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23歳で『今がベストタイミング』と考え挑戦、無事エンジニアとして海外就職を果たしたYukiさん

23歳で『今がベストタイミング』と考え挑戦、無事エンジニアとして海外就職を果たしたYukiさん

今回のインタビューでは、日本でのエンジニア経験を積んだ後、カナダへの留学と就職を決意し、現在はカルガリーのデジタルマーケティングエージェンシー、Freshwater Creativeでアプリ開発を担当されているYukiにお話を伺いました。彼がどのようにしてカナダへ渡り、どんな思いで現在のキャリアを歩んでいるのか、その背景に迫ります。

特に注目してほしいポイントは、「コントロールできる範囲にエネルギーを注ぐ」というYukiさんのアドバイスです。これは、留学や就職活動、さらには異国でのキャリア形成において非常に重要な視点です。また、日本の職場文化との違いをどう感じているのか、特にワークライフバランスやクライアントとの関係についても貴重な意見を聞くことができます。

Yukiのインタビューは、カナダでのエンジニアとして成功を収めたいと考える方々にとって、役立つ情報や励みになることでしょう。どんな壁を乗り越え、どうやって自分のキャリアを切り開いてきたのか、ぜひ最後までお読みください。


Senna: 早速ですが、Frogに相談頂いた当時のデータを確認すると、最終学歴が高校卒業になっていますね。最初にご相談をいただいたのが2023年2月10日ですが、もしかしてこの時って23歳でしたか?

Yuki: はい、そうです。

Senna: もしかしたら、ここ数年のFrog利用者で一番若い方かもしれませんね(笑)

Yuki: 本当ですか?

Senna: すごいですね。Frogへの問い合わせって大抵は『もっと日本でこういう経験積んでから行きたい』ってなって大抵来ないので、時期尚早と思わなかったのか、なぜその若さで挑戦するに至ったかはかなり気になります。それでは本日は、よろしくお願いします。

Yuki: はい、よろしくお願いします。

Frogへの連絡

Senna: では、改めてになりますが、最初にご連絡いただいたのは2023年2月10日ですね。何かきっかけがあったのでしょうか? 例えばFrogの説明会に参加したことがあったとか?

Yuki: いえ、全くなかったですね。ただ、海外就職を考え始めた時期で、ちょうどその頃仕事を辞めようと決めていました。転職活動も始めていたのですが、国内の求人ではあまりワクワクするものがなくて…

Senna: なるほど、それで海外就職を調べていたと。

Yuki: はい。色々検索している中でFrogを見つけました。特に、Sennaさんが出ている動画を見て、すごく印象に残ったんです。

Senna: えっ、僕ですか?どんな感じで?

Yuki: Sennaさんがすごくフランクで、自然体な感じがして。「こういう状況だから、今こうだよ」みたいに話しているのを見て、すごく誠実で嘘をついてなさそうに感じたんですよね。

Senna: えっ、本当ですか? それは嬉しいですね。ネット上では、よく怖い人に見られることが多いんですが(笑)

Yuki: いやいや、全然そんなことはなくて。正直、Frog以外には連絡もしていませんでした。

Senna: それはすごいですね。人を見る目がありますね!(笑)

Yuki: 本当にそう思います(笑)

Senna: では、特に説明会などを通じてではなく、自分で検索してFrogを見つけ、動画を見て興味を持って連絡をくれたということですね。

Yuki: はい、そうです。

日本での経歴

Senna: それにしても、LinkedInのプロフィールを拝見すると、かなりしっかり経歴が書かれている印象があります。23歳でこの経歴は珍しいなと思ったのですが、大学には行かずにエンジニアをされていたんですか?

Yuki: はい、高校を卒業してから1年間浪人しました。でも第一志望には受からず、「じゃあもうどこにも行かなくていいかな」と思って、一旦フリーランスでWebサイトの開発を始めました。

Senna: その後、どうやって企業に入社されたんですか?

