日本でウェブデザイナーとして半年働き、バンクーバーでフロントエンドデベロッパーに転身したMotokiさん
今回は26歳、ゆとり世代のMotokiさんにお話を伺いました!
「ゆとり世代」とはいえ侮ることなかれ。自分のやりたいことに真摯に、かつストイックに取り組む姿勢がとてもよく見えるインタビューです。
まずは英語スキルの向上心から日本の「一斉就活」のレールを外れて語学留学。その後客観的に自分の将来を見つめ直し、つけるべきスキルを選択してまた勉強。そして日本で働きましたが、自分の夢に近づくべくバンクーバーに留学し、現地就職を果たしました。
バンクーバーでの就職そのものはMotokiさんの夢ではありません。今もまだ夢に向かって着実に進みながら、将来を描かれています。そのポジティブなマインドはきっとみなさんの背中を押してくれることでしょう!
なお、今回からバンクーバー留学中の私Ramiがインタビューを担当致します。Frogを通してコミュニティ・カレッジに留学しプログラミングを勉強中、つまりMotokiさんの後輩的な立場です(先ほどMotokiさんを「ゆとり世代」と紹介しましたが年齢は同じ。ゆとり世代、頑張ってます)。
自分自身がバンクーバーでの就活を控えているからこそ気になるところにも突っ込んでお話を伺いました。留学を考えている方により近い視点からのインタビューです!
経歴
ーー まず、これまでの略歴を教えてください
大学卒業後に半年間フィリピンで語学留学して、その後通信制の学校でウェブデザインを学びました。それから日本でウェブデザイナーとして働いたんですが、半年で辞めてバンクーバーのコミュニティ・カレッジに通うことにして。そこでの最初の1年間は勉強プログラムで、終わったのが今年4月。Coop期間に入ったところから、ウェブ制作会社でフロントエンドデベロッパーとして働き始めました。働いて半年くらい経ちますね。
ーー大学卒業後にフィリピン留学ということは、就活はしなかったんですか?
そうです。大学3年の時に2ヶ月フィリピン留学をして「もっと英語話せるようになりたい、悔しい」と思ったので、大学卒業後に再度留学することを決意しました。フィリピン滞在中に親に電話し「就活しないから」と。それはもう、反対されましたね(笑)。帰国後、卒業までバイトしてお金を貯めて半年間またフィリピン留学しました。
話せるようになって来たところで「海外で働きたいけど、英語が話せるだけで何のスキルも無いな」と思い、色々調べて通信制のウェブデザインの学校に行くことにしました。「作ることが好き」ということと、「海外の色々なところを旅しながら働きたい」という夢があったので、ウェブの分野で何かを作る仕事が良いのではないかと。
卒業後はまず日本で働きました。将来的には海外で働きたかったのですが、その前にウェブデザイナーという仕事がどんな感じか見ておきたくて。
ーー実際見てみてどうでした?
大変だなと思いましたね(笑)。労働時間もそうですし、日本独特の上下関係も。
自分はこの会社に合っていないと思ったのと、元々海外に行きたかったことから、仕事を辞めて海外に行くことを決めました。これも親に反対されましたね。「もうちょっと働けよ」と(笑)。でも最終的にはサポートしてくれて、そのお陰ですぐにバンクーバーに来ることができました。
当初は退職後に何かしらで働いてお金を貯めるつもりだったのですが、僕が頑固な性格で決めたら絶対やるのをわかっているのと、「全く別のことをしてお金を貯めたらせっかく学校や仕事でつけた知識を忘れちゃうでしょう」ということからサポートしてくれました。親には頭が上がりません。感謝しています!
ーー海外へ行くとなった時に、働くのではなく留学という形になったのはやはりビザの関係でしょうか?
そうですね。Frogのホームページ等を見て、まず学校へ行きCoopビザで1年、その後ワーホリで1年働くのが良いとわかったので。
ーー行き先はバンクーバー一択だったんですか?他の国についても調べたりしました?
バンクーバー一択でしたね。通信制の学校で勉強してた時からFrogのスタッフの方のブログを読んでいて。
留学から就職までの一貫したサポートもそうですし、先に日本人のデベロッパーがそこで仕事していて、その人たちのコミュニティがあるというのも大きいです。
ーー実際に来てみて、一言で言うと正解でした?
はい!
無事に就職できたのと、働いてる環境が良いというのが大きな理由です。忙しいけど気持ち的に働きやすいと感じています。上司との関係がフラットなので自分の意見をしっかり言えるし、上司も自分の意見を尊重してくれる。無駄なところで気を遣う必要がなく、技術面に集中できます。
英語について
ーーフィリピン留学をされていたということですが、どのような勉強をしていましたか?
