助産師からSREへ — 未経験でBCITを経て、カナダの大手ファイナンス企業「Vancity」に就職したMisuzuさん
今回お話を伺ったのは、バンクーバーのVancityでジュニアSREとして働き始めたMisuzuさんです。日本では看護学を専攻し、助産師として3年間働いたあと、ワーキングホリデーでカナダへ渡りました。現地でパートナーと出会い永住権を取得し、未経験からBCITのCST(Computer Systems Technology)へ進学。2025年12月の卒業後、約半年の就活を経て、もともとシニア向けに開いていたSREのポジションへジュニアとして入社しています。
助産師からエンジニアへという大きな転身、BCITのコープで半数しか仕事が見つからない現実、月100件・合計700件を超える応募、そして「嘘はつかないけど、真実を100%伝える必要はない」というレジュメと面接の哲学。ジュニアSREという、あまり前例のない入り方まで。Podcast「海外キャリアログ」でのインタビューをお届けします。
助産師3年、ワーホリ、そしてコンピュータサイエンス
Ryo: まず簡単な経歴を教えていただいてもいいですか。大学ぐらいから。
Misuzu: 大学は日本の普通の大学に行ってたんですけど、その時は看護師というか助産師になりたかったので看護学専攻で4年間勉強して、助産師学校に行って、そのまま助産師として就職して3年間働きました。その後、辞めたいかもと思って辞める理由を探してて、「ワーキングホリデーで辞めます」って言ったらちょっと聞こえがいいんじゃないか、と気づいてしまい。ワーホリ目的でバンクーバーに渡航して、そのまま夫と出会って永住権が取れたので、何か新しいことしようかなって考えた時にコンピュータサイエンスがいいんじゃないかと。BCITのCSTに2年間通って、卒業後半年ぐらいでVancityにSREとして就職した、という感じです。
Senna: 助産師からコンピュータサイエンスって、前職と全然関係ないコースを選ぶ勇気がいると思うんですけど、どういうきっかけだったんですか。CSに行ったら勝ち組、みたいなのがあったのか。
Misuzu: 一番大きいきっかけは、夫がソフトウェアエンジニアをやっているところです。助産師自体は嫌いじゃなかったんですけど、夜勤が難しくて辞めた、というのがあって。こっちではライセンスはそのまま使えないので、実習をやり直したり、英語もかなり高いレベルを求められたりして、新しいことを学ぶ手間はあまり変わらない感じだったんですよね。ワーホリの時は移民会社で働いていたんですけど、給料も頭打ちで。夫は台湾人で、私も日本人なので、いつかアジアに帰るかもしれない。せっかく新しいことを学ぶなら、移住しても使えるスキルにしたい、と。それならコンピュータサイエンスは世界中どこでも使える知識だし、もともと数学が苦手じゃなかったというか理系だったので、一回受けてみるか、と準備して受かった感じです。
Ryo: 隣で見てて面白そうだな、みたいなのはあったんですか。
Misuzu: 全然興味持ってなかったです。「黒い画面見てるね」みたいな、毎日。VS Codeだったんですけど、今だったらわかります。
Senna: パートナーから止められなかったんですか。
Misuzu: パートナーは仕事も学ぶことも好きで、楽しめる感じなんですよね。「向いてるんじゃない」って言ってくれたので、Hello Worldから、stringとは、みたいなところを一緒に勉強して、「いけそうかも」って応募しました。

カナダを選んだ理由と、BCIT CST
Ryo: ワーホリで来るって決めた時、カナダ以外の選択肢はあったんですか。
Misuzu: 英語圏でワーホリに行ける国が、自分の中ではカナダかオーストラリアぐらいしかなかったんですよね。来る前に実力を知るためにTOEICを受けたんですけど、オーストラリア英語は聞き取れないかも、となって。カナダ英語は綺麗だと言われているし、西海岸なら日本も近いし、アジア人も多いし、じゃあバンクーバーにしよう、みたいな感じでした。イギリスは当時、抽選が厳しいという話で、いけないかもと思ったらリスクがあるな、と。
Ryo: 来た当時は、長くいようとは考えてなかったんですか。
