FrogのPEOサポートを経由し2年で永住権を取得、その後現地就職を達成したJunyaさんにその詳細を聞いてみた
みなさんこんにちは!FrogのHiroshiです。みなさんはPEO (Professional Employer Organization)という制度を聞いたことがありますか?昨今、北米圏のジョブマーケットが厳しさを増す中、現地就労・PR (永住権) 取得の難易度が大きく上昇しています。従来は1年カレッジ→1年COOP→1年ワーホリ→PR申請というルートが王道の一つでしたが、その再現性を疑問視する人も増えてきました。PEO制度は、状況さえ揃えばカナダ国内での長期雇用が実現し、PRへもつながる可能性のある制度です。これまでPEOサポート事例の数はそこまで多くありませんでしたが、Frogとしては今後PEO制度の利用を定番ルートにできるのではないかと考えています。
今回はそのPEO制度を利用して、渡航から2年というスピードでPR取得までたどり着いたJunyaさんにお話を伺いました。彼は現在Betrというスタートアップ企業でバックエンドエンジニアを務めています。PEO制度を用いた移住がどのようなものなのか、そこに落とし穴はあるのか、概要を理解するのには最適な内容のインタビューとなったかと思いますので、今後カナダ移住を検討している方にとっては必読です!
ぜひ最後までご一読いただければと思います。
PEO制度の概要・利用動機
Hiroshi: 本日はお時間頂きありがとうございます!よろしくお願いします。
Junya: よろしくお願いします!
Hiroshi: Junyaさんはカナダに来られて今何年目ぐらいなんですか?
Junya: 2年と10ヶ月ですね。2021年の5月にこちらに来ました。
Hiroshi: PRを取られたのはいつなんですか?
Junya: 2023年の6月です。
Hiroshi: ということは、渡航からちょうど2年くらいでPR取得ということですか。かなりスムーズなペースですね。PEOサポートを使っての取得だったと伺っていますが、具体的にはどのようなものなんでしょうか?
Junya: スキームとしては、まず僕がカナダ国内にあるFrogのパートナー企業の社員になり、そこ経由で案件を受託するという構図です。なので、カナダという国からの見え方は、普通にカナダ国内の企業に勤めている人、ということになります。
Hiroshi: なるほど。どこから案件を持ってくるかについての制約とかもないんですか?
Junya: 特にありませんね。Yuyaさんも同じスキームを使っていたと思います。
Hiroshi: そうなんですか。PEOサポートって、今まではそこまで多数派ではなかったと思うんですけど、Junyaさんはどういった経緯でそこに行き着いたんですか?
Junya: カナダ渡航当初は、王道のCICCCに入学しまして、卒業後COOP (有給インターン用ビザ) とワーホリ (ワーキングホリデービザ) の使用を予定していました。日本でエンジニアとしての経験は6年あったので、学習目的というよりはビザ目的ですね。ただ、1~2ヶ月ほど座学をやった後「これあと10ヶ月もやるのか…」とちょっとしんどくなってきたんですよね。笑
Hiroshi: まあ、未経験の人向けに作られたカリキュラムなので、6年の経験があるJunyaさんにとっては退屈でしょうがない内容ですよね。笑
Junya: 言葉を選ばずに言うと…そうですね。笑 僕は妻と一緒にこっちに渡航してきたんですが、2人とも海外での就労を体験したく、尚且つ居心地も良かったので、長期的にカナダに身を置くことを目標にすると、徐々に「どうやったら最短でPRを取れるか」ということを考え始めていました。COOPとワーホリを使う王道の方法だと、最も速く進んだケースでも3年はかかってしまうんですが、当時の資産状況を考えると、その3年という期間をフルで使うのは少しリスキーだったんです。
Hiroshi: なるほど。となると、CICCCは途中でドロップアウトされたということですね。
Junya: そうですね。ちょうど3ヶ月でのドロップアウトとなりました。また、自分が過去に学んだ内容を改めて座学で学び直すというのも、すごく時間がもったいないという感覚になったんですよね。
Hiroshi: 確かにそうですね。
Junya: 渡航した2021年頃って、コロナが原因で実質ワーホリが使えない感じの時期だったじゃないですか。なので、こっちで知り合う人は大体PRか、雇用主にサポートされた就労ビザを持っている人ばかりでした。
Hiroshi: そうだった…あの時期は大変でした。
Junya: そういった人たちと話してるうちに、PRを持つことの重要さを強く感じるようになったんです。職業選択における身軽さとかもすごく変わってくるわけじゃないですか。それで、ビザのことについてかなりアンテナを立て始めましたね。
Hiroshi: ビザのステータスは就活においては重要ですね。
Junya: そして、色んな人の話を聞いているうちに、YuyaさんのPEOの話と自分の境遇が結びついたんです。「あのPEOっていうやつ使えば今の問題大体解決できるんじゃないか…?」と。
Hiroshi: アンテナを立てていたことが功を奏したわけですね。その時はもう日本からの案件はお持ちだったんですか?
