未経験からエンジニアとして就職し、PRを獲得したYumiさんが乗り越えた数々の逆境
今回は業界未経験からカナダに渡航し、CICCCを卒業後エンジニアとして就職。現在は、永住権を獲得されたYumiさんにお話を伺いました。すでにカナダ生活も5年目を迎えています。一見すると華やかで順調なキャリアに見えますが、その裏にはYumiさんが乗り越えてきた数々の壁がありました。
実はYumiさんはワーホリもポスグラも使うことができないという立場で渡航され、永住権まで取得しているという前例の少ない道のりを辿ってきました。
海外留学の体験記には煌びやかな成功体験が記載されていますが、今回Yumiさんはその裏に隠されたそこに辿り着くまでの‘リアル’をたくさん語っていただきました。
今回のインタビューはFrogのHidetoと、現在CICCCでエンジニアを目指して勉強中のYutoでお送りしております。
※カナダではWeb系エンジニアとしてDeveloper(デベロッパー)という言葉が使われることが多いのですが、本記事内では日本語でよく使われる”エンジニア”で表記しています。
Hideto: ようやくインタビューすることができましたね〜。(1年前から計画していた)カナダに来た時を思い出してもらって、カナダに来られた経緯を教えてもらってもいいですか?
Yumiさん(以下敬称略): 高校卒業後にトロントのカレッジで、当初フライトアテンダントに興味があったことからホスピタリティのコースを専攻していました。その後震災をきっかけに日本へ帰国し商社で営業事務をしていました。
Hideto: なるほど。一度カナダに来られて挑戦されていたんですね。その時からカナダで働きたいと思っていたんですか?
Yumi: 働きたいという気持ちはあったのですが、一度帰国することになりました。日本で働いていた時にキャリアチェンジを考えていたのですが、具体的なイメージを持っていませんでした。当時はエンジニア以外の職業も、色々と考えていました。ただ、決意しきれていなかったので「まずはワーホリを使って永住権の取りやすいWhitehorse(カナダ北部の街)へ行き、永住権取得後に学生になろう」というプランを立てました。
Hideto: えぇ〜、それは初耳だ!
Yumi: 永住権を取得すると学費も安くなることを知っていたので、ワーホリ期間中に本当にディベロッパーを目指すか自分で勉強しながら考える予定でした。それに伴い、防寒グッズを用意したりもしていました。
Hideto、 Yuto: 準備万端だったんですね!
Yumi: 迷いがあったこともあって、このプランが一番安全な気がしていました。バンクーバーで働く日本人のディベロッパーの記事を探していた頃、SennaさんのブログやFrogの存在を知りました。たくさんのアドバイスをいただいた上で最終的にWhitehorseも無しにして学校に行くことになりました。結局ワーホリは使うことなく座学中に有効期限が切れてしまいました。
Hideto: そういう流れだったんですね!ワーホリも取って、必要なものも購入してたのに全て変更したんですね。
Yumi: あれは本当に良くないなと思っていて、過去の自分にアドバイスできるとしたら「とりあえずすぐに相談して」と言いたいです。大体の人が学校のCoop期間+ワーホリの2年間で勝負するのに対し、私にはワーホリがありませんでした。それにポスグラもトロントにいた際に取得したのに使わなかったので”背水の陣“でした。とにかくCoopのあるカレッジを選び、Coop期間中に就職して、その会社から就労ビザのサポートをしてもらうしかなかったです。学生時代はとにかく上手くいくかいつも不安でした。
Hideto: まさかポスグラも過去に申請していたとは知りませんでした。ワーホリとポスグラ、一生に一度しか使えない2つの切り札を使えない状態だったんですね。
Yumi: 振り返ると私の留学生活って全くスムーズではありませんでした。今回インタビューを受けるにあたり、どんなことを話そうか考えていたのですが、未経験からの現地就活の難しさも伝えれたらと思います。
Yuto: もちろん将来の可能性をイメージできる成功体験も大切ですが、ネットにはあまり出てこない裏の努力や困難なども多くの人が知りたい情報なのかなと思います。
学校ではクラスメイトに助けてもらい学習方法を見出す
Hideto: 学校はCICCCのWMADでしたよね?どうでしたか?
