カレッジ期間中に5件のオファーを受け、あのHUAWEIにエンジニアとして就職したMomoriさん
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今回は、トロントにある中国発のグローバル企業HUAWEI Canadaにインターンとして入社し、来月から正社員(フルタイム)に昇格が決まったMomoriさんにインタビューをさせていただきました。
先日BlackBerryにCoop入社を果たしたMikaさんのインタビューをしたばかりですが、最近は少しずつインターンやCoop枠から現地の有名企業へ入社する事例が増えてきているように感じます。
Momori さんは、日本で3年間エンジニアとして経験を積んだ後、カナダへ渡航し、カレッジに入学。1年間の座学期間を経てHUAWEIに入社し、来月から正社員に切り替わるという、まさに理想的なキャリアステップを歩んでいます。
しかし、一見順風満帆に見えますが、その背景にはビザの問題、交渉、試行錯誤など、多くの挑戦があったことがうかがえます。
今回のインタビュー記事はもちろん、MomoriさんのNoteもぜひ読んでみてください!よりリアルな海外就職の過程が見えてくると思います。
Senna: それでは、よろしくお願いいたします。まずはFrogにご相談いただいた当初のことを振り返りたいのですが、一番最初にやり取りした内容は覚えていますか?
Momori: はい、覚えています。最初にHidetoさん(Frogスタッフ)に面接していただいたと思います。
Senna: 当時のメールには、「2023年9月または2024年1月頃にカレッジ入学し、海外就職を目指すプランを考えています」と書かれていましたが、ご相談いただいた時点で、すでに海外就職のイメージは持っていらっしゃったんですか?
Momori: はい、インタビュー記事やポッドキャストなどを参考にしていたので、ある程度自分の中でプランを持った上で相談しようと思っていました。
Senna: ということは、Frogを知ったのはもっと前だったんですね?
Momori: そうですね。渡航の1年くらい前には知っていたと思います。もしかしたら、もっと前から知っていたかもしれません。
Senna: その後、渡航しカレッジに通い、突然HUAWEIに行かれるとご連絡いただいた時は驚きました。あれは去年の夏、8月頃でしたよね?
Momori: そうですね。実際には9月に入社しました。
Senna: HUAWEIは非常に有名な会社なので、今日は色々なお話を聞けるのを楽しみにしています。
Momori: よろしくお願いいたします
これまでのご経歴について
Senna: 改めてになりますが、これまでのご経歴を振り返っていただけますか?
Momori: はい。日本で生まれ育ち、理系の大学を卒業後、日本の会社で3年間働きました。その後、渡航を決意し、バンクーバーの私立カレッジで1年間学び、就職が決まったのでトロントに引っ越して半年が経ちました。
Senna: まさに王道のキャリアパスですね。卒業された大学は早稲田大学とのことですが、エンジニアリングを専攻されていたんですね。日本のエンジニアの方は文系出身の方も多い印象がありますが、エンジニアにはもともと興味があったのですか?
Momori: 大学の学部はいわゆる情報科学科ではなく、プログラミングの授業も少しはありましたが、入学時点では将来何をしたいか決まっていませんでした。学科は理系のさまざまな分野を融合させたようなところで、生物系、電気系、情報系などがあり、選択肢が広かったのが魅力でした。そこで偶然プログラミングの授業を受けたことで、一気に面白いと感じ、仕事にしたいと思うようになりました。
Senna: なるほど。学歴にBachelor of Engineeringと書かれていましたが、実際にはコンピューター、エレクトリカル、バイオロジーなど様々な要素があったんですね。
Momori: はい。卒業論文では、粘菌というスライムのような見た目の生き物を題材に、生物系とプログラミングを組み合わせた研究をしていました。
Senna: 面白いですね!日本の大学に進学する方は、高校までの経験で将来を明確に決めている方は少ないと思いますが、Momori さんもそうだったんですね。大学でプログラミングに出会い、そこから夢中になった、というイメージでしょうか?