Junya: はい。PEOを使えば、学校に行かなくても良くなるし、妻にもオープンワークパーミット (雇用主の制限がない就労ビザ) が出るし、ネックになっていた時間的なリスクも減らせるし、メリットだらけだったんです。
Hiroshi: なるほど。ではその時働かれていた日本の取引先と相談した上でPEOの利用を決められたわけですね?
Junya: はい。エンジニアとしての経験はあったので、就活の期間をしっかり確保できればまあどこかには引っかかるだろうとは思ってたんです。となると、ビザがネックで働き口が見つからない、という状況になるのはなんとしても避けるべきだと感じたので、PRの取得を最優先にしました。
カナダ渡航〜学校からのドロップアウト
Hiroshi: カナダへの渡航を決めたのはどのような経緯があったんですか?
Junya: 僕は新卒でWeb系の会社に入って4年半ぐらい勤めたんですが、その後にフリーランスになってカナダへ渡航した、っていうのがざっくりとした経緯です。新卒入社の会社を辞めた理由は2つあって、1つは社内政治が必要以上に強く感じた点、もう1つは単純に給与を上げたいという点です。
Hiroshi: なるほど。フリーランスになるとそこはまるっと解決できそうですね。
Junya: 個人的には、自分のパフォーマンスと給料がしっかり連動する実力主義の環境がすごく合ってたんです。北米圏はレイオフ等があって厳しい部分はありますが、日本よりは実力主義の傾向が強いと感じていて、長く身を置くならそっちかなと思い、カナダに渡航する道を検討し始めました。
Hiroshi: 奥様は海外渡航についてどのような意見をお持ちだったんですか?
Junya: 僕も妻も、海外で働いてみたいという思いを持っているタイプでしたね。そこの意見が一致していたのは本当にラッキーだったなと思います。
Hiroshi: 日本でもフリーランスをなさっていたとのことですが、その案件をそのままカナダに持ってきた感じだったんでしょうか?
Junya: そうですね。フリーランスといっても、実質ずっと同じ1社とのフルタイム契約を頂いてたんですが、そのお仕事をそのまま持ってきました。
Hiroshi: 学校をドロップアウトするのって結構大きな決断だったと思うんですが、どういう基準で意思決定されましたか?
Junya: 意思決定の軸は大きく3点ありました。カナダでの安定したステータスを得るまでの速度と、確度と、コストです。PEOの相談をした時には、持っていた案件について、それ以降2年の契約が確約されているような状況だったんですが、2年あれば、恐らくビザのステータスは安定すると考えたので、この時点で速度と確度の点はクリアですよね。
Hiroshi: 確かに。学校いってCOOPもらっても、実際に就職できるかはわかりませんし、レイオフのリスクもありますもんね。
Junya: また、カレッジの学生ビザやCOOPの場合、配偶者は働けないんですが、PEOだとそこもクリアできる。妻も働くことができれば、コスト面への恩恵はもうめちゃくちゃでかいですよね。
Hiroshi: 確かに。PEOはどう考えてもパーフェクトな選択肢ですね。その在学期間中も含めて、日本からのお仕事はずっと続けられてたんですか?