Yumi: 授業は広く浅く学ぶスタイルでした。
Hideto: 当時はWebとMobileを両方学ぶ時代でしたっけ?
Yumi: はい。多分3ヶ月Webを学んだ後、残りはMobileを学びました。Java, JavaScript, Swift, C などブートキャンプみたいな感じでどんどん進みました。
Hideto: それだと、器用貧乏になりそうですよね。今は基本的には、どちらか一つを学ぶようになっています。
Yuto: 今も先生によってはWebとMobileを両方学んでいる人もいるって聞きました。(もうすぐ座学期間が終わる在校生)
Yumi: 留学前学校が始まるまでにHTML、CSS、JavaScriptのオンラインのコースとJavaの日本語の本を終わらしてから授業に臨みましたが着いていくのが精一杯でした。どこまで理解しているのかわからなくて、寝れない生活が続いてしまっていました。朝8時からのクラスだったので、「勉強していて眠るタイミングを失う」みたいな。
Hideto: それは忙しすぎたからですか?それとも精神面で負担が大きかったのですか?
Yumi: 授業がどんどん進んでいくのが不安で、次の日に朝になっていることもありました。まるで出口の見えないトンネルを歩いているような感覚でした。3ヶ月くらい経った時に思い切って数週間休学しました。当時は自分自身にプログラミングが向いているのかが疑問になっていてUI/UXデザインのコース見学に行ったり、コース変更も真剣に考えました。結局、コースは変えずにタイミング的に入れた夜のクラスに途中から入れてもらいました。
Hideto: 夜クラスに移ってからは楽になりましたか?
Yumi: 出される課題などは厳しい先生だったのですが、クラスメイトに助けられました。本当に運が良かったなと思っています。毎日私よりもできる人や経験者と勉強を一緒にさせてもらいました。
Hideto: 僕の時もそうでしたけど、クラスメイトから学ぶことって沢山ありますよね。未経験から就職した人は口を揃えてそう言います。
Yumi: 自分一人で学んでいくのは難しかったです。聞きたい時に聞ける人がいる安心感に助けられました。
Hideto: それが学校へ通う大きなメリットですよね。よく未経験者や初心者から「オンラインの教材が充実しているのに学校に通う必要はあるんですか?」と聞かれます。でも一人で道をきり開ける人ってかなり稀だと思います。モチベーションも続かないだろうし。
Yumi: お世話になった人は本当に沢山いて、感謝でいっぱいです。中でもクラスメイトにandroid ディベロッパーのKentoがいて、とても助けられました。自分のことをよくお節介だからと言っていたのですが、本当に面倒見がよくて、皆のことを最後まで気にかけてくれていました。
Hideto: あの人と同じ代だったんですね。(Kentoさんのインタビュー記事)
Yumi: 授業で学べることって限られていて、私の場合はKentoや周りの人がくれたアドバイスを元に学習を進めていきました。クラスの雰囲気も良くて、専用のSlackチャンネルがあり、クラスメイト同士で疑問点を質問し合ったり、”初心者がどうやって勉強していけばいいか”という記事が共有されていたりされていました。
Hideto: それいいですね!やはり経験者と良好な関係を築くことはとても大切ということですね。クラスで一致団結していく感じがあると救われますよね。
Yumi: プログラミングって、例えば本を何冊か理解して暗記するみたいなものではないから、私はよく”どこから何を勉強し始めればいいのか”で悩んでいました。なんだかわからないことだらけな気がして…そこをできる人からアドバイスをもらうことができて、学習の仕方が大分変わりました。
Hideto: 初心者からすると広い海原に一人でいて、どの方向に潜ればいいのか分からない迷子のような状態ですよね。それに奥が深いので全ての理解を追求し始めるとキリが無いですしね。その線引きを経験者からアドバイスが貰えると嬉しいですよね。
Yumi: わからなくて検索した記事に書いてある説明に、またわからないことが書いてあったり、それを調べているうちに、いつの間にか元の質問に戻ってきているというような感じですね。それがしかも英語なので時間も気力もいりますよね。
Yuto: まさに無限ループですよね。
Yumi: 全てを一度に理解することはできないと悟ったので「今わからなくても、いつかわかるだろう」という考えに至り、周りの人に聞きながら重要なポイントを抑えるようにしました。学校外ではUdemy等のオンラインコースにも並行して取り組んでいました。
Hideto: なるほどなるほど。もし、その当時のご自身に何かアドバイスをできるとしたらどのようにアドバイスしますか?「深く潜りすぎずに、割り切って取捨選択をしたほうがいい」とかですか?
