専を中退し、現在はカナダでUIデベロッパーとして活動するRyoさん

さて、本日はFrogメンバーの中でも最年少クラスのエンジニア、Ryoさんにお話をお伺いしてまいりました。Ryoさんは日本ではエリートコースとして華々しいはずの工業高専を中退し、バンクーバーでキャリアを積むという壮大な計画を実行に移し、見事バンクーバーで順風満帆なキャリアを手にしました。

ビザ、スキル、英語力、それぞれに対して理想的な形で今に至るRyoさん、その秘訣もそうですが、決断力と実行力を少しでもインタビュワーである僕にも分けて欲しいと思い、色々聞かせて頂いたので皆さんとも共有させて頂ければと思います!

特に近年、留学生の年齢層も幅広くなっていき、若年層からの留学相談も増えているからこそ、見て欲しいインタビュー記事になるんじゃないかと思います!


経歴

――まず、これまでの経緯を伺いたいと思います。Frogに連絡くれたのはハタチの時でしたっけ?

19歳の時ですね。工業高専の3年生を終えてから休学して、語学留学でビクトリアに行って。その語学留学がもうすぐ終わるという時に、次どうしようかと思ってFrogに相談して、現地の専門学校に進学しました。今は卒業してUIデベロッパーとして働いています。

――高専は卒業されたんでしたっけ?

結局卒業せず、辞めてバンクーバーでキャリアを積むことにしました。

――とても大きな決断だったと思いますが…

最初は親に反対されましたね。高専は就職率が良くて、進学するにも編入試験が簡単で。国立大学をいくつも受けられたり、ということもあります。そういうパスを蹴ってこっちに来たので…。でも今は応援してくれています。

――ビクトリアからバンクーバーへ来た時には、既に高専を辞めることを決めていたということですね

そうですね。

――そもそも留学のきっかけを知りたい人が結構多いです。高校を出てから留学する人は多くいますが、高専の途中でというのは珍しい。その決断力は何なのか気になります

英語が得意だったからそれを伸ばしたくて留学を考えました。

今となっては変な話なんですけど、高専では情報科でプログラミングをやっていたんですがプログラマーになりたくなかった。まぁ今はなっちゃったんですが(笑)。

語学留学の終わりが近づいてきて「マジでこの後どうすんだ」と。高専に帰りたくないなと思って色々調べていたら、セナさんのブログをたまたま見つけて急に「WEB屋面白そうだな」と(笑)。プログラミングは今までやってたから知識ゼロではないし…と思ってFrogに連絡させてもらいました。

――こんな方向転換をさせて良かったんでしょうか(笑)

人生変わりましたね(笑)。Manaさんのブログも見てました。

――バンクーバーという場所そのものFrogをきっかけに今に至るというわけですね

英語について

――ビクトリアでの1年間はどうでした?

アジア人がバンクーバーみたいに多くなくて、こじんまりしてて…。英語を勉強するには田舎の方が向いてると思いますね。

――正直、バンクーバーは語学留学には向いていないかもしれません。アジア圏の人が多いですもんね。ただ、日本人が多いのは就職している人が多いということの裏返しとも言えます。
日本人のコミュニティが充実しているバンクーバーは、就職するには良い場所ですね。
元々英語が得意だと言っていましたが、どのように勉強していたんですか?

洋楽聴いたり、洋画を観たりですね。Maroon 5とか聴いてました。聴くのが大きかったですね。

――ドラマは観てました?

観てましたね、プリズンブレイク。あれやばいです。5-6周しました。

最初は日本語吹き替えで観てたんですが、今は英語音声で字幕なしで観られます。セリフ覚えちゃってる部分もあります(笑)。

話の流れもあるので、全シーズンをバーっと通して観てますね。

――それはビクトリアに来てからもやってました?

やってました。

――The officeって知ってます?アメリカのコメディですね

それは知らないですね…。IT系の人だと、「シリコンバレー」もコメディで面白いです。「アハハ」っていう笑い声は入らなくて普通のドラマみたいな感じです。

――…少々脱線しましたが(笑)、Frogに相談する方の多くが気にされているのがコミュニケーションの部分です。   友達とうまくやれるのか、先生とコミュニケーションを取れるのか、最終的には面接が大丈夫なのかという不安に繋がっていきます。Ryoさんはどうでしたか?