Momori: そうですね。Linux上でEmacsを使ってプログラミングを学び、今考えると妙に硬派だったかもしれませんが、すごく楽しかったです。画面に何かを表示させたり、計算したりするだけでも夢中になれて、for文やif 文、関数などを学んだ時点で、もう何でも作れると思っていました。
Senna: そこでテンションを上げられる人は、才能があると思います。
Momori: 向き不向きはあるかもしれませんね。C言語から入るべき人、バックエンドから入るべき人、フロントエンドから入るべき人で、タイプが分かれる気がします。
Senna: 素晴らしいですね。それがプログラミングとの最初の出会いだったんですね。その後、大学を卒業されて都内の会社に入社されたとのことですが、ソフトウェアエンジニアとして、ゲームアセットのシステムやバージョン管理などを担当されていたようですが、ゲーム系の会社だったのでしょうか?
Momori: はい。コーエーテクモです。
Senna: おぉ、僕はゲームが大好きなのでよく名前は存じ上げています(笑)
Momori: 大学時代からゲームが好きで、ゲーム会社でプログラミングをしたいと思っていたのですが、配属された部署はゲーム開発そのものではなく、ゲームエンジンや基盤を作る部署でした。
Senna: なるほど。
Momori: 具体的には、ゲームエンジンではなく、ゲームで使用するデータを管理するためのアプリを作っていました。
Senna: GitやGitHub のような、ゲーム専用のバージョン管理システムを作っていたようなイメージですか?
Momori: そうですね。ちなみにバンクーバーに来て感じたのはWeb系のエンジニアがとても多いということでした。自己紹介のときに「フロントエンド or バックエンド?」と聞かれるのですが、「厳密にはどちらでもないんだよなぁ」という感じがずっとしていました。
Senna: ゲーム業界の場合、どういう分類になるんでしょうね?UIを操作する方がフロントエンドで、データを扱う方がバックエンドというイメージでしょうか?
Momori: C言語やC++はバックエンド寄りのイメージがありますよね。「ゲームを作るためのバックエンドエンジニア」と言うのが近いかもしれません。
Senna: なるほど。バンクーバーではWeb系のエンジニアが多いという話でしたが、その環境に入ることに対して不安はありましたか?
Momori: はい、不安はありました。自分の経験がWeb系の仕事にどこまで通用するのか、はっきりと分からなかったので。でも、最悪の場合はキャリアが変わるかもしれないと考えつつ、そこは柔軟に対応しようと思っていました。
Senna: その不安をどうやって克服したのでしょうか?
Momori: 実際に仕事を探しながら、自分のスキルがどう活かせるのかを考えていました。結果的に、前職で培ったスキルを活かせる職場に出会えたので、安心しましたね。
カナダへの渡航を決めた動機
Senna: それでは、次にカナダへ渡航するまでの経緯についてお伺いします。何かきっかけや理由があったと思うのですが、渡航を決めた動機は何だったのでしょうか?
Momori: 大学生の頃から、漠然とした憧れがありました。
Senna: 海外への憧れですか?
Momori: そうですね。働いて3年ほど経った頃に、今後の将来を考えた時に、「今が一番自由に動ける時だ」と思ったんです。結婚したり子どもができたりすると、移住の難易度がどうしても上がりますよね。
Senna: 確かにそうですね。
Momori: 「今やらなかったら、この先もっと難しくなるし、後悔するだろう」と思いました。
Senna: 日本で働いているのに、海外に出ようと考える人は決して多くはないですよね。収入が良いとか、より良い会社が多いとか、何か具体的なモチベーションがあったのでしょうか?