Yumi: わからなくてもあそこまで落ち込む必要はなくて、いつかわかる時が来る。点と点が繋がって一つの線になるような。全部理解することは一回諦めてと(笑)一つ一つ理解しないと気が済まないし、落ち込んでは不安になる性格だったのですが、それはよくなかったと思います。今も定期的に落ち込みますが笑
在学中に現地のスタートアップにてボランティアを始める
Yumi: 学校の座学期間が終わる3ヶ月前に現地のスタートアップにてモバイルアプリ開発のボランティアに参加しました。
Hideto: なるほど。それはどうやって見つけたんですか?
Yumi: いつも一緒に勉強していた友人が先に始めていて、紹介してもらいました。技術スタックはReact Nativeだったのですが、学校では習っていなかったので1週間の勉強期間をいただいた後に参加しました。朝の9時から夕方の5時半までコミットしていました。その後、6時から10時まで学校の授業を受け、課題やプロジェクトをこなす生活をしていました。この時くらいから少し自信がついてきました。
Hideto: マジだ(笑)ボランティアやアルバイトで実務経験が積めるのなら学校に行きながらでもやった方がいいですよね。それにしても朝から夕方までボランティアに参加して、そこから夜まで学校の授業や課題をこなすってかなりタフですよね。
Yuto: それって毎日ですか、、、?ボランティアって週当たりの参加時間って10~15時間くらいってよく聞きます。
Yumi: 週5日フルタイムでした(笑)未経験だったので経歴をつけることができるのであれば、気になりませんでした。
Yuto: 僕も同じ立場だったら、間違いなく参加していました。
Hideto: カナダ国内でも業務経験やIT業界の実務経験を掴めると、自己学習にもかなりの違いが出てきますよね。
Yumi: そのボランティアでチームとしてプロジェクトを進めてくプロセスやタスク管理を学んだり、シニアの方から色々なアドバイスをもらうことができました。
Hideto: なるほど。ボランティアとはいえ、そこに飛び込むのもかなり勇気が要りますよね。
Yumi: めちゃくちゃ怖かったです。知らない事ばかりだったので、参加しながら学んでいきました。
Hideto: よく見られるケースとして”ポートフォリオやプロジェクトが完璧に出来上がってから”や”GitHubをまとめてから”企業に応募するケースがありますが、それをしていると一生スタートできないですよね。
Yumi: そうなんですよね。でもその気持ちもとても共感してしまうな〜(笑)
Hideto: 特に未経験や初心者の方は”当たって砕けろ”の精神でいった方がいいですよね。
Yumi: 私はワーホリもなく、バックアッププランが無かったのでその精神でした。
モバイルからWebに転身し見事に就職
Hideto: 就職活動に対してはどのように臨みましたか?
Yumi: 前述の通り、朝から夕方までボランティア、夕方から夜まで学校があったのでレジュメやポートフォリオを作り込む時間がありませんでした。就職の準備を開始することができたのは座学期間が終了後でした。個人開発の一環として一緒にボランティアをしていた子とReact Nativeでアンドロイド向けのアプリを作りリリースしました。
Hideto: なるほど、ポートフォリオはどうされましたか?