授業はずっとマンツーマンでした。たくさん喋る機会があって良かったです。バンクーバーに来てからも2ヶ月ESLに通いましたが、喋る量が全然違いますね。
ーーフィリピンにはたくさんの語学学校がありますが、どうやって選んだのでしょうか?
自分が半年間行ったのはバギオという田舎にある学校です。少人数でスパルタ、そして先生の質が高いという情報を見てここに決めました。
ーー長期に亘って語学留学をされてたということですが、バンクーバーに来るにあたって英語面の不安はありましたか?
それは少なかったですね。技術面の方が不安だったので、バンクーバーに来てからは技術を重点的に勉強しました。でも今となっては英語の勉強も継続しておけば良かったと思っています。コミュニケーションでそこまでの苦労はありませんが、もっと喋れたら楽しいなと。会社でうまいジョークも言いたいですし(笑)。
それで、今はオンライン英会話のサービスを利用しています。永住権への備えも兼ねてです。申請するとなるとIELTSのスコアが必要で、短期間の勉強ではなかなか点数が取れないと思うので。まだ申請するかわかりませんが、念のためですね。
専門学校について
ーー専門学校生活はどうでしたか?
他の人も言っていたように、学校は確かにクソでしたね(笑)。
自分はプレゼンの機会等コミュニケーション面に期待していましたが、それも最初の3ヶ月くらいしかなくて。その後は最初の1時間だけレクチャー、残り3時間は自習ということが多かったです。先生は授業を掛け持ちしていて、レクチャーを終えると教室からいなくなってしまう。知識も不足していたように感じました。
でも技術面は元々「自分で勉強しなきゃ」という意識があって、学校はツールの一つとして考えていたのでそこまでがっかりしませんでした。クラスにいた日本人も同じ意識を持っていたのですごく良かったです。一緒に切磋琢磨して頑張りました。
他の国から来たクラスメイトはそういう意識じゃなさそうでしたね…。ただ学校の不満を言ったりとか。
自分の方向性(フロントエンドデベロッパー)が決まってからは授業中もオンラインコース等で勉強していました。授業内容がバックエンド寄りだったので、今自分はこれやるべきじゃないなと。
方向性の決定
ーー私も「早く自分のやりたいこと決めて絞って勉強しなさい」と言われて、まさに絞っている最中です。フロントエンドデベロッパーという方向性は初めから決めていたんですか?
バンクーバーに来る前はまだ迷っていましたね。デベロッパーの仕事自体をしっかり理解していなかったですし。前職でやっていたのはデザインとコーディング少しという感じだったので、HTML・CSSくらいしかわかってなくてjQueryもプラグイン使うくらい。
バンクーバーに来てからFrogの座談会に参加して話を聞いたりして、完璧に方向性が決まったのは学校が始まって3ヶ月後くらいですね。
面白いと思うプログラミングがフロントエンド側だったんです。アニメーションを加えたり、コーディングしてパズルみたいに「このコードでこういうウェブサイトができる」「コードは呪文みたいに見えるけど、レンダリングしたらこんな綺麗な見た目になる」という感覚が面白くて。
ーー方向性を決めた後、自分が学ぶべきものや教材はどうやって決めたんですか?
会社が出している求人のRequirementを見て、それに対して自分のスキルが足りていないものを勉強しました。
最初は基礎でtreehouseをやり込んで、そのあとはUdemy等のオンラインコースを使いました。フロントエンドはJavaScriptに強くなきゃいけないので、eggheadもやりました。
就職活動
ーー就活はどのくらいの期間やっていたんですか?
Coop期間に入る1ヶ月前から就活を始めて、1ヶ月で終わりました。トータルで9社にレジュメを送ったんですが、最初の2週間は1社に送っては待って「あれ、返事来ないな…」というのを繰り返していて(笑)。これじゃ駄目だと気づいて、3週間目からたくさん送るようにしました。Indeedを主に使ったのと、クラスメイトが作った「バンクーバーのデザインエージェンシーリスト」も使わせてもらいました。
連絡があった3社と面接しましたが、形式はバラバラでしたね。1社は最初から対面の面接、もう1社は電話面接、もう1社はGoogleハングアウトでした。
実はもう1社からも連絡があったのですが、就職先が決まった後の連絡だったのでお断りしました。
ーー 面接ではどのようなことを聞かれましたか?