Momori: 収入が高いという理由もありますが、振り返ってみると、精神的な部分が大きかったと思います。きっかけは忘れてしまいましたが、ポッドキャストやブログ記事を見て、日本で生まれ育った人が海外で普通に生活していることを知り、衝撃を受けたんです。「そんなこともできるんだ」と。そこから調べてみると、いくつかのプランがあり、それを実行できるかもしれないと思いました。最初はそれだけで満足していたのですが、だんだんと「考えるだけではなく、実際に行動に移したい」と思うようになりました。
Senna: 性格的な要素もあったのかもしれませんね。
Momori: エンジニア気質というか、「アイデアを思いついたら実装したくなる」みたいな感覚だったのかもしれません。
Senna: 素晴らしいですね!
Momori: 日本が嫌いとか、カナダが特別好きというわけではなかったのですが、「海外に挑戦してみたい」「自分の力を試してみたい」という気持ちがあったんだと思います。
Senna: なるほど、よく分かりました。参考にされていたブログや情報は、同じ業界の方のものでしたか?
Momori: ポッドキャストの「Rebuild.fm」はよく聞いていました。
Senna: 「Rebuild.fm」超有名なポッドキャストですね。
Momori: 海外のエンジニアがたくさん登場して、ただ雑談しているだけなのに、なぜかかっこよく聞こえるんですよね。
Senna: なるほど、ありがとうございます。それでは次に、移住先を決めた経緯をお伺いしたいのですが、アメリカやヨーロッパなど、他の国は候補には入らなかったのでしょうか?
カナダを選んだ理由
Momori: 最初はアメリカに行こうと思っていました。エンジニアのメジャーリーグはやっぱりシリコンバレーだと思っていたので。しかし、いくら調べてもビザの取得難易度が高すぎて、どうしても突破できそうにないことに気づきました。
Senna: アメリカの就労ビザは抽選ですからね。
Momori: はい。アメリカの大学に行って卒業し、OPT(Optional Practical Training)を経て働くという方法もありますが、それには時間もお金もかかります。そこで、「カナダの方がいいのではないか」と思いました。
Senna: イギリスやオーストラリアなど、他の選択肢は考えませんでしたか?
Momori: ヨーロッパも考えました。でも、ヨーロッパで働いている人のブログを見ると、「緩く働ける環境が良い」という意見が多い印象でした。日本と比べて労働環境がホワイトですよね。でも、私はそこまでホワイトでなくてもいいかなと思っていたんです。
Senna: もっとガツガツ働きたい?
Momori: そうですね。キャリアを積んでいきたいと思っていたので、キャリアファーストで考えると、ヨーロッパはちょっと違うのかなと感じました。
Senna: なるほど。ちなみに、大学を卒業されたのは2020年ですよね?
Momori: はい、そうです。一浪していたので、23歳の時に卒業しました。
Senna: 3年間会社で働いて26歳。その頃には「Rebuild.fm」を聞いてアメリカを目指したり、「ホワイトな会社は自分には合わない」と考えたりしていたんですね。普通の人にはなかなか出てこない発想だと思いますが、何か特別なきっかけがあったのでしょうか?
Momori: 特に「これが決定的なきっかけ!」というものはなかったですね。日本での仕事も嫌いではなく、むしろ楽しくやっていました。ただ、ソフトウェアエンジニアとして「もっと自分の力を高めていきたい」という思いがずっとあって、それがじわじわと影響していたのかなと思います。
Senna: 素晴らしいですね。
Momori: 日本でエンジニアをやっていると、ブラックな環境にいる人も多いので、カナダに行くなら「もっとホワイトな環境を求める」という人もいると思いますが…
Senna: Momoriさんは、そういう働き方への憧れは特になかったんですね。
Momori: もちろん、ホワイトな環境で働けるのはありがたいことですが、それ自体が一番の目的ではありませんでした。アメリカにも近く、時差もないので、将来的にアメリカ挑戦を視野に入れるなら、カナダの方が良いと思いました。これが一番大きな理由になると思います。
Senna: なるほど。
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北米でのキャリアと英語学習
Senna: アメリカに近いというのは、サンフランシスコのスタートアップのように、朝9時から夜9時までガンガン働く環境も視野に入れていたということですか?