Yumi: これ、参考になるかわからないんですけど、とにかく時間が無かったのでBootstrapのフリーテンプレートを自分好みの内容にデザインしてポートフォリオとして使用していました。
Hideto: “載せる中身を重視した“ということですね。
Yumi: アプリ開発も座学の後始めたので手が回りませんでした。当時はモバイルアプリのエンジニアとして就職活動をしていたので、ポートフォリオサイトの完成度は後回しにしていました。レジュメも似たような戦略で、元々あるテンプレートのデザインをポートフォリオサイトに合わせたり、見やすく変えて使用しました。ただその中でもGitHubはREADMEにデモ動画や説明をしっかりと記載したり、小さなコミットを毎日欠かさず繰り返して色がつくようにしました。
Hideto: ポートフォリオやレジュメに関しては既存のものを応用し制作にかかる時間を節約、記載する内容やREADMEに時間を費やしたということですね。
Yumi: そうです、一度終わらすことを心がけていました。後で何度も修正していけばいいし、精神的にも一旦終わらすと不安が減ります。
一人で就活していると期限もないし終わりが見えなくなるので、これもkentoのアイディアになってしまうのですが、一緒にアプリを作った子と三人で Trelloに就活のやるべきタスクをまとめて期限を決めたりお互い進歩状況をチェックし合う様にしたのも良かったです。
その他にもミートアップには積極的に参加するようにしていて、一人でいくことを心がけていました。
Hideto: なるほど。それはなぜですか?
Yumi: 誰かと行くと、最後までその子と話して一緒にいて終わってしまうこともあるし、一人でいると誰かしらが話しかけてくれるんです。最初は苦手だったのですが、だんだん慣れていきました。
Hideto: 振り返ってみて、ミートアップへの参加は役に立ちましたか?
Yumi: 未経験だったので就職に繋がるかと言われると、首を縦に降りづらいですが、レジュメやポートフォリオを親身にチェックしてくれたり、勉強会に参加させてくれたりと行って良かったと思います。
Hideto: 僕個人的にミートアップにいくと自己紹介をする機会が増えるので、英語で喋るという意味では面接対策にもなると思うんですけどYumiさんはどうでしたか?
Yumi: 自己紹介をする機会はたくさんありました。例えば「モバイルアプリエンジニアを目指していること、最近リリースしたアプリについて」など喋っていくいにテンプレ化することができて、面接でも活かすことができました。ただ、当初はモバイルアプリエンジニアの求人に応募していたんですけど、まるで手応えがなくて、、、。そもそも求人数が少なかったり、ジュニアの枠がなかったりと行き詰まっていました。そんな時にHidetoさんに相談に乗ってもらいました。
Hideto: あぁ、あの時か!!
Yumi: あの時は本当に焦っていて、co-opの期限も迫ってきて、日本帰国も考えていました。その時にHidetoさんにレジュメとポートフォリオの改善点をとても丁寧にしていただいて、相談した上でモバイルからWEB希望に転身する決意がつきました。背中をしっかりと押してもらったことを鮮明に覚えています。
Hideto: めっちゃ褒めてくれた(笑)そこからどのように戦略を変えましたか?
Yumi: それまではモバイルアプリにこだわりすぎていたので、そのこだわりを捨ててReact Developerとしてレジュメやポートフォリオを直して再び企業に応募をしました。ミートアップでもReactでフロントエンドのポジションを探していることをアピールしていました。UdemyでもReactのコースを勉強していました。
Hideto: なるほど。完全な方針転換ですね。
Yumi: そのあたりでボランティアで出会った人の紹介で面接してもらった会社もあったのですが、期待通りの結果になりませんでした。エンジニアの人達からは良い印象を持ってもらえたみたいだったんですけど、CEOの人とは面接することができなくて…。その後は一つ一つに気持ちを込めすぎず、淡々と応募していました。
Hideto: 流石に応募する全ての企業に何時間も使ってレジュメやカバーレターを書いていると時間が足りないですもね。
Yumi: ある日、応募した会社の社長のLinkedInを覗いたら、社長からメッセージが来て翌日に面接することになりました。面接はコーディングインタビューはなく、フロントエンドの質問や、今まで学んできたこと、やリリースしたアプリの説明を話した結果、採用してもらえることになりました。
Hideto: すごいですね!それはいきなり社長と面接したんですか?