先に一年語学留学していたのは大きかったですね。あと、夜な夜な動画を見てシャドーイングもしていました。

ミートアップにも最初は参加していましたが、いわゆる「もくもく会」ばかりにヒットしてしまって、もういいかな、と行かなくなりました。

――ミートアップは当たり外れがありますよね。そこから就職が決まる人もいれば、ほぼコミュニケーションがないものもあります

専門学校について

――Ryoさんから相談を受けた時には、「1年間のワーホリ期間だけで就職するのは厳しいだろうから、専門学校のCOOP1年間とワーホリを合わせて就職を目指そう」ということでした

結局ポスグラ(post-graduation work permit)が出たのでワーホリは使わなかったですね。ポスグラが出る確率は低いということで、保険でワーホリを申請していましたが。

――ポスグラが3年分出たんですよね。他の人が同じように3年分もらえるかというと賭けに近いものがあるので、お勧めできる方法ではありませんが…

はい、運が良かったと思います。

――前回公開した記事でも聞いた話ですが、1年間現地の専門学校に通ってみての総評は?

繰り返しになりますがクソでした!(笑)

学校の質やカリキュラムがクソで満足できませんでした。でも、そこで出会った人たちはすごく良かったなって。

――皆さん同じこと言いますね。横のつながりというか…。今Frog経由で留学される方の留学先は4択の状況になっていて、VanArts、CICCC、そしてBCITとRyoさんが通われた専門学校。その中で外国人の就職率が良いのはどこかというと、びっくりすることにRyoさんの学校なんです。それで「就職率が良いから」と選ぶ人もますが、終わると同じ回答が返って来ます(笑)。前回の記事にあるように、学校に頼らないという前提のもとで、1年間という短い期間で就職に辿り着かなければいけませんよね。どういう風に勉強して来たのかを聞かせて貰えますか?僕らIT系は独学文化でもありますが、学校の勉強はどういう風にしていました?

運良く、Changami(Ryohei Oue)さんがプログラミングやモバイルも含めてゼロから色々と教えてくれました。それが大きいというか全てじゃないかなと。彼にはとても感謝しています。AndroidやRuby on Rails、ウェブアプリがどういう仕組みで動いているかという話も教えてもらいましたね。オススメの本も聞いて、読みながら学んでいきました。

――ITD組は本当にそれが大きいですね、教室借りて勉強会やってくれたりとか。Changamiさんの存在が大きいという声をよく聞いていて、僕らとしてもありがたいです。Ryoさんの一日のサイクルはどんな感じでした?

学校で教えてもらって、その後カフェで教えてもらったこともありました。帰宅後は自習して、わからないことはその場でメッセージを送ったり翌日に「これなんですか?」って質問したりしてました。

――やはりメンターの存在は大事ですよね。メンターの繋がり作りとしてもFrogを使ってほしいと思っています!実はこの話と相談に来る人の考えにギャップがあって。学校に行けば就職できると思っている人が多いんですよね。日本だと良い学校に入って大きい会社に入るというのが理想の流れになっていて、学校に入ることが一種のステータスだと思われている。でもバンクーバーでは外国人というステータスで、たった一年の学校生活で就職活動をしなければいけないので、「学校に行った」という事実だけで仕事に就くのは基本的に難しいんですよね。

メンターのChangamiさんとのショット。Changamiさんは現在Frogダウンタウンオフィスにてバックエンドのアドバイザーとしても活動中

方向性の決定

――自分がフロントエンドをやりたいのかバックエンドをやりたいのか、モバイルデベロッパーになりたいのか…等、興味のある分野を見つけて方向性を決めるのが難しいという相談が多く寄せられます。Ryoさんはフロントエンドをされていますよね?

はい、UIデベロッパーです。今働いている会社はモバイルアプリを作っています

世代的にも小学生から携帯を持っていて、そこからスマホに移行して。今はVueも多いからモバイルが面白そうだなと。ハイブリッドアプリで作っていて、UI/UXを考えながらJavaで書いていますね。

――最近はハイブリッドアプリで作る会社も増えていて、ネイティブでやるとコストがかかるからだと思います。最近、ウェブからモバイルに通知できるようになったというニュースを見てびっくりしました。これでモバイル業界は結構変わるのでは?

