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1年目からのネットワーキングと覚悟が鍵。UBCのビジネスからTELUSの新卒マーケになったYuさん

1年目からのネットワーキングと覚悟が鍵。UBCのビジネスからTELUSの新卒マーケになったYuさん

今回お話を伺ったのは、カナダの通信会社TELUSでマーケティングスペシャリストとして働くYuさんです。肩書きは、2年間の新卒プログラムを通してマーケティングスペシャリスト。いま所属しているのはプロダクトのチームで、やっている中身はプロダクトマネージャーに近い、と本人は言います。

生まれは西アフリカのコートジボワール。父の転勤で1年半ほどで日本に戻り、小学2年生から6年生までをトルコのイスタンブールで過ごして、そこで英語を始めました。中学は日本の私立。中3から高校卒業まではチュニジアで、国際バカロレアを取って残りました。高校3年に海外大学に興味を持ちUBCのSauder Business Schoolに出願してバンクーバーへ。大学3年の夏にTELUSのインターンを4ヶ月やり、4年生の秋にリターンオファー。2025年9月からフルタイムで、8ヶ月ずつ3回のローテーションをするMarketing Development Program(MDP)の2つ目のローテーションの最中です。

マーケティングの授業と、現場で追う数字の違い。ケース面接とマーケットサイジング。カバーレターは、TELUSでは読まれていたという話。新卒の年収は交渉なしで、カナダドルの70Kほど。そして「大学3年生までに現地企業のインターンが見つからなければ、現地での就活は諦める」と、自分で決めていた覚悟まで。Podcast「海外キャリアログ」でのインタビューをお届けします。

※本記事は2026年8月26日に収録したインタビューをもとにしています。勤務期間や採用状況などは収録当時のものです。

コートジボワールで生まれて、英語はイスタンブールで始めた

Ryo: 生まれたぐらいから、ふわっと経歴を教えてもらえますか。

Yu: 生まれはコートジボワールという西アフリカの国です。父の転勤で、1年半ぐらいで日本に戻りました。小学2年生までは日本で、2年生から初めて海外に出て、家族でトルコのイスタンブールに引っ越しました。そこでインターナショナルスクールに入って英語を学び始めて、小学6年生まで、4年半くらいいました。中学は日本に戻って、私立に行きました。中3のとき、また父の転勤が決まって。中学生活は楽しかったんですけど、母に「行きたいの、行きたくないの」と聞かれて、違う環境に行ってみたいと思って、行くと言いました。

Senna: 行かないと選んだ場合は、一人で残るんですか。

Yu: 父だけ単身赴任、という形だったと思います。トルコに行った経験もあって、新しい環境には慣れていました。トルコにいるあいだも、毎年夏休みは日本に戻って日本の学校に入っていたので、知らない人と会うのも、違う学校に行くのも、わりと普通だったんです。

Ryo: チュニジアには、どのくらいいたんですか。

Yu: 中3から高校卒業までです。最初は1、2年で帰るつもりでした。向こうで国際バカロレアに入って、卒業した方がいいと思って、そのまま残りました。

Senna: 国際バカロレアって、つまりどういうものですか。

Yu: スイス発のプログラムで、いろんな学校と提携して提供しています。フルだと、サイエンスやアーツなど6つの分野から科目を選ぶ。学業だけでは卒業できなくて、課外活動もやらないといけない。バランスの取れた高校生を作るためのプログラム、という感じです。世界の多くの大学が認めていて、受験で有利になるところもあります。私はUBCに入ってから、高校で取った科目を単位として認めてもらえて、一部の授業を受けずに済みました。

Ryo: 家庭では日本語ですか、英語ですか。

Yu: 完全に日本語です。英語はインターナショナルスクールだけで、日本にいるときは現地の学校に行っていました。漢字は、小学校のころ毎年夏休みに日本の学校へ入れられて、1、2ヶ月、普通に漢字のテストもやっていたので、基礎はあります。ただ、日本で社会人をやった経験がほとんどないので、ビジネス日本語は不安です。

