映画で海外に憧れた少年の海外就職!車上生活を経て、データエンジニアとして掴んだ海外キャリア
今回は、中学時代にアメリカ映画に憧れて海外を志し、高校留学、アメリカの大学でマーケティングを専攻した後、データエンジニアとしてキャリアを切り拓いたMizukiさんにお話を伺いました。日本でのスタートアップ勤務やアクセンチュアでの勤務を経て、「やっぱり海外に行きたい」という想いからカナダへ渡航。現在はバンクーバーを拠点に、アメリカのスタートアップでフリーランスのデータエンジニアとして活躍されています。
Frogのメンバーの中でも珍しいデータエンジニアという職種での海外就職、そしてバンクーバーでの5ヶ月間の車上生活という強烈なエピソード——マーケティングからエンジニアへの転身の決断、データエンジニアの転職市場のリアル、英語学習のコツ、そして「思い立ったら行動」という生き方まで、たっぷりと語っていただきました。
マーケティングからデータエンジニアへ
Mizuki: 高校の時に海外留学に行きたいなと思って、海外留学制度のある高校に入り、1年間アメリカに留学しました。日本の高校に帰ってきて卒業した後、大学どうしようかなとなった時に「やっぱりアメリカの大学がいいな」と。アメリカの大学で4年間、CSとかじゃなくて普通にマーケティングを専攻してました。
Ryo: なるほど。
Mizuki: 4年間終わったらOPTっていう1年間アメリカで働ける制度があるんですけど、そこでインターンとかやってたら「マーケティングだけっていうのは違うな」と思って。OPTが終わって日本に帰った時にプログラミングのブートキャンプに行って、データサイエンスのコースを取り、そのままスタートアップにデータエンジニアとして就職しました。日本で2、3年働いた後に、やっぱり海外に行きたいなと思って、一番学生ビザが早いなと思ったCo-opでカナダに来ました。
Ryo: マーケティングで「ちょっと違うかな」って思ったのは、海外に出ることを考えてエンジニアだと出やすいなと思ったのか、マーケティング自体が自分の領域じゃないと感じたのか、どちらですか?
Mizuki: どっちもですね。マーケティングのコンセプト自体は好きだったんですけど、実際にインターンで働いてみて、デイ・トゥ・デイでやることがちょっと面白くないなと。その時に「スキルってすごい大事だな」と思って、マーケティングと相性がいいスキルを考えた時に、データサイエンスがいいのかなと思って、日本に帰ってからブートキャンプに行きました。
Senna: じゃあ職歴としてはほぼ全部データエンジニアっていうことですね。
Mizuki: そうですね。ブートキャンプのネットワーク会で来ていたスタートアップに最初は入って、1年ぐらいした時に財政難でレイオフがあって。スタートアップの環境自体は好きだけど、このネガティブな面はそこまで考えてなかったなと。次いつ自分の番が来るかを考えるストレスがすごくて、もうちょっと安定したところに行こうかなと。プラス「名前」ってすごい重要だなと思ってたんです。元々2、3年後には海外に行きたいという気持ちがあったので、履歴書に知られた名前があった方が有利かなと。そこでLinkedInでリクルーターからメッセージをもらって、アクセンチュアに入りました。
データエンジニアの仕事、3つのタイプ
Ryo: データエンジニアって結構広いんじゃないかなと思ってるんですけど、具体的にどういう仕事をされてるんですか?
Mizuki: 僕的には3種類あるのかなと思ってて。1つ目がBI系——ビジネスのデータを取って、ビジネスのインサイトになるようなデータを作るタイプ。2つ目がアプリケーションに使われるデータを作るタイプ。3つ目がマシンラーニング用のデータを作るタイプ。アクセンチュアの時はBI系で、最初のスタートアップと今の会社ではアプリケーション系のデータを扱っています。
Ryo: うちの会社(Asana)だと、Mizukiくんみたいな仕事はデータサイエンティストって呼ぶこともある。どういうふうにログを取るかをエンジニアに協力してもらったり、ABテストの設計をしたり、結果のデータをもとに意思決定するような働き方。会社の規模によって呼び方も業務範囲も変わるよね。
Mizuki: データサイエンティスト界隈ですごく有名なピラミッドがあって、一番下がデータエンジニア(土台を作る)、真ん中がデータアナリスト(データを分析して今の状況を把握する)、一番上がデータサイエンティスト(これからどうなるかを予測する)。バジェットがある会社ならこう分けられるけど、小さい会社ならデータサイエンティストが全部やる、みたいな感じになります。

データエンジニアの転職市場
Senna: Frogにもデータエンジニアで就活したいという方が結構来るんですけど、なかなか前例がなくて。転職市場としてはどんな感覚ですか?