Momori: そうですね。ずっとそのペースで働き続けるのはさすがにきついですが、必要であれば最初のうちはハードワークするのは構わないと思っていました。
Senna: 素晴らしいですね。カナダへの渡航のきっかけ、海外就職を目指したきっかけは、そのような感じだったんですね。では、英語についてですが、CICCCに入学される頃にはIELTS 6.5が必要になった時代ですよね?
Momori: そうですね。でも、私はTOEFLを使って入学したので、IELTSではありませんでした。
Senna: あのカレッジはTOEFL iBT 80点が入学基準ですよね。それでもハードルは高いと思いますが、英語は昔から勉強されていたんですか?
Momori: 受験英語のような感じで、読むのは得意でしたが、話すのは苦手でした。
Senna: 典型的な日本の英語学習パターンですね。
Momori: カナダに行くことを意識し始めてから、本格的に勉強を始めました。TOEFLには特に興味がなかったのですが、英語学習の目標として、とりあえず受験してみようと思いました。それが渡航の少し前だったので、テストのスコアもそのまま使えましたね。
Senna: 素晴らしいですね。大学も理系ですし、海外就職を意識し始めてから英語を本格的に学ばれたんですね。渡航前にフィリピンに1ヶ月行かれたんですよね?
Momori: はい。
Senna: フィリピンのどちらに行かれたんですか?
Momori: セブ島です。
Senna: 語学学校に通われたんですか?
Momori: はい、1ヶ月間、寮に泊まり込みで勉強しました。
Senna: 最近、Frogでもフィリピンでのサポートを本格的に始めたので興味があるのですが、1ヶ月間の語学留学はいかがでしたか?
Momori: 行って良かったと思っています。受験英語や試験対策の英語は勉強していましたが、話す機会がほとんどなかったので、心理的な壁がありました。
Senna: 確かに、日本で学ぶ英語はスピーキングの機会が少ないですよね。
Momori: 渡航して英語を話さざるを得ない環境に身を置くことで、英語でのコミュニケーションに対する心理的なバリアを取り払いたいと思っていました。フィリピンに行ったのは、英語の勉強だけでなく、海外生活に順応できるかどうかのテストも兼ねていました。例えば、日本から資金を移動できるか、人と一緒に生活することにストレスを感じないかなど、そういった部分も確認したかったんです。
Senna: なるほど。カナダでルームシェアをする予定だったんですね?
Momori: はい。人と一緒に住むことで、どれくらいストレスを受けるのかも試してみたかったです。
Senna: それは大事ですね。実際、1ヶ月間の寮生活は大丈夫でしたか?
Momori: まあまあ大丈夫でした。個室ではなかったのが少しきつかったですが、個室があれば問題ないと思いました。
Senna: なるほど。フィリピンで1ヶ月の留学を終えた後、CICCCに入学されたわけですが、CICCCの1ヶ月の無料ESLも利用されましたよね?
Momori: はい、行きました。
Senna: バンクーバーの語学学校とフィリピンの語学学校を比べて、違いは感じましたか?
Momori: そうですね。バンクーバーの学校はグループ授業で、1クラス10人くらいでした。積極的に話せる人には良いと思いますが、内向的な私には少し話しづらかったです。
Senna: フィリピンではマンツーマンレッスンが多いので、話す量が増えますよね。
Momori: はい、そうです。マンツーマンだと、話さないわけにはいかないので、話す機会は圧倒的にフィリピンの方が多かったです。グループ授業もありましたが、3〜4人と少人数だったので、やはりフィリピンの方が話す量は多かったですね。
Senna: なるほど。ありがとうございます。
CICCCでの1年間と就活について
Senna: 技術的な部分に関しては、日本で3年間の職歴があったことが大きかったと思いますが、CICCCでの1年間はどのように活用されましたか?