11月にまだ間に合った大学が、UBCだった

Ryo: 周りの日本人は、日本の大学に戻る人が多かったんですか。

Yu: 多かったです。帰国子女入試で日本に戻る子がほとんどでした。たまたま、海外の大学に行っている日本人の大学生に会う機会があって、それも選択肢なんだと思いました。考え始めたのがギリギリで、高校3年になってから出願を始めたら、いくつかはもう締め切りが終わっていて。それでもまだ間に合った大学に出願した、という形です。

Senna: それまでの海外は、全部お父さんの転勤ですよね。英語圏に住んだことはなかった。

Yu: はい。行ったこともないカナダに行ってみたいと思って、カナダに出しました。UBCを知ったのは、高校のときです。UBCのスタッフがチュニジアまで来て、インターナショナルスクールで説明会をやってくれたんです。たぶんチュニジア出身の方が、バケーションのついでに、という形だったと思います。そのとき初めてUBCを知って、自然も豊かそうだし、バンクーバーは行ったことがないけど、カナダの人は優しいと聞くし、いいかも、と思った記憶があります。高校1、2年のときです。でも本気で考えたのは、最終学年になってからでした。

Ryo: イギリスやアメリカは。

Yu: 行ったことはあります。でも、また新しい国に行ってみたかった。オーストラリアは入学の時期がずれます。UBCは出願も入学も先に始まる。トロント大学、マギル大学、UBCを受けて、UBCがいいなと思って決めました。

Senna: トロント大学は受かりましたか。

Yu: ビジネスで受けて、合格はしました。ちゃんと調べていなくて、トロント大学はキャンパスが3つあるうち、メインではない郊外の2つのビジネスプログラムに出してしまっていたんです。メインキャンパスがよかったので、UBCにしました。

バンクーバーの海で

理系は得意じゃなかった。ビジネスの授業は得意だった

Ryo: ビジネスにしようと思った理由は。

Yu: 国際バカロレアでビジネスを取っていて、その授業が面白かったので、大学でも続けたかったんです。汎用性も高いと思っていて。社会に出たら、どこかの会社で働くか、自分でやるかで、どっちにしろビジネスには関わる。理系は全然得意じゃなかったですし、ビジネスの授業は得意だったので、自分に合っているかなと。

Senna: UBCのビジネスだと、みんなどこに就職するんですか。TELUSとマイクロソフトくらいしか、こちらでは聞いたことがなくて。

Yu: 3年生から、ビジネスの中の専攻を決めます。ファイナンス、アカウンティング、私がやったマーケティング、Business Technology Management(BTM)、オペレーション、といろいろあって、専攻で業界も職種も変わります。ファイナンスは、JPMorganなどの投資銀行が人気です。アカウンティングはビッグフォーが多い。新卒も積極的に採っているので、アカウンティングの学生はわりとビッグフォーに行きます。ローカルの学生が中心で、日本人でアカウンティングを専攻した人は、あまり知りません。

Ryo: 日本人は、ビジネスには少ないんですか。

Yu: 留学生自体は多いんですけど、ビジネススクールにそこまで多くはないです。サイエンスやアーツの方が多い。コンピュータサイエンスよりは、ビジネスの方が少し多いかもしれません。アーツだと、国際関係や社会学にいる人が多いです。

Senna: アーツや心理学をやっている日本人は、こっちで働くイメージですか。それとも帰国ですか。

Yu: いろいろです。最初から日本に帰る予定の人もいるし、こっちで就職したい人もいる。専攻と関係ない仕事を見つける人もいます。日本に就職する卒業生は、感覚としては、外資のコンサルがいちばん多くて、サントリーみたいなメーカーも少しいます。

残る人は1年生から動いている。現地就職希望者もボスキャリへ向かう

Ryo: エンジニアだと、インターンを2回くらいやって、リターンオファーか、その経験で就職する、という流れをよく聞きます。ビジネスにも、そういう王道はありますか。

Yu: かなり似ています。1年生のときからインターンを取れるように、ネットワーキングを頑張る。重視されるのは3年生のインターンです。4年で卒業せず、5年かける人も、ビジネスには結構います。インターンで経験を積んでリターンオファーをもらい、そのまま就職する人もいれば、転職する人もいる。インターンで苦戦すると、卒業と同時の就職も苦戦する。これは日本人だけではなく、ローカルの学生も同じ印象です。