Yuki: フリーランスで仕事をしていた時に、一緒に仕事をした会社の社長に誘われて、その会社に入社しました。

Senna: なるほど。つまり、専門学校などにも行かず、完全に独学でエンジニアになったということですね。最近では珍しいですね。

Yuki: はい、そうかもしれないですね。

Senna: その会社さんで3年間ソフトウェアエンジニアとして勤務されていたということで、高校卒業後、独学で1年間フリーランスを経験し、その後3年間企業で働いたという流れですね?

Yuki: はい、その通りです。

Senna: すごいですね。ちなみに、なぜエンジニアになろうと思われたのでしょうか?

Yuki: そうですね、浪人時代が終わった後、そもそも大卒でもないので、ストレートに企業へ就職するのは難しいと考えていました。一方で、自分一人の力でも生きていけるようになりたいと思い、いくつか稼げる方法を試したんです。

Senna: なるほど。

Yuki: ライターや編集、デザインなどいろいろ挑戦しましたが、その中で一番苦しくなく、向いていると感じたのがプログラミングでした。

Senna: 面白いですね。実は僕も似たような経緯でエンジニアになったんですよ。

Yuki: 本当ですか?

Senna: はい。僕は日本で高校を卒業して、最初は印刷会社でオペレーターをしていました。でも、全然稼げなくて先が見えずエンジニアに転向したパターンです(笑)

Yuki: そうだったんですか。

Senna: Frogにも何人か学歴があまり高くない方はいらっしゃいますが、技術にどっぷり浸かる人って、実は学歴が高くないケースも多いんですよね。もちろん「学歴が低い=優秀」ではないですが、高卒や中卒でも実力で活躍している方がいるのはカナダの特徴ですね。では、いろいろな稼ぎ方を模索する中で、最終的にプログラミングにたどり着いたということですね?

Yuki: はい、そうです。

Senna: 挫折することはありませんでしたか?Webデザインなどフロントエンドの部分は、作ったものがすぐ見えるので楽しみやすいですが、プログラミングは難しく感じる人も多いですよね。
特に最初にJavaなどのコンパイル言語から入ると、難しくて面白くないと感じる人もいると思うのですが。

Yuki: 挫折はしませんでしたね。そもそもプログラミングを選んだ時点で、「これで生きていく」という覚悟がありましたし、あとは中学生の時に少し触れていた経験があったのも大きかったかもしれません。

中学生時代にハマったプログラミング

Senna: 中学生の時にプログラミングを?

Yuki: はい。マインクラフトってご存じですよね?

Senna: もちろんです。

Yuki: マインクラフトのMODを作りたくて、一時期Javaで遊んでいたんです。ただ、当時はそこまで深く学べませんでしたが。

Senna: どんなMODを作っていたんですか?

Yuki: 結局完成はしなかったのですが、超強力な武器を作ろうとしていました(笑)。

Senna: ほぼチートMODじゃないですか(笑)。

Yuki: はい(笑)。

Senna: マインクラフトをきっかけにプログラミングを始める人って、たまにネットで見かけますけど、実際にいるんですね。素晴らしい。僕もマインクラフトは世代なので、すごく共感します。

Yuki: 僕もめちゃくちゃハマっていました。

Senna: なるほど、そういう流れがあったんですね。では、実際に高校卒業後、1年間の浪人を経て、19歳頃からフリーランスとしてWeb制作を始めたということですね?

19歳で経験したフリーランス

Yuki: はい、そうです。

Senna: すごいですね。どうやってフリーランスで生計を立てていたんですか?

Yuki: 実家に住んでいたので、生活費の心配がなかったんです(笑)。

Senna: 最強の環境ですね(笑)。それは本当に大きいですよね。

Yuki: はい。

Senna: ありがとうございます。では、そこから企業でのキャリアへと進んでいったわけですね。東京の企業に入社されたと伺っていますが、その会社ではどのような仕事をされていたんですか?

Yuki: そうですね。3年2ヶ月ほど在籍していました。いわゆるスタートアップのような雰囲気でしたね。

Senna: 結構若い会社だったんですか?

Yuki: はい。会社としては一度拡大した後、縮小したタイミングで入社しました。

Senna: なるほど。社員数はどれくらいいたんですか?