Junya: はい。渡航した当初は、2021年中でその仕事は終わりにして、2022年からは就活にフォーカスしようと思っていたんですが、2021年の11月頃、PEO使用の打診をしたのと同時に、先方からも契約期間延長の打診を頂いたんです。
Hiroshi: すごい!笑 となるとそのままPEOスキーム下でフルタイム稼働が可能となったというわけですね。そのお仕事と並行してバンクーバーでの就活もなさっていたんですか?
Junya: それができれば理想ではあるんですが、PEOスキーム下では、就労ビザをサポートしてもらうことになるので、ビザはクローズド (雇用主が限定されている) なんですよね。
Hiroshi: あ、なるほど。そうなると本格的な転職活動はできませんね。永住権が取得できる時期を精度高く見積もる必要があるというわけですね。
Junya: 僕はそれにかまけて就活に必要な活動をきちんとしてなかったんですけど、そこはもうちょっとリソース割いてもよかったなと反省しています。
Hiroshi: PEOを利用してカナダで職歴を積んで、PRの為のスコアを上げて、2023年の6月に晴れてPR取得となったわけですね。永住県取得のプロセス・手続の中で、ややこしかったり大変だったところってありましたか?
Junya: もう全部Frogが巻き取ってくれたので、大変なことは何もありませんでしたね。大学の成績証明書とか警察書類とか、自分で準備しないといけない書類は一定数ありましたけど、そのあたりも全部丁寧にまとめてもらいました。
Hiroshi: じゃあ、PEOでPR取得を狙う場合、信用関係があるクライアントが2~3社いたら、結構確実性が高そうですね。
Junya: そうかも知れませんね。ただPEOとは言え現地企業で働く以上、いきなりどこの馬の骨かもわからんやつを雇うというのはよくないので、僕も初めはCOOPのステータスで3ヶ月働きました。
Hiroshi: なるほど、あっそうか、Junyaさんも一応学校には通ったからその期間分のCOOPは出たのか。
Junya: そうです。なので、就労分野でのCOOPが出る学校に通って、そこからPEOという流れが一番綺麗なんじゃないですかね。
新しい職場について
Hiroshi: 今はもうカナダ国内の企業で働かれてるんですか?
Junya: 今週オファーを頂くことができたので、来週から働き始めるところです。
Hiroshi: そうだったんですね!おめでとうございます!ビジネス的にはどういった内容の会社さんなんですか?
Junya: Sportsbook (スポーツの試合を対象とした賭け事) 関連ですね。まだスタートアップで、創業は一昨年くらいだったはずです。本社はアメリカなんですが、もともとバンクーバーで同様の事業を展開していた会社を買収して、それがバンクーバーのポジションとなっている感じです。
Hiroshi: Junyaさんはどういったポジションでの採用なんですか?
Junya: バックエンドですね。
Hiroshi: バックエンドのチームはJunyaさん含めてどれぐらいの人数なんですか?
Junya: 機能ごとに分かれた、5人のチームが3つあるみたいです。自分がどこに配属されるかはまだわからない状況です。
Hiroshi: エンジニアの数は会社全体でどのくらいなんでしょう?
Junya: バンクーバーに40人くらい、あとはルーマニアに20~30人と聞いてます。本社も合わせると、150人くらいの規模感ですね。偶然にも僕以外にFrogのメンバーが1人働いていました。
Hiroshi: スタートアップと言いながらも結構でかいんですね!
Junya: 結構な金額を調達してるみたいなんで、なんかイケイケっぽく見えますね。笑
Hiroshi: 本社がアメリカとなると、フルリモートですか?
Junya: はい。ただ、WeWorkを使って定期的に対面で会おうという流れになっているということを聞きました。また、総会とかで、年に1回くらいのペースでアメリカの本社に行く機会はありそうですね。
Hiroshi: 今後の大まかな人生プランとしてはどのような感じなんでしょう?アメリカ移住は視野に入れてますか?