Misuzu: はい。夜勤がない職に就きたくて、帰って転職できるようにリクルートに登録したり、職務経歴書の書き方も一から学びつつ準備して、本当に1年で帰る予定でした。残った一番の理由は、パートナーができたことです。
Senna: その時点で永住権は持っていましたか。BCITはPRの有無で学費がかなり違いますよね。
Misuzu: PR申請中にBCITへ応募して、取れるだろう、みたいな感じでした。学費は3倍違います。
Ryo: CSTって、具体的にはどういうコースなんですか。ハンズオンのプロジェクトをやっていく感じなのか、大学みたいに概念を学ぶ感じなのか。
Misuzu: 聞いている感じだと、UBCとかは概念的なものを学ぶそうですけど、BCITは本当に実践をとにかくやらせる、という感じで。タームが4つあるんですけど、1ターム目、まだコードが全然わからない時からプロジェクトというコースがあって、FigmaやFigJamを使って、1ターム全部かけて1個完成させる。かなりプロジェクト、プロジェクト、というコースでした。
Ryo: 「強制収容所」と言われるぐらい忙しいイメージもありますけど、Misuzuさん自身はどうでしたか。経験者も多いイメージですか。
Misuzu: 1ターム目は本当に忙しくて、月から金まで朝から5時半まで、土日もプロジェクトでゴリゴリ、という感じでした。だんだん緩くなっていった体感です。経験者はそうでもなくて、趣味でちょっとやってたぐらい。日本人は少なかったですね。大体アラサーぐらいの大卒で、バイオロジーとかやってきて仕事がちょっと、というのでCSをやりたいと戻ってきた人が多くて、みんな結構バチェラー保持者が多かったです。
英語と、いちばん辛かったビジネスコミュニケーション
Ryo: カナダに来る前のTOEICはどのくらいでしたか。
Misuzu: 2019年に受けて、790だった記憶があります。BCITの1年ぐらい前にIELTS Academicを受けて、オーバーオール6.5だったんですけど、6.5だとちょっと厳しいかも、と。7以上ないと厳しいと聞いていたので、BCITの英語コースをオンラインで受けて点数を上げました。ICEPじゃなくて、12週間ぐらいのライティングとリーディングのコースです。
Ryo: TOEIC790からIELTS 6.5はジャンプだと思うんですけど、具体的にはどういう勉強を。
Misuzu: ライティングとスピーキングが苦手だったので、ネイティブの先生と一対一で週1回対策してもらっていたのと、IELTSの練習プラットフォームで勉強したぐらいです。リスニングが一番高く出ていました。
Ryo: 実際に入ってからは、英語で苦しみはありましたか。
Misuzu: ありました。1ヶ月結構辛くて、何が辛かったかというと、コーディングの授業じゃなくてビジネスコミュニケーションがいちばん辛かったんですよ。英語の国語みたいな感じで、ネイティブと一番差が出るところではあったんですよね。置いてけぼりみたいな感じがあって、そこがちょっとしんどかったです。エッセイを書かされた記憶もあります。3年前なので忘れかけていますけど。
Misuzu: そこがCSに行ったきっかけの一つでもあって。転職しようと思っても、ネイティブスピーカーと同じようには喋れないと厳しいな、と気がついて。知識があればその分で勝てるかな、と思って、知識を学べるCSに行った、というのもあるんです。
コープはオプション、半数しか見つからない
Senna: BCITのCSTは、一昔前ドロップアウト率50%と言われていましたけど、Misuzuさんの時はどうでしたか。
Misuzu: いましたね。クラス25人いて、同期では4人ドロップアウトして。その4人は最初の1ターム目でドロップアウトしたので、その後はみんな一緒、という感じでした。入学は2023年の9月です。
Senna: リセッションど真ん中ですよね。不安は。
Misuzu: 結構不安でした。コープのプログラムに入っていたんですけど、コープのインタビューがなかなかうまくいかなくて。私だけじゃなくて、同じコホートの子も結構みんな苦戦していて、コープでこれなら正規就職大丈夫かな、という不安はありました。ちょうどAIも2022年ぐらいに出てきていたので、余計に大きかったです。
Senna: BCITのコープ期間はどのくらいですか。