Yumi: いえ、初めはCTOとシニアのエンジニアの方との面接でした。その後、同じ日にフロントエンドのチームの人と面接をし、その後に社長と一気に面接がありました。
Hideto: 1日で全ての選考フローをやり遂げたということですね。
Yumi: はい。それが今の会社です。今は電話面接やコーディングテスト、テクニカルインタビューをしてます。
Hideto: 面白い会社ですね!当時は会社の制度も十分に整っていなかったかもしれませんね。
Yumi: スタートアップだったことと私が学生だったこともあると思います。後で採用した理由を聞いたら「この子は経験はないけど、話していて学ぶ力があると思ったから」と言われました。ディベロッパーのco-opでの採用は私だけだと思います。
Hideto: 喋って空気感や雰囲気が伝わったんでしょうね。しっかりとカルチャーフィットするだろうって。これ、かなり大事ですよね。特に未経験や初心者って会社もサポートしなければと思いながら採用するので”教えたい人“や”サポートすれば本気でやってくれる人“じゃないと踏み出せないですしね。ちなみにその会社に決まるまでは何件くらい応募しましたか?
Yumi: しっかりとカウントしていませんがモバイルも含めると50社以上100社未満だったと思います。その中で電話面接は3件くらいでした。「Reactの個人開発プロジェクトを何か作らないと」と思っていた矢先に今の会社からオファーを貰えたのは幸運でした。
Hideto: Webに転身した際もReactの知識は十分にないまま応募していったってことですよね?やっぱり”完璧ではなくてもまずは応募してみないと扉は開かれない“ということですね。
職場環境について
Hideto: 職場環境について差付かえない範囲で教えていただけますか?
Yumi: はい。ブロックチェーンを使った株取引や仮想通貨の購入システムを開発していて、私はWebアプリのフロントエンドを担当しています。
Hideto: お!最先端の分野ですね!雰囲気はどうですか?
Yumi: 残業が多い時期もありますが、チームの雰囲気はとても良いです。CTOと面談が月一であり、そこで業務での心配事を共有することができたり、リモートワークなのも気に入っています。入社当初はReactを使った開発経験が無かったのでついていくのに必死でしたが今は慣れてきました。
Hideto: 働き始めてからもすごい努力ですね。入ってからも勉強を怠ると足元をすくわれかねないですしね。
Yumi: 1年くらいは週末も休むことなく勉強していました。メンターになってくれた人がいて沢山勉強をみてもらいました。振り返って見ると、本当に楽しむ余裕が無かったです。
Hideto: 他の人の成功体験も表には出にくい裏での努力の積み重ねの結果ともいえますよね。ちなみに今は何年くらい働かれていますか?
Yumi: 3年半経ちました。
Hideto: もうそんなに経つんですか!時の流れはあっという間だな〜!それだけ長く働いてきて、日本との違いを感じることは多々ありましたか?
Yumi:仕事に対して謙遜せずにアピールをすることに初めは驚きました。自分が終わらせたタスクや意見に自信をもっているし、褒められたときも謙遜せずに堂々としていて、いいなと思います。これだけ会社に貢献しているよというポジティブなエネルギーがあるなと感じます。他にもよく感じるのは、みんな自分を大切にしているなと思います。
Hideto: ”自分を大切にしている”というのは例えばどんなところで感じますか?
Yumi: 例えばプライベートの時間を大切にして、しっかり有給もとるし、相手に合わせることを大切にしつつも自分の考えをいつも持っていたり。それが結果的にチーム全体を大切にすることに繋がっていていいなと感じます。
Hideto: 自分の権利は主張する分、他の人の権利も尊重するということですね。ある意味、日本とは逆の形でチームケミストリーを形成していますね。
Yumi: 休む時も迷惑をかけてごめんねっていう空気ではなくて、楽しんでくるねって会話なんですよね。日本の思いやりや謙遜する心から生まれる会話も、やっぱりいいな、素敵だなと思うし、カナダも違った良さがあるなと感じました。
Hideto: そこのバランスは大事ですよね。社内のコミュニケーションは英語だと思いますが、英語はどうですか?
