「カナダでキャリアアップがしたい」は「永住権が欲しい」とほぼ同義となるケースが多い件について
Frogに寄せられるキャリア相談の中で、カウンセリング初期のタイミングで良く聞かれるワードとして「カナダでエンジニア(or デザイナー)としてキャリアアップがしたいのですが、永住権までは考えていません。」という物があります。
しかし、Frogの利用者のほとんどは、現地での就職を通じてキャリアアップを考えている結果として、永住権を目指す方向に進んでいます。
ここでは、なぜカナダでキャリアを積むことが、結果的に永住権を獲得することに繋がっているのかについて、Frog利用者の現状をお伝え出来ればと思います。
カナダを含む英語圏の大半は転職文化
まず、一般的にカナダ国内においてTech市場の皆様がどうキャリアを向上させるかといえば、大半は転職時です。
A社にて年収800万円で働いていている田中さん、B社から1000万円のオファーが来ました。
この場合、A社が1000万以上の提示と要求を飲まないのであれば、B社へ転職することになります。
というのが、転職時に一般的に行われる交渉であり、このタイミングでA社は田中さんの価値を再認識し、年収アップや待遇、働き方の改善など、あらゆる面を考慮し見直すことになります。
実際にFrogで調査した現地就職者達へのアンケートによると、Frogメンバーの日本での平均年収は450万前後、カナダ渡航後一社目で働いた際の年収は700万前後、そしてカナダで2社目以降、転職達成者の平均年収は1100万円前後と、当然といえば当然ですが転職後の方が大きな伸び率を示しています。
ここまでの結果を踏まえると『転職がキャリアアップにおいて非常に大きな意味がある』という点において、疑問を持つ方はいないのでは無いかと思われます。
では、永住権を望まない人というのはつまりどういったステータスの人でしょうか?そのほとんどはワーキングホリデーやLMIAと呼ばれる就労ビザステータスの方々となりますが、LMIAはそもそも雇用主を限定するワークパーミットであり転職が非常に難しい。ワーホリは期間がたったの1年しか無いため、そもそも交渉に応じてもらう実績が残せていないケースが多い。よって、結果としてカナダ国内でキャリアを伸ばし、十分な待遇を得て、転職プールに乗るために別に心から欲しいわけではないけれども永住権を獲得する、というケースがFrogのようなTechフィールドの技術者からは多く見られます。
転職が出来る人、というのはどんなビザステータスなのか
では実質的に転職に何の制限も無い人というのはどういうビザステータスか、それがつまり永住権というお話になります。
ワーホリやLMIA、Coopやポストグラデュエーションビザ(ポスグラ)など様々ありますが、まずワーホリに代表される1年などの短期就労ビザについては入社して数ヶ月で実績を残し、リファレンスもついて転職というのは考えづらいですね。ポスグラでさえ3年と、転職機会で言えば順当にいっても一度あるか無いかだと思いますし、そもそも就労可能期間が3年もあると、どこかのタイミングで申請可能な永住権カテゴリに該当する可能性が高いため、自然と永住権が視野に入っている方が多いと思います。
結局Tech人材にとって、最も難しいビザの壁は雇用先からの信頼を勝ち取る部分であり、自身のキャリアにおいて十分な実績と就労機会を得た人にとって永住権は便利な通過点として見ている方が多くなります。
よって、渡航時は『永住権は考えていません』と話していた大半の渡航者は、結果的にいつの間にか永住権を考えるというマインドになるという流れです。
加えて副次的要因として、永住権に対する認識の変化も挙げられるかもしれません。永住権はあくまで日本国籍のまま、カナダという国に永住しても良いという権利を指すのであって、永住を強制したりするものではありません。筆者自身、カナダ歴は15年を超えますが、全く永住の意思はもっておらず。今は年に数回日本へ帰国しつつ、いづれは日本定住を考える一人です。
雇う側のマインドを理解しよう
加えて雇う側の考えを理解しようとすることも非常に大切です。当然ですがたった1年だけ一緒に働きたいと考え、専門職であるTechフィールドの人材を雇うことを考える経営者は基本的にいません。
単に技術力を必要としているのであればDevShopやフリーランス契約で人材を見つけることも出来、わざわざ同じロケーションに腰を据えて共に働く必要もありません。
従って、基本的に外国人ステータスである上で現地企業に採用されるということは、技術力はもちろんのこと、自分という人材をその場に留めておくことにメリットを感じてもらう必要があります。その上で、どうすれば2年、3年、下手をすれば更に長く共に企業として目標を達成していけるのか、そういったことを考えられる人材と共に働きたいと思うので企業の常です。
自分都合で『1年だけ働かせてください、でもその後のことは全くわかりません。』というステータスで自社を訪れる外国人に、良い印象を受けるかと言われれば、よほど残って欲しい理由が提示出来ていない限り、NOであることは想像に難くないと思います。(レイオフなどの企業都合を除く)
雇う側が何を考えているかわからないといった状態の場合、Frogでは過去400名の現地就職者の事例を元にエンジニア、デザイナー職の場合に限りますが、一緒に考えることが出来ますので、いつでもご相談頂ければと思います。
よって、就業先企業で実績を出し、自身が貢献出来る範囲や役割などをしっかりと意識すると「1年だけ働かせてください」とはなりづらく、結果的にLMIAや他の就労ビザなどで長期雇用されており、その実キャリアアップをすると転職が必要なことがわかってくるので、いつの間にか永住権を考えるようになった。という方が多くなる現状に行き着くわけです。
また言いにくい話ですが、いつまで経っても就労期間が限定されるビザしかもっていない場合、仮に現在の待遇に満足がいかなくても「待遇改善してくれないなら転職します」と言いづらい空気も作りやすいのは事実です。雇用主側としても辞められる可能性が低い人材に対し、辞められないよう改善していくという、ある種の危機感をもって接することが出来るかと言われれば、何かしらのメンタルバリアが働いてしまうのは仕方ない部分もあるかと思われます。
州によって状況は異なる
カナダは州立国家であることから州によって永住権への道筋も変わってきます。この辺りは以前各州ノミネーションカテゴリの違いなどでも解説していますので、滞在先の州が外国人を必要としているのか、どう考えているのかなども多いに検討する必要がありますね。
永住権を前提にした渡航計画と、短期就労の渡航計画は違う
さて、ここまでで結果的に永住権を取得する結果になっているという話をした上で、皆様の渡航計画はどうなっているでしょうか?
当然日本に居る時点で出来ることも、永住権獲得を狙うとすれば話が変わってくることが多くなります。どういった永住権カテゴリが存在するのか、そこまでどいった就労ビザカテゴリで到達するつもりなのか、必要な最低年収はいくらになるのか、永住権は年齢によっても取得難易度が変わってきます。
そういった様々な可能性を模索し、キャリアに繋げる海外就職をFrogでは応援しています。
またFrogでは毎週金曜日、海外就職説明会からの個別相談の流れで、皆様の状況に合わせた提案を行っています。気になる方はまずはご参加頂ければ幸いです。
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