Yuki: 僕が入社した時には、ほぼ社長しかいませんでした。

Senna: えっ、社長と二人だけですか?

Yuki: はい。もともとは30人くらいいたそうですが、縮小していき、最終的には僕と社長だけでした。

Senna: それはまた極端ですね(笑)。不安はありませんでしたか?

Yuki: 逆に最初から距離が近くてやりやすかったですね。あとプロジェクトごとの契約で一緒に働くフリーのエンジニアの方が固定で5,6人いて、その方たちから学ぶことが多かったので、特に不安ということはありませんでした。

海外就職を目指すきっかけ

Senna: 確かに、カレッジを通じてのビザ取得や、ワーキングホリデービザの利用など、いくつかの選択肢がありますよね。

Yuki: そうですね。ビザが大きな決め手になりました。

Senna: やはりそうですか。ちなみに、ヨーロッパなど他の選択肢は検討されなかったのですか?

Yuki: いえ、特に考えませんでした。やはり技術力の高さで考えると、まずアメリカが第一候補でしたし、その流れでカナダを選んだという感じです。

Senna: では、実際にカナダのビザが取得しやすいと分かった時点で、海外就職を目指そうと決意されたわけですね。ただ、日本国内にも技術レベルの高い企業はたくさんありますが、それでも海外を選んだ理由は何でしょうか?

Yuki: 昔から「人生は一度きりだから、違う文化の中で働く経験をしたい」と思っていました。知らない世界に飛び込まないのは、もったいない気がして。

Senna: すごくポジティブな理由ですね。

Yuki: 基本的に好奇心に振り回されながら生きているので(笑)。

Senna: なるほど。それ、すごくエンジニアらしい考え方ですね。技術を試すためにとりあえず実装してみるのと同じ感覚で、新しい環境に挑戦する。

Yuki: まさにそんな感じですね。

Senna: 素晴らしいですね。では、海外就職を目指そうと決めて、日本で3年の経験を積んでいるとはいえ、大学を出ていないことに対するプレッシャーや不安はありませんでしたか?

Yuki: ありましたね。日本は学歴社会と言われますが、アメリカもかなり学歴重視ですよね。MITやハーバード、UBCといった有名大学の出身者がたくさんいるので、高卒の自分は社会の風潮的に厳しいのではないかと思っていました。

Senna: 確かに。アメリカやカナダには、名門大学出身のエンジニアがたくさんいますよね。実際に働いてみて、高卒という点で何か不都合を感じたことはありましたか?

Yuki: いえ、特にありませんでした。気づいていないだけかもしれませんが(笑)

Senna: なるほど。結局のところ、職歴がすべてということですね。Frogでは就労の際に重要視されるのは、スキルと実務経験の比重が9割、学歴は1割くらいの感覚だと伝えています。

Yuki: はい。そう思います。

紙一重のスケジュール

Senna: では、日本での経験を積み、海外に行くことを決めた後、具体的な渡航スケジュールはどのように決めましたか?

Yuki: Frogに最初に連絡したのが2023年2月頃で、その時点で海外に行くことは決めていました。その後、6月に前職を退職し、7月末にカナダへ渡航しました。

Senna: なるほど。2023年7月といえば、ちょうど景気後退(リセッション)の時期ですね。

Yuki: はい、まさにそのタイミングでした。

Senna: その時期に就職活動の時期が重なったら、大変だったのではないですか?

Yuki: そうですね。正直、厳しかったと思います。

Senna: 当時は「リセッションだ」「レイオフされた」というニュースが多く、不安になる人も多かったと思いますが、その点についてはどう考えていましたか?

Yuki: 僕は「自分でコントロールできること」と「できないこと」を分けて考えるタイプなので、景気の状況はあまり気にしませんでした。

Senna: おお、それは良い考え方ですね。

Yuki: 結局、景気がどうなるかなんて誰にも分からないので、考えても仕方がないと思っていました。

Senna: それ、もっと多くの人に伝えたいですね(笑)。自分もよくその話をしますが、なかなか伝わらないんですよね。とはいえ「いい時期に行きたい」っていう気持ちも分かりますが…。つまりYukiさんの場合は、自分でコントロールできない要素に対しては、意思決定に影響を与えないという考え方なんですね?