Mizuki: データエンジニア自体の数は普通のソフトウェアエンジニアに比べると少ないけど、仕事の数も少ない。ただ元々のデータエンジニアの母数も少ないから、わりと需要は高いというイメージです。ただ、LinkedInとかで仕事を探すと、圧倒的にソフトウェアエンジニアの募集が多い。バックエンドとかフロントエンドできたらいいなと思うことも正直あります。
Ryo: データエンジニアの難しさって、英語力と技術力のバランスにもあると思うんですよ。小さい会社だとデータエンジニアがPMとも経営層とも話す必要があるから英語力が求められる。逆に技術寄りのポジションは英語力はそこまで必要ないかもしれないけど、技術力をつけるのがそもそも大変。ソフトウェアエンジニアみたいに「JavaScriptが書ければまあまあいける」というわけにはいかない。
Mizuki: コミュニケーション面で言えば、僕の場合はコード書くのが8〜9割で、残りの1割が何か問題があった時に相談する程度。エンジニア寄りの働き方ですね。
バンクーバーという土地でのデータエンジニア事情
Ryo: バンクーバーって場所柄、シアトルやサンフランシスコのハブみたいな感じで、支社を出す時にウェブのポジションは多いけど、データ系やインフラ系のポジションは少ないんですよね。
Mizuki: そうですね。マシンラーニングやBIをやってるところは基本的に大きい企業。だからある程度の規模にならないとデータエンジニアを必要としない。一方で、僕が入った2社はどちらもデータを土台とするサービスを作ってるスタートアップだったので、なくはないけど多くはないですね。
Senna: メインストリームじゃないっていうイメージですかね。
Mizuki: 多くはないですね。
英語、シャドーイング3日間の効果
Senna: 英語の苦労はありましたか?
Mizuki: 今でもスピーキングには苦労してます。ボキャブラリーがすごく小さくて、小さい言葉を巧みに使いながらっていう感じ。こないだPTE(英語テスト)を受けたんですけど、やっぱりスピーキングが一番ダメでした。
Senna: 逆にスピーキングが得意なタイプかと思ってたから、ちょっとびっくりしました。仕事での英語はどうですか?
Mizuki: 仕事に関しては正直特にないですね。データに関する問題を説明する時は文面でやることが多くて、一回バーッと書いてChatGPTに投げて綺麗にしてもらって、Slackで送る。AIが来てからすごく楽になりました。
Mizuki: 一つだけ言っておきたいのが、シャドーイングはマジでやったほうがいい。3日間やっただけで、4日目から「あれ?ちょっとペラペラになってるかな?」って思うぐらい。
Ryo: どういう教材を使ったんですか?
Mizuki: YouTubeですね。大好きなユーチューバーを見つけて、キャプションをオンにして、その人が喋ってることをひたすら真似する。感情も込めると、ナチュラルになる。実際にシャドーイングした人の喋り方に自分もなると思います。
バンクーバー車上生活
Senna: 車上生活の話がインパクト強すぎて。カナダに来た時はまずどんな生活だったんですか?
Mizuki: 最初の1ヶ月は普通にシェアハウスで一室を借りてました。住所が色々必要になるから。本当は最初から車で行く予定だったんですけど、お母さんに「最初の2ヶ月は家にして」と言われて。
Senna: お母さんからしたら車での生活なんて許可すらしてなさそうだけど。
Mizuki: すごく怒ってましたね。
Ryo: 車はどこで手に入れたんですか?
Mizuki: Facebookマーケットプレイスで、60万円ぐらいで。アメリカにいた時も同じぐらいの金額で車を買って、半年使って同じぐらいで売れた経験があったので、資産として考えてました。……と思って買った車が、エンジンぶっ壊れてて。
Senna: え?
Mizuki: 買って3日後ぐらいに後ろからすごい煙が出て、メカニック持っていったら「もうダメだわ」って。ほぼ運転せず、ずっと「家」ですね。
車上生活の実態
Ryo: どこに停めてたんですか?