Senna: 学校側のサポートは。

Yu: うちのプログラムは、就職を頑張れ、が強いです。1年生のときからLinkedInの使い方を叩き込まれて、2年生では、レジュメや面接の練習が課される必修の授業がありました。だいたいみんな、ボランティアも含めて何かしらのインターンをして、就職につなげています。

Ryo: できなかった人は、ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)で日本に戻る、ですか。

Yu: 多いパターンは、1年生のときはなんとなく残りたいと言っているけど、なかなか3年生になってもインターン経験が積めない。やっぱり難しそうだからボスキャリに行きます、です。

Ryo: 9割くらい、そうなりそうな気がするんですけど。

Yu: そうですね、現地就職希望してる中の8割くらいですかね。

Senna: Frogには、マーケターとして、ビジネスとして、こっちで働きたい、という問い合わせがすごく多いんです。でも実際に来る人は少ない。事例を出せていないのと、ビジネスで現地就職できるイメージが、まだ薄い。日本の感覚で、新卒はとりあえず出せばどこか引っかかる、レジュメを送ればどこか引っかかる、という人が、ビジネスには多い印象があります。

Yu: こっちで就職する、という目標が大学のうちにあって、ある程度動けていないと難しいです。なんとなく残りたい、が3、4年になってからだと、厳しいケースが多いです。

Ryo: 周りで現地に残っている人は、何が違うんですか。

Yu: インターンは大事です。そのインターンを取ること自体に、応募のプロセスがあります。私は1年生のときから、ネットワーキングイベントやビジネスコンテスト、メンターシッププログラムなどに参加して、社会人の人と実際につながっていました。

Grouse Grindの頂上で

知ってもらう、買ってもらう、買い続けてもらう

Senna: マーケターの定義が、こちら側だとまだふわっとしています。大学でやったことでも、今の仕事でもいいので、何をやっている人なのかを聞きたいです。

Yu: 定義が広くて、役割もいろいろあります。大学のインターンのひとつはデジタルマーケティングで、これは想像しやすいと思います。ニューヨークの、日本茶を売っている会社で、Instagram/Facebookなどのコンテンツカレンダーを作っていました。こどもの日にはこの商品を出したい、その日の投稿と画像を作る。過去の投稿のパフォーマンスも追っていました。

Ryo: 授業で学ぶマーケティングとは、違いますか。

Yu: 違います。授業はコンセプトが多い。好きだったのはデジタルマーケティングの授業で、実在するビジネスと組んで、その課題をマーケティングで解くプロジェクトがありました。実践の方が面白かったです。

Senna: 知ってもらう、買ってもらう、その先は。

Yu: 会社の商品やサービスを知ってもらって、お客さんになってもらって、お客さんであり続けてもらう。最後はリテンションマーケティングと言います。ライフステージによって役割が違って、手段はチームと会社によります。

Ryo: デジタルだと、何を見ているんですか。

Yu: リーチ、インプレッション、クリック率、コンバージョン。リピート率や、一人のお客さんが何個買うか、という指標もあります。一人のお客さんに、もっと多くの商品を買ってほしい、という見方です。

Senna: SNSの先、買ってもらうところからはセールスですか。

Yu: 商品によります。カスタマージャーニーがウェブの中で購入まで完結するなら、セールスはほぼ関係なく、マーケティングの範囲です。TELUSだと、ドアノッキングといって、営業が家庭を回ってインターネットを勧めるチャネルもあります。それはセールスです。ただ、プロモーションが噛み合うように、マーケティングとセールスはかなり強く連携します。

Ryo: 日本茶の会社では、Yuさんたちのチームは何で見られていましたか。

Yu: リーチ、インプレッション、クリック率、コンバージョンが多かったです。ブラックフライデー、クリスマス、バレンタインデーのような季節にキャンペーンを打って、例えば一つ買うともう一つ付いてくる、を告知する。ブランドに合うインフルエンサーを探して、一緒にやりませんか、と連絡して組む、という仕事もしていました。