Yuki: はい。リセッションがどうとか、外的要因に振り回されるよりも、自分がやるべきことをやるほうが大事だと考えています。

Senna: 素晴らしいですね。そういう考えがあれば、環境に左右されずに今一番自分にとって大事な行動に集中できますね。

カレッジ選択とビザ取得

Senna: さて、渡航の意思決定についてですが、カレッジを利用するという選択肢も考えられていたと思いますが、どちらの学校に行かれましたか? CICCCでしたっけ?

Yuki: はい、CICCCです。

Senna: 最近CICCCに行く人が多いですね。やはり一番多く選ばれている学校だからでしょうか。

Yuki: そうですね。

Senna: 最初からカレッジを利用することは決めていたんですか?

Yuki: そうですね。ワーキングホリデービザを使うよりも、カレッジを経由したほうが就労の選択肢が広がるので、最初から考えていました。あと、すぐに仕事を探すのではなく、環境に慣れるために準備期間を設けたほうがいいと考えて、カレッジに行くことにしました。

Senna: 結果的には正解だったのではないですか?

Yuki: むちゃくちゃ正解でしたね。先ほども書きましたがリセッション時期に直接仕事を探していたら、かなり厳しかったと思うので、自分に最適な時期を選べたことは幸運でした。

Senna: なるほど。カレッジの期間は、英語や現地の環境に慣れるという意味でも大きな意味があったと。

Yuki: はい、本当にそう思います。

Senna: 実際、CICCCを選んだ理由は何かありますか? やはりCo-op(インターンシップ)制度があるからですか?

Yuki: そうですね。Co-opがあること、そして学費が安かったことが決め手でした。

Senna: なるほど。専攻はWeb関連ですか?

Yuki: はい、Webアプリケーションのコースを選びました。

Senna: バックエンドの経験もある中で、カレッジに通うことに抵抗はなかったですか?

Yuki: 少しはありました。でも、ビザのためにカレッジに行くことのメリットが大きいと考えていたので、特に迷いはなかったですね。

Senna: なるほど、ではその決断も割とテンプレ通りという感じですね。

Yuki: はい、そうですね。

カレッジの仲間達と

英語力の向上

Senna: ありがとうございます。では次のトピックに進みますが、海外に渡航するにあたって英語力が必要になりますよね。CICCCの入学要件として、当時はIELTS 6.5が必要だったと思うのですが、どのようにクリアされたんですか?

Yuki: 私はTOEICで入学しました。

Senna: あ、まだTOEICが入学基準として認められていた時期だったんですね。TOEICでは何点とられましたか?

Yuki: 865点です。

Senna: それはすごいですね!TOEIC対策はどのようにされましたか?

Yuki: ほぼ大学受験の勉強だけですね。

Senna: 大学受験の勉強だけでTOEIC865点って、なかなか取れるものではないですよね?

Yuki: TOEIC用の単語帳をやったり、テクニック集を一冊仕上げたりはしましたが、それ以外は受験勉強の延長でしたね。

Senna: もともと大学ではどの学科に行こうと思っていたんですか?

Yuki: 総合人間学部という学部を志望していました。

Senna: 総合人間学部?

Yuki: 理系・文系どちらからでも進める学部で、専攻を2つ取れるのが面白そうだったので選びました。

Senna: なるほど。結局、大学進学はせずにエンジニアの道に進まれたわけですね。

Yuki: はい。現役時代に滑り止めで受けた大学に2つ合格してはいたのですが、行きたいという気持ちにならず、浪人しました。

Senna: それもまた珍しいですね。普通は「滑り止めに受かったし、じゃあ行くか」となる人が多い気がしますが。

Yuki: そうですね。でも、自分の中で納得できなかったので、進学しませんでした。

Senna: 面白いですね。ありがとうございます。

学校生活と時間の使い方

Senna: では、学校生活や時間の使い方についても聞いていきたいと思います。2023年9月からカウントすると、最初の数カ月はどのように過ごされましたか?