Junya: 現時点では、アメリカに移住したい気持ちは特にありませんね。カナダでキャリアを積んでいきたいと思っています。一旦はSeniorになることを目標にし、フルスタックでのポジションでキャリアを伸ばしていきたいと現時点では考えています。海外経験を活かせるようなポジションが日本にあれば、また日本に帰るのも全然選択肢に入ります。
Hiroshi: なるほど、そういった選択肢を持てるのは、PR保持者ならではの強みですね。
PR取得後の就活について
Hiroshi: そこに至るまでの就活期間はどのくらいだったんですか?
Junya: 2ヶ月くらいでしたね。頂いていた案件の契約が2023年末に正式に終了したので、2024年明けからは無職となり、本格的に就活を始めたというわけです。
Hiroshi: 2023年の6月にPRを取ってからすぐに就活、ということにはならなかったんですね。
Junya: それでもよかったんですけど、契約が延長されるかどうかがしばらく不透明だったんですよね。なのでそこをきちんとするのに少し時間がかかってしまいました。
Hiroshi: Junyaさんレベルの経験があって、PRも持ってるってなったら、就活は結構楽勝なんじゃないかって思うんですけど、実際どうでした?
Junya: 正直、めちゃくちゃきつかったですね。笑 僕も「PR持ってたらもう無双っしょ」ぐらいに思ってたんですけど、全然そんなことなかったです。笑 その辺の経緯はまたnoteにでもまとめようと思っています。
Hiroshi: えええ!そうなんですか。応募総数はどのくらいだったんですか?
Junya: 全部で90社くらいには書類を送りましたね。通過率はだいたい15%くらいでした。10社くらいの面接に進みましたね。最終的に内定を頂いたのは1社でした。
Hiroshi: 6年経験とPRありでもそんな感じなのか…
Junya: もちろん、それまでの経験やスキル、ジョブマーケットによる部分もあるので一概には言えませんが、実際にPRを持っていてもこのような数値感でした。聞かれる質問的には「PRを持ってるか」ではなく「ビザサポートが必要かどうか」なので、PRそのものが強みになることって実はあんまりないんです。
Hiroshi: なるほど。
Junya: 電話インタビューでも「ビザサポートは必要ですか」って聞かれた時には「PR持ってます!」って答えるんですが、向こうとしては「はいそうですか」みたいな。笑
Hiroshi: なるほど、PRそのものが雇用主にとっての付加価値になるわけではなくて、どちらかというとJunyaさん側の心の余裕に寄与するというわけですね。
Junya: おっしゃる通りです。
Hiroshi: レジュメは誰かに添削してもらったりしてましたか?
Junya: UBC (ブリティッシュコロンビア大学) のCS (コンピュータサイエンス) 学部を卒業した後、ゲーム会社で働いてるカナダ人のエンジニアとTandemという言語交換アプリで友達になったんですけど、その人にかなり助けてもらいましたね。
Hiroshi: そうなんですね!
Junya:彼はPhysics Programmerなんですが、同じエンジニアという括りで意気投合しまして、模擬面接とかも含めてかなり付きっきりで助けてもらいましたね。
Hiroshi: 応募企業はどういった基準で選定されてましたか?
Junya: 僕はPHPの業務経験が長かったので、それを主軸にしてましたが、挑戦したい分野としてはフルスタックだったので、そういったポジションにも応募してましたね。自分のキャリアを伸ばせるのが本望ではありますが、同じ技術スタックでも一旦はとにかくこっちの企業で働き始めることを念頭に置いて、日本向けの就活は一切しませんでした。
Hiroshi: Junyaさんの経験で言うと、Seniorポジションがメインでしょうか?
Junya: Seniorはギリギリなんとかいけるかな…という感覚だったので、応募先はIntermediateとSenior両方でしたね。
Hiroshi: 就活期間を振り返って、何か反省・後悔している点はありますか?