レジュメの数字は作りやすい。実力はチームに乗る

Ryo: キャンペーンで何人取った、これだけ利益が出た、はレジュメに書きやすいですよね。一方で、入る前と後で200%と言っても、1人が3人になっただけ、ということもある。

Senna: 2人が3人になったのを、150%とか書けちゃうので。

Yu: そうですね。そういう見せ方は、いい意味でも悪い意味でもできます。

Senna: 実力の差は、数字に出ますか。それとも、やることが決まっていれば、誰がやっても同じくらいになりますか。

Yu: 戦略を練るのはマーケティングなので、どのプラットフォームで、誰をターゲットにするかがうまければ、成果は出ると思います。ただ、伸びしろの大きいスタートアップに入っただけで数字は増えますし、強いチームにいれば成果も付いてきます。プロダクトの認知があって、プロダクト自体がいい方が、プロモーションもしやすいし、コンバージョンも上がります。

Ryo: TELUSみたいに、回線を毎年同じ季節で売る仕事だと、誰がやっても振れ幅は小さいんじゃないか、とも思うんですけど。

Yu: ある程度は合っています。大企業はブランディングもプロセスもある程度できていて、いきなりめちゃくちゃクリエイティブなことはできない。最初のローテーションは、西カナダ向けのインターネットのチームでした。そこはカスタマーサービスの評価がよくないと、成績もついてこない。セールスと一緒に、なぜ文句が多いのかを解きながら進めるので、そちらの方が実力は見えやすいと思います。

Senna: エンジニアは、英語がたどたどしくてもコードで通る場面があります。TELUSはカナダの会社ですよね。

Yu: 日本語は全然使いません。英語がしっかりしていないと、面接でつまずいていたと思います。

本社はバンクーバー。応募は1月、面接は3回

Ryo: TELUSって、そもそもどんな会社ですか。電波の会社、というイメージしかなくて。

Yu: いちばん知られているのは通信です。カナダの大きい通信会社は3つあって、Rogers、Bell、TELUS。TELUSは西カナダが強くて、本社はバンクーバーです。トロントにも大きいオフィスはあります。メインはインターネットと通信ですけど、ホームセキュリティ、エンタメ、B2B、それにヘルスケアや農業まで手がけています。

Senna: 就職するまでの過程を、大学にいるときから教えてください。

Yu: 大学3年終わりの夏にインターンをしました。その年の1月にコールドアプライして、レジュメと成績表とカバーレターを付けました。メンターシップでTELUSの社会人と面識があったのと、インターンを経験した先輩も知っていたので、カバーレターにその人たちの名前は入れました。リファラルそのものではなく、この人たちと話して、こういうカルチャーを知った、という書き方です。面接は3つ。電話のスクリーニング、ふつうの面接、ケース面接です。

Ryo: マーケットサイジングは、どこで出たんですか。

Yu: 電話のスクリーニングのときです。コンサルでも聞く、カナダ全体で車が何台あるか、のような問題で、マーケットサイジングと呼ばれていました。その次が、こういうことがあったときを話してください、という面接。最後がケースでした。

Ryo: フェルミ推定ですね。ケースの方は、何を聞かれましたか。

Yu: 短い文章で、こういう会社が、こういうサービスを、こういう値段で売っています、と書いてある。収益・利益はいくらか、という計算と、最後にどんな提案があるか。計算でビジネスの基礎を見て、提案で発想を見る、という感じです。20分くらい時間がもらえて、解いたあとに自分の口で説明する。考えていることを、相手にクリアに伝えられるかを見られていたと思います。マーケティングの職全部にケースがあるわけではなく、私のイメージでは半々くらいです。1週間の持ち帰りケースを出す会社もあります。TELUSは当日その場で、でした。過去問のサイトは、私は見たことがないです。

Ryo: カバーレターは読まれた感じがありましたか。エンジニアだと、カスタマイズして書いても読まれていないだろう、と思いながら出しています。

Yu: TELUSは重視していたと思います。応募したいと思い始めてから、1年くらいあったのでインターンをしていた先輩にレジュメとカバーレターを見てもらって、TELUSに合わせた文面にしていました。効果はあったと思います。入ったあとに知ったんですけど、インターンのプログラムと、私が今いるMDPは、同じマネージャーが見ています。先輩とのつながりもあって、裏では「この学生をおすすめします」というような話もあったのかな、とは思っています。去年、インターンの採用サポート側に回ったときも、そういう推薦はありました。