質問内容は面接官によりますね。人事の人だったら「なんでここで働きたいんですか」とか。リードデベロッパーやマネージャーの場合は技術の話が多かったです。その会社がWordPress使ってるなら「WordPress使ってどういうの作ったことある?」とか、使ってる言語について「このフレームワーク使える?」とか。その辺は先に調べて準備しておいたので、予習通りという感じでバッチリ答えられました。実技のテストは無かったです。
前職については、どんなことしてたかを軽く話したくらい。たった半年の経験なので、そこまでプラスにはならないですね。
ーーこっちでは給与の額を話して決めると聞きましたが、どんな会話をするのか気になっています
給与については面接の時に「最低いくら欲しい?」と聞かれて、答えたら「それは保証するよ」と。そのやりとりのみです。
ーー ご自身が就職出来た理由は何だと思いますか?
準備としてはポートフォリオをかなり作り込みました。レジュメもそのデザインに合わせたものにして。
直接的には言われていませんが、今の会社はほぼポートフォリオで決まったのではないかと思います。面接もラフな雰囲気で、その場にいたディレクターも「採用する気満々」という感じでした。
実際に働いてみて
ーー 今の仕事内容について聞かせてください
フロントエンドデベロッパーとして制作会社で働いています。担当しているのはフロント全般とWordpressのカスタマイズ。「一案件にデベロッパー1人」という体制がほとんどで、分業せず全てをやるスタンスです。
忙しいですが、前職の忙しさとは種類が違いますね…。短納期でこなしているからかもしれません。「デザインが固まっていない段階でコーディングしてクライアントに見せ、意見をもらって直す」というのがディレクターのやり方なんですよね。短いサイクルで改善していくスタイル。
あと、今は任されるものが多くて仕事量は前職の2倍くらいです。それもあって、時間あたりの密度が濃いと感じています。
今後の展望
ーー 今後はどんなことをしていきたいですか?
今の会社ではアニメーションに力を入れているので、その勉強を頑張りたいですね。「こういう風にしたいな」というデザイナーの要望をうまく表現するための技術を身につけたいです。アニメーションには元々興味があったので、それと会社の方向性が合致しているのはすごく良いです。
永住権は「取れたらラッキー」という感じですね。
いろんな国に行きたいという気持ちもあるので、永住権にはそこまでこだわっていません。もし取れたらバンクーバーを拠点として移動しても良いと思いますが。
ーー次に行きたい国はありますか?
カナダ国内ですが、トロントやモントリオールに行きたいです。デザインが盛んなので。
国だと、フランスに行きたいですね。フランス語を勉強しなきゃいけませんが。大学の時に第二外国語で取ったんですけどね〜…難しかったです(笑)。
留学を考えている人へのアドバイス
ーーMotokiさん自身はあまり迷わず留学に踏み切ったようですが、それができる人は少数派だと思います。なかなか踏み切れない方に向けて何かアドバイスはありますか?
踏み切れない理由にもよるので難しいですが…。
ただ、「やってみたら意外とできるじゃん!」ってことはあると思います。プログラミングの勉強でも、「一見難しそうだけどやってみたらできた」という経験を自分もしました。
「失敗したら…」と思うかもしれませんが、「失敗」っていう考え方も日本人的だと思いますね。仮にうまく就職できなくても、それは失敗ではありません。その経験はプラスになるはずです。
あとは、経歴に関わらず頑張れば挽回できるということですね。
今働いているところで、上司が求人に応募してきた人のメールを見ていることがあります。それを観察していると経歴の部分はほとんど読まない。まずポートフォリオを見て、そこで興味を持たれなかったら終わりです。だから半年の経歴しかない自分には助かります。
つまり、経歴よりも「今何ができるか」が大事ということです。
就職するまでの一年間、頑張ればできることはたくさんあって、その頑張りで挽回できるのがバンクーバーでの留学・就職のメリットだと思います。
さて、いかがでしたか?
「経歴に関わらず頑張れば挽回できる」というのはとても参考になる話だと思います。
これまでのFrogのインタビュー記事にも「業界未経験から」就職した方がたくさんいますが、その一因として共通するものではないでしょうか。
Motokiさんもご両親に反対された通り、なかなか理解されづらい選択であることは確かです。それでも自分の本当にやりたいことで、真摯に打ち込めることなのであれば良い結果が出るのだと思います。
私もプログラミング初心者でバンクーバーに来たので、それを信じて頑張ります。
みなさんのモチベーションアップに!留学の決断に!参考になれば幸いです。
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