Momori: まず最初は、生活環境を整えることに時間を費やしました。銀行口座を開いたり、引っ越しをしたり、各種手続きをしたり……。結局、最初の数ヶ月はそれで過ぎてしまいました。
Senna: なるほど。最初は生活の基盤を整えることに時間がかかりますよね。その後、就活はいつ頃から始められましたか?
Momori: 最初から就活を意識していたので、常に準備はしていました。渡航したのが7月頃で、10月くらいにようやく落ち着いてきたので、レジュメを作り始め、12月の初めに実際に応募しました。
Senna: 7月の終わり頃に渡航されて、約4ヶ月後に本格的に応募を始めたんですね。就活についてですが、どのくらい応募されましたか?
Momori: 自分で応募したのは6件です。
Senna: 6件だけですか?
Momori: 最初に3件送ったのですが、何の返事もありませんでした。甘かったと思い、1ヶ月後にもう3件送ったのですが、それもダメでした。
Senna: なるほど。最初はなかなかうまくいかないですよね。
Momori: 「ビザサポートが必要ですか?」というチェックボックスにチェックを入れていたんですが、あれでおそらく全部ゴミ箱行きになったのではないかと疑っています。
Senna: それは本当に難しいところですよね。オープンワークパーミットがある間はビザサポートは不要ですし、会社側が負担するものも異なります。どう伝えるかは本当に悩みますよね。
Momori: そうなんです。ただ、その後LinkedInで5つの会社からメッセージをもらい、面接を受けることになりました。
Senna: おお、それはすごいですね!
LinkedIn経由で5件のオファー
Senna: もう少し詳しく教えてもらえますか?6件自分から応募して駄目だったけど、その後LinkedIn経由で5件のオファーがあったということですか?
Momori: はい、そうです。
Senna: その5件は、向こうから連絡が来たんですね?すごいですね。
Momori: たまたまメッセージをもらったという感じでした。最初の面接は2月にあり、その後3月に2件受けました。
Senna: LinkedIn経由で5件もオファーをもらうのは、かなり珍しいと思いますが、何が要因だったと考えていますか?
Momori: 技術記事をたまに書いて、LinkedInに投稿していました。
Senna: 技術記事ですね。
Momori: はい、それが少し人目を引いたのかもしれません。
Senna: なるほど。メッセージをもらい始めたのは2024年の2月か3月頃ということですね?
Momori: そうですね。
Senna: その時期はリセッションが完全に落ち着いたわけではありませんよね。Frogのデータでは2024年の中盤から終盤にかけて求人が増えてきたので、少し早いタイミングだったように思います。技術記事の投稿や、コーエーテクモでの経験が影響した可能性もありますか?例えば、面接で前職の話を聞かれたりしましたか?
Momori: 会社について詳しい人はあまりいなかったと思います。でも、C++を使っていたことが珍しく映ったのかもしれません。
Senna: なるほど。確かに、FrogにはC++系のエンジニアがあまりいなかったので、データが少ないですが、需要があるということなのかもしれませんね。
Momori: そうですね。ちなみに、自分で応募した会社の話に戻るのですが、Rustを仕事でやりたかったんです。なので、最初に応募した6件はRust関連の仕事でした。
Senna: なるほど。そうすると、最初の6件がうまくいかなかった理由の一つは、求められるスキルとこれまでの経験が完全に一致していなかった可能性もありますね。
Momori: それもあると思いますが、やはりビザの影響が大きかったのではないかと感じています。
Senna: 就活について振り返っていただきありがとうございます。その後、LinkedIn経由でもらったオファーで5件面接に進んだんですよね?
Momori: はい。ただ、最初の3件は、最初の面接でダメになりました。
Senna: 理由は何だったのでしょう?
Momori: ビザのことをありのままに話しすぎたのが良くなかったのではないかと思っています。働けるようになるまで半年ほど待ってもらうか、就労ビザをサポートしてもらう必要があり、採用側からはハードルが高かったでしょうし。
Senna: なるほど。
Momori: そこで、4件目からは少しビザ面の説明の仕方を工夫するようにしたら、次の面接まで進めるようになりました。技術面接を受け、最終面接まで行きましたが、そこで落ちてしまいました。
Senna: それは惜しかったですね。そして、その後HUAWEIから連絡があったんですね?