Misuzu: 8ヶ月です。全員できるわけじゃなくて、プログラム全員200人のうち50人とかだったかな、と。結果的には、コネクションで友達にいい感じにしてもらってインターンの職を作ってもらって、4ヶ月働きました。本当は8ヶ月働けるんですけど、会社の加減で4ヶ月だけ働いて、あと4ヶ月は休学みたいな感じでした。
Ryo: 未経験だとレジュメの経験欄が書けないので、ポートフォリオを自分で作る必要があるイメージもあるんですけど、学校のプロジェクトだけで足りましたか。
Misuzu: インターンシップの時はターム2の間に就活しないといけなかったんですけど、ターム1が終わった時点で2個か3個ぐらいアカデミックプロジェクトがあって、PythonだったりJavaScriptだったり、言語もバラバラでいくつか書けるプロジェクトがあったので、わざわざ自分の時間でパーソナルプロジェクトをやらなければ、ということはなかったです。
Ryo: コープは有償なんですか。学校が先を用意する感じですか。
Misuzu: 有償で、時給でもらえる形でした。BCITにもeJobsという、学生向けにジョブを公開しているプラットフォームはあったんですけど、基本的には自分で探してくれ、という感じで。eJobsからでもLinkedInからでもいいけど、とにかく自分で職を探せ、と。50人コープの資格が持てたんですけど、結局半分ちょっとぐらいしか仕事を見つけられなかった気がします。ガバメント系が結構いて、BC Hydroとか、Government of Canadaもいたし、ICBCもいました。小さい会社も結構いて、コープで回っているようなところもありました。
Ryo: どのぐらい応募して、どのぐらい返事が来ましたか。
Misuzu: 3ヶ月半ぐらいやって、100ぐらいは出していると思います。インターンまたはコープ、と書いてあるものに応募していました。ジュニアや中級には出してないです。5月始まりに応募していたので、UBCの学生も5月からやりたい人が多いじゃないですか。募集はないことはなかったです。あれば何でも出す、みたいな感じで出しまくってました。
Misuzu: コープの面接は1ラウンドか2ラウンドぐらいで、ビヘイビアルちょっと、テクニカルちょっと、みたいなのをやって、テクニカルがあんまりマッチしなくて落ちて。もしかしたらこのままコープできないかも、と思っていたところに友人から声がかかって、「ポジションを探してるけど来る?」みたいな感じで入りました。BCITの友人ではなく、全然違うところの友達でした。友達がボスだったので、形式上だけ面接して、という感じです。
Senna: コープを満了できなかったらペナルティは。
Misuzu: BCITはコープがオプションみたいな感じだったので、半分以上の学生はなしです。上位50人ぐらいしかコープできません、という感じだったので。ペナルティはなかったんですけど、コープしない学生はプロジェクトをやる。コープの学生はプロジェクトの代わりに働く、どっちか、という感じです。
Ryo: その経験は、その後の就活に役立ちましたか。
Misuzu: Pythonが使える、ということで就職したんですけど、結局業務では全然コーディングできなかったんですよね。事務手伝いプラス、ほんのちょっとだけPythonを使いました、みたいな感じだったので、コープの経験が就活に役立ったかというと、ちょっとハテナ、という感じです。レジュメには、そのちょっとのコーディング経験をもう全部やったみたいな感じで書きました。嘘はついてないです。
クラウドを選び、AWS資格を取り、700件出した

Ryo: コープが終わって、そこからまた2タームあって就活、ですか。
Misuzu: そうです。2ターム終わって、2025年12月に卒業しました。コープの時にレジュメを作るじゃないですか。コープのコーディネーターの先生が、レイアウトから中身まで全部、1対1で面談してチェックしてくれました。先生自体はCST出身ではないんですけど、CITとCSTを対象に就活の手伝いをしている先生で、全てが適切だったかと言われるとちょっと怪しいんですけど、結構ヘルプフルなアドバイスはもらえました。本番の就活では、プロジェクトに2ターム目を追加したぐらいと、助産師の経歴を消した、ぐらいです。
Senna: 一発目からVancityみたいな、こっちでよく知られている金融の会社にジュニアで入るって、レジュメに何を書けば行けるんだろう、とずっと思ってたんですけど。響いた経験はありますか。