Yuki: 最初の数カ月は、なるべく外に出て人と関わることを意識していました。

Senna: いわゆる「ソーシャライズ」を意識して?

Yuki: そうですね。特に日本人を避けるようにしていました。

Senna: 英語環境を作るため?

Yuki: はい。そのために、学校で開催されていた無料のスピーキングクラスには毎日参加していました。そこで友達もできたので、結構遊んでいましたね(笑)。

Senna: それは文化的な交流としてもいい経験ですね。

Yuki: そうですね。それと並行して、カナダに来て3カ月目くらいから、Frogメンバーの一人であるニックがチーム開発を始めてくれたんです。放課後はチーム開発に取り組みつつ、友達とも遊び、さらにバイトも始めました。

Senna: おお、バイトもされていたんですね。いつ頃から?

Yuki: だいたい2カ月目くらいからですね。就労可能になったタイミングで始めました。

Senna: どんなバイトでしたか?

Yuki: 抹茶カフェで働いていました。中国人オーナーが経営しているお店でした。

Senna: 辻利かなと思いましたが、違いましたか?

Yuki: 違いますね(笑)。

Senna: 抹茶カフェということは、抹茶ドリンクを作っていたんですか?

Yuki: はい、サーバーとしてドリンクを提供していました。

Senna: Frogの記事にも、カフェのバイトで英語力が伸びたという話をする人がいますが、それを参考にされたんですか?

Yuki: はい、それもあります。でも、それに加えて「今後バイトをすることはもうないだろうな」と思ったので、社会経験としてやってみたかったんです。

Senna: なるほど。実は僕も接客業をやってみたいんですよね(笑)。営業の経験はあるんですけど、それを接客と言っていいのか微妙で…。

Yuki: わかります(笑)。僕も接客業には興味がありました。昔からカフェに憧れがあったので、それを体験できてよかったです。

Senna: 英語力的にはどうでしたか? スターバックスとかだと英語が伸びるって聞きますが、抹茶カフェはどうでした?

Yuki: 英語力の向上という意味では、そこまで大きな効果はなかったですね。接客では決まったフレーズしか使わないので。

Senna: なるほど。でも、海外でカフェの仕事をするという経験は、貴重だったのでは?

Yuki: そうですね。働いていた店舗は小さくて、スタッフも6人しかいませんでした。しかも、そのうち7〜8割が日本人でした(笑)。

Senna: そんなに多かったんですね!

Yuki: はい(笑)。なので、英語を使う機会というよりは、純粋にカフェの仕事を楽しむためのバイトになっていましたね。

Senna: それはそれで、いい経験ですね。

Yuki: そうですね。結果的に、すごく楽しめました。

個人開発とチーム開発

Senna: なるほど。最初の2カ月はソーシャライズを意識しつつ、そこからバイトを始め、チーム開発にも関わるようになったという流れですね。

Yuki: はい。

Senna: では、そこから先はどうでしたか?

Yuki: そこからは、チーム開発が本格化しましたね。友達も固定のメンバーができて、遊ぶ頻度も増えました。

Senna: いいですね。ピチピチした留学生活って感じですね(笑)。

Yuki: そうですね(笑)。実は僕、日本の大学に行っていないので、「半分くらいは遊んでもいいかな」という気持ちでした。

Senna: わかる! キャンパスライフへの憧れ、めっちゃわかります(笑)。

Yuki: ですよね(笑)。

Senna: では、個人開発についてお聞きしたいと思います。Frogの中でも個人開発については賛否両論ありますよね。

Yuki: そうですね。

Senna: 良い面としては、モダンな開発環境を学ぶ機会になること。みんなで開発を進めながら、「最近のトレンドはこういうものなんだ」とキャッチアップできるのは大きなメリットですよね。

Yuki: めちゃくちゃ良いですね。

Senna: 一方で、就活という観点で考えると、やはり職歴の方が重要視されがちです。個人開発をレジュメに書いても、それがどれほど評価されるかは微妙なところがある。

Yuki: そうですね。技術的な成長という意味では大きなプラスでした。ただ、就活にどれほど役立ったのかは正直わかりません。

Senna: ですよね。Product Huntにプロダクトを出した人に就活で活きたか聞いても、「活きたのかもしれないし、活きてないのかもしれない…」みたいに言いますもんね(笑)。

Yuki: そうですね。

Senna: 実際に個人開発をやろうと思った理由としては、技術的なキャッチアップをしたかったから、というのが大きいんでしょうか?