Junya: 先ほどもちらっとお話しましたが、PEOスキーム下の就労ビザがクローズドであることにかまけて、就活の準備に時間の余裕を持って取り組まなかった点ですね。
Hiroshi: なるほど。
Junya: あとは英語力についてですね。PEOで日本の案件に取り組むとなると、カナダにいても英語を全く使わなくなっちゃうんですよね。なので、普通に暮らしていると英語力はどんどん退化していっちゃうわけです。
Hiroshi: 確かに!それはもったいない。
Junya: 言語交換アプリとかを使って英語のコミュニケーション機会を作るようにはしてたんですが、そういうところで起きるコミュニケーションって、結局は友達同士のものなので、そこで培った英語力が面接とかで活きるかというと、必ずしもそうではないんです。
Hiroshi: そうですね。TPOに合わせた英語を使う能力はまた別ですね。
Junya: 就活対策として、Prampという、模擬面接の為のマッチングプラットフォームを使っていたんですが、そこで初めてコーディングインタビューを経験して、アルゴリズムについて英語でロジカルに説明する時の負荷のかかり方の差を如実に感じました。なので、そういった経験をもっと早めに積んでおけばもっとよかったかなと思いますね。
Hiroshi: そんなプラットフォームがあるんですね!無料なんですか?
Junya: 利用回数は一応クレジットベースなんですけど、結構すぐ回復するんで、実質無料で使えます。僕は確か合計で5回くらい使ったと思います。
Hiroshi: そうなんですね。使った感想としてはどうでしたか?
Junya: 英語で話しながらコードを書く場面って、就活してたら高確率で出会う場面だと思うんですけど、当然それまでやったことなかった経験だったんで、めちゃくちゃ苦戦しました。ここを経験できるのは大きいですね。
Hiroshi: 同じくらいのレベルの人とマッチングするんですか?
Junya: そこはバラバラですね。ただ、相手のレベルがどうであれ、自分が喋りながらコードを書く、ということはきちんと練習できます。就活という観点で見れば、オンライン英会話やるよりも価値があるんじゃないかと思いますね。
Hiroshi: 僕もコーディング面接はやったことありますけど、普段業務で簡単にやってるようなことでも、いざ英語で話しながらってなるとめっちゃ迷子になりますよね。笑
Junya: そうですね。笑 あとPrampでは、面接官側もやらなきゃいけないんですよ。初めは、面接官側やっても意味ないな〜とか思ってたんですけど、実際やってみるとすごく面白かったです。
Hiroshi: へえ、それはなかなか面白いですね!
Junya: 面接受けてると、言葉に詰まってしまう場面ってどうしてもたくさんあると思うんですけど、面接官側からすれば、それがどういう原因で詰まっているかがわからないので、助け舟を出そうにもできないんですよね。なので、面接を受ける側としては、詰まってしまった時、どういう風に迷っててどういう手助けが欲しいかを明確に言うべきなんです。そういったことが学べましたね。
Hiroshi: 確かに、それはなかなか、面接を受けているだけでは辿り着けない視点ですね。
Junya: あとは、言葉に詰まるとちょっとパニックになっちゃうと思うんですが、それって全然普通のことなんだなーとも思えるようになりました。面接官の立場を経験することで、コーディングインタビューに対する恐怖心が和らいだ気がします。
Hiroshi: Prampでの学びは相当大きかったみたいですね!
Junya: あとは、これは後悔ではなく、やってよかったことなんですが、Book clubへの参加はやってよかったですね。その時は Pragmatic Programmerという本を読んだんですが、参加者がWataruさんをはじめ全員日本人で、みんな現地で働いてる人ばっかだったんです。(Book ClubはFrogがスポンサーしており、定期的にSlack上で参加者の募集がかかります)
Hiroshi: それはとても良い交流の場ですね!
Junya: まさにそうなんです。僕はもともとキャリアについて真剣に考えたことのなかった人間だったんですが、彼らと交流する中で、現地で実際に働いている方々のキャリア観に触れられたのはすごく大きかったです。自分の中で危機感が刺激された感覚がありましたね。
Hiroshi: 本の内容も大事ですが、そういった副次的な交流もBook clubの重要な要素ですよね。
Junya: そうですね。Book clubに参加してから、自分のレジュメに載せる内容についても真剣に意識し始めたので、日本の案件への取り組み方も変わりました。自分がもうちょっとリードする側に立って、わかりやすい実績を残そうと思うようになりましたね。
Hiroshi: 素晴らしい!