Misuzu: BCIT CSTは2年目にオプションを選ぶんですよね。データベースやります、AI・機械学習やります、とかあったんですけど、私はクラウドコンピューティングを選んだんです。どんな職でもクラウドの知識は求められるじゃないですか。学校だけだと「何を学んだの」となると思うので、AWSの資格を夏休みとかに取って、それは良かったのかなと思います。基本的には夫が見てくれていて、あとは一回ヤンマーさんにもお願いして見てもらいました。レジュメに対する哲学が夫と結構似ていて、すごいお世話になりました。
Ryo: 選べるコースは他に何がありましたか。ウェブの方が潰しが効くイメージもあるんですけど。
Misuzu: CSTはダウンタウンキャンパスとバーナビーキャンパスがあって、私はダウンタウンの方に行きたかったので、あんまりバーナビーのオプションを見てなかったんですよね。一番たぶん倍率が高かったです、クラウドコンピューティング。ウェブはもともとコースにあって、オプションとしてはなかったかな、という感じです。AIはありました。バーナビーではたぶんトップで人気だと思うんですけど、経験がなくてバチェラーもなかったらAIに行くのはちょっと厳しいんじゃないか、と。ディプロマで機械学習、はハードル高いんじゃないか、というのもありました。
Senna: 就活はどんなステップで。ジュニアのSREって、正直ピンとこなくて。
Misuzu: オプションでクラウドを勉強していて、資格もAWSのSolutions Architect Associateを取ったので、クラウド系に行くのは自然かな、と。DevOpsも一応応募したんですけど、これはダメ元で。ジョブディスクリプションに5年とか10年の経験が必要、と書いてあるところが多かったので。クラウド関連のジョブと、あとは普通にソフトウェアデベロッパー、フルスタックデベロッパー、という感じで絞って応募していました。Vancityの応募に限っては、特に年数は書いてなかったんですよね。インタビューが始まってから「これ本当はシニア向けなんだよね」って言われました。
Ryo: レジュメは職種ごとに変えていましたか。
Misuzu: コンテンツは変えずに、名前の下のタイトルをソフトウェアデベロッパーにするかクラウドエンジニアにするか、本当にその1行だけ変えています。未経験だから、書けることがないんです。書けること全部書いた、みたいなレジュメです。
Ryo: どのぐらい応募しましたか。日本の仕事も見ましたか。
Misuzu: 就活を始めたのが1月の中旬ぐらいで、Vancityのオファーを受け取ったのが7月の中旬です。1ヶ月たぶん100件ぐらいは応募していたので、700件、800件ぐらい。最初はカナダだけ応募したんですけど、途中から「いつ終わるんだろう」となって。パートナーがいるとしても、自分も稼ぎたいし経験も早く積みたい、というのがあって、4月か5月ぐらいから日本の就活も見てみるか、と。でも日本も経験者欲しいですよね。新卒で、しかも30を超えていて、それを取るリスクはなかなか厳しい。実際に日本のインタビューを受けたのも7月でした。海外にいて正規雇用ができない、時差もある、難しいです、と言われたこともあります。
Ryo: 7ヶ月、モチベーションはどう持うんですか。
Misuzu: 3月に結構大企業のインタビューがあって、それが終わった後に1回バーンアウトみたいになっちゃって。6月末ぐらいにもちょっとメンタルが落ちて、本当に泣きながらどうしよう、みたいな感じでした。乗り越えたのは、時間が解決した、としか言えないですね。帰る、というのは家族もいるしなかったので。テックのジョブに固執するか、ワーホリの子たちがやるようなサーバーとかでその場しのぎするか、どうしよう、というのはありましたけど、結局「この夏は頑張ろう」に落ち着いて、時間が経てば元に戻っていました。
Misuzu: インターンシップ、コープの経験がある子たちは卒業後2、3ヶ月とかで決まっている人もちらほらいて、経験がない子とか、大半はまだ就活しています。
Senna: 卒業して8ヶ月、9ヶ月経つわけでしょ。そういうもん、というのは知っておいた方がいいと思いますね。
シニア向けSREに、ジュニアで入るまで
Ryo: Vancityはどのプラットフォームで見つけましたか。