Yuki: そうですね。

Senna: 今までは社長とマンツーマンで働いていたということなので、大きなチームでの開発経験を積みたかったというのもありますか?

Yuki: はい。それに加えて、個人開発がどれくらいキャリアに影響を与えるのか、その時点では全く分からなかったので、試してみる価値があると思いました。実際、僕たちの開発はしっかりしたチーム体制で進めたので、NPO的な団体を作って、全員がそこに所属する形でLinkedInにも登録しました。

Senna: なるほど。チームとしての活動を証明するために、団体を立ち上げるというのは非常にユニークですね。

Yuki: そうです。さらに、お互いにレコメンデーションを書き合って、LinkedInのプロフィールを強化しました。

Senna: それは良いですね。バンクーバーの中で、きちんとした開発プロジェクトをしているという形を取ったんですね。

Yuki: はい。レコメンデーションが4つくらいもらえました。

Senna: でもNPOって、企業側からすると「学生が立ち上げただけの団体かな?」と思われることもあるじゃないですか? それがFrogなら、すでに10年以上続いている現地企業なので、レジュメに載せる際の説得力が違う気がしますね。

Yuki: 確かに、Frogの名前で載せられるなら、レジュメの価値は上がりますね。

Senna: 面白いアイデアなので、今後考えてみたいと思います。さて、個人開発をチームで進めることで、職歴にもプラスになったとのことですが、実際に面接でその話題は出ましたか?

Yuki: いや、全く出ませんでした(笑)。

Senna: 本当ですか?

Yuki: はい。僕の場合、面接官からは職務経験の内容に関する質問しかされませんでした。

Senna: なるほど。採用担当者も「これは就職に直結するか?」と考えたのかもしれないですね。

Yuki: そう思います。

Senna: ありがとうございます。では、学校生活に戻りたいと思います。バイトや個人開発などを含め、かなり充実した1年間だったようですね。

Yuki: そうですね。

Senna: ただ、Frogを通じてカナダに来た方々のほとんどが、最終的には現地就職を目指していると思います。やはり就職活動のことは常に考えていたのではないでしょうか?

Yuki: そうですね。

これまでの就職活動と面接の内容

Senna: では、面接ではどんなことを聞かれましたか?

Yuki: 意外かもしれませんが、テクニカルなコーディングテストは一切ありませんでした。

Senna: えっ、そうなんですね?

Yuki: はい。一発目の面接は、ファウンダーとシニアエンジニアの方とオンラインで行いました。完全にビヘイビアル(行動面)の質問というわけでもなく、これまでの経験が現在の業務にどれくらいマッチするかを中心に話しました。軽く技術についても聞かれましたが、深掘りはされませんでした。

Senna: なるほど。それが1回目の面接ですね?

Yuki: はい。2回目の面接では、「できればアルバータのオフィスに来てほしい」と言われました。

Senna: え、アルバータにオフィスがあるんですか?

Yuki: はい。カルガリーにあります。

Senna: 珍しいですね!カナダのテック企業はバンクーバーやトロントに集中している印象があったので、ちょっと意外です。

Yuki: そうですね。ちなみに、「オンラインでもOK」と言われたんですが、せっかくなので実際に訪問することにしました。

Senna: それはいいですね!2回目の面接では、どんな内容でしたか?

Yuki: そこでは流石にテクニカルな質問もありましたが、特にデザイナーとの協業について詳しく聞かれましたね。

Senna: 例えば?