Senna: 新卒の採用で見られるのは、ハードスキルではない、と前回おっしゃっていました。

Yu: インターンの採用だと、面接をどれだけ練習して、自分の経験をどうつなげて話せるか。ケースでプレゼンできるか。大学のクラブや団体で、どんなリーダーシップを積んで何を学んだか。学業面も見られます。成績も大事ですけど、それより面接の力の比重が大きかったと思います。LinkedInに、何を経験して何をしたかを書く。それが自分のポートフォリオのような役目を果たしていました。自分のピッチの資料を作って面接官に見せる人もいる、とは聞きます。

つながって終わり、では収穫できない

Ryo: ネットワーキングは、具体的に何をしていましたか。

Yu: コロナが開けていたので、対面が中心でした。会社の人が学校に来て、セッションやワークショップをやる。メンターシップは、大学が用意しているものもあれば、学生クラブが運営しているものもあります。アカウンティングクラブやマーケティングクラブがメンターを募って、1対1でつないでくれる。キャリア相談、レジュメ添削、面接の練習を手伝ってもらえます。そういうものには積極的に出ていました。

Senna: イベントでLinkedInを交換して終わり、になりがちだと思うんですけど。

Yu: 私も得意だったわけではなく、つながってそのあと話さない、が多かったです。バックグラウンドが合う、もっと知りたい、相手も興味を持ってくれた、というときは、連絡を続けてコーヒーチャットをお願いする。その先で、募集が出たらリファラルをお願いするとか、面接の練習相手になってください、と聞く人もいます。私自身は、そこまで活用できていませんでした。

Ryo: 社会人側は、なぜ学生に時間を使うんですか。

Yu: 同じ大学で、苦しさも知っているから、親切でやってくれる人は多いと思います。学生の視点が知りたい、と言う人もいます。自分が学生のときに世話になったから、返したい、という人もいます。忙しい人は、もちろん全部はできません。学生側も、メッセージの中身を考えて送った方が、返信率は高いです。

Senna: コーヒーチャットの次のメッセージが、いきなりリファラルください、だと厳しいですよね。

Yu: 急に頼んでも無理です。知り合いを作って、ホリデーの挨拶をちょこちょこ送って、関係を作る。種をまくのが大きいです。収穫まで、時間を置いた方がいい。

Ryo: 友達作り、なんですよね。何も知らない人にリファラルは出せない。

8ヶ月ずつ3回。2年間は、交渉なしの70Kほど

Ryo: 4ヶ月のインターンのあと、どうやって本採用になったんですか。

Yu: 次の年に卒業する学生は、MDPに直接応募できます。なぜこのプログラムに入りたいか、マネージャーにピッチして、通るとリターンオファーです。私は4年生が始まる9月か10月にもらったので、4年生はほとんど就活をしませんでした。

Senna: MDPは何の略ですか。

Yu: Marketing Development Programです。新卒のマーケティングに絞った、2年間のローテーションです。8ヶ月ずつ、3回。いろんなチームと役割を経験して、幅を広げるのが目的です。終わったあとは、入りたいチームに応募するか、外に出るか、学校に戻るか。ロースクールや大学院に行く先輩もいます。過半数はTELUSに残って、他は他の会社に移ります。

Ryo: 今は、その途中ですか。

Yu: 2025年9月からフルタイムなので、1年弱です。今は2つ目のローテーションの前半です。終わったあとについては、まだそこまで考えていません。テクノロジーには興味があって、その中でもプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)には興味があります。あわよくば、アメリカで働くことにも挑戦したい。30歳くらいには日本に帰りたい、とも漠然と思っています。それまでに北米でキャリアを積んで、日本では、自分がやりたいテック系のPMMを目指しています。

Senna: 日本の新卒みたいに、配属も仕事も入ってから、ではないですよね。

Yu: 会社によります。Bellにも同じようなローテーションはあります。やっていない会社もありますし、ローテーションではなく、最初からこのチーム、と入る新卒枠もあります。やりたいことが決まっている人は直接入ればいい。いろいろ見てみたい人は、このプログラムに来ます。