Yumi: 日常会話に困る場面は少ないですが、会議になると辛いことはあります。ボランティアの頃もそうでしたが、今の会社でも日本人私一人なので、事前に喋ることを簡単にメモを作ったりして乗り切っています。
Hideto: なるほど。喋る内容を事前に精査するという意味でも大切なことですよね。
Yumi: 英語はまだ苦労しているので、英語の勉強はしっかりとすることをお勧めします。私は今回の留学では語学学校に行かなかったのですが、久しぶりの留学だったので英語やバンクーバーに慣れるという意味でも行ってもよかったのかなと思います。
ビザの申請で予想外の書類不備!一度は日本に帰国する
Hideto: ビザはCoop→LMIA(就労ビザを取得するための審査)→永住権という流れだったと思いますが、そのビザのことで少し詳細を教えてもらってもいいですか?
Yumi: はい。Coop期間が半年を過ぎようとしたときに社長と話してLMIAのサポートをお願いした結果、サポートしてもらえる流れになりました。
Hideto: おぉ!半年でそれは良い社長さんですね。交渉する度胸もさすがです!
Yumi: 応援してくれる方でよかったです。ただ、移民コンサルタントを使ったにも関わらず書類不備で落ちてしまいました。その間にビザが切れてしまったので一度、日本に帰国しました。帰っている間は会社から新しいポジションを用意してもらいリモートで働かせてもらいました。もう一度申請し、今度は無事にLMIAを通過し、就労ビザを取得することができました。
Hideto: 今思い返すと、良い思い出の一つかもしれないですけど、当時は気が気ではなかったのではないですか?
Yumi: とても焦りました。一度、審査に落ちているので再申請の際も不安でした。会社はもう一度申請料を払わなくてはいけないので感謝しています。
Hideto: 特にCoop期間の1年間だけで就労ビザ取得まで持っていくとなると、会社との信頼関係構築や働きながらもビザ関係のことで動き回ったりとかなりハードルが高かったのかなと思います。無事に就労ビザを取得し、その後に永住権に繋げていったということですね。
Yumi: エクスプレスエントリーを使って、永住権を申請してから運良く 3-4ヶ月くらいで取得することができました。これでやっと安心することができました。
日本から海外に出て変わったこと
Hideto: 日本から海外に出てYumiさんご自身も変わったと思うことはありますか?主張するようになったりだとか、自分自身を大切にするようになったりだとか。
Yumi: 日本にいた頃よりも、年齢を重ねたこともあると思いますが、更に自分と向き合う様になったと思います。よく忘れてしまうのですが、人生の主人公は自分であって、自分が自分の一番の親友になって寄り添いながら自分の選択を信じる。心配が多い性格なのは中々変わりませんが、なるべくハッピーで穏やかな毎日にしたいなって思っています。就職やPRのことで長い間余裕がなかったけど、やっとそんな風に考えれるようになってきた気がします笑
仕事だけでなく色々な場面で、コミュニケーションも大事にしています。日本では空気を読んだり、言わなくてもわかるというスキルが大切だったりしますが、カナダでは伝えるということが本当に重要視されるので学んでいかなくてはいけないなと実感しています。
Hideto: 大事ですよね。それに自分の考えを言わないと「何を考えているのか?」や「何も考えていないのではないか」と思われますからね。あとは”何も言わない=納得している“と判断されるのが北米文化ですしね。
Yumi: 意見が異なった時、少し緊張が走るというか、私はやっぱり同じ意見のほうが安心みたいな部分がまだあるけれど、会社では自分の意見に対して堂々としている人が本当に多くて、いろんな意見をどんどん出すことでチームとして最後いい決断ができたりするので大切なんだなと感じます。
Hideto: となると面接時にもそこはチェックされている可能性が高いですよね。”この人は自分の意見をしっかりと言える人なのか“どうかと。
Yumi: そうだと思います。ここでも自分を大切にするのに繋がってくるのですが、他の人にジャッジされないかなと恐れたりしないで、こう思う、こうしたいって気持ちも信じるみたいなマインドも大切にしています笑
Hideto: まずは自分を大切にしないと他人のことも大切にするのは難しいですからね。カナダの人ってメンタルウェルネスに気を遣っている人が多いですよね。
今後の展望
Hideto: 無事に永住権も取得したわけですが、今後の展望として何か考えていることはありますか?
