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クリエイターへの転身から最短距離を走り、バンクーバーの現地企業でUIデベロッパー/デザイナーとして働いているElleさん

今回はFrog House 2nd立ち上げ時から1年に渡り入居いただき、観光ビザを経てワーキングホリデーに切り替え、現地就職を叶えられたElleさんのインタビューです!

留学中、もしくは留学を検討している多くの方から、『どの程度頑張ればよいか』という質問を受けます。しかし努力の質や期間に関しては、人によって必要な物がまったく違ってくるのが実情です。例えば今回のElleさんは日本でも精力的に活動していた方の一人ですが、WEB周りの学習期間はたったの3ヶ月間。メンターの指導があったとはいえ、その吸収力には舌を巻きます。そのうえ、カナダに渡ってから参加したMeetupの数は、なんと100件近く。やはりその行動力と自分を追い込む姿勢は、皆さんに是非参考にして欲しいですね!

経歴

―― バンクーバーに留学するまでの経歴を教えてください。

新卒として最初に入ったのは東京のITベンチャーで、法人営業として働いていました。でも、幼いころから「表現すること」が好きだった私は、自分のキャリアに疑問を持っていたんですよね。そんな時に出会ったのが、シリコンバレーで働く一人のエンジニアの方で。ある時、大学時代にNanapiの編集部でアルバイトをしていて、WEBサービスの使い方について記事を書いていたという話をしたところ、UIデザイナーが向いているんじゃないかとアドバイスを受けたんです。それをきっかけにUIデザイナーという職種に興味を持ち始めました。

その後退職してシリコンバレーに渡り、後にメンターになったそのエンジニアの方から、HTMLとCSSの集中レッスンを3ヶ月受けました。それはもう、机にかじりつくように勉強してましたね。そうして日本に帰国後、第二新卒のデザイナーとして就職することができたんです。留学を決意したのは、その翌年の秋。ベルリンで世界的なCSSのカンファレンスに出席したのがきっかけです。「世界中の人はこんなにすごい技術を使ってる!私も早く外に出ないと遅れちゃう!」って思いました。

―― バンクーバーを選んだ理由はなんですか?

正直なところ、一番行きたかったのはシリコンバレーでした。やっぱり最先端の技術に触れていたいと思ったので…。でもスキルも英語も未熟な私がいきなりシリコンバレーに行っても、まったく通用しないのは目に見えていました。それに、そもそもビザの問題があまりに大きいし、かといって学校に行く余裕もない。それで別の場所を検討することにしたんです。

バンクーバーを選んだのは、シリコンバレーと時差が同じでIT業界やスタートアップが盛んなこと、そしてバンクーバーの雰囲気や人々が好きだと感じたことが理由です。ここに留学する前に一度観光で訪れたことがあったのですが、そこで触れた人のあたたかさがとても嬉しかったんですよね。ちょっと困っていると見ず知らずの人がすぐに助けてくれたり、バスの運転手さんとありがとうを言い合ったり…そういうのが心地よくて。

そういえば、その時にFrogのセナさんにも初めて出会って、ビザのことやワーキングホリデーのことも相談にのっていただきましたね!懐かしいです。

英語について

ーー 日本で英語の勉強はしていましたか?

3歳の時から外国人の母に厳しく教えてもらっていました。なので発音とか、基礎的な文を組み立てるセンスは身についていたんですよね。中学英語はその積み重ねが活きて楽に感じていたんですが、それが通用しない高校英語からは突然苦手になってしまって…。

WEBの勉強を始めてからも、英語ができたらもっと多くのことを学べるんだろうなとは思いつつ、ずっと英語を勉強することから逃げていましたね。定期的に試験は受けていたものの、バンクーバーに来る前の私はTOEICで680くらい、TOEFL iBTで59くらいと、スコアがあまり振るわない状況でした。

ーー Elleさんの英語力がアップしたコツはなんでしょうか?