Misuzu: 見つけたのはたぶんLinkedInです。LinkedInかIndeedかGlassdoorを使ってどんどん応募していたので。応募自体はカンパニーのウェブサイトに飛んで、名前とかを記載するフォーム自体はあったのですが、ステータスについては聞かれなかったはずです。
Ryo: その後、どんなステップでしたか。
Misuzu: 応募して次の週とかに電話がかかってきて、「ハイアリングマネージャーが話したいって言ってるよ」と。1回目が、ハイアリングマネージャーより上のディレクターで、オンラインで15分ぐらい話して。最後にAny questions?って言われて、「次のステップってどんな感じ?」って聞いたら、「次のステップ、明後日にする?」みたいな感じで、軽めに決まって。次はインパーソンで、オフィスに行ってディレクターとハイアリングマネージャーと1時間半。その次にチームフィットみたいなのをやります、と言われて、一応3次までありました。本当はないかもしれない、取ってつけたようなあれだったんですけど。
Ryo: 1次はどういう質問を。
Misuzu: ステータスの質問もありましたし、クラウドの仕事なのでどういう知識があるか。VancityはAzureを使っているので、Azureの知識ありますか、あとHow can you help me?みたいな。なんでもあるぜ、とにかくやる気を見せた、という感じですね。6ヶ月やってきて、私の面接の回答は日本式だったというか、謙虚すぎたのかな、やる気が見えなかったのかな、と気づいて。Azureの経験はないですけど、AWSの資格もありますし、すぐにピックアップできます、みたいな感じでやる気を出したら、ディレクターが気に入ってくれて。「本当はシニアなんだけど、自分はシニアですかジュニアですか」って言われて、「もちろんジュニアですけど頑張ります」と。
Misuzu: 面接に呼ばれるとすら思ってなかったんですよね。あとで1対1で話す機会があったのでチラッと聞いたら、ポテンシャル、と言っていました。どこに感じたのかはわからないですけど、資格も見られていたと思います。
Senna: その受け答えの持っていき方が響いた感覚はありますか。
Misuzu: ヤンマーさんと夫の哲学が似てる、という話をしたと思うんですけど、そこが「嘘をつく必要はないけど、真実を100%そのまま伝える必要はないね」っていう。0を1にはしなくてもいいけど、3を7ぐらいに言ってもいいんじゃない。他のネイティブのカナディアンとか、自分を売るのが上手な人たちとコンピートしないといけないので、どうやって自分をいい商品に見せるか、を先月になってやっと気づいた、という。
Ryo: 2次はどんな面接でしたか。
Misuzu: 珍しいと思うんですけど、テクニカル一切なしで、人柄だけを知ろうとするような質問でした。印象的だったのは「怒ったことある?」みたいな。そんなたくさんはないけど、働いてる時に叱ったことはある、助産師時代にこういう経緯で後輩に指導しました、みたいな。あとはVancityが大切にしている三本柱があって、全部忘れちゃったんですけど、アカウンタビリティとコミュニケーションと、もう一個。あんたにとってどういう意味ですか、みたいな。コミュニケーションは、信頼を作る工程です、みたいなことを言ったと思います。テック的なインタビューはほぼなかったです。この後テクニカルがあるか聞いたら、「新卒だし、そんな経験もないのに聞いてもしょうがないからね」って言われて。
Ryo: 3次は。
Misuzu: 同じSREのチームメイト2人とオンラインで。コミュニケーションが取れるかを見てたと思うんですよね。趣味とかある、休みの日何してるの、みたいな。入ってから知ったんですけど、20年選手とかの人がいたんで、経歴のある人と話した、という感じです。正解がない質問だったので、すごい手応えがあったかと言われると難しいんですけど、雰囲気とかコミュニケーションスキルを見られているのもわかっていたので、あんまりポーズなしで、自分の言いたいこともスラスラ言えるようにしてたので、そういう意味ではうまくいったのかな、と。
Ryo: 面接の英語は大変でしたか。