Momori: はい。でも正直、トロントだったので遠いなと思いました。ただ、練習になると思って受けてみることにしました。
紆余曲折なHUAWEI面接
Senna: 最後がHUAWEIからのオファーだったのですね。これはトントン拍子に進んだんですか?
Momori: 全くそんなことはなかったです。面接が進む中でビザの話をある程度やり過ごしながら進めていたのですが、最終的にオファーの話になった時に、正直に「今は学生です」と伝えたら、「私たちは学生を受け付けていません」と言われてしまいました。
Senna: ええ!どうなったんですか?
Momori: 粘りました。ここで引き下がるわけにはいかないので。
Senna: 具体的に、どのように交渉したのですか?
Momori: まずCoopビザだったとしても就労には問題ないという書類を学校に用意してもらって渡しました。さらに、「ここで断ったら、新しい候補者を見つけるのに1〜2ヶ月かかってしまい、それはお互いにとってメリットがない」ということを伝えました。
Senna: それでもダメだったんですか?
Momori: 最初は全く聞く耳を持ってもらえませんでした。「学生だから無理に決まっていますよね」という感じで、取り合ってもらえませんでした。
Senna: それは絶望的ですね……。
Momori: はい、正直かなり落ち込みました。でも、HUAWEIのリクルーターに直接連絡してみたところ、「インターンとしてなら雇えるかもしれない」と言われました。
Senna: おお、それは意外な展開ですね!
Momori: 最初は期待していなかったのですが、本当にインターンとしてオファーを出してもらうことになり、今の状態になりました。
Senna: すごいですね!HUAWEIの面接についてですが、インターンとしての面接はどんな内容だったんですか?
Momori: インターンとしての面接は受けていません。最初から社員として採用する前提だったので、普通の社員採用の面接を受けました。
Senna: HUAWEIの面接の流れはどのようなものでしたか?
Momori: まず、リクルーターからメッセージをもらい、レジュメを渡して電話面接をしました。その後、オンラインで6問のコーディングテストを受けました。
Senna: なるほど。
Momori: それに合格したので、次にチームリーダーとの面接を受けました。それも通過し、最後にLabのボスとの最終面接でした。
Senna: HUAWEIのDatabase R&Dの部署ということでしたが、コーディングテストの内容はどのようなものでしたか?
Momori: C++を使ったデータ構造の実装でした。LeetCodeのようなアルゴリズム問題ではなく、ハッシュテーブルの実装を行い、画面共有しながら議論しつつ進める形式でした。
Senna: なるほど。実務寄りのテストですね。
Momori: はい、API設計の議論なども含まれており、技術力だけでなく、コミュニケーション能力も見られているようでした。
Senna: 最終面接はどのような雰囲気でしたか?
Momori: 前半は議論を交えた技術面接、後半に少し行動面接がありました。
Senna: 結果はすぐに出ましたか?
Momori: 3日後くらいでした。ただ、LinkedInでメッセージをもらってから実際に雇用契約が確定するまでには、前述のビザ関連のやり取りも含めトータルで3ヶ月くらいかかりました。
Senna: 結構長かったですね。ちなみにBlackBerryの方も、インターン枠からフルタイムにジョブチェンジすることを目標にしていると言っていましたが、中野さんも同じですか?
Momori: タイムリーな話題で、実は来月から正社員に切り替わることになりました。給料もあげてもらえます。
Senna: それは嬉しいですね!!
Momori: 最初に社員として面接を受けてオファーをもらったのですが、学生だと言ったら給料を40%下げられてしまったので、早く正社員に切り替えたかったんです。
Senna: 40%も下げられたんですか?