Yuki: 以前の職場では、どのようにデザイナーとやり取りしていたか、デザインの崩れや未完成部分があると気になるタイプかどうか、などを質問されました。

Senna: なるほど。デザイナーとの連携を重視している会社なんですね。

Yuki: そうですね。実際、デザインを細かくチェックして修正を加える機会が多いので、そこを気にしていたのかもしれません。

Senna: エージェンシーならではの視点ですね。技術面の質問はどうでしたか?

Yuki: 特に難しい技術的な質問はなく、「どの技術を使ったことがあるか」といった確認程度でしたね。

Senna: じゃあ、技術力よりも「自社の開発環境に馴染めるか」を重視していた感じですね?

Yuki: まさにそうだと思います。

現在の仕事内容と職場環境

Senna: 今の会社ではどんな技術スタックを使われているんですか?

Yuki: たまたまですが、今担当しているのはアプリ開発がメインで、バックエンドはLaravel、フロントエンドはNext.jsを使っています。

Senna: おお、それはいいですね!Laravelは日本でも経験がありますよね?

Yuki: そうですね。だから馴染みがあってやりやすいです。ただ、正直PHPを触りたいかと言われると微妙ですが(笑)。

Senna: まあまあ、とはいえPHPを扱えるエンジニアは減ってきているので、逆に強みになりますよね。

Yuki: そうですね。他にはWordPressも扱っています。

Senna: やっぱりCMS系の案件が多いんですね。

Yuki: そうですね。

Senna: Shopify系の案件はありますか?

Yuki: 今のところ特にないですね。

Senna: なるほど。完全にデザイン寄りのエージェンシーという感じですね。

Yuki: そうですね。

Senna: マーケティングエージェンシーとデジタルエージェンシーの分類って微妙ですよね。結局、クライアントの広告効果を最大化するのが目的だと思いますが、業務内容としては結構幅広いですよね。

Yuki: 本当に分類が難しいですね。

カナダでの生活と仕事

Senna: ちなみに、今はカルガリーにお住まいですか?

Yuki: はい、今はカルガリーに住んでいます。

Senna: そうなんですね!カルガリーにはFrogのメンバーもいるんですよ。

Yuki: そうなんですか?

Senna: カルガリーって日本人エンジニアが本当に少ないので、つながりを作るのは大事かもしれませんね。

Yuki: 確かに、アジア人自体がそもそも少ない気がします。

Senna: そうですよね。ちょっとインタビューの後で話すことになるかもしれませんが、アルバータ州のPNP(州推薦プログラム)が最近BC州のPNPと似ていると言われています。なので、永住権を狙いやすいかもしれないです。

Yuki: はい、その可能性はありますね。最近、BC州のPNPが厳しくなっているので、「アルバータPNPを狙おう」という話は聞いたことがあります。

Senna: なるほどですね。その話はまた後で掘り下げるとして、まずは就職活動の振り返りを続けましょうか。

Yuki: はい。

就職活動の振り返り

Senna: 就活の流れとしては、最初はマスアプライをしていたものの、うまくいかず、その後ターゲットを絞って応募するスタイルに変えたということでしたね。最終的に10社の書類選考を通過し、面接まで進んだのは3社。そのうち2社は最終段階まで行ったけど、タイミング的な理由やオファーの内容で辞退して、結果的に今のカルガリーの会社に決めたという流れですね?

Yuki: はい、そうです。

Senna: エージェンシーへの就職は、元々やりたかった仕事のど真ん中だった感じですか?

Yuki: いや、そういうわけではないですね。

Senna: そうなんですね?

Yuki: CMS系の開発にはあまり興味がないというか…。

Senna: 分かります(笑)。あまり楽しくはないですよね。

Yuki: 正直そうですね。

Senna: まあでも、今の担当業務がLaravelとNext.jsなら、やりがいもありますよね?

Yuki: はい、それは大きいですね。実際、面接でも「CMSはあまりやりたくないけど、バックエンドが好きだ」と正直に話しました。

Senna: なるほど。でも最初の海外就職としては、十分いいスタートですね。

Yuki: そうですね。

Senna: ありがとうございます!では、実際に働いてみての感想を教えてください。

Yuki: 一言で言うなら、「これがワークライフバランスか…!」ですね(笑)。

Senna: おお、来ましたね(笑)。

Yuki: カナダに来たばかりの頃はよく聞いていましたけど、実際に働いてみると本当に違いますね。

Senna: どんなところが違いますか?