Junya: そういったことは、実際に面接で話す内容につながったので、Book clubへの参加はものすごく良いアクションだったと思っています。
保育士の就活について
Hiroshi: 少し話題はJunyaさんご自身から逸れますが、保育士の奥様がこちらで就活をした時、その難易度としてはどんな感じでしたか?
Junya: かなり人材不足の領域ではあるとは聞いているので、英語である程度コミュニケーションが取れれば、働き口はすぐ見つかるんじゃないでしょうか。
Hiroshi: そうなんですね。
Junya: あと、妻の動き方もちょっと良かったかも知れません。Sub teacherというポジションで、複数の保育園に自分の籍を置いていたのが良かったんじゃないかと思いますね。
Hiroshi: なるほど、具体的にはどのようなものなんですか?
Junya: 病欠や休暇などで従業員が少なくなってしまっている園に、人を埋めるためにSub teacherに連絡が行き、ヘルプで出勤するようなものです。連絡は不定期ではあるものの、今日は現場A、明日は現場Bというように、ほぼ毎日埋まって出勤していました。彼女はそれでUBCとかYMCAとか大きいところに何回か行って、そこでつながりができていったんです。つながりができてると、じゃあフルタイムで働きたいです!ってなった時スムーズじゃないですか。
Hiroshi: 確かに!働き方とかもお互い知ってるわけですしね。じゃあ奥様の就活期間はかなり短かった感じですか?
Junya: いや、特段そういうわけではなく、結構苦労はしてましたね。Sub teacherだからといって特別なことはなく、レジュメを書いて、英語面接が行われ、リファレンスチェックがされるなど、ごく一般的な面接ステップを踏んでいました。
Hiroshi: 渡航時点では、奥様の保育士歴と英語力ってどんな感じでした?
Junya: 保育士歴は大体8年で、英語力は、IELTSでいうと5.5~6.0くらいでしょうか。めちゃくちゃ英語ができるっていう感じではありませんでしたけど、彼女はガッツとコミュ力があるので、そこは大きかったと思います。昔から海外旅行はよく行ってたみたいですし、英語環境に対する苦手意識は薄かったんじゃないですかね。
PEOはどんな人におすすめ?
Hiroshi: Junyaさんから見て、PEOを用いたプランは、どういう人におすすめできて、逆にどういう人にはおすすめできませんか?
Junya: まずは、カナダ国内での就労に関する意欲と能力がある配偶者がいるとめちゃくちゃ強いと思いますね。収入源が2つあるという状況は本当に強いです。逆に、もし自分が1人でこっちに来てた場合、同じPEOのスキームを使ったかどうかはちょっとわかりません。
Hiroshi: なるほど、それはどうしてですか?
Junya: PEOは状況さえ揃えば高い確度でPRが狙えるので、それは素晴らしいことなんですが、それにかまけて必要以上に時間をかけちゃうことになると良くないと思うんですよね。Frog経由で海外に出る目的って、海外での就労経験を積むことだと思うんですが、日本の案件だけ受けてズルズルやっちゃうと、それって単に体だけ海外に置いてるだけじゃないですか。お金も時間もかけてここまで来てるのに、本来の目的ってなんなんだっけ?ってなっちゃう。
Hiroshi: おっしゃる通りですね。
Junya: 自分の性格的には、1人だったらそういう状況になりかねないなって思ってます。笑 ビザの期限が明確にあると、それに尻を叩かれて通常以上の力が出せるっていうこともあり得るじゃないですか。まあ、PRがあるからこそ、時間をかけて就職先を吟味できるというメリットも大きいですけど、PEOを無条件ですべての人におすすめできるかと言われると、そこは一概には言えませんね。
Hiroshi: 難しいところですね。
Junya: 実際にPRが取れたとして、本当にカナダで働き続けるのか、住み続けるのか、という問いの答えがNOなんだとすると、こっちに来ても、単に2年ぐらいの期間と多額のお金を失うだけにはなっちゃうので、PR取得後を見据えた、揺るぎない目標をきちんと持ってる人じゃないと、PEOスキームでのプランはお勧めできませんね。
カナダ渡航を検討している方へのメッセージ