Misuzu: ありましたね。自分の思いを面接で伝える、ができなくてCSTに入ったので、またこれ乗り越えないといけないのか、と。技術的なところも含めて話さないといけなかったので、練習は結構、夫ともしました。前日とかもモックインタビューみたいな感じで。Vancityではなかったですけど、テクニカルインタビューの想定で、喋りながらコードを説明する、何を考えているか説明する、みたいな練習は結構やりました。そしたら割と自分のことを聞かれる、想定外の質問がめっちゃ多かった、ということです。
Ryo: チームの他の人を見ていても、コミュニケーションに重きを置いている感じはしますか。もともとシニアのポジションは埋まったんですか。
Misuzu: マネージャーが、チームメイトで意見交換しながら一緒にタスクをこなしてほしい、コミュニケーションを取ってほしい、みたいなマネージャーで。なぜニューグラッドに採用されたかにつながると思うんですけど、結構シニアレベルの人ばっかりなんですよね。30年選手、20年選手みたいな人がボンボンいて、半分以上がそうなので、新たな視点でチームとかタスクを見てほしい、みたいなところもあって選ばれたのかな、と。そんな感じで言われました。
Misuzu: 最初、15分のディレクターとの面接でコントラクトに興味あるって言われて。一応シニアのポジションで応募していたので、当初の予定ではシニアをフルタイムで取って、コントラクトで私は様子見、バジェットの関係もあるから、そういう感じだったんだと思うんですけど、なくなりました。私だけになりました。
1ヶ月働いてみて、これから渡航する人へ
Senna: ジュニアのSREで入って、プレッシャーは。
Misuzu: ディレクターは、早く成長して早くチームを助けてほしい、みたいな感じなんですけど、マネージャーはゆっくりでいいからしっかり一つずつ着実に学んでいってほしい、みたいな感じで、ちょっと教育方針が違うんですけど。チームメイトも、初めてのPRを出した時も見守ってくれて「おめでとう」みたいな感じだったんで。1行の変更だったりするんですけど。結構好意的に、優しく教えてくださっているので、そんなにプレッシャーはないですね。ディレクターからぐらいは。
Ryo: 1ヶ月働いてみて、気持ちよく働けていますか。日本と比べて働き方の違いは。
Misuzu: まだシステムのこととかAzureのことも知らない部分がたくさんあると思うので、成長できそうかなと思っていて、しっかり働いて早く追いつけるようになりたい、という感じです。分野が違うのでいろいろ違うところはあるかなとは思うんですけど、休みやすいのは休みやすいんじゃないかなと思います。チームに20年、30年Vancityにいる人も多いので、働きやすいんだと思います。給料もそんなに悪くないと思うし、安定してるし、金融関係なので、家を買いたいとかでもモーゲージが若干安くなったりとか、あるかなと思います。レイオフとかもそんなになさそう、というのはありますね。
Ryo: これから渡航を考える人に、アドバイスがあれば。
Misuzu: やっぱり自分を信じつつ、自信を持って取り組む。あとは大変なんですけど、たくさん応募することで勝率を上げる、というのは私は結構キーだと思っているので。その辺に気をつけて頑張ってもらいたいかなと思います。
助産師として働いていたキャリアを一度置き、ワーホリの延長でカナダに残ったMisuzuさん。夜勤が理由で辞めた医療の現場から、夫の黒い画面を「向いてるんじゃない」と言われてHello Worldを書き、BCITのCSTで実践を積みました。コープは半数しか見つからず、正規の就活は700件を超える応募と、泣きながらどうしようと思った夜も含めて半年。その先で待っていたのは、シニア向けに開いていたSREの席を、ジュニアとして「ポテンシャル」で掴む、という入り方でした。
技術面接はほぼなく、人柄とコミュニケーションを見られた選考。Azureは未経験でも、AWSの資格と「すぐにピックアップできます」という出し方がディレクターに刺さった、と本人は振り返ります。嘘はつかない。でも3を7ぐらいに言って、自分を商品として見せる。ジュニアでこれから動く人にとって、時間はとにかくかかる、という前提とセットで、とても具体的なヒントになるインタビューでした。Misuzuさん、ありがとうございました。
このインタビューはPodcast「海外キャリアログ」でも配信しています。毎週月曜更新、Spotify・Apple Podcast・YouTubeなどでお聴きいただけます。ぜひ合わせてお楽しみください。