Yuki: まず、会社の規模が小さいので、前職では結構ハードワークでした。でも今の会社では、みんな基本的に5時に退社するんですよ。

Senna: へえ、5時きっかりに?

Yuki: はい。5時ちょっと前にはみんな荷物をまとめ始めています(笑)。

Senna: 日本ではなかなか考えられないですね(笑)。エージェンシーと聞くと、日本の広告代理店のような激務を想像する人が多いですが、実際にはそこまで忙しくはないんですね?

Yuki: そうですね。クライアントワークなので忙しい時もあるとは思いますが、日本のような極端な忙しさはないですね。

Senna: 業態が同じでも、国が違うと働き方も全然違うというのは面白いですよね。

Yuki: 本当にそう思います。文化が違うと、仕事の進め方も変わるんだなと実感しています。

カナダへの留学・就職を目指す方へのアドバイス

Senna: なるほど。では、今後カナダへ留学・就職を目指す方々、もしくは過去の自分に向けて、何かアドバイスがあれば教えてください。

Yuki: そうですね…まず「お金はあればあるだけ良い」ということですね(笑)。

Senna: 間違いないですね(笑)。

Yuki: あとは、コントロールできないことで悩んで足踏みするよりも、コントロールできる範囲にエネルギーを注ぐことが大事だと思います。その方が振り返ったときに後悔しないはずです。

Senna: その通りですね。でも、頭ではわかっていても、心配する人はどうしても心配してしまいますよね。最低限、そういう心構えくらいはしておきたい物ですね。

Yuki: そうですね。

最後に伝えておきたいこと

Senna: ありがとうございます。それでは、最後に何か伝えておきたいことはありますか?

Yuki: そうですね…自分は典型的な「日本人を避けるタイプ」でした。

Senna: ああ、日本人とあまりつるまないようにしていたということですね?

Yuki: そうです。ニックの開発チーム以外ではほとんど日本語を話さないようにしていました。

Senna: それは良いですね。やはり、英語を話すことに対する抵抗がなくなるというのは大きなメリットですよね。

Yuki: そうですね。やってよかったと思います。

Senna: ありがとうございます。英語の学習や就職活動について、色々とお話を伺えて非常に参考になりました。

Yuki: こちらこそ、ありがとうございました。


今回のインタビューでは、若干23歳という若さで海外就職を目指し、独学でエンジニアとしてのキャリアを積んだYukiさんのストーリーをお届けしました。彼は高校卒業後に浪人し、その後フリーランスとしてWeb開発に取り組み、最終的には企業に入社してキャリアを積み、今やカナダのエージェンシーでエンジニアとして就労するに至りました。

特に印象的だったのは、彼が「自分一人でも生きていけるように」と考え、実際に複数の稼げる方法を試し、その中でプログラミングにたどり着いた点です。プログラミングに対して挫折せず、「これで生きていく」という覚悟を持ち続けたことが、彼の成功に繋がったのではないかと思います。

また、彼がカナダを選んだ理由も非常に興味深いものでした。アメリカではビザ取得の難しさを感じ、カナダを選ぶ決断をしたという点から、海外就職を考える際にビザの面からも現実的な選択肢を見極める重要性を再認識しましたね。

Yukiさんのように「自分の道を切り開く」ために行動する勇気を持つことは実はかなり難しいことです。特に、昨今の国際情勢を受けて海外就職を考えている方々にとっては毎年のように難易度が上がっていきます。そんな中で自分の可能性を信じ、行動を起こせば、必ず次のステップに進むことができるはずと信じて行動するのは非常に難しいことです。やらない理由は常に次から次へと湧いて出てくる物です。

ですが、自分自身のキャリアや人生に対して真摯に向き合い、Yukiさんのように「今がベストタイミング」と思えるような勇気を持って前進してほしいと思います!