Ryo: 2年後に残ってほしいプログラムだとして、TELUS側の狙いは。給料は、新卒のほうが抑えられている、という面もありますか。

Yu: ある程度はあるかもしれないです。位置づけはリーダーシップの育成で、2年が終わる前に社内の他のポジションへ応募して、というサポートはあります。ディレクターやVPで、このプログラム出身の人もいます。会社を好きになって残ってくれたら、いちばんいい、という感じだと思います。

Senna: 社内の席に応募するとき、外から来る人と同じ面接ですか。

Yu: 面接はあります。社内の応募ツールから出して、ケース面接もやります。ただ、外からよりチャンスは大きいです。ネットワークもしやすいし、知っているチームも多いし、社内のリソースも使えます。8ヶ月いたチームにそのまま残るなら、人となりもパフォーマンスも分かっているので、面接が軽くなることはあると思います。

Ryo: 周りは、長く勤めている人が多いですか。

Yu: 長いです。25年以上、という人もいます。転職を繰り返す人ももちろんいます。理由のひとつは柔軟さで、育休も充実しているし、ほぼリモートでも大丈夫、という会社です。その働き方に慣れると、残りやすい。レイオフがまったくないわけではなく、リーダーシップが変わったタイミングでチームごとなくなった、という話は聞きます。テック企業よりは少ない印象です。通信の本業は安定していますが、通信以外の事業はもっとレイオフがあります。今は、TELUS全体が採用凍結中です。カナダに移住してくる人が減って、今いるお客さんの取り合いにもなっています。

Senna: 給料交渉はありましたか。

Yu: このプログラムは金額が決まっているので、交渉はできません、と最初にはっきり言われました。私は給料交渉が苦手なので、それはそれでよかったです。金額は、カナダドルで70Kほどです。エンジニアよりは少ないと思いますけど、マーケティングの新卒としては、普通か、普通以上くらいだと思っています。プログラムが終わったあとは、応募するロールによります。そのロールのレンジが決まっていて、そこからは交渉もできます。

夕方のゲレンデから

3年生の夏までに現地のインターンがなければ、諦めると決めていた

Ryo: これからマーケターとしてカナダで働きたい人に、アドバイスはありますか。

Yu: カナダでそのまま働きたいなら、大学3年生までには、現地の企業でインターンを見つけていないと厳しいです。私は、3年生でインターンが見つからなかったら、現地での就活は諦める、と自分で決めていました。それくらいの計画と覚悟は大事だと思います。日本にもポジションはあります。ギリギリまで頑張る、でもいいとは思います。頑張ってください。

Senna: 後ろにボスキャリがあるのは、大きいですよね。全部落ちた、という話はあまり聞かない。今のアドバイスは、マーケティングに限らず、他の業界でも同じだなと思いました。

父の転勤で、コートジボワール、日本、イスタンブール、日本、チュニジアと移り、家庭では日本語のまま、英語はインターナショナルスクールで始めたYuさん。高校3年にまだ間に合っていたUBCのビジネスへ進み、1年生のときからイベントとメンターとコンテストに出て、3年の夏にTELUSのインターンを取りました。面接は3回。電話ではマーケットサイジング、最後は20分のケースを自分の言葉で説明する。カバーレターは、TELUS向けに1年かけて用意して、読まれていました。

フルタイムは2025年9月から、8ヶ月ずつ3回のローテーションの途中です。年収は交渉の余地がない、カナダドルの70Kほど。公式の肩書きはマーケティングスペシャリストで、今のチームではプロダクトに近い仕事をしています。30歳くらいまでに北米で積んで、その先に日本のPMMも見ている。現地に残る人と、ボスキャリに流れる人の分かれ目を、本人は「3年生の夏までに、現地のインターンがあるかどうか」と切っていました。Yuさん、ありがとうございました。

このインタビューはPodcast「海外キャリアログ」でも配信しています。毎週月曜更新、Spotify・Apple Podcast・YouTubeなどでお聴きいただけます。ぜひ合わせてお楽しみください。

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