英語が苦手な私がバンクーバーに住むようになり、当初はやっぱり不安で外に出るのも恐かったんですが、「もう飛び込んだんだ!腹くくってやるしか無い!」と自分に言い聞かせて、外に出るようにしましたね。

特に私が参加するようにしていたのはIT系のMeetup。いわゆる勉強会や交流会でした。ITという共通の話題で盛り上がれるので話しやすかったんです。参加し始めた時は自分の言いたいことがうまく伝わらなかったり、日本語みたいな熟れた言い回しができなくて壁を感じましたが、相手が私が言うことを「理解しよう」と丁寧に聞いてくれるので、私も「伝えよう」と前のめりに話せるようになりました。

そういうバンクーバーの人たちの姿勢って、多分留学生や移民する人が多いっていう背景から来てるんじゃないかなと。「英語が苦手な人」に慣れてて、こちらが言いたいことを察してくれたり、ゆっくりしゃべってもちゃんと待ってくれる。そこにいつまでも甘えていてはいけないと思うんですが、英語に苦手意識を持っていた当時の私にとっては、それが救いになりました。

仕事について

ーー どうやって技術を身につけられたのですか?

ドットインストールCode Schoolといったオンライン講座も受講していましたが、やっぱりメンターからのマンツーマンの指導が一番力になりました。表面上の知識じゃなく、基礎からしっかり叩き込んでもらったんです。例えばCSSだったら、各プロパティーがどう作用しているのか、どんな仕組みで組み合わさっているのか、なぜその方法を使うのかなど、深く教わりましたね。そしてその知識を応用させて、既存のWEBサイトを、自分のHTMLとCSSで再現するという練習も行いました。

その基礎力が今の仕事でも活きていると思います。何か問題が発生した時にその深い知識がないと、行き当たりばったりの対応になって、根本的な解決ができなかったりするので。

ーー どうやってカナダで仕事を見つけましたか?

セナさんと相談した時に勧めてもらったんですが、最初からワーキングホリデーを使うのではなく、まずは観光ビザで入国し、現地の情報収集やコネクション作りをしました。Meetupは入国してから8ヶ月間で、100回くらいは行きましたね(笑) その中でCode & CoffeeというMeetupで登壇したり、Ladies Learning Codeでメンターとしてワークショップに参加したり、Girls Learning Codeで小学生向けのパネルディスカッションに参加したりもしました。そういう人たちとの繋がりの中で、求人している会社の情報などを得られて、最終的に今の会社への就職につながりました。

Meetupでは主催者側が登壇者を募集していることもあるので、その時に思い切って「私プレゼンしたいです!」ってアピールしちゃいましょう。主催者側と自分のプレゼン内容がマッチすれば、登壇させてもらえることも多いですよ。「話すことがない」って言う人もいますが、日本で仕事していただけでも、現地の人たちとは違ったプレゼン内容になるはず。結構興味を持ってもらえるので、ぜひ挑戦してみて欲しいです!

Meetupで登壇するElleさん

バンクーバーのMeetUpで登壇するエリーさん

ーー 仕事を見つけるにあたって、大切なことは何でしょう?

現地企業に見せられる英語のポートフォリオはやっぱり大事です。あとは面接時にコーディングのテストや仮のプロジェクトを渡されることもあるので、その対応力やスキルは必須。コミュニケーションに関しては、英語に不安があったとしてもやれることはあるので、できないなりに頑張りましょう(笑) 身振り手振りや、イラスト、コードも立派なコミュニケーションツールになります。「伝えよう」という前のめりな姿勢が大事です!

そして応募する企業の数についてですが、私は数を撃たないタイプ。3~4社、自分が本当に行きたいと思うところに絞って応募していました。そうでないと自分の態度に出てしまいますし、自分の労力も分散してしまいます。その分自分が選んだ会社については、ひとつひとつ丁寧に対策・対応していましたね。「海外で働くこと」を目的にして、適当な会社に入社しても意味がありません。何のために海外に来たのか、その軸からぶれない選択をしましょう。

ーー カナダと日本の仕事を比べてみていかがでしたか?