Hiroshi: おっしゃる通りです。最後に、今後海外渡航を志す人全般に向けて何かメッセージを頂けますでしょうか。
Junya: カナダに渡航してからの3年で、大きく3つの学びを得たと感じています。1つ目はまず周りの意見を鵜呑みにせず、自分できちんと考えないといけないという点です。先ほどもお話しした通り、今回のPEOスキームは、誰かから提案されたわけではなく自分で考えて相談したことであって、実際にその選択をして本当に良かったなと思っています。ビザって海外就職においてはめちゃくちゃ重要なので、そこを「専門家に言われたからそのままでいいか〜」みたいな感じで人任せにしてしまうのはすごくもったいないと思います。
Hiroshi: いつでも、自分で考えて決断に責任を持つスタンスが重要ですね。
Junya: まあ、ビザの制度が個人的に面白く感じたというのもありますけどね。ルールをうまいことハックする、みたいな感覚が気持ちよかったというか。笑
Hiroshi: エンジニア的視点ですね。笑
Junya: 2つ目は、環境が人を変えるという点ですね。僕はもともと、キャリアのことについて全然真剣に考えてなかったんですけど、Book Clubに参加したり、他のところでも現地の人と触れ合うことで、自分のマインドがすごく変わったんですよね。まさか自分の口から、どういうポジションでキャリアを伸ばして…みたいな言葉が出る日が来るとは正直思ってもみませんでした。自分のコンフォートゾーン外に飛び出していくのってすごく怖いことですけど、もっと積極的に自分の殻を破っていかないといけないな、と思うようになりました。
Hiroshi: 素晴らしいマインドです。海外で身を立てるにはそういった気概が必要ですね。
Junya: 3つ目は、自分はほっとくとやらない理由を探して挑戦しない、という点です。僕は就活中、レジュメが完璧じゃないからちょっと今は積極的に応募できないとか、コーディングインタビューの準備がきちんとできてないからやる意味ないや、みたいな感じでぐずぐずしてたタイプなんですけど、よく妻にそこを怒られてました。なんでさっさと動き出さないの!と。笑
Hiroshi: すごい、本当にガッツのある奥様なんですね!笑
Junya: そこって精神的な部分でもあるんで、制御が難しいところでもあるんですけど、英語を話すことについても似たようなことが起こりますよね。自分の発音はうまくないからミートアップに行けない、とか。ほっとくと自分はまた、やらない理由を探して挑戦しないっていう状況に陥っちゃう気がするんですけど、そういう自分の傾向に気づけたのは、ものすごく大きな収穫でしたね。
Hiroshi: 準備が完璧になる日なんてそうそうきませんからね。
Junya: 時間はかかるかも知れませんが、挑戦を恐れるマインドは必ず変わると信じていますし、そうすれば思ってもみない道が開かれるはずなので、このインタビュー記事を読んで下さった方が少しでも勇気を持ってくれたらたらいいなって思います。
Hiroshi: 苦しいことも多いですけど、決して無駄にはなりませんよね。とても実のあるお話が聞けました。
本日はお時間頂きありがとうございました!
いかがでしたか?私Hiroshiも、Junyaさんへのインタビューを通じてPEO制度についての理解がとても深まりました。最大のポイントは、彼はPEOサポートの利用を誰かから提案されたわけではなく、自分で考えてその手段を相談したという点かと思います。今後仮にPEOが定番になるとしても、移民制度がコロコロ変わるのが日常茶飯事である中、彼のように自分から積極的に情報を集め、多角的な視点から自分にとって最適なオプションを導き出す姿勢・マインドこそが、新たな道を開く鍵となるのは普遍的なことでしょう。それをしっかり心に留めて、海外での冒険を楽しんでいきたいところですね。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
ではまた次回をお楽しみに。
- JunyaさんLinkedIn: https://www.linkedin.com/in/junya-ishibuchi/
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