変わりますね。モバイル業界にある程度興味あって方向性に迷っている人がいたら、とりあえずJavaScriptやっておけば良いと思います。

――バックにもフロントにも応用が聞くスキルですもんね。最初はJavaScriptから勉強したんですか?

Ruby on Railsもやっていて、そこが大きいと思っています。

就職活動

――1年で就職できるまでに成長するのはなかなか難しいと思います。業界未経験で来るというのも、Frog周りでは増えていますが全体的に見るとまだレアケースです。今働いている会社はどうやって見つけたんですか?

グーグルマップで見つけました(笑)。

“Software company” とかで検索して、家の近くでヒットした会社にレジュメを送りました。indeedも使いましたが、今回はたまたまグーグルマップで見つけた会社に決まったということですね。

――面白い探し方ですね!これはFrog界隈で初めての探し方かもしれない(笑)。果たしてお勧めして良いものか…。

結構面白いのでやってみても良いと思います(笑)。意外とヒットするので。

――インタビューに至るまで、レジュメはどれくらい送りましたか?

30ー40社くらいですね。そこから電話面接に進んだのは4-5社、さらに対面の面接に進んだのは今働いているところを含めて3社です。

――まず電話面接に行くために技術力のアピールが大事だと思いますが、ポートフォリオは相当作り込みました?

はい。(Ryoさんのポートフォリオ

ポートフォリオに関してはChangamiさんに見てもらわず、教えてもらったことを駆使して独力で作りました。
JavaScriptを使ったアニメーション、Ruby on Railsで作った簡単なアプリ、Pythonで書いたsublimeテキストエディタのプラグインなどを載せています。

――そうやって作ったものを見せるのは大きいですよね。面接の時も「見せて」と言われませんでした?

言われました。ジュニアポジションの候補者は期待されていないので、「何か作ったの見せてよ」という感じで。

――あと、プラグイン系は良いですよね!プラットフォームに対してプラグイン作るのは開発工程で改善していきたいという意欲表示にもなるのでお勧めです。みんなに言ってるんですけどなかなか実現する人はいない。就職に備えて、そういうのも含めてGithubに上げて芝を生やしたということですね(笑)。

はい、緑にしました(笑)。

――募集要項の必要スキルには「3Dの画像を作れること」とか「Wordpress」とかって書いてました?

今働いている会社に関しては無かったですね。その会社は”New grads”、日本でいう新卒に近い物を募集していたんですね。それで、ここだ!と。他の会社だと経験を必要とするところもありましたが、ダメ元で送っていました。

――「Requirementに当てはまらないところには応募しません」と言う人もいますが、それでも送った方が良いですよね

そうですね、間違いないです。経験についてはフィルタリングをかけるため、形だけの記載のところが多いと思います。

――面接ではどんなこと聞かれましたか?覚えている範囲で構いません

まず自己紹介があって、その後ホワイトボードコーディング(PCではなくホワイトボード上にプログラムを書く試験)、そして少し技術的な話をしました。「ニュースは何読んでる?」とか聞かれましたね。

ホワイトボードコーディングはJavaScriptのStringをいじる程度のものでした。

実際に働いてみて

――今の会社で働き始めてからどれくらい経ちました?

Coop期間の1年と、卒業してから8ヶ月なので1年8ヶ月ですね。最初にプロベーション(試用期間)が3ヶ月ありました。

初めはめちゃくちゃ大変でしたね。今の会社はソフトウェアの会社で、できてからそこそこの年数が経ってるのでコードベースも大きくて。どのクラス、どのメソッドが何をやっているのか紐解くのが難しかったです。最初は全部理解しようとしてたんですけど、もちろんその必要はなくて。どこを理解すれば良いか上司に聞いて、ちょっとずつ理解していったと言う感じです。

――入社し立てとはいえ「こいつ分かってない」と思われるとクビになるのでは、と気をつける人が多いんですが、Ryoさんは分からないことは率直に聞いたんですか?

はい。一人でもがいているよりも聞いてすぐ解決した方が、会社もリソースを無駄にせず済むので。

――Ryoさんは聞いてすぐ活かすキャラとしてやっていたわけですね。それもありだと思います。会社はSoftware Companyということですが、具体的にはどんなことをやってるんですか?