Momori: CICCCのCoopプログラムで1年間働く予定だったので、今年の8月まで学生のはずだったんですが、早くCoopを終えることができたので来月から正社員です。
Senna: ワーキングホリデーのビザもまだ持っているんですよね?
Momori: 来月学校を卒業して、ワーホリに切り替える予定です。3月は休みになるので、一度日本に帰ろうと思っています。
HUAWEIの環境
Senna: HUAWEIに受かったという連絡を受けたのが2024年の夏頃だったので、すでに半年ほど経っていると思いますが、環境はどんな感じですか?
Momori: はい、先ほどお話ししたとおり、ビザの関係でCoopインターンからの入社になってしまいましたが、実際に周りにもインターンの人がたくさんいて、同時期に入社した人だけでも何十人かいました。
Senna: そんなに多いんですね。どのようなバックグラウンドの人が多いですか?
Momori: 有名な大学出身の人ばかりですね。ウォータールー大学やトロント大学など。私のカレッジを知っている人は誰もいません。
Senna: なるほど。Coop枠に応募しても、学歴フィルターで弾かれてしまう可能性もあるかもしれませんね。実際にインターンとして働いてみて、いかがですか?日本と海外の職場環境の違いなどがあれば、ぜひ教えてください。
Momori: 全体的に緩いなと思いました。
Senna: HUAWEIでも緩いんですか?HUAWEIのような企業は、ガツガツした人が多いイメージでした。
Momori: 私もそう思っていました。中国には996(朝9時から夜9時まで、週6日勤務)という働き方があるので、自分もそういう環境になるのではないかと思っていました。でも、実際には週5で朝9時から夕方5時の勤務、9時半や10時頃に出社して、5時前後に帰る人が多いです。
Senna: 意外ですね。西海岸的なハードワークな環境を求めていたMomoriさんにとっては、物足りないのでは?
Momori: そういうわけでもありません(笑)
Senna: R&Dで働かれているとのことですが、具体的にはどのような仕事をされているんですか?
Momori: データベースの開発をしています。PostgreSQLやMySQLのようなGaussDBという製品をHUAWEIが開発していて、その開発チームに所属しています。
Senna: データベース開発に必要な研究をする部署なのですね。
Momori: 研究というほどではないのですが、基本的にはコードを書いています。論文を読むこともありますが、チームの中には論文を書いている人もいて、刺激になります。
Senna: HUAWEIのような大企業のR&Dとなると、機密事項が多いと思いますが、そのあたりは厳しいですか?
Momori: 情報漏洩に関する研修が入社時にありました。
Senna: 研修があるんですね。すごいですね。仕事内容についてですが、今からフルタイムになるので、今後変わっていくことはあるのでしょうか?
Momori: そうですね。肩書きはインターンでしたが、実際には他の社員と変わらず仕事をしていました。データベースについて右も左も分からなかったんですが、2〜3ヶ月くらいで徐々に理解できるようになりました。
Senna: データベースの世界は広いですよね。
Momori: 本当にそうですね。最初は漠然と広いなと思っていましたが、少しずつ「何ができて、何ができないのか」が見えてきました。これからもしばらくはデータベースについて学んでいきたいと思っています。
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日本とカナダでの職場環境の違い
Senna: 他に、日本とカナダで働く環境の違いを感じることはありますか?
Momori: 基本的には同じです。ただ、やはり環境がやたらとホワイトなのと、仕事の振り方がかなり大雑把だと感じますね。
Senna: 大雑把、というのは?例えばドキュメントが整備されていないということでしょうか?
Momori: そうですね。仕事を任せてもらうときも、本当に最小限のことしか説明されないですね。日本のように、細かく仕様書があったり、手順がマニュアル化されていたりすることは少ないです。
Senna: それは放置という感じなんですか?
Momori: いや、そういうわけではなくて、「分からないことがあれば聞いて」というスタイルですね。
Senna: なるほど。最初からすべてを説明しすぎず、必要に応じて質問してもらうという文化なんですね。
Momori: そうです。ある意味、コミュニケーションコストを最小限に抑えられるので、無駄なやり取りが減って楽な部分もあります。
Senna: エンジニアのレベルが日本と比べて全然違うという印象はありますか?