Mizuki: アパートの地下駐車場をマンスリーで月300ドルぐらいで借りてました。バンクーバーは車上荒らしがひどいので、ガレージじゃないとパソコンとか取られたら意味ない。学校とバイト先がダウンタウンだったので、近くに停めたかったんです。
Ryo: お風呂、洗濯、食事はどうしてたんですか?
Mizuki: お風呂はジムのシャワー、洗濯はコインランドリー、ご飯はバイト先のまかないとチポトレですね。チポトレは全部2倍にしても同じ値段なんですよ、プロテイン以外は。だから全部2倍にして、半分を昼ごはん、半分を夜ごはん。
Senna: トータルで車上生活は何ヶ月ぐらい?
Mizuki: 5ヶ月ぐらいですね。頭の中では2年ぐらいやるつもりだったんですけど、途中で「あれ?これ全然節約できてなくない?」と気づいて。駐車場代300ドル、ガソリン代、ジム代……Frogのマーケットプレイスで400ドルの部屋が流れてきたりするのを見ると、「あれ?」ってなりますよね。
車上生活から一転、エンジニア職をゲット
Mizuki: 元々は「時間がいっぱいあった方がいい」というマインドセットで、お金がなくても時間がある方を選んでたんです。でもやってるうちに、お金があれば誰かにお金を払ってやってもらえばいいじゃん、っていう方向にマインドシフトがあって、エンジニアの仕事を探し始めました。結果的に1ヶ月〜1ヶ月半ぐらいで見つかりました。
Ryo: いや、最初からそれやればよかったんじゃない?
Mizuki: いや、僕も正直そんなに早く見つかると思ってなかったんですよ。3ヶ月から半年ぐらいかかるかなと思ってたんですけど、わりと早かった。
Senna: Frogでもよく言ってることだけど、渡航してすぐにチャンスが巡ってくるか、それが2年後なのかは誰にも予測つかない。行動力に裏打ちされた運だとは思いつつ、どれだけ頑張っても1年間就活してる人もいる。でもその車上生活をしちゃうようなマインドセット、軽いフットワーク。そういう人生経験が面接で話せたり、人として面白いと思ってもらえることもあると思うんですよね。
これからの目標、ビーチとキャリアブレイク
Ryo: 今後のキャリアや目標はありますか?
Mizuki: オーストラリア行きたいですね。やっぱりビーチが好きで。エンジニアをやっていて、それなりにいい給料をもらってるけど、1日終わって「すごい疲れた、誰とも話したくない」みたいな気持ちで終わることがあって。これをずっと続けていいのかなと思って、自分が担っていることに手を出してみてもいいのかな。ビーチの近くのカフェで働くとか。お金なくなったら、また戻ってくる可能性もありますけど。
Senna: その取捨選択ができるのも、エンジニアみたいな仕事のいいところですよね。北米ではギャップイヤーもそこまで気にされないし。

これから海外を目指す人へ
Mizuki: やっぱり**「思い立ったら行動」**ですね。何かやりたいなって思ったまま、どんどん考えて一歩が出ない時ってあると思うんですけど、自分の頭の中に「これがちょっとやりたいかな」って思った時点で、多分やりたいんです。やってみて嫌いだったら、次のことをすればいい。
僕も「カナダ行きたいな」って思った時に、YouTubeでパッと調べてFrogのことを知って、多分その週には毎週土曜の質問コーナーに行ってました。誰かにコンタクトしてみるっていう、何か一歩を踏み出してみるのはすごくいいんじゃないかなと思います。
技術面で言えば、今はAI系の知識があるとすごく有利。求人を見てもAI関連のものが増えてきているので、そこのスキルを高めていくのはいいんじゃないかと思います。
マーケティング専攻からデータエンジニアへの転身、車上生活という型破りな選択、そしてバンクーバーからアメリカ企業でのリモートワーク。Mizukiさんのキャリアは、一見すると突拍子もないように見えて、その根底には「思い立ったら行動する」という一貫した姿勢がありました。データエンジニアという、ソフトウェアエンジニアに比べてポジション数が限られる職種でも、英語力と技術力、そして行動力があれば海外で道を切り拓けるということを、身をもって示してくれたインタビューだったのではないでしょうか。
Mizukiさん、貴重なお話をありがとうございました。