Yumi: 将来的には、人生一度きりなのでいつかヨーロッパなど他の国でも少しだけ働いてみたいと漠然とですが考えています。
Hideto: 英語とWeb開発という2つの世界共通言語があれば他の国で働くと言うことも現実味を帯びてきますよね。
留学を考える人にアドバイス
Hideto: 最後にこれから留学する人にアドバイスするとしたらどんなアドバイスをしますか?
Yumi: 未経験からのエンジニアとしての海外就職は想像以上に辛かったので、日本で1年でも経験を積んで海外に来ることもありだなと思います。日本は新しい人を育てる環境がありますが、カナダではどうしても経験を問われる会社が多いのと、ワーホリがなかったりと時間が限られている人は日本で経験を積んでくると就活する時に気持ちが大分違うと思います。チャンスが来た時に掴む準備、タイミングや運にまで左右されて大変だなと感じるからです。
私は就活する時にも自分がどこを目指すのか揺れていたので、そうならない様にバックエンドなのかフロントなのか、モバイルアプリなのかなど色々チュートリアルをしながらでも、留学する前に何かを作ってみるのもお勧めしたいです。もっと勉強してからと思っていたけれど、すべてがわからない状態でもやってみると自分がどんなものを作りたいのかなど想像出来るようになるので..
一年間の座学で何がしたいかって決断するのは難しかったです。
Hideto: 英語も含めて、日本でできる限りの準備をした状態でカナダに来れると可能性が広がるということですね。
Yumi: できる準備は予めしておくに越したことはないですね。後は”一人で抱え込まずに早めに相談する“ことです。かつての私みたいにワーホリを使わず無駄にしてしまったり、チャンスを逃すことは悲しいので。
Hideto: 少しでも留学を考えているのであれば、早めに相談した方が良いですよね。
Yumi: 早めに話を聞いておくことをお勧めします。
Hideto: 渡航してからも孤立せずに友達と一緒に高め合いながら勉強したり、情報共有した方が絶対に良いですよね。
Yumi: そうですね、たまに”英語を伸ばすために日本人と関わらない”という人がいますが少しもったいないなと思います。海外にいると本当に助けられることが多かったです。
Hideto: バックグラウンドもビザの状況も似ているので分かり合える部分も多いですしね。相談することにも勇気が要りますけど、そこは躊躇わずにいってほしいですね。
Yumi: 後もう一つあって、私は30才になるタイミングで留学したのですが、当時は今から留学して海外でキャリアチェンジなんて大丈夫なのかと不安で迷いがありました。
けどカナダでは大人になってキャリアチェンジする人、学校に行き直す人が本当に多くて。なので同じように悩んでいる人がいたら全然大丈夫って背中を押したいです。あとは失敗を私もすごく恐れていたんですよね。自信がなかったので、留学することも数人にしか伝えれずに来たくらいです。けど今思うと失敗って何だろうって。やってみなきゃわからないことだらけですよね人生。どんな結果でも失敗って思うのも悲しいなって。なんでもやってみると良い気がします。
“遅いと思った時が一番早い時だ“って言葉良いですよね。
Hideto: “今が人生で一番若い時“みたいなね。
Yumi: 何かに迷った時はこの言葉を思い浮かべます。
Hideto: 今はわかりませんが、日本だと”転職は30~35歳まで”とか”年齢を重ねてからのキャリアチェンジは難しい”とかありますけど、カナダに来たら年齢は関係ないですしね。なので、年齢に囚われず勝負する時は勝負したほうが良いと言うことですね。
さて、いかがでしたでしょうか。
ビザの状況を含め数々の逆境を乗り越えてきたYumiさん。それも全て積極的に行動を起こしてからこそ、業界未経験からの現地就職を実現し永住権の取得まで達成しています。これらの奇跡は現在、未経験から現地就職を目指している私Yutoにとっても刺激をもらえるインタビューでした。
“遅いと思った時が一番早い時“や”迷っている時間があれば、すぐに相談しろ“という考え方は非常に重要です。過ぎた時間は取り戻せませんからね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!
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