イントラネット、Organization向けのコミュニケーションプラットフォームを作っていて、自分はフロント側を担当しています。うちが使ってるのはすごく古くて、JavaのGoogle Web Toolkitで。会社ができた時にそれがホットだったからだと思います。

――働き方の日本との違いはどういうところだと思いますか?Ryoさんは日本で働いたことないと思いますが…。自分の経験上だと、日本はそもそもクビになりにくい・しづらいと思いますが。

こっちでは「できない人は切って、できる人には給料を出す」というのが普通です。そのプレッシャーもあります。

隣のデスクに座っていた人が3ヶ月のプロベーション期間で終わったこともあり、「マジか」と。

――そんな中でRyoさんは生き残ったわけですが、なぜだと思いますか?

仕事をちゃんとやる。それだけです。

――前述の3ヶ月でいなくなってしまった人はどんな人でしたか?見ていてスキル面の不足など思ったことはありますか?

コードを見た時に、メソッドがおかしかったり長かったりということはありました。レジュメ上は経験が結構あったようですが、「このスキルで?」という感じで。その評価も響いて切られたんじゃないかと思います。

――やはり経験や経歴が長いだけで勝負が決まるわけではないという事ですね。

今後の展望

――会社としてのビザのサポートは無いそうですが、ポスグラが3年あるから余裕ありますよね。永住権も視野に入ってくるのでは?

そうですね、年末には申請したいと思っています。それまでにIELTSの点数を上げたいですね。

――移民コンサルタントとは契約してますか?大丈夫って言ってました?

契約はしていますが、それはまだ聞いていないです。

――エクペリエンスに関しては就労経験が2年あった方がポイントが高いので、そこは指摘されるかもしれませんね

でも最近のドローイングが430とかなので、これならいけると思っています。

――確かに最近低くなりましたね。みんなの点数が低いので、狙い目かもしれません。永住権も含めて、今後の展望を聞かせてください

永住権を取って、できるだけ長くこっちで働きたいなと。

今はハイブリッドのモバイルアプリを作ってるんですけど、ゆくゆくはネイティブに移っても面白いかなと。その方ができることも大きいですし。

――そういえば英語の勉強関連でアメリカの話が出ましたが、アメリカは興味ないですか?

ありますね、最初はアメリカに行きたくて。サンフランシスコかシリコンバレーに行きたかったんですが、ビザを取るのが無理だろうと。

――最近Frog周りで2人、アメリカ進出を決めましたよ。バンクーバーはアメリカとの位置関係が良いので、飛行機に乗れば2時間くらいで行けますし、カナダでリファレンスを得た後で挑戦する人は多いですしね。

――ちなみに、永住権取った後は飛行機に乗るのも楽ですよ。特に、税関を通る時(笑)

それやってみたいですね(笑)

――今後アメリカに行くことを考えると、永住権を取った後にリクルーティングブースに行くと良いかもしれませんね。サンフランシスコの方から遊びに来る人もFrog周りでは結構いるので、話を聞いておきます。また相談しましょう!

留学を考えている人へのアドバイス

――Frogには「英語を勉強して海外で働けるようになりたいんです」という相談がよく来ます。それでも不安だったりなかなか踏み切れなかったりする方が多くいらっしゃるのですが、何かアドバイスはありますか?

とりあえず来てみれば良いと思います。僕もふわっとした理由で来たので。

来てみてわかることもいっぱいあります。

――自分で見て判断すべし!ということですね。ありがとうございました!


さて、いかがでしたでしょうか。

よく海外留学と日本での就職を比較にして、海外挑戦の全てを『リスク』としてとらえる方は多いように感じます。ですが、彼のように実際に海外でのキャリアを勝ち得、その上で自分の未来を切り開いている方のお話を聞くと、結局何をリスクとし、何をメリットとするのかは人それぞれじゃないかと思いました。

もちろん運の要素もあったのは事実ですが、それは日本社会においても同じこと。それを上回る「実力」を身に着け、自分の価値を周りに証明するスタンスで活動する姿は、どんな煌びやかなキャリアよりもリスク回避に繋がっているんじゃないかと思います!

是非、今後自分の指針や留学プランに迷っている皆さんの参考にして頂ければ幸いです!

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