Momori: レベルの違いは感じません。優秀な人は日本にもたくさんいます。違いがあるとすれば、働き方や会社のルールの方だと思うのですが、その時感じたこととして、日本にいた時と比べると、何かにつけて雑な点が目立つなということでしたね。
今後の展望
Senna: それでは、今後のキャリアについて、やりたいことや展望があれば教えてください。
Momori: まずは、この会社にいる間にデータベースのことをしっかり理解したいです。低レイヤーの知識を身につけていきたいと思っていた私にとって、データベースを作る仕事はうってつけだと感じています。この機会に、自分の力をしっかりつけたいです。
Senna: 素晴らしいですね。
Momori: あとは、カナダで永住権を取得し、生活を安定させたいという気持ちもあります。
Senna: この1年が勝負になりますね。
Momori: はい。そして、最終的にはアメリカにも行きたいと思っています。そのためにカナダに来た部分もあるので、アメリカに挑戦するためのさまざまな方法を模索していきたいです。
Senna: そこはFrogも多くの面でお手伝い出来る部分かと思うので、出来る限りサポートさせてください!
これから渡航する方へアドバイス
Senna: 最後の質問です。留学や渡航を考えている人にアドバイスはありますか?
Momori: カナダでの生活は、ゲームのハードモードをプレイしているようなものだと思います。英語、文化の違い、ビザの問題など、さまざまなハードルがあります。ただ、自信とやる気があるなら、挑戦する価値はあると思います。その時は、Frogさんや私を含め、カナダをサポートしてくれる人に連絡してみてください。
Senna: 素晴らしいですね。ありがとうございます。そういえば、Momoriさんは現在カナダで働かれていると思いますので、Frogのメンターリストに加えさせていただいてもよろしいでしょうか?
Momori: いいですよ。メンターとして何か必要なことはありますか?
Senna: Notionのデータベースに情報を登録していただくだけです。共有リンクをお送りするので、他のメンターの方の情報を参考に、どのようなメンティーを希望するかなどを記載してください。
Momori: 分かりました。やらせていただきます。
Senna: その他に何か伝えたいことはありますか?
Momori: 特に未経験の方、進む方向が分からない方に伝えたいことがあります。例えば、面接準備で何をすればいいか分からない場合や、学校の授業や先生を信用しすぎない方が良いということです。
Senna: 信用しすぎない方が良い、というのはどういう意味でしょうか?
Momori: 学校の授業がすべて正しいとは限らないし、先生が業界の最新情報を知っているとは限りません。「信用できる人は、自分で選んで相談する」というのが大切だと思います。
Senna: 確かにそうですね。誰に頼るべきかは、Momoriさんのように実際に就業した方のお話を聞くのが最も近道だと思うので、学校だけでなくFrogのような環境もぜひ活用してほしいですね。今日はお時間いただき、ありがとうございました!
Momori: ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
アメリカ挑戦を視野に入れてカナダへ渡る方は少なくありませんが、Momoriさんのように強い向上心を持ち、現実的な課題を愚直な情報収集とトライアンドエラーで突破できる方は、決して多くはありません。
最初にご相談をいただいた時から感じていましたが、適切な情報を集め、それをすぐに行動へ移す力、そして非常に現実的な視点で次の一手を考えられる柔軟性。こうした強みを持つMomoriさんは、今後もカナダやアメリカで多くの実績を積み上げていくのではないかと思います。
また、彼の最後のアドバイスにもあったとおり、方向性が分からなかったり、迷ったりしたときに「誰に相談するか」「どの環境を選ぶか」という判断も、海外就職における重要な戦略の一つです。
これから海外就職を目指す方にとって、Momoriさんの経験や考え方が、何かしらのヒントになれば幸いです!
Frogへ相談する方法
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