カナダの会社はみんなフラットな関係です。上司部下関係なく、みんな下の名前で呼びますよ。役職や年数がまったく関係ないとは言いませんが、気軽に相談でき、一緒に問題を解決していける空気があります。

あとは…良くも悪くも「緩い」かな?(笑) まず良い緩さの一つがコミュンケーションです。仕事だけではなくプライベートの事もたくさん話しますし、ちょっとしたイタズラを互いに仕掛けることもあります。それで程よく肩の力が抜けて、また仕事に打ち込めるんですよね。結果を出せばいいから、過程に関しては気にしない、そんな緩さです。あとは社内改革のことで提案があった場合、自分のタスクとして堂々と就業時間内に取り組むことができます。 みんなで会社を良くするためのものなので、これが本来あるべき姿だと私は思いますが、日本だとそれが認められないことも多いと聞くので…。

逆に悪い緩さだと、「ホウレンソウ」がきちんと機能していないのが困ったところ。ミーティングの場所を伝え忘れたり、メールでしっかりリマインドするべきところを口頭で済ませてしまうことがあります。こちらからこまめに働きかける必要がありますね。

Frog Houseについて

ーー Frog Houseに住んでみていかがでしたか?

Frog Houseには1年ほど住みました。総じて良かったですね。私にとっては心の拠り所でした。どこか違う場所に住んだとしても、戻ってきたくなる場所。クリエイターとしてみんな同じような悩みを抱えているので、よくそれをシェアしては一緒に解決方法を考えたりしました。ちょっとしたことでも相談できる人がすぐ側にいてくれるのは心強かったです。

作業環境が整っているのもとてもよかったです。作業するための場所が確保されていて、モニターも用意されている。そこで作業しているからこそできるクリエイティブな会話もあって、良い刺激になりました。

ただ気をつけたいのは、家に引きこもらないようにすることですかね(笑) 特に海外で生活していると、日本語で話せる環境が恋しくなります。 Frog Houseにいる人は日本人かつクリエイターなので、話せることが山程あるんですよ。そうなると外で英語を使ってコミュニケーションをとるのが億劫になりがちで。 私もなるべく外に用事を作って、出かけるように心がけていました。シェアハウスでの生活を楽しみつつも、現地の人とのコミュニケーション量は忘れないようにしたいところです。

ーー 海外に渡る事、海外で活動することによって、自身の中で最も変わった部分は何ですか?

一番変わったのは「失敗を恐れなくなったこと」です。もともと行動力がある性格ですが、失敗しそうだと思うものや、苦手だと思うものに関してはどうしても後回しにしがちで(苦笑) バンクーバーに来てからは「失敗するかもしれないけど、やらざるを得ない」という環境に身を置くことができ、自然と「結果は気にせず、とにかくやってみる」という姿勢が身につきました。 だから苦手意識があった英語に関しても、今は克服してきていて、積極的に使うようになりましたね。

クリエイターが集まるFrog Houseにて、パーティーに参加しているElleさん

クリエイターが集まるパーティーに参加しているElleさん

今後のこと

ーー これからの予定を教えてください。

まずは永住権を取りたいです。今の会社も好きですが、永住権が取れたら転職の幅も、自分がカナダでできることの幅もとても広がるので。そしてゆくゆくは自分の培った経験を活かして、デザイナーやデベロッパーの教育、コミュニティへの貢献に力を入れていきたいですね。最終的には、憧れだった世界的なCSSのカンファレンスに、今度は登壇者として参加できたら素敵だなと考えています!

ーー これから留学を考えている皆さんにメッセージをお願いします!

海外に出る目的を明確にしましょう。それが曖昧なまま海外に行ってしまうと、結局何も得られずに日本に帰ってくることになるかもしれません。

海外に出ることは、理想の自分に近づくために本当に必要なことですか?海外に出た後のステップはきちんと考えていますか?海外に出ることがただの憧れになってはいませんか?こうしたことは自分なりに整理して腹落ちさせた方が、皆さんにとってきっと納得のいく、良い留学にできると思います。


以上、いかがでしたでしょうか?

最近はFrog House入居者の方々が続々と就職し始めており、新たな道を歩みつつあります。やはりこういった海外就職が決まった方々からのお話や体験談は、自分のモチベーションを上げてくれるだけでなく、サポートする側としても心強く思えてなりません。

またElleさんのように学習期間が短かく、学校に通っていない方であっても、学び方一つで世界に通用するという事例が出てくることは、尚更自分たちにも可能性があるかもしれないと元気づけてくれる部分がありますね。

もちろん、専門学校や大学を経由して海外就職された方の方が人数としては多いので、そういった可能性も視野にいれつつ、自分にとってどういう道が最も適切なのか、自分自身とも相談しながら様々な可能性を検討してもらえればなと思っています!

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